JPH0332995B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、冷凍食品の解凍機に関し、特に遠赤
外線を利用した解凍機に関するものである。

〔従来の技術〕

冷凍技術の発展に伴い、冷凍食品等は年々増加
し、日常生活においても有効に活用されている。
しかし、せつかく新鮮な食品等を冷凍できても解
凍がうまくできなければその食品本来の味を失つ
てしまうこともあり、解凍技術の向上、すなわち
優れた解凍装置の開発が急務となつている。

現段階の解凍装置としては、たとえば、被解凍
物を収納する解凍室をヒーターにて加熱された水
で暖め解凍するようにした装置があるが、水の比
熱が大であるため解凍終了後における室内の温度
下降に長時間を要し、また、このため解凍された
食品の保存性に問題がある。

このような問題に対し、常時０℃の水を循環さ
せて解凍室を低温に保つとともに解凍時に該室内
をブロワー等で昇温させるようにした装置が提案
されている。

また、電子レンジ等において使用される高周波
を利用して被解凍物を加熱するとともに、解凍室
内に冷風を供給して被解凍物表面の温度上昇を防
止し内部と表面の均一解凍を企図した装置も提案
されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし乍ら、上記従来における前二者の装置で
は、解凍室内の温度を上げ室内空気の対流により
被解凍物に熱を伝導し解凍をするので、被解凍物
の内部と外表面の均一な温度上昇ができない上
に、解凍に長時間を要する。また、解凍室内の温
度上昇により被解凍物の酸化が進行し、湿度の低
下、ドリツプの発生、及び該室内の埃が付着し易
いなど問題があり、被解凍物である食品等の本来
の味を損い易い。

また、上記従来の第三番目の装置では、2450M
Hzの高周波を利用して被解凍食品の温度上昇を図
り解凍するが、この方法は大きな食品を解凍する
場合、外表面が内部より先に解凍されやすく、ま
た、温度上昇により外表面が煮えてしまうのを防
ぐため冷風を供給して内外の均一解凍をしようと
しているが、急速な加熱と、冷風による食品外表
面の低温化との温度調節が大変であり、更には、
急速解凍であるため食品本来の熟成した味が保持
できるかどうか問題であるとともに、マグネトロ
ン等を使用した高周波発生装置を必要とするため
装置が大がかりとなつて製作費用が嵩む。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記問題点を解決するため遠赤外線を
放射するセラミツクスを使用して解凍機を構成し
たのである。

即ち、赤外線は可視光線の長波長端の0.76〜
08μｍを下限とし、上限を１mm位とする波長範囲
の電磁波で、そのうち波長が3μｍ前後のものは
近赤外線と呼ばれ、分子の振動スペクトルが現わ
れるところから、熱線ともいわれているが、遠赤
外線はそれより長波長のもので、本発明では一例
として８〜14μｍ波長の遠赤外線を放射するセラ
ミツクスを使用することとした。

而して、本発明は、被解凍物を収納する解凍室
に、この解凍室内の空気を途中で除塵しながら循
環させる冷湿風供給清浄装置を取付けると共に、
前記解凍室内の天井面及び側壁面、並びに、前記
冷湿風供給清浄装置の冷湿風吹出管及び吸込管の
前記解凍室に近接する部位の内周面に、それぞれ
遠赤外線を放射するセラミツクスを固着して成る
ことを特徴とするものである。

〔作用〕

本発明の解凍機はセラミツクスから放射される
遠赤外線の浄化作用、湿度調整作用、熟成作用及
び活性化作用により被冷凍物をその本来の新鮮か
つ熟成した味の状態で解凍でき、また、セラミツ
クスから放射される遠赤外線の輻射伝熱により被
解凍物の温度をゆるやかに上昇させると同時に、
清浄な冷湿風を供給しながら被冷凍物を低温高湿
下において均一に昇温させ解凍する。

〔実施例〕

本発明による遠赤外線解凍機の実施の一例を第
１図及び第２図により説明する。

第１図は解凍室を縦断した本発明解凍機の一例
の断面図であり、図中１は解凍室、２は冷湿風供
給清浄装置で、埃を除去するためのサイクロン２
１、空気を循環させるフアン２２、空気を冷湿風
に転換する熱交換器２３、冷水タンク２４、冷水
循環ポンプ２５及び循環水を冷却するチラー２６
を図のように配管３，４，５により連結して形成
されている。

而して、遠赤外線を放射するセラミツクS₁は解
凍室１の内壁面の各所定位置に、及び、同じくセ
ラミツクS₂は冷湿風供給清浄装置２における冷湿
風吹出管３と吸込管４の内壁面に固着されてい
る。

ここで、載台１１に載置された被解凍物Ｆは上
記セラミツクスS₁から放射される遠赤外線により
輻射伝熱により昇温されるとともに、吹出管３及
び吸込管４によつて解凍室１内を循環させられる
冷湿風にさらされる。この冷湿風はサイクロン２
１により埃が除去されると共に、上記セラミツク
スS₂により除菌される。

尚、上記遠赤外線を放射するセラミツクスS₁，
S₂に遠赤外線を放射させるために電気、燃焼ガス
などによりセラミツクスを加熱したり、或は、こ
れら以外の手段を付加して遠赤外線を放射させる
ようにしてもよい。

第２図は第１図の吸込管４のＸ−Ｘ線にて切断
した断面図である。

〔発明の効果〕

本発明の遠赤外線解凍機によれば、高周波によ
る無理な加熱をする必要がなく、また遠赤外線の
各種作用により冷凍食品が新鮮な状態で解凍され
る。

また、遠赤外線の輻射伝熱による被冷凍物の昇
温際、同時に冷湿風が解凍室内に循環供給される
から低温高湿下で均一昇温ができ、従つて、食品
の酸化進行を防ぐことができると共に、昇温効率
が良いため、解凍時間が大幅に短縮できる。因
に、従来の一般的な解凍機で冷凍牛もも肉5980ｇ
を解凍するのに19時間要したが、本発明による解
凍機では上記と同一の牛もも肉5980ｇを９時間で
解凍することができた。因に、解答室１の容積
は、40cm×50cm×30cm＝60000cm³で、セラミツク
スS₁の取付面積は3800cm²であつた。

更に、本発明において、遠赤線を放射するセラ
ミツクスは輻射体としての特性が半永久的で、耐
蝕性にもすぐれているため、解凍機に適している
とともに、このようなセラミツクスの製造は容易
且低コストであるため解凍機の製作コストの低廉
化に寄与する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施の一例である解凍機の解
凍室を縦断した断面図、第２図は第１図の吸込管
４のＸ−Ｘ線断面図である。 １……解凍室、２……冷湿風供給清浄装置、２
１……サイクロン、２２……空気循環フアン、２
３……熱交換器、２４……冷水タンク、２５……
循環水冷却チラー、２６……冷水循環ポンプ、３
……吹出管、４……吸込管、１１……載台、Ｆ…
…被解凍物、S₁，S₂……遠赤外線放射セラミツク
ス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被解凍物を収納する解凍室に、この解凍室内
   の空気を途中で除塵しながら循環させる冷湿風供
   給清浄装置を取付けると共に、前記解凍室内の天
   井面及び側壁面、並びに、前記冷湿風供給清浄装
   置の冷湿風吹出管及び吹込管の前記解凍室に近接
   する部位の内周面に、それぞれ遠赤外線を放射す
   るセラミツクスを固着して成ることを特徴とする
   遠赤外線解凍機。