JPH0323661B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ニツトウエアの製造法に関する。

ニツトウエア、例えば第１図に示すようなポロ
シヤツは、通常、10番手以上の細い糸条を使用
し、５個以上の給糸口を有する14ゲージ以上のシ
ングル丸編機によつて編地を編成し、得られた編
地を裁断して前身頃、後身頃、袖片、えり等の部
品を作り、これらの部品を縫合して製造される
が、図示のようにパネル柄を有する場合は、その
前身頃１の製造に多大な手間を必要としていた。
すなわち、前身頃１の上方の前開き部に前立て
２，３を設け、この前立て２，３の左方にＡ色の
編成部１ａを、また右方にＢ色の編成部１ｂを、
その上下にＣ色の編成部１ｃをそれぞれ配置する
場合、Ａ色の編成部１ａ、Ｂ色の編成部１ｂおよ
びＣ色の編成部１ｃをそれぞれ個別に編成し、裁
断して５種類の部品を作り、更にこれらを縫合し
なければならず、工数が増大すると共に、前身頃
１に多数の縫目線が表われるという欠点があつ
た。

一方、上記の前身頃１を１枚布で作ろうとすれ
ば、第２図に示すように、Ａ色編成部４ａ、Ｂ色
編成部４ｂおよびＣ色編成部４ｃからなるインタ
ーシヤ柄編地４を編成する必要がある。しかしな
がら、この場合は、Ａ色編成部４ａおよびＢ色編
成部４ｂを、それぞれＡ色糸条の表目およびＢ色
糸条の表目で形成すると共に、Ａ色編成部４ａに
おいてはＢ色糸条を、またＢ色編成部４ｂにおい
てはＡ色糸条をそれぞれウエルトし、かつ間欠的
に表面に引揃えて接結することにより、Ａ色編成
部４ａおよびＢ色編成部４ｂが境界部から分離す
るのを防止すると共に、裏面に隠される糸条の浮
きを短くして器物に引掛かるのを防いでいたの
で、Ａ色編成部４ａにＢ色糸条が、またＢ色編成
部４ｂにＡ色糸条がそれぞれ散点状に露出してＡ
色編成部４ａおよびＢ色編成部４ｂがそれぞれ濁
つた不鮮明な色調になり、またＡ色編成部４ａお
よびＢ色編成部４ｂがそれぞれＣ色編成部４ｃに
比べて厚地となり、更にＡ色編成部４ａおよびＢ
色編成部４ｂが裏面を這う糸条のために編地特有
の伸縮性を失なうという欠点があつた。

なお、家庭用の手動横編機においてはＡ色編成
部４ａおよびＢ色編成部４ｂの境界部で２種の糸
条を結び継ぎすることにより、またセータ編機の
ように12ゲージ以下の太番手用横編機においては
Ａ色編成部４ａではＡ色糸条を、またＢ色編成部
４ｂではＢ色糸条をそれぞれ左右に往復して編成
し、その境界部で２種の糸条を引揃えて共通のウ
エールを形成したり、２種の糸条で交互に編成し
て境界部を千鳥状に形成したりすることにより、
裏飛びのないインターシヤ柄編地を得ることが知
られているが、これらの方法は、いずれも単一の
ヤーンキヤリツジを左右に往復させて10番手未満
の太い糸条を粗く編成するための横編機では可能
であつても、５個以上の多数個の給糸口を有し、
10番手以上の細い糸条を密に編成するための14ゲ
ージ以上のハイゲージのシングル丸編機では採用
することができず、そのため前記のように身頃片
や袖片などの各部品を複数枚の編地の接合により
形成するか、または部分的に厚地となり色調が不
鮮明な編地を使用しなければならなかつた。

この発明は、第１図に示すようなパネル柄を有
するポロシヤツなど任意のインターシヤ柄を有す
るニツトウエアにおいて、これらの柄部分が縫合
によらずに得られ、しかも薄地であつて編地本来
の伸縮性を失なわないニツトウエアを提供するも
のである。

すなわちこの発明は、多数個の給糸口を備えた
14ゲージ以上のシングル丸編機に色、光沢、太さ
等の外観を異にする２種以上の糸条を供給してイ
ンターシヤ柄のシングル編地を編成する際に、一
種の糸条の表目からなる編成部の裏面に浮く他の
糸条を上記表目と編成させることなく上記編成部
の全ウエールにわたつて裏飛びさせると共に上記
編成部に隣接する数ウエールで該他の糸条以外の
糸条と交編することにより、一種の糸条の表目か
らなる編成部と他の一種の糸条の表目からなる編
成部との間に上記の交編による数ウエールの接結
部を形成し、次いで上記の裏飛び糸を切除し、し
かるのち得られた編地を身頃片に使用し上記接結
部を縦に裁断してこの部分に前開きを位置させる
ように縫合することを特徴とするニツトウエアの
製造法である。

以下にこの発明の実施例を図面によつて説明す
る。

第３図および第４図において、Ａ色糸条５ａが
表目を形成するＡ色編成部４ａとＢ色糸条５ｂが
表目を形成するＢ色編成部４ｂとの間にＡ色条糸
５ａおよびＢ色糸条５ｂで交編された４ウエール
の接結部４ｄを介在させる。換言すれば、Ａ色糸
条５ａおよびＢ色条糸５ｂを１コース交互に給糸
し、Ａ色糸条５ａが表目を形成するＡ色編成部４
ａにおいてはＢ色糸条５ｂをウエルトして全ウエ
ールに裏飛びさせ、このＢ色条糸５ｂを、次の右
方の接結部４ｄにおいてタツク、ニツト、ウエル
ト、ニツトの順に動作させ、しかるのち連続的に
ニツトしてＢ色編成部４ｂを形成する。一方、Ａ
色編成部４ａの表目を形成したＡ色糸条５ａは、
接結部５において左から右へニツト、ウエルト、
ニツト、タツクの順に動作させ、しかるのち連続
的にウエルトしてＢ編成部４ｂの裏面全ウエール
に裏飛びさせる。そして、上記のＡ色編成部４ａ
およびＢ色編成部４ｂを所定コース編成したの
ち、Ａ色糸条５ａおよびＢ色糸条５ｂをＣ色条糸
（図示されていない）に切替えて所定コースのＣ
色編成部４Ｃを編成し、再び切替えてＡ色編成部
４ａおよびＢ色編成部４ｂを編成し、以下これを
繰返し、所定長さの円筒状の編地を編成したのち
この編地を丸編機から切卸して切開き、シヤーリ
ング機に仕掛けてＡ色糸条５ａの裏飛び部５ｃお
よびＢ色条糸５ｂの裏飛び部５ｄを切除する。な
お、図中の点Ｐは切断部を示す。次いで、上記の
編地を所定の部品形状に裁断し、縫合して所望の
ニツトウエアとする。

得られたニツトウエアは、Ａ色編成部４ａがＡ
色条５ａのみによつて、またＢ色編成部４ｂがＢ
色糸条５ｂのみによつてそれぞれ表目を形成して
いるので、Ａ色編成部４ａの表面にＢ色糸条５ｂ
が露出することがなく、またＢ色編成部４ｂの表
面にＡ色糸条５ａが露出することがなくて鮮明な
色調が得られ、かつ双方とも一種の糸条の表目の
みからなる一重構造の薄地であつて編地本来の伸
縮性を保有している。また、Ａ色編成部４ａとＢ
色編成部４ｂとの間に４ウエールの接結部４ｄが
介在してＡ色糸条５ａおよびＢ色糸条５ｂを互い
に接結しているので、編地が左右に分離すること
がなく、この接結部４ｄにＡ色糸条４ａのみのウ
エールとＢ色糸条４ｂのみのウエールが並列され
るので細い縦じまが表われる。しかして、接結部
４ｄの中央を縦に裁断してこの部分にポロシヤツ
の前開きを位置させ（第１図参照）、Ａ色糸条５
ａおよびＢ色糸条５ｂの切断部Ｐを前立て２，３
でそれぞれ被覆すると共に、Ａ色編成部４ａおよ
びＢ色編成部４ｂの外側端部よりも内方に袖くり
線を位置させた場合は、Ａ色条糸５ａの切断部Ｐ
およびＢ色糸条５ｂの切断部Ｐがそれぞれ裏面に
露出されることなくその端部付近が縫糸で締付け
固定されるので、編地の強度がインターシヤ柄を
有しない編地と同様になる。

第５図は、上記実施例の接結部４ｄの組織を変
形した例である。すなわち、接結部４ｄを２ウエ
ールとし、この接結部４ｄをＡ色条糸５ａおよび
Ｂ色糸条５ｂの添え糸編みにより形成したもので
あり、この場合は、接結部４ｄの接結強力が強い
ので、接結部４ｄのウエール数を少なくすること
ができる。なお、２本の糸条５ａ，５ｂに張力差
を与えて一方の糸条を他方の糸条の下に隠すこと
により、完全リバーシブル組織となり、接結部の
たて縞が生じない。

上記の実施例において、ジヤカード柄出し装置
および色糸切替装置を備えたシングル丸編機を使
用することにより、所定コースの編成ごとにＡ色
糸条５ａおよびＢ色糸条５ｂを交換して昼夜模様
を形成することができる。また、接結部４ｄを傾
斜させたり、湾曲させたりしてもよく、またＡ色
糸条５ａを地糸とし、Ｂ色糸条５ｂを柄糸として
任意の模様を形成することができる。また、上記
の実施例および変形例は、いずれも２種の糸条５
ａ，５ｂを用いた例であるが、３種以上の糸条を
使用してもよい。なお、接結部４ｄのウエール数
を増減できることはもちろんである。

以上に説明したようにこの発明は、インターシ
ヤ柄の編地を編成する際に、一種の糸条の表目で
形成された編成部の裏面に他の糸条を全ウエール
にまたがつて裏飛びさせ、編成後に裏飛び糸を切
除し、得られたインターシヤ柄の編地によつてニ
ツトウエアを製造するものであるから、10番手以
上の細い糸条からなる14ゲージ以上の高密度の編
地からなるニツトウエアにおいても第１図に示す
ようなパネル柄を有するポロシヤツの前身頃を継
ぎ目のない一枚布で作ることができ、縫製工程が
従来に比べて簡略化され、しかも全体を同じ厚さ
の均一組織に形成され、かつ編地本来の伸縮性を
失なわないニツトウエアが得られる。しかも、編
成部の裏面で裏飛びさせた上記他の糸条を、編成
部の隣接部において上記他の糸条以外の糸条と交
編して数ウエールの接結部を形成するので、14ゲ
ージ以上のち密な組織であることと相まち、上記
裏飛び糸を切除したとき編地にランの生じること
がなく、以後の裁断、縫合に際して取扱いが容易
である。なお、設計によつて他のパネル柄のポロ
シヤツ、スポーツシヤツおよびその他のシヤツ、
パンツ等が得られることはもちろんである。

【図面の簡単な説明】

第１図はポロシヤツの正面図、第２図は編地の
平面図、第３図はこの発明の実施例の編地要部の
裏面図、第４図は第３図の断面図、第５図は変形
例の編地の裏面図である。 １：前身頃、１ａ，１ｂ，１ｃ，４ａ，４ｂ，
４ｃ：編成部、４ｄ：接結部、５ａ，５ｂ：糸
条、５ｃ，５ｄ：裏飛び部、Ｐ：切断部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多数個の給糸口を備えた14ゲージ以上のシン
   グル丸編機に色、光沢、太さ等の外観を異にする
   ２種以上の糸条を供給してインターシヤ柄のシン
   グル編地を編成する際に、一種の糸条の表目から
   なる編成部の裏面に浮く他の糸条を上記表目と編
   成させることなく上記編成部の全ウエールにわた
   つて裏飛びさせると共に上記編成部に隣接する数
   ウエールで該他の糸条以外の糸条と交編すること
   により、一種の糸条の表目からなる編成部と他の
   一種の糸条の表目からなる編成部との間に上記の
   交編による数ウエールの接結部を形成し、次いで
   上記の裏飛び糸を切除し、しかるのち得られた編
   地を身頃片に使用し上記接結部を縦に裁断してこ
   の部分に前開きを位置させるように縫合すること
   を特徴とするニツトウエアの製造法。 ２ 裏飛び糸の切断部を縫目線の外方に位置させ
   る特許請求の範囲第１項記載のニツトウエアの製
   造法。