JPH0325666Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用シートなどの車両用シート
（座席）、詳しくは表面の美感を向上させるため
に、表皮に吊り込み状皺を設けた車両用シートに
関するものである。

（従来の技術） 従来、シートの表面に外観を向上させるため
に、シートの表面を構成する表皮部材に装飾用の
ボタンを表面に設け、このボタンを設けた表皮部
材の裏面に吊込紐を固定して、この吊込紐を表皮
部材に被覆される発泡体製のクツシヨン体に設け
た吊込孔に挿込み、その吊込紐を引張りクツシヨ
ン体内の底部若しくはクツシヨン体の下方のワイ
ヤなどに結着することにより、表皮部材の表面に
ボタンを中心とした放射状の装飾用の皺を形成し
ている。

ところが、以上の如くボタンの吊込みによる皺
は、ボタン周囲に生じるのみであり、しかもクツ
シヨン体がモールド成形で硬いため吊り込み量が
一定に規制され深い皺が形成できない不具合があ
る。

（目的） そこで、本考案のボタンの吊込個所以外の場所
に装飾用の皺を形成できるようにすることを目的
とする。

（構成） 以上の目的を達成するための本考案に係る車両
用シートは、発泡体製のクツシヨン主体、このク
ツシヨン主体の上面を設けこのクツシヨン主体に
対して柔軟性を有する板状発泡体からなるクツシ
ヨン補助体、これらを被覆する表皮部材とからな
り、前記クツシヨン補助体の表面に格子状に凹溝
を設け、該凹溝の交点に通孔を開孔し、この通孔
に対応する前記クツシヨン主体に吊込孔を設け、
更に前記表皮部材における通孔に対応する位置に
吊込部材を固定し、該吊込部材を通孔、吊込孔に
挿通し且つ吊込部材を引張つて前記表皮部材の一
部をクツシヨン補助体の凹溝に喰い込ませると共
に吊込部材の下端をクツシヨン主体内のワイヤ若
しくはクツシヨン主体の下方の支持部材に結着し
てなるものである。

従つて、クツシヨン補助体の表面に設けた格子
状の凹溝に、表皮部材の一部が喰い込まれて、装
飾用の凹条がシートの表面に形成されると共に、
この凹条に沿つて装飾用の皺が形成される。この
凹条及び皺は表皮部材に設けた吊込部材の吊込に
よつて保持される。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は本考案に係る自動車シートのシートク
ツシヨンＡを示し、その表面には複数個のボタン
４，４…が設けてあり、このボタン４，４間には
深い装飾用の皺５が形成されている。そして、図
示するものは皺５がシートクツシヨンＡの表面を
構成する表皮部材３に格子状に設けてあり、その
格子状の皺５の交点は前記ボタン４の吊り込みに
よつて窪んでいる。

以上の表皮部材３に被覆されるクツシヨン主体
１とクツシヨン補助体２とは第３図に示すような
形状に成形されている。即ち、クツシヨン主体１
はモールドで成形され、その前部（着座者のサイ
支持部）に、クツシヨン補助体２の厚さ分の隆起
部１２、左右の側部上面に土手部１３，B′を設
け、その左右の土手部１３，１３′に囲まれた部
分に、前記ボタン４を吊込むための吊込孔１１，
１１…が開孔されている。

クツシヨン補助体２はクツシヨン主体１に対し
て柔軟性を有する発泡体（例えばウレタンフオー
ムなどのスラブ材）で厚さが20〜40mm程度の平板
状に形成され、その上面側には格子状に凹溝２１
がルータ加工により切穿されている。そして、こ
の凹溝２１の交点にはボタン４を吊込むための吊
込紐４１が挿通される通孔２２…が開孔され、こ
の通孔２２と前記クツシヨン主体１の吊込孔１１
とはクツシヨン補助体２をクツシヨン主体１上に
積層した際に連通する。

このクツシヨン補助体２のクツシヨン主体１に
対する固定は、接着剤で両者を接着するか、或い
はクツシヨン主体１を発泡する際に一体に固着す
る。第４図はクツシヨン補助体２をクツシヨン主
体１の曲面状の上面に、接着する方法を示す。

まず下型６をクツシヨン主体１の上面形状に合
致するように形成し、この下型６内に平板状のク
ツシヨン補助体２を入れ、次にその上に接着剤を
塗布した（通気性を有するように塗布）クツシヨ
ン主体１を当て、プレスなどで加圧して、クツシ
ヨン主体１にクツシヨン補助体２を接合して加圧
する。すると、クツシヨン主体１の曲面状上面に
沿つてクツシヨン補助体２が接着される。

クツシヨン主体１にクツシヨン補助体２を固定
した後は前記従来と同様にして表皮部材３を吊込
む。即ち、表皮部材３は織物地、擬革地、合成樹
脂製シートなどの従来周知の部材でその表面には
前記クツシヨン補助体２の通孔２２，２２…上に
位置するように装飾用のボタン４…が設けてあ
り、このボタン４における表皮部材３の裏面側に
突出する脚部には夫々吊込紐４１…が取付けられ
ている。従つて、この吊込紐４１…を夫々通孔２
２、吊込孔１１に通して下方に引張り、その吊込
紐４１の下端をフレーム７に張架したバネ材８に
結着すると、表皮部材３は吊込まれて、ボタン４
を中心に窪みが形成されると同時に、クツシヨン
補助体２の凹溝２１…に表皮部材３の一部が喰い
込まれて、凹条の前記皺５がシートクツシヨンの
表面に格子状に形成される。

また前記図示する表皮部材３は一層の織物地等
から構成されているが、表皮、発泡体製ワデイン
グ、ワデイングカバーの三層構造の表皮部材３を
使用するも任意である。更に、前記クツシヨン主
体１の吊込孔１１…を設けた部分は平面状に形成
されているが、各吊込孔１１…を中心として漏斗
状に凹設し、各吊込孔１１，１１…間を断面円弧
状に形成するも任意であり、斯様なクツシヨン主
体１を使用することによりシートクツシヨンＡの
表面により立体状の皺４が形成され美感が向上す
る。

（効果） 本考案によれば、クツシヨン主体の上面に設け
たクツシヨン補助体が、クツシヨン主体より柔軟
性を有し、しかもその上面には凹溝が設けてある
ため、このクツシヨン補助体を被覆する表皮部材
の一部を凹溝に喰い込ませて表皮部材を吊込部材
で吊込むと、シートの表面に凹溝が形成され、こ
の凹溝に沿つて装飾用皺がシートの表面に形成さ
れる。そして、この凹溝の深さを任意選択するこ
とによつて皺の深さが調節される。そのため、前
記従来品に比べ、所望の装飾用皺をシート表面に
形成できるので、シートの外観が向上し商品価値
が増大する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案に係る車両用シートの斜視図、第
２図は第１図における−線に沿う断面図、第
３図は要部の分解図、第４図は要部の成形状態を
示す断面図である。 図中、１はクツシヨン主体、２はクツシヨン補
助体、２１，２１…は凹溝、３は表皮部材を夫々
示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発泡体製のクツシヨン主体、このクツシヨン主
   体の上面を設けこのクツシヨン主体に対して柔軟
   性を有する板状発泡体からなるクツシヨン補助
   体、これらを被覆する表皮部材とからなり、前記
   クツシヨン補助体の表面に格子状に凹溝を設け、
   該凹溝の交点に通孔を開孔し、この通孔に対応す
   る前記クツシヨン主体に吊込孔を設け、更に前記
   表皮部材における通孔に対応する位置に吊込部材
   を固定し、該吊込部材を通孔、吊込孔に挿通し且
   つ吊込部材を引張つて前記表皮部材の一部をクツ
   シヨン補助体の凹溝に喰い込ませると共に吊込部
   材の下端をクツシヨン主体内のワイヤ若しくはク
   ツシヨン主体の下方の支持部材に結着してなる車
   両用シート。