JPH0319206Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の背景と目的〕 本考案は、避雷器の改良に関する。

従来、避雷器としては抵抗形、弁形、弁抵抗形
あるいは放出形等があるが、一般的には直列ギヤ
ツプと特性要素または酸化亜鉛抵抗素子等を碍管
に収納した構造からなり、直列ギヤツプは異状電
圧を電路に受けた場合、これを避雷導線及び接地
電極を介して放電し、放電電流を制限する要素と
ともに続流を遮断する機能を持つものである。

また、酸化亜鉛素子は前記のようにして放電し
た異状電圧のみを大地に放電する抵抗素子として
用いられる。

しかしながら、避雷器の各々の部品には、放電
電流に対して自ずと限界があり、放電能力以上と
なつた場合には、閃絡破壊を生じ、さらに内圧と
のアーク熱により、収納容器である碍管を飛散さ
せて周囲に危害を与える問題がある。

また、避雷器が大地に対して導通状態のままで
あると、地絡状態を継続し、再送電ができない問
題もある。

本考案は、碍管のように破損による周囲への危
害を与える問題を解消しなお且つ所定の切離し機
能を持つた避雷器を提供することに目的をおいた
ものである。

〔考案の概要〕

即ち、本考案の避雷器は、酸化亜鉛抵抗素子
と、これを納めた収納筒と、前記酸化亜鉛素子の
上下に接続されるとともに前記収納筒の上下に蓋
設され而も一方において切離し可能に設けられた
上下金具と、上下金具各々に接続されたリード線
と、リード線の端末及び前記上下金具並びに収納
筒を被覆するようにモールド成形されたゴム製収
納容器とを備え、該ゴム製収納容器には、切離し
可能にされた前記一方側金具の近傍の外面から切
り込まれた切欠部を設けるとともに該切欠部と前
記切離し可能な金具との間で切欠残部を形成して
あることを特徴とする。

上記のようにした避雷器において、いま異状電
圧が加わつて収納筒内に内圧がが加わつた場合に
は、該収納筒に対して切り離し可能に蓋設された
一方の金具が当該収納筒から離脱するように内圧
を受けるので、当該一方の金具に隣接し弱点部分
となる切欠残部が剪断応力を集中的に受けて破断
し、該破断部から内圧が放出される。この破断に
より、切離し可能にされた当該一方の金具及びこ
れに接続されたリード線が線路に対して切離され
る。

ゴム製収納容器としては、天然ゴム（加流）、
合成ゴムともに使用でき、絶縁耐力の面では天然
ゴム、ブチルゴムが優れ、比誘電率では、ニトリ
ルゴム、ネオプレンゴムが適合する。耐熱性にお
いてはシリコンゴムが断然優れ、耐日光性ではネ
オプレンゴム、ブチルゴムが秀でている。

〔実施例〕

第１図は、本考案に係る避雷器の好ましい一実
施例を縦断面によつて示している。

強度を高める目的で備えられる絶縁物製の収納
筒２は、その上端において金具６がリベツト等で
一体的に固定して蓋設され、内部には酸化亜鉛抵
抗素子３を収納している。酸化亜鉛抵抗素子３上
端はバネ４を介して上部金具６に電気的に接続し
てある。５はかかる酸化亜鉛抵抗素子３を収納筒
２内から抜け出さないように固定するピンであ
る。また、７はかかる上部金具に一端を接続した
線路側のリード線である。

８は、下部金具にして、収納筒２の下端を切り
離し可能な状態で蓋設されて酸化亜鉛抵抗素子３
の下端に電気的に接続してある。９はかかる下部
金具８に一端を接続したアース側のリード線であ
る。

さて、これら全体を覆うゴム製収納容器１は、
線路側とアース側の両リード線７，９の端末から
その間の全てつまり、上下金具６，８の外表面及
び収納筒２の外表面を被覆するようにモールド成
形されていて、下部金具８の近傍の外面から切り
込まれた切欠部１０を設けてなり、収納筒２内に
アーク等により内圧が加わつて下部金具８が切り
離されようとするとき、容易に剪断される弱点部
つまり切欠残部Ｃを有せしめる。

切欠部１０の巾は、アース側リード線９を屈曲
したときに切欠残部Ｃに異状応力として外力が集
中し過ぎないように小さめに形成することが望ま
しい。例えばアース側リード線９を曲げた際に切
欠部１０の巾があまり広いと切欠面Ａ，Ｂが接触
するまでに切欠残部Ｃに加わる応力が許容値以上
になるとＣ部が切れてしまい、気密性が落ちてエ
レメントの吸湿を惹起し、避雷器の劣化が早まる
ことになる。

上記のようにして、下部金具８が収納筒２から
切り離され且つ切欠残部Ｃが切断されたときに
は、収納筒２の下側から内圧が放出され、その後
は下部金具８とアース側のリード線９が収納容器
本体１から切り離されるため、配電線の地絡状態
が絶たれ、線路が復旧できる。

第２図は、上記のようにして構成した避雷器の
使用状態を示している。

〔考案の効果〕

従来の避雷器は、エレメントを碍管に収納して
いたため、内圧が加わつて破損した場合の周囲へ
の危害が大きくなりがちであつたが、本考案の絶
縁ゴムのモールドによる収納容器によれば、その
ような周囲への危害波及の問題を解消することが
できる。近年、絶縁ゴムの材質も大いに向上して
おり、屋外の使用に充分耐えられるものである。

例えばブチルゴムは、使用温度において−60〜
150℃に耐え、耐日光性もきわめて大で、絶縁体
力においては30〜50KV／mmと大きく、ネオプレ
ンゴムも使用温度で150℃まで耐えられ、耐日光
性もきわめて大で、絶縁体力においても20〜
40KV／mmと優れており、それらに準じて、
SBR、ニトリルゴム、シリコンゴムと続き、シ
リコンゴムは特に耐熱性の点で優れていて250℃
まで耐えられる。

そして、本考案は、絶縁ゴム製収納容器におい
て、切り離し可能とされた金具の近傍に切欠部を
設けて容易に破断可能な切欠残部を形成している
ため、配電線の地絡状態を絶つことができる。

等、絶縁ゴムを避雷器の部品として用いたことに
よるトラブルを解消でき、能力以上の通電時の破
損に対する二次的なトラブルも完全に抑えること
ができ、実用上の効果は大きいものといえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる避雷器の好ましい一実
施例を示す縦断面説明図であり、第２図は同避雷
器の使用状態を示す斜視説明図である。 符号において、１は絶縁ゴム製の収納容器、２
は収納筒、３は酸化亜鉛抵抗素子、４はバネ、５
はピン、６は上部金具、７は線路側のリード線、
８は下部金具、９はアース側のリード線、１０は
切欠部、Ｃは切欠残部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 酸化亜鉛抵抗素子と、これを納めた収納筒と、
   前記酸化亜鉛素子の上下に接続されるとともに前
   記収納筒の上下に蓋設され而も一方において切離
   し可能に設けられた上下金具と、上下金具各々に
   接続されたリード線と、リード線の端末及び前記
   上下金具並びに収納筒を被覆するようにモールド
   成形されたゴム製収納容器とを備え、該ゴム製収
   納容器には、切離し可能にされた前記一方側金具
   の近傍の外面から切り込まれた切欠部を設けると
   ともに該切欠部と前記切離し可能な金具との間で
   切欠残部を形成してあることを特徴とする切り離
   し装置を有する避雷器の構造。