JPH0334881Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、発熱素子、感熱素子または電流制御
用素子等に使用される正特性サーミスタに関す
る。

従来技術 従来のこの種の正特性サーミスタとしては、例
えば第１図に例示するように、平板状に形成され
た素体１の厚さ方向の両面に、オーム性または非
オーム性の電極２，３をそれぞれ設け、該電極
２，３のそれぞれにリード線４，５を半田付け等
の手段によつて固着した構造のもの、或は第２図
に示すように、素体１の厚さ方向の一面側にギヤ
ツプＧによつて分割された一対の分割電極６，７
を設け、該分割電極６，７のそれぞれにリード線
８，９を固着すると共に、素体１の他面側に前記
分割電極６，７に共通に対向する共通電極１０を
形成した構造のもの等が知られている。

従来技術の欠点 しかし、第１図に示す従来の正特性サーミスタ
は、電極２，３のある面、従つてリード線４，５
のある厚さ方向の両面を、放熱面または感熱面と
する構造となるため、放熱面または感熱面に前記
リード線４，５と電極２，３との段差ΔHによる
凹凸が発生する。このため、例えば第３図に示す
ように、当該正特性サーミスタの全体に、絶縁被
覆１１を施し、放熱体または熱源体１２に熱結合
させた場合、放熱体または熱源体１２と当該正特
性サーミスタとの間の密着性及び熱伝導性が悪く
なる欠点があつた。

次に、第２図の従来構造の場合は、第４図に示
すように、共通電極１０のある一面を放熱面また
は感熱面として、放熱体または熱源体１２に熱結
合することにより、第１図の従来例で問題となつ
ていた熱伝導性の悪化を克服することができる。
しかしながら、正特性サーミスタに発生した熱の
うち、共通電極１０側に発生する半分の熱しか利
用できないので、熱の利用効率が低くなること、
感熱素子或は電流制御用素子として使用した場合
の熱感度が悪くなること等の欠点を生じる。

また、第１図及び第２図に示す何れの従来例に
おいても、電極形成面と放熱面または感熱面とが
一致しているため、正特性サーミスタ素体１の厚
さを薄くして熱抵抗を下げ、熱感度及び即応性を
向上させようとすると、耐電圧特性も同時に低下
してしまう。このため、即応性と耐電圧特性とを
同時に向上させることができなかつた。

更に、放熱体または熱源体１２に装着するに当
つて、専用の取付具または取付構造が必要であ
り、自由に取付けることができないと言う難点も
あつた。

本考案の目的 そこで本考案は上述する従来の欠点を除去し、
正特性サーミスタ素体に発生した熱の利用効率及
び正特性サーミスタ素体に対する熱伝導効率が高
く、熱感度、即応性及び耐電圧特性に優れ、しか
も放熱体または熱源体に対して熱伝導度の高い状
態で簡単かつ確実に装着できる正特性サーミスタ
を提供することを目的とする。

本考案の構成 上記目的を達成するため、本考案に係る正特性
サーミスタは、素体の厚さ方向の面に対する側面
に電極を設け、前記素体の厚さ方向の面を放熱面
または感熱面とした正特性サーミスタであつて、
前記素体の厚さ方向の面と平行する方向に沿つて
前記側面に凹溝を形成し、該凹溝内で前記電極に
リード線を固着したことを特徴とする。

実施例 第５図は本考案に係る正特性サーミスタの正面
断面図、第６図は同じくその平面部分断面図であ
る。この実施例では、略矩形状に形成された正特
性サーミスタ素体１の相対向する両側面に、電極
１３，１４をそれぞれ被着形成すると共に、該電
極１３，１４にリード線１５，１６をそれぞれ半
田付け等の手段で固着し、正特性サーミスタ素体
１の厚さ方向の両面１０１及び１０２を放熱面ま
たは感熱面として利用する構造となつている。こ
のような構造であると、正特性サーミスタ素体１
の厚さｔを、必要な機械的強度が確保できる範囲
で薄くして、正特性サーミスタ素体１の熱抵抗を
小さくする一方、これとは無関係に、電極１３−
１４間の距離ｄを適当な値に設定し、必要な耐電
圧特性を確保することができる。即ち、本考案に
よれば、正特性サーミスタ素体１の耐電圧特性を
向上させつつ、熱抵抗を小さくし、即応性を向上
させることができる。

正特性サーミスタ素体１の側面には、厚さ方向
の両面１０１，１０２と平行する方向に、凹溝１
０３を設けてあり、該凹溝１０３内で電極１３，
１４にリード線１５，１６を半田付け等の手段に
よつて固着してある。このような構造であると、
電極１３，１４とリード線１５，１６との間の接
触面積が大きくなるので、リード線１５，１６を
電極１３，１４に対して強固に半田付けできるこ
と、電極方向の幅が小さくなるので、小型化でき
ること等の利点が得られる。しかも、凹溝１０３
は正特性サーミスタ素体１の厚さ方向の両面１０
１，１０２、即ち感熱面または放熱面に対して平
行する方向に形成されており、リード線１５，１
６も同方向に導出されるから、面１０１，１０２
に伝熱体１８を重ねても、リード線１５，１６が
邪魔になることがない。

前記正特性サーミスタ素体１は、全体に耐熱性
及び熱伝導性の良好な電気絶縁被覆１７を施した
状態で、アルミニユム等の金属板材を折曲げて形
成した伝熱体１８に、そのバネ性を利用して挿入
係止してある。この実施例では、前記伝熱体１８
は略コの字状に折曲げ、前記正特性サーミスタ素
体１の厚さ方向の両面１０１，１０２と電極１３
または１４を形成した側面の一面に、絶縁被覆１
７を介して対接するように装着してある。１９は
正特性サーミスタ素体１を装着した伝熱体１８を
放熱体または熱源体に装着するための取付穴であ
る。

上述のように、正特性サーミスタ素体１の厚さ
方向の両面１０１及び１０２に、伝熱体１８を対
接させる構造であると、正特性サーミスタ素体１
の厚さ方向の両面１０１，１０２に発生した熱を
伝熱体１８に効率良く伝達し、または両面１０
１，１０２から伝熱体１８の熱を取入れることが
できるので、熱効率及び熱感度が向上する。ま
た、伝熱体１８を対接させた厚さ方向の両面１０
１及び１０２はリード線等を持たない平坦な平面
となつているから、伝熱体１８に対する熱結合度
が従来のものに比べて非常に密になり、当該正特
性サーミスタと伝熱体１８との間の熱結合度、熱
伝導性が著しく向上する。しかも、正特性サーミ
スタ素体１の側面には、厚さ方向の両面１０１，
１０２、即ち感熱面または放熱面に対して平行す
る方向に、凹溝１０３が形成されており、該凹溝
１０３内にリード線１５，１６を埋設してこれを
同方向に導出する構造であるから、面１０１，１
０２に伝熱体１８を重ねても、リード線１５，１
６が邪魔になることがない。

更にこの実施例の場合は、取付孔１９等を利用
して、伝熱体１８を放熱体または熱源体に直接装
着することができるから、放熱体または熱源体に
対して熱伝導度の高い状態で簡単かつ確実に装着
できる利点も得られる。

前記絶縁被覆１７はシート状のものでも良い
が、絶縁性の信頼性向上の観点から、絶縁チユー
ブによつて構成することが望ましい。

第７図は本考案に係る正特性サーミスタの別の
実施例を示す図である。この実施例の特徴は、正
特性サーミスタ素体１の厚さ方向の稜面１０１，
１０２の内、片面１０２側に伝熱体１８を対接さ
せ、他の面１０１側からバネ２０で押圧する片面
支持構造としたことである。

本考案の効果 以上述べたように、本考案に係る正特性サーミ
スタは、素体の厚さ方向の面に対する側面に電極
を設け、前記素体の厚さ方向の面を放熱面または
感熱面とした正特性サーミスタであつて、前記素
体の厚さ方向の面と平行する方向に沿つて前記側
面に凹溝を形成し、該凹溝内で前記電極にリード
線を固着したことを特徴とするから、正特性サー
ミスタ素体に発生した熱の利用効率及び正特性サ
ーミスタ素体に対する熱伝導効率が高く、熱感
度、即応性及び耐電圧特性に優れ、放熱体または
熱源体に対して熱伝導度の高い状態で簡単かつ確
実に装着し得る正特性サーミスタを提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の正特性サーミスタの斜視図、第
２図は同じく別の例を示す斜視図、第３図は第１
図の正特性サーミスタの使用状態を示す図、第４
図は第２図の正特性サーミスタの使用状態を示す
図、第５図は本考案に係る正特性サーミスタの正
面断面図、第６図は同じくその平面部分断面図、
第７図は同じく別の実施例における正面断面図で
ある。 １……正特性サーミスタ素体、１０１，１０２
……厚さ方向の面、１３，１４……電極、１５，
１６……リード線、１７……絶縁被覆、１８……
伝熱体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 素体の厚さ方向の面に対する側面に電極を設
   け、前記素体の厚さ方向の面を放熱面または感
   熱面とした正特性サーミスタであつて、前記素
   体の厚さ方向の面と平行する方向に沿つて前記
   側面に凹溝を形成し、該凹溝内で前記電極にリ
   ード線を固着したことを特徴とする正特性サー
   ミスタ。 (2) 前記素体の厚さ方向の両面の少なくとも一面
   側に、伝熱体を対接させたことを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の正特性サ
   ーミスタ。 (3) 前記伝熱体は、絶縁被複を介して対接させた
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第２
   項に記載の正特性サーミスタ。 (4) 前記絶縁被覆は、前記素体を被覆する絶縁チ
   ユーブによつて構成したことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第３項に記載の正特性サー
   ミスタ。 (5) 前記伝熱体は、金属板材を前記素体の厚さ方
   向の両面側と前記側面の一面側に対接するよう
   に折曲げて形成したことを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第２項、第３項または第４項に
   記載の正特性サーミスタ。