JPH1120290A - 孔版印刷用ドラム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】インク止めシート26と円筒状周壁７との間にイ
ンクが入り込み、インク止めシート26の後端側から漏れ
てドラム外周面等を汚すのを防止する。 【解決手段】円筒状周壁７は、インク通過性領域２とイ
ンク不通過性領域４を有する。円筒状周壁７のインク不
通過性縁部８の後ろにインク通過性の開口領域30があ
る。インク止めシート26は、インク不通過性縁部８の外
周部と、インク不通過領域４の外周部に接着されてい
る。印刷中、インク供給ローラ23は円筒状周壁７を内側
から押圧し、インク不通過性縁部８を越えた位置6kで押
圧を終了する。印刷時、インク止めシート26と円筒状周
壁７との間にインクが入りこんでも（矢印D3）、このイ
ンクは開口領域30から円筒状版胴７の内側に戻る。（矢
印D4）インクが開口領域30を越えてインク止めシート26
とインク不通過性領域４との間に入り込むことがなく、
孔版印刷用ドラム１の外周面や印刷用紙が汚されること
がない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、円筒状周壁を有す
る孔版印刷用ドラムの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３〜図６は本出願人が先に提案してい
る孔版印刷装置の一例を示している。これらの図におい
て、符号１は孔版印刷用ドラムを全体的に示している。
孔版印刷用ドラム１は、両端に配置された円盤状の二枚
の剛体構造の側板３，３と、軸線方向（母線方向）に延
在して二枚の側板３を相互に接続する剛体構造のクラン
プベース帯板５と、両側縁部を側板３，３により支持さ
れて円筒状に張られインク通過構造で可撓性の円筒状周
壁７を構成するスクリーン部材９とにより構成されてい
る。スクリーン部材９は、ステンレスワイヤなどの線材
を可撓性を有するように網状に繊製したものから構成さ
れ、網目部をもって印刷インクの通過を許す構造になっ
ている。円筒状周壁７は、これを構成するスクリーン部
材９が可撓性であることから、径方向に膨出変形可能に
なっている。

【０００３】クランプベース帯板５には孔版原紙の一端
（先端）を係脱可能にクランプするクランプ板１１が取
り付けられており、孔版原紙はクランプ板１１によりク
ランプベース帯板５に係止されて円筒状周壁７の外周面
に巻き付け装着される。

【０００４】孔版印刷用ドラム１は当該版胴を軸線方向
に貫通する中心筒軸１３により自身の中心軸線に回転可
能に支持されている。二枚の側板３の外周部には版胴駆
動用歯車部１５が各々形成されており、この版胴駆動用
歯車部１５に図示されていない版胴駆動モータの駆動歯
車が噛合することにより、孔版印刷用ドラム１が中心筒
軸１３を固定支持軸体として図にて反時計廻り方向へ回
転駆動される。

【０００５】孔版印刷用ドラム１内には中心筒軸１３よ
り支持された胴内枠体１７が固定配置されている。

【０００６】胴内枠体１７は枢軸１９により中押しアー
ム２１の一端を略上下方向に揺動可能に支持しており、
中押しアーム２１は中間部においてインク供給ロール２
３を回転可能に支持している。インク供給ロール２３は
孔版印刷用ドラム１の一つの母線に平行に延在して円筒
状周壁７の内周面に摺接する。

【０００７】中押しアーム２１はインク供給ローラ２３
の外周面に対して微小間隔をおいて平行に延在するドク
タロッド２５を固定支持している。インク供給ローラ２
３とドクタロッド２５とは楔形状のインク溜まり部２７
を形成し、このインク溜まり部２７にはインクデリバリ
パイプ２９より印刷インクが計量供給される。インクデ
リバリパイプ２９にはインク供給ホース３１が接続さ
れ、インク供給ホース３１は、中心筒軸１３内を通って
版胴外へ延び、版胴外に設置されている不図示のインク
供給源に接続され、これより印刷インクを与えられる。

【０００８】インク溜まり部２７の印刷インクは、イン
ク供給ローラ２３の図にて反時計廻り方向の回転によ
り、ドクタロッド２５との微小間隔を通過して計量され
つつ円筒状周壁７の内周面に供給される。

【０００９】胴内枠体１７はカム軸３３を回転可能に支
持している。カム軸３３にはカム３５が固定されてい
る。カム３５は、ダブルハート形の外形板カムをなし、
９０度ずつの分割回転により、図３、図５に示されてい
る印刷実行回転位置と、図４、図６に示されている非印
刷回転位置の二つの安定状態を択一的に得る。

【００１０】カム３５には連係ヨーク部材３７に取り付
けられたカムフォロアローラ３９が係合している。連係
ヨーク部材３７は枢軸４１により中押しアーム２１の他
端と枢動連結されている。

【００１１】これにより、カム３５が印刷実行回転位置
に位置している場合には、インク供給ローラ２３は版胴
１の円筒状周壁７の内周面に摺接する降下位置に位置
し、これに対しカム３５が非印刷回転位置に位置してい
る場合には、図４に示されている如く、中押しアーム２
１と共にインク供給ローラ２３が持ち上げられて円筒状
周壁７の内周面より離間する。

【００１２】カム軸３３は電磁クラッチ４３の従動側に
接続され、電磁クラッチ４３は、駆動側をカム軸駆動歯
車４５に接続され、カム軸駆動歯車４５とカム軸３３と
を選択的に駆動連結する。カム軸駆動歯車４５は、版胴
１の側板３に固定された胴内主歯車４７と噛合し、孔版
印刷用ドラム１の回転に伴い回転駆動される。

【００１３】胴内枠体１７にはリミットスイッチにより
構成されたカムスイッチ４９が取り付けられており、カ
ムスイッチ４９は、連係ヨーク部材３７に取り付けられ
たスイッチ動作片５１と係合し、カム３５が前記印刷実
行回転位置と前記非印刷回転位置の何れかに位置してい
ることを検出する。

【００１４】中心筒軸１３は胴内にてローラ駆動アーム
５３の中間部を回動可能に支持している。ローラ駆動ア
ーム５３は、一端にて中間歯車５５を回転可能に支持
し、他端にて引張ばね５７と接続され、引張ばね５７の
ばね力により図にて反時計廻り方向へ付勢されている。
この付勢により中間歯車５５は胴内主歯車４７とインク
供給ローラ２３の端部に同心に設けられた歯車５７とに
噛合し、孔版印刷用ドラム１の回転に伴い回転されてイ
ンク供給ローラ２３を図にて反時計廻り方向へ回転駆動
する。

【００１５】カム３５が印刷実行回転位置にあって、イ
ンク供給ローラ２３が版胴１の円筒状周壁７の内周面に
摺接する降下位置に位置している状態にて、インク供給
ローラ２３が上述の如く図にて反時計廻り方向へ回転駆
動されることにより、インク供給ローラ２３は、円筒状
周壁７の内周面に圧接して円筒状周壁７を後述の裏押し
ローラ６３へ向けて膨出変形させる膨出変形位置（図３
参照）に位置する。

【００１６】これに対し、カム３５が非印刷回転位置に
あって、インク供給ローラ２３が版胴１の円筒状周壁７
の内周面より離間している状態にては、インク供給ロー
ラ２３が上述の如く図にて反時計廻り方向へ回転駆動さ
れても、インク供給ローラ２３は、円筒状周壁７を膨出
変形させることがなく、円筒状周壁７の膨出変形を解除
する。このインク供給ローラ２３の位置（図４参照）を
以降、定常位置と言う。

【００１７】また図６に示されている如く、インク供給
ローラ２３にはカムフォロアローラ５９が取り付けられ
ている。カムフォロアローラ５９は、孔版印刷用ドラム
１の回転により孔版印刷用ドラム１の内周面に形成され
たカム部６１と係合し、この係合によりインク供給ロー
ラ２３を版胴１の原紙クランプ領域に対応する回転位相
にて持ち上げ、クランプベース帯板５と後述の裏押しロ
ーラ６３の凹部６５の角部との衝突による衝突音の発生
防止とスクリーン部材９の保護のために、インク供給ロ
ーラ２３が円筒状周壁７の内周面に圧接することを解除
する。そして、このカムファロアローラ５９がカム部６
１と係合することにより、インク供給ローラ２３は印刷
領域で版胴１の内周面に接する。

【００１８】裏押しローラ６３は、孔版印刷用ドラム１
と同一外径に構成され、中心軸６２により円筒状周壁７
に対して所定間隔をおいて孔版印刷用ドラム１と平行に
設けられ、自身の中心軸線周りに図示されていない同期
回転駆動装置により孔版印刷用ドラム１と同一速度にて
図にて時計廻り方向へ同期回転駆動される。裏押しロー
ラ６３は孔版印刷用ドラム１の原紙クランプ部と対応す
る回転位置の外周部に原紙クランプ部との干渉を回避す
るための凹部６５を有している。

【００１９】上述の孔版印刷用ドラム１と裏押しローラ
６３との相対的位置関係により、円筒状周壁７が膨出変
形すると、孔版印刷用ドラム１は図３に示されている如
く、その膨出変形部をもって版胴外周面に巻き付け装着
されている孔版原紙と印刷用紙Ｐを挟んで裏押しローラ
６３と圧接し、円筒状周壁７の膨出変形が解除された状
態においては、図４に示されている如く、孔版印刷用ド
ラム１と裏押しローラ６３との間に印刷用紙Ｐの通過を
自由に許す空隙が形成される。

【００２０】裏押しローラ６３には用紙クランプ部材６
７が設けられている。用紙クランプ部材６７は、枢軸６
９によって裏押しローラ６３に揺動可能に装着され、一
端に裏押しローラ６３の外周面と共働して印刷用紙Ｐを
係脱可能にクランプするクランプ片７１を有し、他端に
設けられたカムフォロアローラ７３による固定配置のカ
ム７５との係合により、裏押しローラ６３の回転に同期
して図にて左側の給紙部７７より供給される印刷用紙Ｐ
の先端を図４にて符号ａにより示されている回転位置
（用紙喰え込み位置）にてクランプし、図にて右側の排
紙部７９の側の回転位置（用紙解放位置）ｂにて印刷用
紙Ｐのクランプを解除する。

【００２１】これにより裏押しローラ６３は用紙喰え込
み位置ａと用紙解放位置ｂとの間にて印刷用紙Ｐをロー
ラ外周面に巻き付けて強制搬送する印刷用紙搬送機能を
有する紙胴として作用する。

【００２２】給紙部７７は、印刷用紙Ｐを積み重ね積載
される給紙台８１と、給紙台８１より印刷用紙Ｐを一枚
づつ取り出す給紙ローラ８３および紙捌きローラ８５
と、用紙ガイド部材８７と、印刷用紙Ｐを所定タイミン
グをもって裏押しローラ６３のクランプ片７１による用
紙喰え込み位置ａへ送り込むタイミングロラーラ対８９
と、印刷用紙Ｐが用紙喰え込み位置ａへ送り込まれたこ
とを検出する光学式の給紙センサ９１を有している。

【００２３】排紙部７９は、用紙解放位置ｂに配置され
裏押しローラ６３と共働してピンチローラ作用を行って
印刷用紙Ｐを排紙搬送する排紙ピンチローラ９３と、印
刷用紙Ｐを裏押しローラ６３より引き離す用紙分離爪９
５と、用紙分離爪９５よりの印刷用紙Ｐを用紙飛翔台９
７へ送り出す排紙ピンチローラ対９９と、印刷済みの印
刷用紙Ｐが載置される排紙台１０１と、印刷用紙Ｐが用
紙飛翔台９７より排紙台１０１へ向かって飛翔したこと
を検出する光学式の排紙センサ１０３とを有している。

【００２４】なお、排紙される印刷用紙Ｐの上面、即ち
印刷画像面に摺接する排紙ピンチローラ９３と排紙ピン
チローラ対９９の上側ローラは、各々印刷用紙Ｐの両側
の余白部（非印刷マージン部）にのみ摺接するようにな
っており、これらローラは、印刷用紙Ｐの幅方向寸法の
如何に拘らず印刷用紙Ｐの両側の余白部にのみ摺接すべ
く給紙台８１上にセットされた印刷用紙Ｐのサイズに応
じて軸線方向位置を自動調整される。この場合、給紙台
８１には、図には示されていないが、印刷用紙Ｐのサイ
ズを検出する用紙サイズセンサが設けられる。

【００２５】図７は孔版印刷用ドラム１の可撓性の円筒
状周壁７を断面で示したもの、図８はこの円筒状周壁７
を展開したものであり、同図の符号８はインク不通過性
縁部である。図９はインク供給ローラ２３である。

【００２６】図７に示す孔版印刷用ドラム１の可撓性の
円筒状周壁７は、図８に示すように矩形の展開形状を有
しており、その略中央部分に矩形のインク通過性領域２
が設けられている。インク通過性領域２はインク不通過
性領域４に囲まれている。

【００２７】インク不通過性領域４と該インク不通過性
領域４に囲まれたインク通過性領域２とを備えた円筒状
周壁７は、各種の構造によって形成できる。例えば、イ
ンク通過性の可撓性のスクリーンを複数枚重ねたものを
円筒状とし、その両端に剛性を有する円盤を挿入・固定
して孔版印刷用ドラム１を構成してもよい。その場合、
スクリーンの一部に目止めの樹脂等を印刷等の手法によ
って被着させることにより、インク不通過性領域４とイ
ンク通過性領域２を任意の形状で構成できる。

【００２８】また、円筒状周壁７は、所定の剛性を有す
る金属板の所望の領域にエッチングや電鋳等によって多
数の孔を形成してインク通過性領域２とし、この金属板
を円筒状に成形して構成してもよい。また、このような
金属製の円筒状周壁に必要に応じてインク通過性のスク
リーンを巻き付け、孔版印刷用ドラムを通過して孔版印
刷用ドラムの外周面側に移行したインクが印刷用紙に均
一に供給されるようにしてもよい。

【００２９】図８に示すように、矢印Ａで示す前記孔版
印刷用ドラム１の回転方向に関して、前記インク通過性
領域２の終端側となる部分（以下、終端部２ａと呼
ぶ。）と、同部分に隣接する前記インク不通過性領域４
との境界部には、前記孔版印刷用ドラム１の回転軸線と
略平行にインク不通過性縁部８が形成されている。

【００３０】図８に示すように、矢印Ａで示す前記孔版
印刷用ドラム１の回転方向と平行な前記インク通過性領
域２の両側縁部と前記インク不通過性領域４との境界部
には、インク不通過性側縁部１０，１０がインク通過性
領域２を挟んで互いに平行に形成されている。二つのイ
ンク不通過性側縁部１０，１０は、前記インク通過性領
域２の始端側となる部分（以下、始端部２ｂと呼ぶ。）
に隣接するインク不通過性領域４を挟む位置にまで延設
されている。

【００３１】図７に示すように、前記インク不通過性端
縁部８及びインク不通過性側縁部１０は円筒状周壁７の
内周面から厚さｔだけ内側に突出して形成されている。
また、前記インク不通過性端縁部８と前記インク不通過
性側縁部１０の前記インク通過性領域２に面する各部分
と前記インク通過性領域２とが形成する角度は鈍角でな
い角度に設定されている。本実施例では直角とされてい
る。前記インク不通過性端縁部８及びインク不通過性側
縁部１０は、シリコン等のインクに侵されない材質の材
料を円筒状周壁７の内面に印刷法等の手法で被着させる
ことによって形成できるが、インク不通過性側縁部１０
は弾性体であることが好ましい。

【００３２】前記円筒状周壁７の内部には、前記孔版印
刷用ドラム１の回転軸線と平行な回転軸線を有し、前記
孔版印刷用ドラム１の内面に接触して前記インク通過性
領域２から前記孔版印刷用ドラム１の外方にインクを押
し出すインク供給ローラ２３が設けられている。インク
供給ローラ２３の昇降機構は前述した通りである。な
お、このインク供給ローラ２３は弾性体から構成されて
いる。

【００３３】図９に示すように、本実施例のインク供給
ローラ２３は、インク通過性領域２に接するローラ部１
２と、該ローラ部１２の外径よりも小径で、ローラ部１
２の両端に設けられた帯状段差部１４と、該帯状段差部
１４の両端に同軸に設けられた軸部１６からなる。

【００３４】ローラ部１２の軸方向の長さは一対のイン
ク不通過性側縁部１０，１０の間隔よりもやや小さくさ
れている。帯状段差部１４の外径とローラ部１２の外径
の差の半分は、インク不通過性端縁部８及びインク不通
過性側縁部１０の厚さｔと一致する。従って、インク供
給ローラ２３が円筒状周壁７の内周面に接する印刷時に
は、ローラ部１２がインク通過性領域２に接すると共
に、帯状段差部１４はインク不通過性側縁部１０の上面
に接する。

【００３５】孔版印刷用ドラム１に孔版印刷用原紙Ｓを
巻装し、その先端部をクランプ板１１でクランプベース
帯板５の固定位置に固定すると、孔版印刷用原紙Ｓの穿
孔画像部分はインク通過性領域２に対応する。孔版印刷
用ドラム１の回転に同期し、孔版印刷用ドラム１と裏押
しローラ６３の間に印刷用紙Ｐが供給されると共に、イ
ンク供給ローラ２３が下降して円筒状周壁７の内周面に
接触する。印刷用紙Ｐは、インク供給ローラ２３によっ
て下方に膨出した円筒状周壁７と裏押しローラ６３との
間に挟まれる。インク供給ローラ２３が印刷時に円筒状
周壁７の内面に供給するインクは、インク通過性領域２
及び孔版印刷用原紙Ｓの穿孔画像部から外部に移行し、
裏押しローラ６３によって孔版印刷用ドラム１の外周面
に押しつけられる印刷用紙Ｐに転写される。

【００３６】上記の印刷動作において、孔版印刷用ドラ
ム１の内周面に供給されながら印刷に供されなかったイ
ンクの一部は、インク供給ローラ２３と孔版印刷用ドラ
ム１の回転に伴ってインク不通過性縁部８の内側に集ま
る。各印刷動作ごとにインク供給ローラ２３がインク不
通過性縁部８を乗り越える際に、インク不通過性縁部８
の内側に集まるインクはその都度インク供給ローラ２３
の周面に付着して持ち去られ、インク不通過性縁部８の
内側に過剰な量のインクが溜まることはなく、溜まった
インクが孔版印刷用ドラム１の外部に漏出することはな
い。

【００３７】また、ローラ部１２の軸方向の長さと、一
対のインク不通過性側縁部１０，１０の間隔が略等しい
ので、ローラ部１２の側端面とインク不通過性側縁部１
０の内端面との間に溜まった余剰インクは、インク供給
ローラ２３の回転に伴って内方に戻される。このため、
インク不通過性側縁部１０の側に過剰な量のインクが溜
まることはなく、溜まった余剰インクが外部に漏出する
こともない。

【００３８】図１０は、円筒状周壁７の回転方向におけ
るインク通過性領域２の後端部近傍の拡大断面図であ
る。同図において、２２は比較的目の粗いスクリーン
（ステンレスワイヤなどの線材を可撓性のある網状に織
製したもの）であり、２４は比較的目の細かいスクリー
ンであり、これらの二つのスクリーンが積層されて円筒
状周壁７が構成されている。円筒状周壁７は、目止めさ
れていないインク通過性領域２と、このインク通過性領
域２を囲むインク不通過性領域４とから構成されてい
る。インク不通過性領域４は、スクリーンをシリコンゴ
ムで目止めしてなるものであり、この目止め部によって
２つのスクリーン２２，２４が一体となっている。ま
た、８はインク不通過性縁部、２６はインク止めシー
ト、２８は孔版原紙である。インク止めシート２６はポ
リエチレンテレフタレートからなる帯状のシート材であ
り、インク不通過性領域４の外周面に接する部分が全面
接着されている。

【００３９】印刷中、インク供給ローラ２３は円筒状周
壁７を内側から押圧するが、押圧を終了する位置は図１
０の６ｋで示す位置となっており、インク不通過性縁部
８を越えた位置となっている。即ち、図６を参照して説
明したカム部６１の形状が、インク供給ローラ２３をそ
のように移動させるように設定されている。

【００４０】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した本出願人
の提案になる孔版印刷装置における技術的課題について
図１０を参照して説明する。前記孔版印刷装置において
印刷を行うと、インク通過性領域２から孔版印刷用ドラ
ム１の外側にしみ出したインクは、インク止めシート２
６でせき止められてインク不通過性領域４の外周側への
流動が阻止される。しかしながら、印刷を繰り返し行っ
ていくと、矢印Ｄ１に示すようにインク止めシート２６
と円筒状周壁７との間（接着部）にインクが徐々に入り
込み、インク止めシート２６が円筒状周壁７から部分的
に徐々に剥離されてゆく。そして、インク止めシート２
６と円筒状周壁７との間に入り込んだインクは徐々にイ
ンク止めシート２６の後端側に進んでゆき、ついにはイ
ンク止めシート２６の後端部から矢印Ｄ２に示すように
漏れだし、ドラム外周面や印刷用紙を汚してしまうおそ
れがあった。

【００４１】本発明は上記の如き課題を解決することの
できる孔版印刷用ドラムを提供することを目的とする。

【００４２】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載された孔
版印刷用ドラムは、インク通過性領域及び前記インク通
過性領域を囲むインク不通過性領域を有し、製版された
孔版原紙が外周側に巻装されて自身の中心軸線の回りに
回転駆動される円筒状周壁と、前記円筒状周壁の内側に
設けられて前記円筒状周壁の内周面にインクを供給し、
前記インク通過性領域を通過させたインクを前記円筒状
周壁の外周側に巻装した前記孔版原紙の製版部から押し
出して印刷に供するインク供給ロールと、前記円筒状周
壁の回転方向における前記インク通過性領域の後端部に
おいて、前記円筒状周壁の母線に沿うように前記円筒状
周壁の内側に突出して形成され、前記インク通過性領域
と前記インク不通過性領域とを区画するインク不通過性
縁部と、前記円筒状周壁の外周面において前記インク不
通過性領域から前記インク不通過性縁部に至る範囲に設
けられ、少なくとも前記円筒状周壁の回転方向における
後端部分が前記円筒状周壁に固着されているインク止シ
ートと、前記円筒状周壁の回転方向における前記インク
不通過性縁部の後方において、前記インク不通過性縁部
に連なり且つ前記円筒状周壁の母線に沿うように形成さ
れたインク通過性の開口領域とを有している。

【００４３】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施形態に係る
孔版印刷用ドラムにおける前記図１０と同様の状態を同
様の図法で示す図である。図２は図１のドラムを外側か
ら見た斜視図である。図１において、従来の孔版印刷用
ドラムと同様の構成には同一の符号を付している。

【００４４】図１に示す孔版印刷用ドラムが、図１０の
孔版印刷用ドラムと異なる点は、ドラム回転方向におけ
る円筒状周壁７のインク不通過性縁部８の直後に、イン
ク通過性の開口領域３０（スクリーン２２，２４を目止
めしていない部分）が円筒状周壁７の母線方向に沿って
形成されている点である。インク止めシート２６は、円
筒状周壁７に対して、インク不通過性縁部８の外周部
と、インク不通過領域４の外周部とで接着されている。
但し、インク不通過性縁部８の外周部の部分は必ずしも
接着されている必要はない。

【００４５】上記の構成に係る孔版印刷用ドラムによれ
ば、印刷時において、矢印Ｄ３に示すようにインク止め
シート２６と円筒状周壁７との間にインクが入りこんで
も、このインクは開口領域３０から矢印Ｄ４に示すよう
に円筒状版胴７の内側に戻される。このため、インクが
開口領域３０を越えてインク止めシート２６とインク不
通過性領域４との間に入り込んでゆくことがなく、多数
枚の印刷を行っても、孔版印刷用ドラム１の外周面や印
刷用紙が汚されることがない。

【００４６】

【発明の効果】本発明に係る孔版印刷用ドラムによれ
ば、インク止めシートと円筒状周壁の間にインクが入り
込んでも、このインクがインク通過性の開口領域からド
ラムの内側に戻されるので、多数枚の印刷を行っても、
ドラム外周面や印刷用紙が汚されることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の一例において、円筒状周
壁７の回転方向における後端部近傍を示す拡大断面図で
ある。

【図２】図１に示した部分を円筒状周壁７の外側から見
た斜視図である。

【図３】本出願人が提案している孔版印刷装置における
印刷状態を示す図である。

【図４】本出願人が提案している孔版印刷装置における
非印刷状態を示す図である。

【図５】本出願人が提案している孔版印刷装置の孔版印
刷用ドラムにおける印刷状態を示す斜視図である。

【図６】本出願人が提案している孔版印刷装置の孔版印
刷用ドラムにおける非印刷状態を示す斜視図である。

【図７】本出願人が提案している孔版印刷装置の孔版印
刷用ドラムと裏押しローラの断面図である。

【図８】本出願人が提案している孔版印刷装置の孔版印
刷用ドラムの円筒状版胴を展開した平面図である。

【図９】本出願人が提案している孔版印刷装置の孔版印
刷用ドラムのインク供給ロールの斜視図である。

【図１０】本出願人が提案している孔版印刷装置におい
て、円筒状周壁７の回転方向における後端部近傍を示す
拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 孔版印刷用ドラム ２ インク通過性領域 ４ インク不通過性領域 ７ 円筒状周壁 ８ インク不通過性縁部 ２３ インク供給ロール ２６ インク止シート ２８ 孔版原紙 ３０ 開口領域

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インク通過性領域及び前記インク通過性
   領域を囲むインク不通過性領域を有し、製版された孔版
   原紙が外周側に巻装されて自身の中心軸線の回りに回転
   駆動される円筒状周壁と、 前記円筒状周壁の内側に設けられて前記円筒状周壁の内
   周面にインクを供給し、前記インク通過性領域を通過さ
   せたインクを前記円筒状周壁の外周側に巻装した前記孔
   版原紙の製版部から押し出して印刷に供するインク供給
   ロールと、 前記円筒状周壁の回転方向における前記インク通過性領
   域の後端部において、前記円筒状周壁の母線に沿うよう
   に前記円筒状周壁の内側に突出して形成され、前記イン
   ク通過性領域と前記インク不通過性領域とを区画するイ
   ンク不通過性縁部と、 前記円筒状周壁の外周面において前記インク不通過性領
   域から前記インク不通過性縁部に至る範囲に設けられ、
   少なくとも前記円筒状周壁の回転方向における後端部分
   が前記円筒状周壁に固着されているインク止シートと、 前記円筒状周壁の回転方向における前記インク不通過性
   縁部の後方において、前記インク不通過性縁部に連なり
   且つ前記円筒状周壁の母線に沿うように形成されたイン
   ク通過性の開口領域と、 を有する孔版印刷用ドラム。