JPH03273096A - 脂質混合物の抽出方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、動物臓器由来の脂質混合物の抽出方法に関す
る。更に詳しくは、動物臓器から得られる脂質混合物を
溶剤としてメタノール単独で効率よく抽出する方法に関
するものである。

〔従来の技術〕

動物臓器中には、ホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、スフィンゴミエリン等のリン脂質
、セレブロシド、スルファタイド等の糖脂質及びコレス
テロール等を構成主要成分とする脂質混合物（以下、脂
質混合物と略する）が存在することが知られている。

動物の臓器中に含まれる脂質を大別すると、遊離脂肪酸
、グリセリド、ロウなど主として炭素数が１６〜２０の
飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸からなる単純脂質と、リ
ン脂質、糖脂質などの複合脂質とに分類される。

さらに複合脂質を構造上の特徴から分類すれば、スフィ
ンゴシンを共通に有するものをスフィンゴ脂質と称し、
前記脂質混合物中のスフィンゴミエリン及び糖脂質がこ
れに含まれる。

スフィンゴ脂質は化粧品、医薬品などの分野で広く利用
され、乳化安定剤としであるいは水溶性薬物のリポソー
ム化剤等、種々の用途に利用することができる。特に、
化粧品分野では、肌や毛髪の保湿剤として優れた効果を
発揮し、またリポソーム化に当っては、他の脂肪酸ふよ
びレシチン等のリン脂質と併用することにより主役物を
安定にし、超微細な乳化粒子となした溶液を得ることが
可能となる。

また、医薬品の分野では、肌に対してはかゆみを伴う乾
皮症に対する治療効果があり、また、例えば注射による
血管内投与により老人性痴呆症、動脈硬化症などの予防
と治療にも役立つと考えられている。

スフィンゴ脂質を含む脂質混合物を得るための素材は、
家畜類など各種動物の脳、を髄、胎盤あるいはその他の
臓器に含まれることが知られており、また卵黄中にも含
まれている。

脂質混合物素材としては、これらの家畜類の層殺後に新
鮮な脳、を髄等の臓器から得られたものが一般的に用い
られる。当該生体成分からスフィンゴ脂質を含む脂質混
合物を得る方法としては、従来、アセトン処理または凍
結乾燥により水分を除去し、粉末化した後、クロロホル
ムとメタノールの混合液を用いて抽出する方法（特開昭
６１−２７１２０５号）や、エタノール、ヘキサンによ
る抽出法、あるいはエーテルとエタノールの混合液を用
いて抽出する方法（特開昭６０−１６３８８８号、特開
昭６０−１６３８０６号）などが知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記の従来法のうち、クロロホルムとメタノールのよう
に混合溶剤を用いて抽出する方法は、抽出後の濃縮工程
における溶剤の回収操作が繁雑となったり、またクロロ
ホルムは毒性が強い溶剤であるため工業化するにはその
使用は環境上好ましくない等の課題が指摘されていた。

また、エタノールやヘキサンを単独溶剤として抽出する
方法では、これらの溶剤に対する脂質混合物の溶解度の
点で高い収率で脂質混合物を得ることができない等、こ
れまで種々の抽出方法が試みられているが、脂質混合物
の抽出率が高く、かつ、スフィンゴ脂質の含有率が高い
抽出方法の開発が望まれているのが実情である。

本発明の目的は、上記課題を解決し、スフィンゴ脂質の
含有率が高い脂質混合物を動物臓器から抽出し、かつ溶
剤の回収が容易な抽出方法を提供することにある。

〔課題を解決するた約の手段〕

本発明者らは、動物臓器から効率よく、スフィンゴ脂質
の含有率が高い脂質混合物を抽出する目的で鋭意研究を
重ねた結果、加熱下で溶剤としてメタノールを使用すれ
ば、メタノールは他の溶剤とくらべて溶解度が高いので
、高い抽出率で、しかも抽出された脂質混合物中に含ま
れるスフィンゴ脂質の含有率も高くなることを見出し、
本発明に到達した。さらに、本発明の方法を実施するこ
とにより、混合溶剤の回収の煩雑さもなく、また毒性上
取扱いの困難な溶剤を使用する必要もない等の利点も得
られる。

即ち、本発明は、乾燥した動物臓器から脂質混合物を抽
出するに際し、溶剤としてメタノールを単独で用いる脂
質混合物の抽出方法である。

本発明で抽出の対象となる脂質混合物素材は、牛、豚、
馬などの家畜類の屠殺直後の脳、を髄、胎盤等の臓器で
あり、通常、これを凍結乾燥、あるいはアセトンにより
脱脂脱水処理したものを用いる。

抽出溶剤としては、メタノールを単独で用いるが、メタ
ノールはエタノールやヘキサンにくらべて脂質混合物を
よく溶解するので、溶剤の量が少なくてすみ、効率的で
ある。しかも、クロロホルムとメタノールのような二成
分系溶剤に比べて抽出後の濃縮工程における溶剤の回収
は容易であるため有利に実施できる。

脂質混合物の抽出は、通常次のような方法で行う。

牛、豚、馬の層殺後の新鮮な脳、を髄、胎盤などの臓器
を取出し、これを凍結乾燥するか、あるいはアセトンと
共に混合撹拌した後、濾過し、得られた残査を乾燥する
。このようにして脱脂脱水処理して得られた乾燥物を粉
砕した粉末１００ｇに対して、脂質混合物を溶解するに
足る量としてメタノールを通常、２００〜１０１００Ｏ
好ましくは４００〜８００ｍ１程度の比率で加え、１〜
２時間程度撹拌しながら加熱する。加熱温度はメタノー
ルの沸点以下であれば特に制限はないが、高い方が溶解
度が高いので望ましく、通常２５〜６４．５℃、好まし
くは４０〜６４６５℃に保持して抽出操作を行う。また
、メタノールの沸点である６４．５℃で還流下に行なう
ことも好ましい。そして、抽出物を濾過して濾液を濃縮
することにより溶剤を除いて脂質混合物を得ることがで
きる。濾過の方法は、特に制限はなく通常用いられるも
の、例えば、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過等が挙げら
れる。このようにして、溶剤を容易に回収し、かつ、高
抽出率、かつ、スフィンゴ脂質の含有量の高い脂質混合
物が得られる。

〔実施例〕

以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、これらの実施例に限定されるものではない。

各実施例、比較例における抽出物の定量は、次の公知の
方法（特開昭６４−１６７０８号）により行った。

即ち、脂質混合物のうちスフィンゴシン残基を有するセ
レブロシド、スルファタイド及びスフィンゴミエリン等
のスフィンゴ脂質について、スフィンゴシンを標準物質
として、脂質混合物を塩酸で加水分解処理して、スフィ
ンゴシンとなし、さらにメチルオレンジ試薬を用いてス
フィンゴシン−メチルオレンジ複合体となし、４１５ｎ
ｍで比色した。検量線からスフィンゴシン含量を求め、
スフィンゴ脂質含量を決定した。

実施例１ アセトンによる脱脂脱水処理した牛脳１００ｇにメタノ
ール７２０ｍ１を加え、還流下（抽出の温度がメタノー
ルの沸点である６４．５℃）１時間撹拌後、濾過してそ
の濾液を濃縮した。

得られた脂質混合物は４３ｇで抽出率は４３％であった
。脂質混合物をスフィンゴ脂質として定量を行なったと
き、その含有率は４１％であった。

実施例２ 抽出温度を５０℃に変えた以外は実施例１と同様に操作
した結果、得られた脂質混合物は４０ｇで、抽出率は４
０％であった。スフィンゴ脂質の含有率は４０％であっ
た。

実施例３ 抽出温度を４０℃に変えた以外は実施例１と同様に操作
した結果、得られた脂質混合物は３７ｇで、抽出率は３
７％であった。スフィンゴ脂質の含有率は４０％であっ
た。

比較例１ アセトンによる脱脂脱水処理した牛脳１００ｇにクロロ
ホルム−メタノール（１：　１）混液７２０ａ＋１を加
え、４０℃で１時間撹拌した後、濾過してその濾液を濃
縮した。得られた脂質混合物は３８ｇで抽出率は３８％
であった。

脂質混合物をスフィンゴ脂質として定量したとき含有率
は３２％であった。回収したクロロホルム、メタノール
は処理前の１：１組成と異なり、１．２：１であった。

比較例２ 溶剤をエタノール単独に変えた以外は比較例１と同様の
操作を行った。得られた脂質混合物は２５ｇ１抽出率は
２５％であった。スフィンゴ脂質の含有率は２５％であ
った。

比較例３ 溶剤をｎ−ヘキサンに変え、抽出温度を６４．５℃にし
た以外は比較例１と同様の操作を行った。

得られた脂質混合物は３６ｇで、抽出率は３６％であっ
た。スフィンゴ脂質の含有率は２８％であった。

〔発明の効果〕

以上、説明したように、本発明の方法を用いれば高い抽
出率でしかもスフィンゴ脂質の含有量の高い脂質混合物
を抽出することができ、かつ溶剤も容易に回収されるの
で、脂質混合物の製造において安価で良質の製品を提供
することができ有益である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）乾燥した動物臓器から脂質混合物を抽出するに際
   し、加熱下で溶剤としてメタノールを用いることを特徴
   とする脂質混合物の抽出方法。
2. （２）抽出温度が４０〜６４．５℃である請求項（１）
   記載の脂質混合物の抽出方法。