JPH0318044B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は締付装置、特に、所定の締付力を正
確に付与し得る締付装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来この種の装置としては、トルクレンチによ
り所定トルクにより締め付けるもの、ブレークア
ウエイボルトにより締付け時のトルクが所定トル
クになつた場合には捩じ切り用の頭部が捩じ切ら
れるもの、ナツトの締付をラチエツト装置と弾性
体を介して行うもの（実開昭51−41064号公報参
照）、ボルトに所定の引張応力が発生させてナツ
ト締めするボルトテンシヨナによるもの、又は、
ボルトに所定の引張応力が発生した時キヤツプが
空転しなくなるロータボルトによるもの等があ
り、これらを用いて、所定の締付力を与えるよう
にしていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の締付装置としては上記のようなものが用
いられていたが、これらは、いずれも、次に示す
ような問題点を有していた。

まず、トルクレンチによるものにあつては、回
転トルクと締付力（ボルト等の締込みによるボル
トの軸部に生ずる引張応力）との相関にばらつき
が大きく、トルクを規制しても締付力の誤差が大
きく、しかも、この場合はトルクレンチを携行し
なければならないという問題点があつた。

ブレークアウエイボルトにあつては、トルク規
制による締付力の誤差は上記トルクレンチによる
ものと同様に誤差が大きく、しかも、トルク規制
用の頭部が破断した後のボルトの再使用はできな
いという問題点を有している。

ナツトの締付をラチエツト装置と弾性体を介し
て行うものにあつては、特定のトルクレンチの携
行やボルトの再使用ができないという問題は解決
しているけれども、一定軸力による締付でないの
で、やはり締付け後の締付力には大きなバラツキ
が生じるという問題点を有している。

また、ボルトテンシヨナにあつては、重いボル
トテンシヨナを携行し、締付けの度に使用しなけ
ればならず、しかも、ボルトテンシヨナのセツト
スペースを要し、更には、ボルトのねじ先に測定
点となる突部を設けなければならないという問題
点を有している。

更に、ロータボルトにあつては、締め過ぎに対
する規制が不可能で、しかも、ボルトの弾性歪を
引張応力検出に利用しているので、検出精度の関
係から、ボルト軸部にある程度以上の長さを要求
されるという問題点を有していた。

この発明は、上記の問題点を解決するためにな
されたものであつて、特殊な工具を必要とせずか
つ度重なる取付け、取外しに際しても締付力は変
化せず、しかも、所定の締付力が正確に得られる
締付装置を得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る締付装置は、被締付部材に締付
部材を締め付ける締付装置が、弾性部材と、上記
弾性部材を貫通するとともにその一端を支承して
いるラチエツト装置の一方のラチエツトが一端に
固着されており他端において締付部材を貫通して
被締付部材に結合されている締付ボルトと、一端
にラチエツト装置の他方のラチエツトを有すると
ともに回動手段を有するラチエツト部材とを有し
ている。

〔作用〕

この発明は、上記のように構成されているの
で、これらを被締付部材および締付部材に取り付
けた後、ラチエツト部材を締付ボルトがねじ込ま
れる方向に回すと、ラチエツト装置は係合したま
ま回転して締付ボルトを被締付部材にねじ込み、
やがて弾性部材を圧縮する。この圧縮の進行によ
つて遂にはラチエツト装置が空転する。そのとき
の弾性部材の圧縮量はラチエツト装置のラチエツ
ト歯の高さに等しい。従つて、この圧縮量による
圧縮力が締付力としてラチエツト装置、ハウジン
グを介して締付部材に常に等しく加えられる。

〔実施例〕

以下、この発明をその一実施例を示す図面に基
づいて説明する。

第１図において、符号１は締付部材、２は被締
付部材である。

３は締付ボルトであつて、その一端にはラチエ
ツト装置４の一方のラチエツト４ａが固着して設
けられており、他端には被締付部材２にねじ係合
するねじ部３ａが形成されている。

５は締付部材１上に直接又は座金を介して載置
されるとともに締付ボルト３の軸部が貫通してい
る弾性部材例えば１個又は２個以上組み合わされ
ている皿ばねであつて、締付部材１に対して反対
側の端部は座金６を介して又は直接に締付ボルト
３に設けられている一方のラチエツト４ａに当接
するようになつている。

７は一端にラチエツト装置４の他方のラチエツ
ト４ｂを有し、他端に回動手段例えば六角頭部７
ａを有するラチエツト部材である。

８は皿ばね５、締付ねじ３の頭部およびラチエ
ツト部材７を内包するとともに、ラチエツト部材
７の六角頭部７ａを突出させる穴部８ａを一端に
有し、かつ、締付部材１に結合、例えば、締付部
材１に形成のねじ部１ａに螺合するねじ部８ｂを
有するハウジングであり、その肩部８ｃとラチエ
ツト部材７のラチエツト４ｂとの間には座金９お
よび副弾性部材１０例えばコイルばねを介装して
いる。なお、この副弾性部材１０は、ラチエツト
４ｂの遊びをなくすとともに、締付装置を緩める
時、ラチエツトの噛み合いを維持するもので、弾
性部材５の弾性力に比して殆ど無視できる程度の
弾性を有するものである。また、１１は締付部材
１とハウジング８との回止め用ピンである。

この発明は上記なように構成されているが、こ
の組立は次のようになされる。

締付部材１上に弾性部材５、座金６、締付ボル
ト３、ラチエツト部材７、座金９およびコイルば
ね１０をこの順序に組み合わせて載置した後、締
付ボルト３を被締付部材２上に若干ねじ込み、こ
れを覆うようにハウジング８を被せて、締付部材
１のねじ部１ａにハウジング８のねじ部８ｂをね
じ込み、各部材間のガタツキがなくなるまで締め
込んだ状態で、締付部材１とハウジング８とをピ
ン１１により固定する。

次にこの作用について説明する。

(1) まず、締付ボルト３を被締付部材２にねじ込
む。

(2) 六角頭部７ａをねじ込む方向に廻して行く
と、ラチエツト４ａと４ｂとはラチエツト歯の
引つ掛かりにより回転方向に一体となつている
ので、当初は、ラチエツト部材７と締付ボルト
３とは一体になつて回転する。

(3) 圧縮されて弾性部材５にたわみが生じると、
そのたわみ分だけ、ラチエツト装置４のラチエ
ツト歯の噛み合わせ部にズレを生じる。

(4) 更に締め込んで行くと、遂には弾性部材５の
たわみがラチエツト歯の歯高Ｈに等しくなり、
この時点で、ラチエツト部材７は締付ボルト３
に対して空転する。

(5) 更にラチエツト部材７を回転させても、ラチ
エツト部材７は締付ボルト３に対して空転する
のみで、それ以上締付ボルト３が被締付部材２
に対してねじ込まれることはない。（この時、
ラチエツト４ａと４ｂとは噛み合いながら空転
するので、歯を乗り越える時、発音すると共に
ラチエツト部材７の頭部が上下する。） (6) ラチエツト部材７が空転した時点で、締付ボ
ルト３には弾性部材５のたわみＨによつて生ず
る弾性によつて締付軸力が発生する。

なお、取り外す場合には、ラチエツト部材７
を逆に廻せばよい。

なお、上記実施例では、ハウジング８を取り付
ける相手方を締付部材１に一体に設けたねじ部１
ａとしたが、これに限らず、第２図に示すよう
に、上部にハウジング８のねじ部８ｂに螺合する
ねじ部２１が形成されているカラーを締付部材１
にねじ又は圧入若しくは溶接等によつて固着して
設けてもよく、あるいは、他の手段例えばフツク
等の手段によつてハウジング８を締付部材１に取
り付け固定するようにしても良い。

〔発明の効果〕 この発明は、上記のように、弾性部材の圧縮量
と等しい歯高さを有するラチエツト装置を介して
締め付けるように構成しているので、次に示すよ
うな効果を有する締付装置が得られる効果を有し
ている。

(1) 締付け後の締付軸力が一定となる。

(2) 締付完了状態が容易にわかる。（空転、発音、
ラチエツト部材の上下運動により） (3) 弾性部材の弾性効果により、締付け後の締付
軸力の経時変化が低減される。

(4) 締付後の保守点検は、ラチエツト部材を廻し
てみるだけで済み、容易である。

(5) 特殊工具を必要としない。

(6) 作業を通じて、分離するものがない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の縦断面図、第２
図は第１図の締付部材１の他の例の断面図であ
る。 １……締付部材、２……被締付部材、３……締
付ボルト、４……ラチエツト装置、４ａ，４ｂ…
…ラチエツト、５……弾性部材（皿ばね）、７…
…クラツチ部材、７ａ……回動手段（六角頭部）、
８……ハウジング、８ａ……穴部、１０……副弾
性部材（コイルばね）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被締付部材に締付部材を締め付ける締付装置
   が、弾性部材と、上記弾性部材を貫通するととも
   にその一端を支承しているラチエツト装置の一方
   のラチエツトが一端に固着されており他端におい
   て締付部材を貫通して被締付部材に結合されてい
   る締付ボルトと、一端にラチエツト装置の他方の
   ラチエツトを有するとともに回動手段を有するラ
   チエツト部材とを有していることを特徴とする締
   付装置。