JPH0324549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエレベーターのガイドレール給油装置
に関する。

〔従来の技術〕

一般にエレベーターの乗かごは、前後左右、す
なわち、水平方向の安定をはかるため４個のガイ
ドシユーを介してガイドレールに案内されて走行
するようになつている。そのため乗かごの走行を
スムーズに行なわせるとともに、ガイドレール給
油装置が設置されている。そして、給油装置は、
油が入れてある油槽部と給油部からなるケースと
油槽部の油を毛細管現象を利用して給油部まで導
く毛糸と、給油部の毛糸の上に載せた含浸性のフ
エルト等の繊維質よりなる油供給板と、吐出量
（油槽から給油部に出る量）を調整する絞り板と、
カバーにより構成されていた。

しかし、この給油方法では、給油装置の点検と
補給などすべて塔内作業となるため、作業能率向
上の面から改善する余地がある。また、吐出量の
調節は絞り板間隔を変化させて行なつていたが、
絞り板間隔の調節を行なつても吐出量はさほど変
化はなく、むしろ、ガイドレールと油給給板との
接触状況により、大きく影響をうけている。

これはガイドレールと油供給板が接触摺動して
給油する構造であるため、給油板の汚れおよび経
年摩耗により、接触状況が変化するものである。

このことにより安定した吐出量の調節は困難で
あり問題となつていた。

この問題点を解決する一手段として実開昭56−
154971号が提案されている。

第３図、第４図によつて、その提案を説明す
る。１は機械室床、２は機械室巻上機支持台、２
０は集中給油装置で支持台の上に設置されてい
る。４はその給油装置に接続されたビニールチユ
ーブで、主索おとし穴を通り配管されており、そ
れぞれのガイドレール５の最上部で固定されてい
る。第４図は集中給油装置２０の構造を示す分解
斜視図であり、油槽部と給油部が一対となり４対
で組立てられている。給油部の底は穴が一カ所あ
けられていて、そこにビニールチユーブ４が計４
本接続されている。

すなわち、油２１は油槽からの毛糸２２の毛細
管現象により、給油部に吐出され底の穴からビニ
ールチユーブ４を通り、ガイドレール５に給油を
行なうもので、作業能率向上の面で改善されてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記改善された給油方法でも、毛細管現象を利
用しているため、給油量の調節が困難であり、給
油過多、給油不足になりがちである。又、ビニー
ルチユーブからの油がガイドレール面に滴下状態
で供給され、長時間エレベーターが停止している
場合は、滴下状態で油がガイドレール面を流下し
ガイドレール全面に給油されるが、エレベーター
が稼動している場合はガイドシユーによつて油が
飛散し、塔内やかご上を汚したりするという問題
があつた。

又、油はガイドレールの下方に流下する前にガ
イドシユーによつて飛散されるため、ガイドレー
ルの下部は給油不足になり発錆や乗心地に悪影響
を与えるという問題の生じる恐れがあり、この解
決手段は今だ実用化されていなかつた。

本考案の目的は油の飛散を防止するとともに、
給油過不足を生じることのないものを提供するこ
とにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するために本考案は、機械室に
設けられた給油装置から配管を介して油を給油す
るようにしたエレベーターのガイドレール給油装
置において、前記配管先端部を、最上階に停止し
ている乗かごより上方に位置するよう前記ガイド
レールにブラケツトを介して取付けると共にこの
配管先端にノズルを備え、一方、このノズルに対
する前記乗かご上部に、前記給油装置から配管と
ノズルを介して給油される油を受けて一旦蓄える
油受け部と、この油受け部の油を順次導き前記ガ
イドレール表面に塗布する塗布装置とを備えた構
成にしてある。

〔作用〕

機械室から送油された油は、一旦油受け部に蓄
えられ、この油受け部の油を、塗布装置によつて
徐々にガイドレール表面に塗布するようになつて
いる。したがつて油の飛散が生じないばかりか、
油受け部から塗布装置に油が補給され、機械室か
らの補給回数を大幅に減少させることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図、第２図によ
り説明する。

第１図において、１はエレベーター機械室床、
２は巻上機支持台、３は巻上機支持台２に固定さ
れた集中給油装置、４は集中給油装置３より油を
ガイドレール５に給油するビニールチユーブ等か
らなる送油管で各ガイドレール５に近接して設け
られている。尚、符号１，２，４，５は第３図の
従来例と同一物を示す。６は乗かごを支持するク
ロスヘツドで、このクロスヘツド６に支持部７を
介してガイドシユー８が固定されている。９，１
３はガイドシユー上部に固定されたブラケツト
で、このブラケツト９には、フエルト等からなる
塗布装置１０が設けられ、ブラケツト１３には油
受け部１４が設けられている。１５は油受け部１
４から塗布装置１０に毛細管現象により油を導く
毛糸である。送油管４はガイドレール５に取付け
られた固定用ブラケツト１１に支持された先端に
ノズル１２が取付けられている。

第２図は集中給油装置３の詳細図で、１６は油
槽部、１７は逆流防止弁、１８はポンプ部、１９
は手動式ピストンで、このピストン１８は油送管
４と連結されている。

すなわち、給油必要時は、エレベーターを最上
階に呼びつけ、給油完了まで停止させるようにし
て、手動式ピストン１９を動作させると、油槽部
１６から、油がポンプ部１８、送油管４を通り、
ノズル１２先端からガイドシユー８の上部に取付
けられた油受け部１４に向つて適量吐出される。
この油受け部１４の油は毛糸１５を介して徐々に
フエルト１０に吸着された油が、ガイドレール５
にまんべんなく塗布される。

これにより、ガイドレールへの要時給油がで
き、過不足を防止することができるとともに、油
の飛散も防止でき、昇降路内、かご上の汚損も防
止できる。

尚、この実施例では、集中給油装置に手動式ポ
ンプを用いたが、電動式ポンプを用いて、タイマ
ー等により任意の時間に給油してもよい。又、塗
布装置としてフエルトを用いたが、油を吸着し、
塗布するものであれば、その他のもの、例えば、
カポツク材等を用いてもよい。更に、油受け部１
４とフエルト１０とを毛糸１５により連結するよ
うにしたが、フエルト１０を直接油受け部１４に
連結するようにしても同様の効果を達成すること
ができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、必要時のみ所定量の油を給油
するため、油の過不足の問題を生じることがない
と共に、油の飛散を防止することができる。又、
油受け部１４に、油を一旦蓄えるようにしたた
め、給油インターバルを長くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例になるエレベーター
のガイドレール給油装置の全体概略構成図、第２
図は給油装置の一実施例を示す概略図、第３図は
従来のガイドレール給油装置の概略構成図、第４
図は給油装置の概略図である。 ３……集中給油装置、４……送油管、５……ガ
イドレール、６……乗かごを支持するクロスヘツ
ド、１０……塗布装置、１２……ノズル、１４…
…油受け部、１６……油槽部、１７……逆流防止
弁、１８……ポンプ部、１９……手動式ピスト
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機械室に設けられた給油装置から配管を介して
   油を給油するようにしたエレベーターのガイドレ
   ール給油装置において、前記配管先端部を、最上
   階に停止している乗かごより上方に位置するよう
   前記ガイドレールにブラケツトを介して取付ける
   と共にこの配管先端にノズルを備え、一方、この
   ノズルに対する前記乗かご上部に、前記給油装置
   から配管とノズルを介して給油される油を受けて
   一旦蓄える油受け部と、この油受け部の油を順次
   導き前記ガイドレール表面に塗布する塗布装置と
   を備えたことを特徴とするエレベーターのガイド
   レール給油装置。