JP4675412B2 - トロコイドポンプ組体治具 - Google Patents
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Description
トロコイドポンプは、ポンプハウジング内に回転自在に嵌合されるアウタロータとポンプ駆動軸と一体に回転するインナロータとを偏心して噛み合せて組み込みポンプカバーで覆って構成されるものである。
特許文献1に開示されたトロコイドポンプは、円筒状のポンプ駆動軸の端部に外周部を平面状に切欠いた切欠きが形成されており、同切欠きを有する端部をインナロータの円孔の一部を塞いだ軸孔に嵌入することで、一体に回転できるようにしている。
本実施の形態に係る内燃機関Eは、スクータ型車両に搭載される単気筒4ストロークの水冷式内燃機関であり、クランク軸周りの断面図を図1に示す。
右軸受壁2Rと隔壁5との間のカムチェーン室6の下部にトロコイドポンプであるオイルポンプ30が組み込まれている。
図4に示すように、ポンプハウジング31には、アウタロータ33とインナロータ34を収納する凹部31dの底面に吸入ポート31iと吐出ポート31eが形成されている。
なお、ポンプカバー32のポンプカバー32が被せられる合せ面31sにボルトねじ孔31h,31hが形成されている。
なお、ポンプ駆動軸35は、左端がインナロータ34を相対回転を規制して軸支し、右端が隔壁5の軸受ボス部5bに回転自在に軸支される。
ポンプハウジング31の凹部31dに被せられるポンプカバー32は、中心の軸孔32cの周囲の円板の2か所が外側に延出して前記ポンプハウジング31のボルト孔32h,32hに対応するボルト孔32h,32hを有する取付ボス部32b,32bが形成された外形をした板部材であり、軸孔32cの周辺に円弧状の吸入ポート32iと吐出ポート32eがポンプハウジング31側の側面に形成されている(図6参照)。
アウタロータ33とインナロータ34は板厚が等しく、ポンプハウジング31の凹部31dの深さと略同じである。
図5および図9を参照して、インナロータ34とポンプカバー32とを重ね合わせ、互いの合致した軸孔34c,32cをポンプ駆動軸35が貫通してインナロータ34とポンプカバー32を軸支する。
インナロータ小組体34Aは、ポンプ駆動軸35の左端部の端面がインナロータ34の左側面に対して略同一面に位置し、右端部がポンプカバー32より右方に大きく突出している(図9参照)。
このアウタロータ33は、簡単にインナロータ34から外れる状態にあるので、アウタロータ33を保持するのに治具40が用いられる。
なお、保持アーム40b,40bと係止片40cの互いに対応する内側の先端角部は傾斜面とされ、ポンプカバー32の外側部に嵌合し易いように形成されている。
保持アーム40b,40bがアウタロータ33の外周円に嵌る中心角は、180度をいくらか超える程度である。
したがって、ポンプ駆動軸35のピン孔を貫通したポンプカバー側ピン37の突出した両端部が治具40の係止片40cに当接することで、ポンプ駆動軸35の回動が僅かな回動角度に規制されている。
インナロータ34に対しアウタロータ33は、治具40の嵌合方向に偏心した状態で保持されている。
このように小組みされたトロコイドポンプ小組体30Aは、小組み状態のまま移送することができ、取り扱いが極めて便利である。
ポンプハウジング31に被せられたポンプカバー32は、ボルト38,38をポンプカバー32のボルト孔32h,32hに挿通してポンプハウジング31のボルトねじ孔31h,31hに螺着することでポンプハウジング31に固定され、オイルポンプ30が構成される。
オイルポンプ被動ギヤ39は、中央部分は厚肉に形成されていて、その中心に軸孔39cが穿孔され、ポンプカバー32側の側面に軸孔39cから直径方向の両方に延長する長孔形状の嵌合溝39v,39vが形成されている。
その際、ポンプカバー32の右側側面に沿ってポンプ駆動軸35に貫通されたポンプカバー側ピン37の両端を嵌合溝39v,39vに嵌合させ、オイルポンプ被動ギヤ39をポンプカバー32に近接させ、簡易でコンパクトな構成でポンプ駆動軸35をオイルポンプ被動ギヤ39と一体に回転させることができる。
オイルポンプ被動ギヤ39は、ポンプ駆動軸35上でポンプカバー側ピン37と隔壁5の軸受ボス部5bに挟まれ、簡易な構成でオイルポンプ被動ギヤ39の軸方向の移動を規制することができる。
油溝5vは、軸受ボス部5bの端面に径方向に指向して車載時に上向きに開口するように形成されるとともに、軸受凹部の内周面に屈曲して軸方向に延び、軸受凹部の端面をその中心の油溜まりに向けて屈曲して連続して形成されており、油溝5vのオイルポンプ被動ギヤ39の右側面との間に構成される上向きの捕集口に入ったオイルがポンプ駆動軸35に沿って軸受凹部の端面の油溜まりまで供給されて、ポンプ駆動軸35の軸受の潤滑に供せられる。
本治具50は、前記実施の形態の治具40と殆ど同じ形状をしているが、係止片50cに係止溝50cvが形成されている点が異なる。
治具50の嵌合部50aをポンプカバー32の外側部に嵌合するときに、係止片50cの係止溝50cvに、ポンプ駆動軸35のピン孔を貫通したポンプカバー側ピン37の突出した一端部が嵌合するように係止する。
本治具60は、薄い鉄板で構成したものであり、帯状の鋼板をコ字状に繰り返し屈曲して嵌合部61aと係止部61bとつまみ部61cとを形成し屈曲部片61と、別の帯状の鋼板を半円弧状に形成して保持アーム部片62とを結合したものであり、屈曲部片61の嵌合部61aとつまみ部61bとを連結する僅かに湾曲した連結部61dを保持アーム部片62の外周面中央部と溶接して治具60を形成している。
すなわち、嵌合部61aはポンプカバー32の外側部に嵌合され、保持アーム62はアウタロータ33の外周面を保持し、係止部61bはポンプカバー側ピン37に当接してポンプ駆動軸35の回動を規制する。
本治具70は、上記第2の変形例の治具60の屈曲部片61と同じ鋼板の屈曲部片71を用いており、同屈曲部片71は嵌合部71aと係止部71bとつまみ部71cを備え、嵌合部71aとつまみ部71cとの間のコ字凹部に湾曲した連結部71dに固着されて保持マグネット72が取り付けられている。
また、保持マグネット72の磁力は嵌合部71aのポンプカバー32との嵌合にも作用してポンプカバー32を屈曲部片71に吸着しており、上記のような特別な外力が加わらない限り治具70が簡単にポンプカバー32から外れないように取り付けることができる。
10…クランク軸、11…主ベアリング、12…コンロッド、13…カムチェーン、14…カムチェーン駆動スプロケット、15…オイルポンプ駆動ギヤ、16…ACジェネレータ、17…ベルト式無段変速機、18…遠心ウエイト、19…駆動プーリ、
30A…トロコイドポンプ小組体、30…オイルポンプ、31…ポンプハウジング、32…ポンプカバー、33…アウタロータ、34…インナロータ、34A…インナロータ小組体、34v…嵌合溝、35…ポンプ駆動軸、36…インナロータ側ピン、37…ポンプカバー側ピン(ポンプカバー側突起)、38…ボルト、39…オイルポンプ被動ギヤ、39v…嵌合溝。
40…治具、40a…嵌合部、40b…保持アーム、40c…係止片、40d…つまみ部、
50…治具、50a…嵌合部、50b…保持アーム、50c…係止片、50cv…係止溝、50d…つまみ部、
60…治具、61…屈曲部片、61a…嵌合部、61b…係止部、61c…つまみ部、61d…連結部、62…保持アーム部片、
70…治具、71…屈曲部片、71a…嵌合部、71b…係止部、71c…つまみ部、71d…連結部、72…保持マグネット。
Claims (6)
- 内燃機関の機関ケースに設けられる円形に凹設したポンプハウジングの凹部内に回転自在に嵌合されるアウタロータとポンプ駆動軸と一体に回転するインナロータとを偏心して噛み合せて組み込み、前記凹部をポンプカバーで覆って構成されるトロコイドポンプを組立てるトロコイドポンプ組立治具であって、
前記ポンプ駆動軸外周に前記インナロータがスラスト方向の移動を規制されて支持されるとともに、前記ポンプ駆動軸に前記ポンプカバーがその軸孔を貫通されて支持されインナロータ小組体が構成され、
前記アウタロータを前記インナロータの外周に噛み合せ、
コ字状に形成された嵌合部が前記ポンプカバーの外側部に外周縁を跨いで嵌合しつつ、前記嵌合部の前記アウタロータ側の側片が延出して形成された保持部が前記アウタロータの外周面を保持する治具により前記インナロータ小組体と前記アウタロータとを一体としてトロコイドポンプ小組体が構成され、
前記ポンプハウジングの凹部に前記トロコイドポンプ小組体の前記アウタロータの一部を嵌合し、前記治具を前記ポンプカバーおよび前記アウタロータから取り外した後に前記アウタロータの全部を前記ポンプハウジングの凹部に嵌入して前記ポンプカバーを被せることで組付けられることを特徴とするトロコイドポンプ組体治具。 - 前記ポンプカバーは、前記インナロータと前記ポンプ駆動軸の係合部によりスラスト方向の移動が規制されることを特徴とする請求項1記載のトロコイドポンプ組体治具。
- 前記治具の前記保持部は、前記嵌合部の一側片から二股に分岐して円弧状に延出した一対の弾性を有するアームであり、
同一対のアームが前記アウタロータの外周面の前記ポンプカバー側部分に嵌り保持することを特徴とする請求項1または請求項2記載のトロコイドポンプ組体治具。 - 前記ポンプカバーと前記インナロータとを摺動自在に重ね合わせて互いの合致した軸孔を前記ポンプ駆動軸が貫通し、前記ポンプ駆動軸に互いに軸方向に所要間隔離れて径方向に突出された一対のポンプカバー側突起とインナロータ側突起が前記ポンプカバーと前記インナロータとを両側から挟み、
前記治具の前記嵌合部の前記保持部と反対側の側片が延出して係止片をなし、前記ポンプカバー側突起に係止することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のトロコイドポンプ組体治具。 - 前記インナロータ側の一方の前記インナロータ側突起が同インナロータの側面に形成された嵌合溝に嵌合し、前記ポンプカバー側の他方の前記ポンプカバー側突起が同ポンプカバーの側面に沿って突設することを特徴とする請求項1から請求項4記載のトロコイドポンプ組体治具。
- 前記一対の突起は、それぞれ前記ポンプ駆動軸に直径方向に穿孔されたピン孔を貫通したピンの外部に突出した端部であり、前記インナロータに形成された嵌合溝は、前記ポンプカバーと反対側の側面に軸孔から直径方向に延長して形成された溝であることを特徴とする請求項5記載のトロコイドポンプ組体治具。
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