JPH0325978Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案は孔版印刷機における版胴装置に関す
る。

従来技術 孔版印刷機において、外周面にスクリーンを介
して孔版原紙が装着された円筒状の版胴は、その
内周面にインキを供給されつつ回転され、原紙と
プレスローラとの間に用紙を順次送り込むことに
よつて印刷がなされる。通常、原紙の印刷画面を
はずれた尾部は穿孔されておらず、そのため版胴
の内周面から該版胴と原紙の尾部との間に供給さ
れたインキは、両者間に余剰インキとして蓄積さ
れる。そして余剰インキは版胴の回転にともなつ
てプレスローラによつてしごかれることでその量
を増大させながら後方へ押しやられ、ついには原
紙の後端からはみ出して、周囲をインキで汚すこ
とになる。このように従来の孔版印刷機には、い
わゆる印刷インキの「尻もれ」現象を引き起すと
いう欠点があつた。

目 的 この考案は前記のような従来のもののもつ欠点
を解消し、余剰インキの外部へのもれを防止する
ことができる孔版印刷機における版胴装置を提供
することを目的とする。

構 成 前記のような目的を達成するためのこの考案
は、円周方向の所定の帯域がインキ透過性、その
他の帯域がインキ不透過性となつている円筒状の
版胴と、前記インキ透過性帯域の外周面に張設さ
れたスクリーンと、一端部が前記版胴の回転方向
における前記インキ不透過性帯域の前端部に固着
され、他端部が前記スクリーンとの間に間隔を置
いて該スクリーンの一部を覆う弾性を有するシー
ト片とを具えたことを特徴とする版胴装置にあ
る。

以下、この考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図はこの考案に係る版胴装置の概略図であ
り、１はステンレス鋼等の金属よりなる版胴であ
つて、この版胴１は第２図に示すように円周方向
の所定の帯域がそこに多数の孔１１を穿設される
ことによりインキ透過性帯域１ａ、その他の帯域
がインキ不透過性帯域１ｂとなつている。インキ
透過性帯域１ａの外周面にはスクリーン２が張設
されている。版胴１はその中心軸線Ｃの回りを第
１図矢印方向に回転駆動されるようになつてお
り、インキ不透過性帯域１ｂにクランプ部４が設
けられ、このクランプ部４に孔版原紙３の先端部
をクランプし、先端部以下の部分がインキの粘性
によりスクリーン２に巻き付き密着保持される。

版胴１内にはインキ供給ローラ５がその外周面
と版胴１の内周面とが接触するようにして配置さ
れ、インキ供給ローラ５はその中心軸線の回りを
第１図矢印方向に回転駆動されるようになつてい
る。インキ供給ローラ５と所定の間隔を置いてド
クターローラ６が配置され、そのドクターローラ
６とインキ供給ローラ５との間のくさび状空間に
インキだまり７が形成されている。版胴１の下方
にはプレスローラ９が回転自在に配置され、この
プレスローラ９は図示しないアームによつて一定
のタイミングで版胴１に対して接離し、用紙１０
を原紙３に押付けるようになつている。

第２図はこの考案の要部を拡大したものであ
り、スクリーン２はこの例ではポリエステル繊維
によるメツシユスクリーンからなり、スクリーン
２の後端部にはインキ不透過性の合成樹脂シート
１２が貼着され、このシート１２は版胴１の回転
方向におけるインキ不透過性帯域１ｂの前端部に
粘着材１３を介して強力に密着して貼着されてい
る。またシート１２の外面には弾性を有するプラ
スチツクシート片１４の一端部が貼着され、すな
わちシート片１４の一端部は不透過性帯域１ｂに
シート１２を介して固着され、このシート片１４
の他端部はスクリーン２との間に間隔を置いて該
スクリーンの一部を覆つている。これによりスク
リーン２、原紙３およびシート片１４によつて囲
まれた閉鎖空間１５が形成される。シート片１４
はプラスチツクのものに代えて、金属板等を使用
してもよい。

上記のような構成の版胴装置において、印刷時
には版胴１およびインキ供給ローラ５が回転し、
インキ供給ローラの外周面に一様の厚さのインキ
膜８が形成され、このインキは版胴１の内周面に
運ばれ、その孔１１、スクリーン２の孔および原
紙３の穿孔部を通過する。一方プレスローラ９が
版胴１に接近して用紙１０を原紙３に押付け、そ
れにより原紙３の画像が用紙１０の表面に転移さ
れる。

印刷が進行して第２図の状態になると、すなわ
ち原紙３の穿孔部を有していない尾部がプレスロ
ーラ９の位置に達すると、スクリーン２を通過し
た余剰インキはプレスローラ９によつて順次後方
へ送られ、空間１５に送り込まれる。空間１５に
送り込まれたインキはシート片１４によつてその
はみ出しが阻止され、そしてシート片１４の自由
端部がプレスローラ９の位置に達すると、該シー
ト片はスクリーン２に向けて撓み、それにより空
間１５内のインキは版胴１の孔１１を経てその内
部に押し戻されることになる。この位置でプレス
ローラ９が版胴１から離間するように移動し、一
回の印刷が終了する。このように余剰インキは印
刷の都度、シート片１４によつてはみ出しを阻止
され、また版胴１の内部へ押し戻されるので、尻
もれ現象は確実に防止される。

第３図はスクリーン２の別の取付例を示し、シ
ート１２の内面にマグネツトシート１６（例えば
ゴムマグネツト）を貼り付け、マグネツトシート
１６と版胴１との磁気吸着を利用して両者を密着
させるようにしたものである。このようにすると
スクリーン２の取外しや交換を容易に行うことが
できる。

効 果 以上のようにこの考案によれば、スクリーンの
一部を覆うシート片によつて、余剰インキのもれ
が防止され、したがつて印刷機の周囲を汚すこと
がなく、また印刷作業を円滑に行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る版胴装置の全体を示す
概略断面図、第２図は要部の拡大断面図、第３図
はスクリーンの別の取付例を示す断面図。 １……版胴、１ａ……インキ透過性帯域、１ｂ
……インキ不透過性帯域、２……スクリーン、３
……原紙、５……インキ供給ローラ、８……イン
キ膜、９……プレスローラ、１０……用紙、１２
……シート、１４……シート片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円周方向の所定の帯域がインキ透過性、その他
   の帯域がインキ不透過性となつている円筒状の版
   胴と、前記インキ透過性帯域の外周面に張設され
   たスクリーンと、一端部が前記版胴の回転方向に
   おける前記インキ不透過性帯域の前端部に固着さ
   れ、他端部が前記スクリーンとの間に間隔を置い
   て該スクリーンの一部を覆う弾性を有するシート
   片とを具えたことを特徴とする孔版印刷機におけ
   る版胴装置。