JPH033695Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は外壁パネルと他の部材とを接合する
際の予備仕上げ作業の効率化が図られ、かつ接合
部の防水性が高められる外壁パネル端部と他の部
材との接合構造に関する。

プレハブ住宅に用いられる外壁パネルは現場で
の施工手間を省くために工場で予備的な外面仕上
をなすことが多い。この予備仕上の一例として第
１図に示すように、外壁パネル１の外面１ａの全
面に防水層２を形成し、この防水層２の端部２ａ
の外面を除いた防水層２の外面全部にモルタル下
地層３を形成したものがある。

ここで、上記予備仕上げにおいて防水層２の端
部２ａを露出させておく理由は、第２図に示すよ
うに外壁１に、他の部材、例えば外壁１と同様な
予備仕上げを施した外壁１′を、建築現場で接合
する場合に、外壁１のモルタル下地層３と外壁
１′のモルタル下地層３′との間にコーキング層４
を形成することにより、外壁１の防水層２と外壁
１′の防水層２′とをコーキング層４により連続さ
せ、外壁１と外壁１′との接合部の防水性を高め
るためである。なお、図中５はモルタル下地層
３，３′の全外面とコーキング層４の全外面とを
覆つて形成された外壁仕上層である。

ところが上記接合に用いられる予備仕上におい
ては、防水層２の端部２ａの外面側にモルタル下
地層３を形成させずに防水層２を露出させる必要
がある。そこで従来、上記予備仕上げを工場でな
す際の作業は、作業者によつて防水層２の端部２
ａの長手方向一端から他端までテープを均一に貼
つて端部２ａのマスキングを施した後、防水層２
の外面全部にモルタルを塗布し、このモルタルが
十分に乾燥した後に再度作業者によつて上記テー
プをはがしてテープ上のモルタルだけを外壁パネ
ル１から取り除き、所要のモルタル下地層３を形
成するといつた大部分の作業が人的作業を必要と
しかつ熟練を要する作業となつていたので、予備
仕上げの全体作業に多くの手間と時間がかかつて
いた。また、従来の接合構造では、形成された外
壁１のモルタル下地層３と外壁１′のモルタル下
地層３′とも間にコーキング層４を連続して介在
させて接合部の防水性を高める構造としている
が、不十分なモルタル下地層３，３′が形成され
ることにより、コーキング層４とモルタル下地層
３，３′との間に隙間が生じ易くなり、それによ
り防水性が損なわれるおそれがあつた。

また、窓部形成のために第３図に示すように外
壁パネル６に形成された開口部の周囲の外壁パネ
ル６の内周縁６ａ（外壁パネル６の端部に含める）
も上記外壁パネル１と同様の予備仕上げにされ
る。そして上記内周縁６ａの外面に形成された防
水層７の端部７ａに、第３図に示すように窓枠サ
ツシ８をモルタル下地層９と間隔をあけて当接さ
せ、この間隔をコーキング層１０で覆つて外壁パ
ネル端部の仕上げをなし、モルタル下地層９の外
面に仕上層１１を形成するわけである。したがつ
て、工場での外壁パネル６の内周縁６ａの予備仕
上に当つても、上記した外壁パネル１の予備仕上
の際に生じた手間と同様な手間をかけなくてはな
らなかつた。

この考案は上記した問題を解消するためになさ
れたもので、防水層で下地層の端部を覆い、この
防水層にコーキング材を介して他の部材を接合し
た構成にすることによつて、外壁パネルの予備仕
上のために従来必要であつたテープによるマスキ
ングを行なわなくとも予備仕上を簡単になして外
壁パネルに他の部材を接合でき、防水性も高い、
外壁パネル端部と他の部材との構造を提供するこ
とを目的とする。

以下この考案を図面を参照して説明する。

第４図はこの考案の構造の一実施例を外壁同志
の接合部に適用したものを示している。図中２０
は屋外Ａ側の全外面にゴム状の防水層２１が形成
され立設された外壁パネルであり、この防水層２
１の外壁パネル２０側の面と反対側の外表面の全
面にモルタル層等の下地層２２が形成されるとと
もに、外壁パネル２０の鉛直な端部２０ａ側の外
壁パネル端の外面に形成された下地層２２の縁部
２２ａには、屋外Ａ側に向く斜面２２ｂが形成さ
れている。また、上記防水層２１の外壁パネル端
側の端部２１ａには上記下地層２２の斜面２２ｂ
を含む縁部２２ａと覆うゴム状の被覆部２１ｂが
防水層２１と一体に形成されている。

そして外壁パネル２０の横には、外壁パネル２
０の防水層２１および下地層２２と同様の防水層
２１′および下地層２２′を形成した外壁パネル２
０′が、外壁パネル２０′の端面２０′ａを外壁パ
ネル２０の端面２０ａに突き合わせかつ防水層２
１′の端部２１ａの先端辺を外壁パネル２０の防
水層２１の端部２１ａの先端辺に突き合わせて設
けられている。また、外壁パネル２０の防水層２
１の端部２１ａと外壁パネル２０′の防水層２
１′の端部２１′ａとによつて屋外Ａ側に形成され
る横断面三角形状の凹溝には、この凹溝を塞ぐコ
ーキング層２３が形成されている。さらに、外壁
パネル２０の下地層２２の外面と外壁パネル２
０′の下地層２２′の外面とコーキング層２３の外
面、および下地層２２，２２′外面側の被覆部２
１ｂ，２１b′の各々の外面を覆つてスタツコ層等
の仕上層２４が形成されている。

次に上記のように構成されたこの考案の構造の
作製手順および作用について説明する。

まず、外壁パネル２０の外面に工場で予備仕上
を行なう。つまり、外壁パネル２０の外面にロー
ル等の塗布具でゴム状の防水材を塗布して防水層
２１を形成し、次に防水層２１の外表面に下地層
２２を第５図に示すように形成する。次いで第６
図に示すような円すい台状の研削部２５ａを有す
るサイザー等の研削具２５によつて外壁パネル２
０の端部上の下地層２２を斜めに削り取る。そし
て上記防水層２１が軟らかいうちに塗布ローラで
下地層２２の縁部２２ａを覆うように被覆部２１
ｂを形成し、被覆部２１ｂを防水層２１の端部２
１ａに連続させ、外壁パネル１の予備仕上を終了
する。このような予備仕上げにすると、外壁パネ
ルの予備仕上げ時に従来必要であつた外壁パネル
端部を人的作業によつてテープでマスキングを施
す予備仕上げが不要となり、工場における予備仕
上げの作業効率及び加工性が大幅に向上する。

一方、予備仕上がなされた外壁パネル２０，２
０′を建築現場で接合するには、外壁パネル２０
の端面２０ａに外壁パネル２０′の端面２０′ａを
また、被覆部２１ｂの先端辺に被覆部２１′ｂの
先端辺を各々突き合わせた後に被覆部２１ｂ，２
１′ｂ間をコーキング層２３で埋め、次いで仕上
層２４を形成する。

このような接合構造にすると、互いに屋外根Ａ
側に向いて傾斜している被覆部２１ｂ、被覆部２
１b′の間にコーキング層２３を常に密接させた状
態で埋め込むことができ、従来構造より大幅に防
水性を高めた構造とすることができる。

第８図はこの考案の構造を外壁パネル３０と窓
枠サツシ３１の接合に適用した例を示すもので、
前記した実施例に示す部分と同一の部分には同一
の符号を付してそれらの説明は省略する。図中３
０ａは窓部形成のために外壁パネル３０に形成さ
れた開口部の周囲の外壁パネル３０内周縁を示し
ている。この内周縁３０ａの外面の被覆部２１ｂ
の外面に窓枠サツシ３１が下地層２２に接して設
けられた化粧柱３２と間隔をあけて当接され、窓
枠サツシ３１の化粧柱３２側の端部と化粧柱３２
との間にコーキング材が充填されコーキング層３
３が形成されている。なお、化粧柱３２の窓枠サ
ツシ３１側と反対側にある下地層２２の外面には
仕上層３４が形成されている。

このような構造にあつても、外壁パネル３０の
予備仕上は前記した実施例と同様にできるため、、
予備仕上が簡易になる。

また、最初に示した実施例にあつては被覆部２
１ｂの斜面と被覆部２１′ｂの斜面とがコーキン
グ層２３で連続されるというように面と面との接
合になつており、後に示した実施例においても窓
枠サツシ３１の一面と被覆部２１ｂの外面とがコ
ーキング層３３で連続されるといつた面と面との
接合になつているため、いずれも防水性は高い。

以上説明したようにこの考案の構造は、外壁パ
ネルの外面に形成された防水層端の被覆部で防水
層の外面に形成された下地層の屋外側に向いた斜
面を有する縁部を覆い、この被覆部にコーキング
層を介して他の部材を接合してなり、下地層の縁
部を被覆部で覆うことによつて外壁パネルの端部
の予備仕上げができ、従来構造においては予備仕
上げ時に必要であつた防水層端部の人的作業によ
るテープを使用したマスキング作業が不要とな
り、予備仕上作業の効率及び加工性を大幅に向上
させることができる。また、外壁パネルと他の部
材の端部に互いに屋外側に向いて傾斜して形成さ
れている被覆部の間に、コーキング層を密接して
埋め込むことができるため、接合構造の防水性を
高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は予備仕上を施した従来の外壁パネルを
示す断面図、第２図は第１図の外壁パネルと他の
外壁パネルとの接合状態を示す断面図、第３図は
第１図に示す外壁パネルと窓枠サツシとの接合状
態を示す断面図、第４図ないし第７図はこの考案
の一実施例を示すもので、第４図は隣接する外壁
パネル同志の接合状態を示す断面図、第５図は防
水層の上に下地層を形成した状態を示す断面図、
第６図は下地層の縁部の研削状態を示す断面図、
第７図は被覆部を形成した状態を示す断面図、第
８図はこの考案の他の実施例を示す断面図であ
る。 ２０，２０′……外壁パネル、２１，２１′……
防水層、２１ａ，２１′ａ……端部、２１ｂ，２
１′ｂ……被覆部、２２，２２′……下地層、２３
……コーキング層、３０……外壁パネル、３１…
…窓枠サツシ、３０ａ……内周縁（端部）、Ａ…
…屋外、３３……コーキング層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外壁パネルの屋外側の外面に防水層を形成し、
   この防水層の外側にモルタル層等の下地層を形成
   しかつこの下地層の縁部を屋外側に向いて傾斜さ
   せて形成するとともに、上記防水層の端部に上記
   下地層の縁部を覆つて被覆部を防水層と一体に形
   成する一方、この被覆部にコーキング層を介して
   他の部材を接合して成ることを特徴とする外壁パ
   ネル端部と他の部材との接合構造。