JPH0333355B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、一針毎に縫い目に必要な糸量を繰り
出して天秤側に供給してやることにより良好な縫
い目を自動的に得られるようにしたミシンにおい
て、糸掛けミスを防止したミシンの自動糸供給装
置に関する。

従来技術 ミシンの上糸供給装置として、従来は２つの糸
把持体と、その間にある糸引き出しレバーによ
り、糸量を制御するものや、ステツピングモータ
を利用して、その回転角度分だけ糸を供給するタ
イプのものが知られている。

しかしながら、上記糸引き出しレバーを使用す
るミシンでは、上糸の経路が複雑になり易いとい
う欠点があつた。また、ステツピングモータを使
用するタイプのミシンでは、高速における応答不
良が問題となり易く、コストも一般的に高価にな
るという欠点があつた。

この欠点を解決するために、本発明者は主軸の
回転によつて繰り出しローラと従動ローを互いに
圧接して回転し、これらの繰り出しローラと従動
ローラの間に上糸を挟み、ソレノイドのオフ期間
に、上糸の必要量を主軸の回転によつて繰り出
し、ソレノイドがオンして上糸を拘束したとき、
繰り出しローラが空回わりして、主軸の回転を遮
断することにより、上糸を一針に必要な量だけ繰
り出して縫うようにしたミシンを開発した。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このように構成したミシンで
は、繰り出しローラと従動ローラの間に上糸を通
さないで縫い始めた場合、その後で自動的に上糸
が繰り出しローラと従来ローラの間に導びかれる
ということはなく、縫い不良を生じるという欠点
があつた。問題点を解決するための手段 本発明は、上記問題点を解決するために、上糸
供給源からの上糸の非拘束、拘束を行う第１の糸
保持手段と、回転軸を中心に回転可能に装着した
第２の糸保持手段と、前記第１の糸保持手段によ
る上糸の非拘束時に、主軸の回転によつて駆動さ
れ、かつ前記第１の糸保持手段の上糸の拘束時に
前記主軸の回転に係わらず前記第２の糸保持手段
を停止する駆動手段と、該第２の糸保持手段の回
転を検出するエンコーダと、一針に必要な糸量を
演算する演算手段と、前記第１の糸保持手段の上
糸の非拘束時に前記演算手段した糸量に対応する
前記エンコーダのパルス数が検出され、前記第１
の糸保持手段で上糸を拘束したとき、前記エンコ
ーダの出力の有無を判定する判定手段と、該判定
手段で前記エンコーダの出力を検出したとき作用
する非常手段と、からなることを特徴とする。

作 用 本発明によれば、主軸によつて駆動される第２
の糸保持手段である糸繰り出しローラは、第１の
糸保持手段であるソレノイドをオフしているとき
に上糸を繰り出すことによつて回転し、ソレノイ
ドがオンして上糸を拘束すると、その止められた
上糸により、主軸と繰り出しローラの間の連動に
スリツプが生じて糸繰り出しローラは停止する
が、上糸が糸繰り出しローラと従動ローラの間に
通されていない場合は、ソレノイドのオンにかか
わらず糸繰り出しローラが回転してエンコーダか
らパルスが出力されるので、これを利用して非常
手段を作用させる。

実施例 第１図は、本発明者が開発したミシンの自動糸
供給装置の斜視図で、上糸供給源１からの上糸は
ベーステンシヨン皿２を介して第１の糸保持手段
を形成するソレノイド３の糸把持部３ａの間を通
り、第２の糸保持手段を形成する糸繰り出しロー
ラ４と従動ローラ５の間を通り、糸取りばね６、
天秤７を通つて針棒８に固定された針９へ送られ
る。ここで、従動ローラ５は図示しない軽いばね
により糸繰り出しローラ４に対して押え付けられ
ている。そして、糸繰り出しローラ４の回転軸１
０にプーリー１１、エンコーダ１２が固着され、
このプーリー１１に掛けられたタイミングベルト
１３は回転軸１４に装着されたプーリー１５に掛
けられている。この回転軸１４は第２図に示すよ
うに支持体１６で回転自在に支持され、またプー
リー１５は回転軸１４に嵌合されて回転軸１４の
端部に螺着したばね受部材１７とプーリー１５の
中心孔１５ａに嵌入された圧縮ばね１８とを設け
ている。そして、圧縮ばね１８の上方への圧力及
び下方への圧力はそれぞればね受部材１７とプー
リー１５とが受けることによつて、回転軸１４と
プーリー１５は摩擦係合するように構成されてい
る。さらに、回転軸１４に傘歯車１９が固着さ
れ、この傘歯車１９は両側に傘歯車２０ａ、２０
ｂが設けられた歯車２０を介して主軸２２に固着
された傘歯車２１に連結され駆動手段を形成して
いる。なお、主軸２２はミシンの駆動源に連動し
て駆動され、天秤７、針棒８、押え棒８ａ及び図
示しない釜等が連結されている。また、主軸２２
が矢印方向に回転すると、傘歯車２１、歯車２
０、傘歯車１９、プーリー１５、タイミングベル
ト１３、プーリー１１、糸繰り出しローラ４、従
来ローラ５等はそれぞれ矢印方向に回転するよう
になつている。

また、第１図には図示されていない押え棒８ａ
には、第３図に示すように下端に布押え２３が装
着され、この布押え２３と針板２３ａの間に挟ま
れた布２３ｂの厚みは押え棒８ａの上昇となつて
表わされるように中間に突起２４が固着されてい
る。この突起２４に布の厚みを測定するポテンシ
オメータ２５の腕２６の一端のピン２６ａが係合
し、またポテンシオメータ２５の腕２６の他端２
６ｂはばね２７で上方に付勢されている。

第４図は、本発明のミシンの自動糸供給装置を
動作する制御回路のブロツク図で、CPU２８の
入力側にポテンシオメータ２５、送りピツチ信号
出力装置２９、針振り信号出力装置３０、糸繰り
出し時期検出器３１が接続されている。CPU２
８の出力端子には、表示駆動回路３２を介して非
常手段３３、すなわち発光ダイオード等の発光体
３３ａ（あるいは音声等）及びミシン停止装置３
３ｂが接続され、またソレノイド駆動回路３４を
介してソレノイド３が接続されるとともに、フリ
ツプフロツプ３５の入力端子が接続されている。
このフリツプフロツプ３５の出力端子はアンドゲ
ート３６の一方の入力端子に接続されるととも
に、アンドゲート３６の出力端子はプリセツトカ
ウンタ３７を介してCPU２８に接続され、さら
にエンコーダ１２の出力はアンドゲート３６の他
方の入力端子に接続されるとともに、CPU２８
に接続されている。またチエツク位相検出器３８
（主軸またはそれに連動する部材に関連配置して
あり、針がヘツド面よりも上方に位置する時期に
対応する主軸の特定回転角を検出して高レベルの
信号を出力し、針がベツド面より下方に位置する
時期に低レベルの信号を出力する。）の出力端子
はフリツプフロツプ３５及びプリセツトカウンタ
３７のリセツト端子に接続されている。ここで、
フリツプフロツプ３５、アンドゲート３６、プリ
セツトカウンタ３７、チエツク位相検出器３８及
びCPU２８等で判定手段を形成している。

次に、本実施例の動作を第５図のフローチヤー
トにより説明する。まず、ミシンがスタートして
初期設定が行われ、送りピツチ信号出力装置２９
より送りピツチ信号が検知され、また、針振り信
号出力装置３０より針振信号が検知され、さらに
ポテンシオメータ２５より布厚がCPU２８で検
知されると、CPU２８はこれらの信号によつて
必要糸量を演算手段により演算する。そして、天
秤７が上糸３９を引き上げ、次の縫い目を形成さ
せるため、糸３９を緩め始めると同時に、ソレノ
イド３がオフにされる。これによつて、上糸３９
の拘束が解かれ、スリツプしていたプーリー１５
は主軸２２の回転で回転し、糸繰り出しローラ４
は回転を始める。従つて、上糸３９は天秤７側の
供給され始めると同時に、糸繰り出しローラ４と
一体となつて回転するエンコーダ１２から回転に
応じたパルス信号が出力され、CPU２８及びア
ンドゲート３６に入力される。このパルス信号は
CPU２８で必要糸量のパルス数への換算値と比
較され、エンコーダ１２の回転パルス数が必要な
エンコーダ１２のパルス数となつたとき、CPU
２８からソレノイド駆動回路３４に信号が送ら
れ、ソレノイド３をオンして上糸３９を拘束する
と、上糸３９の供給は阻止され、その止められた
上糸３９の拘束により糸繰り出しローラ４と従動
ローラ５が停止する。従つて、主軸２２と糸繰り
出しローラ４の間の連動にスリツプが生じ、プー
リー１５と回転軸１４の運動が解かれ、主軸２２
が回転し続けても、上糸３９は必要な糸量だけ天
秤７側に供給し、それ以後、次の縫い目に移るま
では確実に供給停止できるようにしたものであ
る。

ここで、糸繰り出しローラ４と従動ローラ５の
間に上糸３９が掛けられていない場合は、ソレノ
イド３のオフの直前にチエツク位相検出器３８が
作動してフリツプフロツプ３５及びプリセツトカ
ウンタ３７をリセツトする。またCPU２８より
ソレノイド駆動回路３４に信号が送られると同時
にフリツプフロツプ３５に信号が送られると、予
め定めた時間の後にフリツプフロツプ３５から信
号が出力され、アンドゲート３６を開く。その
時、エンコーダ１２からパルスが出力されている
と、プリセツトカウンタ３７でこのパルスがカウ
ントされ、このパルスが設定数以上入力される
と、糸繰り出しローラ４と従動ローラ５の間に上
糸３９が掛けられていないことが検出され、駆動
回路３２が駆動され、非常手段３３の発光体３３
ａを発光して上糸が糸繰り出しローラ４と従動ロ
ーラ５の間に掛けられていないことを表示する
か、ミシン停止装置３３ｂが作動してミシンを停
止される。なお、第６図に示す例１のように糸締
め時期に達する前に必要な糸量の繰り出しが終了
するので問題ないが、糸量の演算値が最大繰り出
し能力を越えるような場合にソレノイドがオンさ
れないので、糸締めができなくなる。これを防止
する目的で糸繰り出し時期検出器（不適時期検出
器）３１が設けられており、この検出信号が出力
されたときは繰り出し量が演算値に達していなく
てもソレノイドをオンすることが可能である（例
２参照）。

このように、本実施例では、上糸３９がソレノ
イド３で拘束された後、糸繰り出しローラ４及び
従動ローラ５が回転してエンコーダ１２がパルス
を発生することを利用して、糸掛けミスがあつた
と判定し、非常手段３３を作用せしめることがで
きる。

発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明は、主
軸によつて駆動される第２の糸保持手段である糸
繰り出しローラは、第１の糸保持手段であるソレ
ノイドをオフしているときに上糸を繰り出すこと
によつて回転し、ソレノイドがオンすると、上糸
を拘束し、その止められた上糸の拘束により、主
軸と繰り出しローラの間の連動にスリツプが生じ
て糸繰り出しローラは停止するが、上糸が糸繰り
出しローラと従動ローラの間に通されていない場
合は、ソレノイドのオンにかかわらず糸繰り出し
ローラが回転してエンコーダからパルスが出力さ
れることにより、これを利用して糸掛け不良を
LEDや音声で警告したり、またはミシンを停止
させたりすることにより誤操作を防止することが
できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例のミシンの自動糸供
給装置の斜視図、第２図は第１図のプーリーと傘
歯車の関係を示した図、第３図は布厚検知装置の
側面図、第４図は本発明のミシンの自動糸供給装
置を制御する制御回路のブロツク図、第５図は第
４図の制御回路を動作するフローチヤート、第６
図は糸繰り出し時期検出器の説明図である。 １……上糸供給源、２……ベーステンシヨン
皿、３……ソレノイド、４……糸繰り出しロー
ラ、５……従動ローラ、６……糸取りばね、７…
…天秤、８……針棒、９……針、１０……回転
軸、１１……プーリー、１２……エンコーダ、１
３……タイミングベルト、１４……回転軸、１５
……プーリー、１６……支持体、１７……ばね受
け部材、１８……圧縮ばね、１９……傘歯車、２
０……歯車（２０ａ，２０ｂ）、２１……傘歯車、
２２……主軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上糸供給源からの上糸の非拘束、拘束を行う
   第１の糸保持手段と、回転軸を中心に回転可能に
   装着した第２の糸保持手段と、前記第１の糸保持
   手段による上糸の非拘束時に、主軸の回転によつ
   て駆動され、かつ前記第１の糸保持手段の上糸の
   拘束時に前記主軸の回転に係わらず前記第２の糸
   保持手段を停止する駆動手段と、該第２の糸保持
   手段の回転を検出するエンコーダと、一針に必要
   な糸量を演算する演算手段と、前記第１の糸保持
   手段の上糸の非拘束時に前記演算手段で演算した
   糸量に対応する前記エンコーダのパルス数が検出
   され、前記第１の糸保持手段で上糸を拘束したと
   き、前記エンコーダの出力の有無を判定する判定
   手段と、該判定手段で前記エンコーダの出力を検
   出したとき作用する非常手段と、からなることを
   特徴とするミシンの自動糸供給装置。 ２ 上記非常手段は糸掛け不良指示装置またはミ
   シン停止装置とからなることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載のミシンの自動糸供給装置。