JPH0319016B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はワイヤカツト放電加工機に関するも
のであり、特にワイヤ電極と被加工物との間に形
成される間隙に加工液を供給しながら該間隙で放
電を発生させて被加工物の加工を行うワイヤカツ
ト放電加工機に関するものである。

〔従来の技術〕

ワイヤカツト放電加工は、細いワイヤ（通常直
径0.05mm〜0.25mm）を電極として、このワイヤに
テンシヨン（引張力）を掛けた状態で、ワイヤを
送給させながら被加工物と電極であるワイヤとの
間で放電を発生させ、この放電エネルギにより被
加工物の加工を行うものであり、この加工方法に
よれば、被加工物を所望の形状に高精度で切断
し、あるいは所望の抜型を高精度で形成すること
ができる。

ワイヤカツト放電加工機として、従来より第１
図で示される加工機が使用されている。

第１図において、XYテーブル１０は周知の被
加工物載置用テーブルであり、直交２辺に螺合さ
れた送りねじ棒１２ａ，１２ｂを駆動モータ１４
ａ，１４ｂで選択的に駆動することによりＸ軸方
向及びＹ軸方向に移動可能に構成されている。上
記XYテーブル１０に載置する被加工物１６に
は、予めドリル加工などによつてワイヤ電極を通
すための初孔１６ａが形成されている。

そして、送り出しリール（図示せず）から送り
出されたワイヤ電極１８は、ローラ（図示せず）
及び上部ワイヤガイド２０を経て初孔１６ａに貫
通された後、下部ワイヤガイド２２及びローラ２
４を経て巻取リール２６に巻取られる。更に、加
工用電源（図示せず）から給電板２８を介してワ
イヤ電極１８に給電が行われ、被加工物１６とワ
イヤ電極１８との間に所望の加工電圧が印加され
る。

第２図には下部ワイヤガイド２２の断面が示さ
れ、図においてダイスホルダ３０にはダイス３２
が収納され、該ダイス３２はダイスホルダ３０の
下部に設けられたダイス押え３４にて固定されて
いる。そして、ワイヤ電極１８は上下のワイヤガ
イド２０，２２のダイス３２に形成されたダイヤ
モンドダイス部３６によりガイドされ、その供給
方向が定められる。

そして、被加工物１６とワイヤ電極１８との間
に形成される間隙３８には、加工液供給装置４０
により加工液４２が供給されるが、この加工液４
２は間隙３８で放電した際に発生する熱エネルギ
の冷却を行い、また加工中に発生する加工屑の排
除を行う役割を有している。加工液供給装置４０
はダイスホルダ３０に形成された加工液供給路４
４を有し、更にダイスホルダ３０の周りには、間
隙３８に加工液４２を噴出させるためのノズル４
６が設けられている。また、ダイス押え３４には
ノズル４６内の加工液４２の一部を排出する加工
液排出路４８が形成されている。そして、加工液
供給装置４０は供給ポンプ（図示せず）を有し、
この供給ポンプにて供給された加工液４２は加工
液供給路４４を通つてノズル４６から間隙３８に
噴出されるとともに、ノズル４６内の加工液４２
の一部は加工液排出路４８及びダイヤモンドダイ
ス部３６を通つて排出される。

そして、放電加工中には被加工物１６及びワイ
ヤ電極１８の材質が混合した数μm〜数十μmの微
粒子状の加工屑が発生し、これが放電の妨げとな
つたり、短絡事故などの原因となつたりする。通
常、加工屑はノズル４６から噴出される加工液４
２により取除かれ、間隙３８に供給された後の加
工液４２には加工屑が含まれている。一般に、加
工液４２は繰返し使用されるので、加工屑を含む
加工液４２を再び間隙３８に供給したのでは、加
工液４２の機能を充分に発揮することができな
い。このため、放電加工機には加工液過装置５
０（第３図参照）が設けられ、間隙３８に供給さ
れた後の加工屑を含む加工液４２はこの加工液
過装置５０により過され、加工液供給装置４０
に返還される。すなわち、第１図で示されるよう
にXYテーブル１０の下方には加工液受け５２が
設置され、間隙３８に供給された後の加工屑を含
む加工液４２は、加工液受け５２の下部に設けら
れた排液パイプ５４を通つて、第３図で示される
加工液槽５６内に排出される。加工液槽５６の上
部には加工液過装置５０が設置され、過装置
５０には一端が加工液槽５６内の加工液４２に浸
漬する吸入パイプ５８が取付けられ、更に加工屑
を含まない加工液４２を加工液供給路４４に供給
するための供給パイプ６０が取付けられている。
従つて、加工液槽５６内の加工屑を含む加工液４
２は加工液過装置５０により過され、加工屑
の含まない加工液４２が加工液供給装置４０に返
還されることとなる。

しかしながら、このように構成されたワイヤカ
ツト放電加工機を用いた従来のワイヤカツト放電
加工方法においては、ワイヤ電極１８の断線時、
加工の一時停止時、加工の終了時などの加工停止
時に、加工電源とともに加工液供給装置４０及び
加工液過装置５０を直ちに停止するようにして
いたので、次のような問題があつた。すなわち、
加工停止時において加工液４２の供給が直ちに停
止されると、加工屑を含む加工液４２が各ワイヤ
ガイド２０，２２のダイス３２に付着し、この状
態で水分がなくなれば加工屑のみがダイヤモンド
ダイス部３６に付着凝固することとなる。この結
果、加工再開時においてワイヤ電極１８のガイド
位置にずれが生じ、加工精度が悪くなるという欠
点があつた。しかも、このように付着凝固した加
工屑を取除くことは非常に困難であり、清掃に多
大な時間を要するという欠点があつた。

〔発明の目的〕

この発明は、上述した従来の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的は、加工屑の清掃を自動
的に行うことにより加工停止に伴う各ワイヤガイ
ドへの加工屑付着による加工精度の低下を防止す
ることができるワイヤカツト放電加工方法を提供
することにある。

〔発明の構成〕

本発明は上記目的を達成するために、ワイヤ電
極と被加工物との間に形成される間隙に加工液を
供給しながら該間隙で放電を発生させて被加工物
の加工を行うワイヤカツト放電加工機において、
前記間隙に近接配置されたワイヤ電極をガイドす
る一対のワイヤガイドであつて、中央のダイス、
このダイスを収納するダイスホルダ、このダイス
ホルダの下部に設けられ上記ダイスを固定するダ
イス押え、上記ダイスホルダの周りに設けられ上
記間隙に加工液を噴出させるノズルから成り、加
工液過装置からの過された加工液の供給路が
接続されて加工液が上記ノズルから上記間隙に噴
出されるとともに上記ノズル内の加工液の一部は
上記ダイスを通つて排出され上記ダイスを清掃す
るワイヤガイドと、過された加工液を上記間隙
に供給する加工液供給装置と、上記間隙に供給さ
れた後の加工屑を含む加工液を過して上記加工
液供給装置に返還する加工液過装置とを備え、
ワイヤ電極断線時、加工一時停止時、加工終了時
などの加工停止時に加工屑の取除きに必要な時間
だけ上記加工液供給装置及び加工液過装置を続
けて作動させ過された加工液を上記間隙に供給
し続けることを特徴とする。

〔実施例〕

以下、この発明の好適な実施例について説明す
る。

この発明の実施例に用いられるワイヤカツト放
電加工機は、第１図〜第３図に示されるものと実
質的に同一である。

この実施例では、加工液供給装置４０及び加工
液過装置５０を、ワイヤ電極断線時、加工一時
停止時、加工終了時などの加工停止時に所定の時
間作動させ、加工停止後所定の時間だけ過され
た加工液４２を間隙３８に供給し続けるようにし
た。すなわち、加工停止に伴い加工電源の供給、
ワイヤ電極１８の供給などは直ちに停止される
が、この時加工液４２には加工屑が含まれている
ので、加工液４２がダイス３２のダイヤモンドダ
イス部３６を通つて加工液排出路４８から排出さ
れる際に、加工屑がダイヤモンドダイス部３６に
付着する。このように、加工屑がダイヤモンドダ
イス部３６に付着した状態で水分がなくなると、
加工屑が凝固し、これを取除くことは極めて困難
となる。そこで、この実施例では、加工停止後所
定の時間だけ過された加工液４２を間隙３８に
供給し続けるようにしたものである。この結果、
被加工物１６の加工面及び上下の各ワイヤガイド
２０，２２のダイス３２のダイヤモンドダイス部
３６に付着した加工屑は過された加工液４２に
より自動的に取除かれ、加工液４２とともに加工
液受け５２に排出される。従つて、加工停止後に
おける加工液供給装置４０及び加工液過装置５
０の駆動時間は、加工屑の取除きに必要な時間に
設定され、所定の駆動時間経過後にこれら加工液
供給装置４０及び加工液過装置５０の停止が行
われる。

このように、この実施例においては、加工停止
後所定の時間だけ過された加工液４２を間隙３
８に供給し続けるようにしたので、被加工物１６
の加工面に付着した加工屑のみならずダイス３２
のダイヤモンドダイス部３６に付着した加工屑を
も自動的に取除くことができ、この結果、加工再
開時におけるワイヤ電極１８のガイド位置を最適
位置に設定することができ、高い加工精度を維持
することができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、加工停
止後所定の時間だけ過された加工液を間隙に供
給し続けるようにしたので、該加工液によりワイ
ヤガイドの清掃を自動的に行うことができ、加工
停止に伴う各ワイヤガイドへの加工屑付着による
加工精度の低下を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来より使用されているワイヤカツ
ト放電加工機の一例を示す構成図、第２図は第１
図で示される下部ワイヤガイドの構成を示す要部
断面図、第３図は加工液過装置の設置状態を示
す外観図である。 各図中同一部材には同一符号を付して、１６は
被加工物、１８はワイヤ電極、２０は上部ワイヤ
ガイド、２２は下部ワイヤガイド、３２はダイ
ス、３６はダイヤモンドダイス部、３８は間隙、
４０は加工液供給装置、４２は加工液、５０は加
工液過装置である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ワイヤ電極と被加工物との間に形成される間
   隙に加工液を供給しながら該間隙で放電を発生さ
   せて被加工物の加工を行うワイヤカツト放電加工
   機において、前記間隙に近接配置されワイヤ電極
   をガイドする一対のワイヤガイドであつて、中央
   のダイス、このダイスを収納するダイスホルダ、
   このダイスホルダの下部に設けられ上記ダイスを
   固定するダイス押え、上記ダイスホルダの周りに
   設けられ上記間隙に加工液を噴出させるノズルか
   ら成り、加工液過装置からの過された加工液
   の供給路が接続されて加工液が上記ノズルから上
   記間隙に噴出されるとともに上記ノズル内の加工
   液の一部は上記ダイスを通つて排出され上記ダイ
   スを清掃するワイヤガイドと、過された加工液
   を上記間隙に供給する加工液供給装置と、上記間
   隙に供給された後の加工屑を含む加工液を過し
   て上記加工液供給装置に返還する加工液過装置
   とを備え、ワイヤ電極断線時、加工一時停止時、
   加工終了時などの加工停止時に加工屑の取除きに
   必要な時間だけ上記加工液供給装置及び加工液
   過装置を続けて作動させ過された加工液を上記
   間隙に供給し続けるワイヤカツト放電加工機。