JPH0337889B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は舞茸、山伏茸、しめじ、なめこなど雑
菌に弱く培養しがたい茸類を雑菌を排除して培養
する袋用巻回物に関し、従来の工程で特に人手を
要していた鋸くず等の培地材料を袋に充填する工
程を容易にする培養に使用する袋用巻回物に関す
る。本発明はその他組織培養にも使用できる。

〔従来の技術〕

本発明者は特公昭57−42287号公報において、
ガセツト折りしたプラスチツク袋の一方の面に穿
孔を設け、該穿孔に空気を通過し、微生物を通過
させないポーラスフイルムを貼着した袋に鋸くず
や米ぬかなどの培地材料を充填し、滅菌後、種付
けして口を閉じ、培養する方法を開示した。

上記方法によると、培養中に雑菌により汚染さ
れることがないため、全ての袋から舞茸が発生
し、加えた手間が無駄にならず生産性の向上に役
立つ。したがつて、現在では舞茸の人工培養にお
いては本発明者による上記の方法が主流となつて
いる。

〔発明が解決しようとする技術課題〕

しかしながら、この方法は先ず、プラスチツク
製の袋に鋸くずやぬかを充填する作業がある。袋
口を開き上部から鋸屑やぬかを加えて調合した培
地材料をホツパーから計量充填する方法が採用さ
れている。袋口を開いてホツパー下部に設置する
操作は従来手作業であつて煩雑であるため、より
生産性を高めるべくプラスチツク袋の袋口を開
き、ホツパー下に配置し、培地材料を充填する操
作を自動化すべく種々の自動化機械が試みられて
いる。

これらの試みがいずれも未だ実用化に到つてい
ない理由は、袋を１枚ずつ取出してホツパー下に
位置させるにあたり、袋が滑り、機械が時として
袋を捕まえ損なうことに起因するものであつた。
すなわち、袋はプラスチツク製であるため、積重
ねた状態で相互に滑りやすく、更に静電気を帯び
るため位置ずれが激しく、結局１枚ずつ確実に機
械に捕捉させることは困難であつた。

そこで、培養袋への培地材料の充填や培養容器
の挿入の自動化にあたり、袋相互の滑り性や静電
気を帯びやすい特性にかかわらず、確実に１枚ず
つ供給できる技術が求められていた。

〔課題解決の手段〕

本発明は上記課題を解決することを目的とし、
その構成は、両側端をガセツト折りした連続プラ
スチツクチユーブを、一定間隔を保つて横断方向
に熱融着すると共に、上記連続プラスチツクチユ
ーブの融着部と融着部との間に穿孔を設け、該穿
孔を覆つて空気を通過し、微生物を通過させない
ポーラスフイルムを気密に貼着した連続チユーブ
を巻回したこと特徴とする。

本発明に係るプラスチツク袋の素材は、95〜
125℃で３〜５時間の蒸気滅菌または加圧滅菌に
耐える透明な素材であればよく、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどのポリオレフインフイルム
は他のフイルム素材を積層しなくとも熱融着が容
易であるため、特に好ましい素材である。

このようなフイルムからなる連続チユーブを長
さ方向にガセツト折り、すなわち、長さ方向に両
脇に折込み襞を設けたたたみ方をしたものを使用
する。このようなチユーブを横断方向に融着し、
切断して袋にしたとき、内容物を充填すると襞が
広がり、径が見掛け以上に大きくなるが底部分に
おいては折りたたまれたまま融着されているた
め、広がることができず、第２図に示すような角
ばつた安定な形状に充填される。したがつて、ガ
セツトの折込み分は好ましい充填状態の縦横の比
率に応じて適宜調整することができる。

本発明にあつては、連続チユーブは前もつて所
定の袋の長さになるようにチユーブの横断方向に
熱融着を施す。更に２本の熱融着線に挟まれた１
箇の袋となる部分に少なくとも１箇の穿孔を穿設
する。この穿孔を空気の流通が自由であつて、微
生物を通過させないポーラスフイルムで気密に被
覆する。

ポーラスフイルムとしては、種々のフイルムが
市販されているが、孔径0.01〜0.4μ程のものが好
ましい。孔が細長い場合には短径が0.01〜0.1μの
範囲が好ましい。一般のポーラスフイルムはより
大きな孔径を有するフイルムであるが、このよう
なフイルムは孔が多数の層上をなして隘路を形成
しているため、微生物が間接的に隘路に妨げられ
て通過しないものである。このようなポーラスフ
イルムを使用すると、微生物は通過しないが空気
の流通も不充分となる傾向がある。したがつて、
微細な孔を有する単層、少なくとも空気の流通を
妨げない程度の数層の微細孔からなるポーラスフ
イルムが好ましい。米国、セラニーズ社製のジユ
ラガードは上記の条件を具備した好ましいポーラ
スフイルムである。

上記のポーラスフルムを袋に設けた穿孔に気密
に貼着する。空隙が残るとこの間から微生物が侵
入するためポーラスフイルムを使用する意味がな
い。本発明の袋は加圧加熱滅菌を受けるため、貼
着は確実な方法を採用することを要し、好ましく
はポーラスフイルムを穿孔の周囲に熱融着する。

穿孔を設ける位置は特に限定はないが、表裏の
いずれか一方が好ましい。更に穿孔を設ける位置
は袋に培地材料を充填するため、少なくとも袋の
深さ方向中間部より上部、好ましくは袋口から1/
３程度の位置である。また、ガゼツトの折込み襞
を避けた部位が好ましい。ポーラスフイルムは薄
いものであるため、不織布などを貼着して補強す
るとが多いが、この場合ポーラスフイルムを貼着
した部位の厚みが増加する。これを巻回した場合
にはポーラスフイルムの部位が膨れて巻回フイル
ムが不安定となりがちであるが、連続チユーブが
ガセツト折りしてあるため、両端が嵩高となる。
したがつて、中央部に貼着すればガセツトの嵩高
とポーラスフイルムの嵩高とが相殺されて安定に
巻回することができる。

巻回するにあつたては通常巻芯を使用しない
が、使用しても差支えない。巻芯なしにかせ巻き
すれば輸送にあたり扁平に梱包することができ、
適宜芯材を挿入すればそのまま使用できる長所を
有する。

〔作用〕

本発明の巻回連続チユーブを使用すれば、切断
するのみで茸菌培養用の袋となる状態の連続チユ
ーブが巻回されているため、端部から巻出すこと
により、相互の滑りにより巻崩れや、２枚取り、
静電気による位置ずれなどと無関係に一定長さず
つ確実に引出すことができる。その結果、自動充
填機の切断刃は所定位置を正確に切断し、爪は１
枚ずつ袋口を広げ、所定の位置に袋を配置する操
作を確実に行うとができ、袋に培地材料を充填す
る作業の自動化が可能になる。

また、本発明は茸菌に限らず、組織培養などに
も応用することができる。

〔実施例〕

第１図は本発明の１実施例を示す斜視図、第２
図は袋に培地材料を実施し、滅菌し、種付けをし
て袋口を閉じた後の斜視図である。

１は巻回連続チユーブであり、一部巻出した部
分を示した。本実施例においては厚さ55μのポリ
プロピレンフイルムを用いた。ガゼツト折込み後
の幅は20cmであつた。２はガセツト折込み部分で
あり、折込み幅は各６cmとし、折込まれた部分の
端部を破線で示した。３，３′は熱融着部であり、
45cm間隔に設けた。単層フイルムを用いているた
め、ガセツト部分では４放のフイルムが一体に融
着された。熱融着部３の近傍に示した仮想線４は
袋を形成し、培地素材を充填する際に切断すべき
部位、切断線を示した。５はポーラスフイルムで
あり、連続チユーブ１の一方の面に径26mmの空気
孔６を穿設、35mm四方のポーラスフイルムを空気
孔６の外方に熱融着した。ポーラスフイルムとし
ては米国セラニーズ社製のジユラガード＃4510を
使用した。

このように巻回した連続チユーブを自動培地充
填機にかけ、一端からホツパー下に引出し、第１
図の仮想線で示す部分を切断し、爪により袋口を
開き、同時にホツパーから培地材料を計量充填し
た。本実施例によれば袋が位置ずれすることによ
るトラブルがなく切断直後の袋に確実に培地材料
を充填することができた。その結果、第２図に示
すような形状に種付けし培養することができた。
７は種、８は培地材料である。第２図の場合は舞
茸の栽培であり、25℃、60％RHで40日培養した
ところ全体に菌糸がまわり白い塊状となつた。こ
れを10℃、95％RHの部屋に移し、低温刺激を与
えたところ、いつせいに発芽し、これを繰返すこ
とにより２回収穫することができた。

〔発明の効果〕

本発明により、培地材料を栽培袋に充填するに
あたり、自動充填機を使用する効率的な充填方法
を工業的に採用することが可能になつた。更に、
特願昭63−33993号に開示した、一部が空気の流
通が自由であつて、雑菌を通過させないフイルム
からなる袋内に水と組織培養容器とを密封する組
織培養法においても袋への充填が効率化される。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の充填剤を示し、第１図は一部巻
出した状態の斜視図、第２図は充填、滅菌、種付
け後の斜射図である。 図面中、符号、１は巻回連続チユーブ、２はガ
セツト折込み部分、３は熱融着部、４は切断線、
５はポーラスフイルム、６は空気孔、７は種、８
は培地材料である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 両側端をガゼツト折りした連続プラスチツク
   チユーブを、一定間隔を保つて横断方向に熱融着
   すると共に、上記連続プラスチツクチユーブの融
   着部と融着部との間に穿孔を設け、該穿孔を覆つ
   て空気を通過し、微生物を通過させないポーラス
   フイルムを気密に貼着した連続チユーブを巻回し
   たことを特徴とする培養に使用する袋用巻回物。