JPH0337107B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、空調装置等の吹出口に設けられ、送
風源からの流れを任意の方向に偏向して吹き出さ
せるための流れ方向制御装置に関するものであ
る。

従来例の構成とその問題点 冷房・暖房を行なう空調器においては、空調さ
れる部屋の温度分布を均一化するために暖房時は
下吹きに、冷房時は水平吹きに吹き出し流れ方向
を制御することが望ましい。

この目的を達成するための従来例として、第１
図及び第２図に示すものがある。図において、１
は流れの入口、２はノズル、３は段差、４は制御
翼で軸５を中心として回転するものである。６は
流れを付着させるほぼ円弧形状をした案内壁、７
は流れを下に向けるのを補助するバイアス突起で
ある。８は流れを左右方向に偏向させるための左
右偏向羽根である。

上記の構成において、制御翼４を回転すること
によつて案内壁６への流れの付着状態を制御し、
流れの吹き出し偏向角度を任意に変化させるもの
である。この偏向特性を第３図の実線で示す。こ
こで横軸は制御翼４の回転角度であり、第２図に
示す流れの軸１０に対する制御翼４の傾き角度
（円弧の弦に相当する部分の傾き角度）θであり、
縦軸は吹出し流れの流れの軸１０に対する傾き角
度αを示す。これにおいては、制御翼の回転角度
にほぼ比例して流れの偏向角度が増加している。
これによつて吹き出し方向の任意制御が可能にな
るのであるが、これは上流に乱れが無い場合、例
えば左右偏向羽根８を正面に向けた場合の作動で
ある。一方、左右偏向羽根８を傾けた場合（第２
図の破線で示す）の如く、上流の流れに乱れがあ
る場合は偏向特性に変化が生ずる。一例として
は、第３図の破線に示す如く、制御翼の回転角度
を小さくしたにも拘らず、流れの偏向角度はそれ
に比例して小さくならず、制御翼の回転角度θが
約＋20°より流れの偏向角度αは約＋30°一定にな
つてしまい、第２図の水平方向に吹き出すことが
不可能になる場合がある。これは、左右偏向羽根
８による流れの乱れのために制御翼４以外の作用
が案内壁６に加わり、付着動作が制御翼４の回転
角度に比例しなくなるためである。これでは適切
な吹き出し方向の制御ができなくなり、空調効果
上問題がある。

発明の目的 本発明はかかる従来の問題を解消するもので、
従来の構成、動作において上流の乱れに拘らず常
に一定の偏向特性が得られるようにすることを目
的とする。

発明の構成 この目的を達成するために本発明は、従来例に
示した流れ方向制御装置の案内壁６に、制御翼の
回転に応じて流れの付着に干渉効果を及ぼす付着
干渉部６０（流れに直交するように設けた細長い
突条）を設けたものである。この構成によつて、
制御翼の上流の流れの乱れによる案内壁６への流
れの付着を一次阻止し、その後、制御翼の作用で
流れを付着させることにより、上流の乱れの影響
をなくし、制御翼のみの作用によつて偏向動作を
行なうようにするものである。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を第４図〜第８図を用
いて説明する。第４図及び第５図において、１〜
８までの構成は従来例と同一である。これにおい
て案内壁６の面上の制御翼の軸５の近傍に、流れ
の付着に干渉効果を及ぼす突出した付着干渉部６
０が設けられている。この付着干渉部６０の位置
は案内壁６の上流端より、流れの軸に垂直な線に
対して、案内壁の曲率半径を半径としてβ＝約
30°下流に移動した位置で、制御翼４の下流端よ
りも（制御翼が回転した場合でも）上流側であ
り、形状は流れの乱れを極力小さくするために先
端が円弧形状に形成されている。

上記構成において、まず流れを水平に吹き出す
場合すなわち制御翼４が第４図及び第６図の位置
にある場合について説明する。従来例に示す如く
左右偏向羽根を傾ける等の上流流れを乱す要因が
生じた場合は、本来は水平方向に向かうべき流れ
が第６図に示す破線の流れを如く案内壁に付着し
やや下方を向いた流れとなつてしまう。これに対
し、本発明の如く付着干渉部６０を案内壁６の表
面に設けた場合は、第６図の実線に示す如く一度
付着した流れは付着干渉部６０によつて剥離させ
られ、本来の水平方向に向かつて流れるようにな
る。この状態より制御翼を徐々に下に向けていく
と（時計方向に回転する）、流れは制御翼の作用
によつて案内壁に接近していく。そして付着干渉
部６０の下流側には、流れの巻き込みによる負圧
が発生する。そしてこの負圧がある程度以上の大
きさになると、第７図に示すように流れは案内壁
に付着するようになる。この付着の強さは負圧の
大きさにほぼ比例するため、制御翼４の傾きに応
じて付着の強さが変化し、偏向角度も変化するよ
うになる。すなわち、制御翼４の回転角度にほぼ
比例した偏向角度がえられるようになる。この場
合、流れが案内壁６に付着する場合とその前とで
は偏向特性に段差が生ずると考えられるが、実際
の作動上は問題にならない程小さいものである。

本発明の流れ方向制御装置の偏向特性を第８図
に示す。これからわかる様に、上流が乱れた場合
でもほぼ一定の偏向特性が得られ、流れ制御翼４
を水平（θ＝0°）にした場合には流れの偏向角度
αもほぼ0°が得られる様になる。

なお、制御翼の形状としては第９図に示す如く
多面形状でも同様の作動を行なえる。

発明の効果 以上のように本発明の流れ方向制御装置によれ
ば次の効果が得られる。

１ 付着効果を有する案内壁に、制御翼の回転に
応じて流れの付着に干渉効果を及ぼす付着干渉
部を設けることにより案内壁に付着しようとし
た流をを１度剥離させ、その後制御翼の作用に
よつて付着させて、流れの吹き出し方向を制御
するものである。これにより、上流の流れの乱
れによる付着な変化は抑制され、制御翼の作用
のみによつて付着効果を制御することが可能に
なる。この結果、上流の左右偏向羽根を傾けた
場合でも、左右偏向羽根が正面向きの場合とほ
ぼ同一の偏向特性が得られるようになる。

２ 付着干渉部によつて水平吹き時に案内壁への
流れを剥離させるため、空調装置に応用した場
合に冷房動作時に案内壁近傍への流れの巻き込
み量を減少させ、案内壁への結露の量を少なく
抑え、結露水の滴下をなくすことが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の流れ方向制御装置の斜視図、第
２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は従来の流
れ方向制御装置の偏向特性を示す図、第４図は本
発明の流れ方向制御装置の一実施例を示す断面図
第５図〜第７図は第４図の部分拡大図、第８図は
本発明の流れ方向制御装置の偏向特性を示す図、
第９図は本発明の流れ方向制御装置の第２の実施
例を示す断面図である。 ２……ノズル、４……制御翼、５……軸、６…
…案内壁、６０……付着干渉部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流れを吹出すノズルと、流れを付着させるほ
   ぼ円孤形状をした案内壁と、軸を中心として回転
   しこの回転によつて前記案内壁への流れの付着状
   態を制御する制御翼とを有し、前記案内壁面上の
   前記制御翼の軸の近傍で、かつ前記制御翼の下流
   端よりも上流側に、前記制御翼の回転に応じて流
   れの剥離を起こさせる細長い突条を流れに直交す
   るように設けた流れ方向制御装置。 ２ 突条の先端は円孤形状に形成した特許請求の
   範囲第１項記載の流れ方向制御装置。