JPH0317032Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は玄関に設けられる下駄箱付き出窓に関
するものである。

〔従来の技術〕

従来、各部材を工場で製作し、これらの部材を
組立てて建築現場に運び、または建築現場で組立
てて建屋に取付ける組立式の出窓、およびこのよ
うな出窓を建物の玄関などの出入口部に設けるこ
とは公知である。しかし、従来のこの種の出窓に
は下駄箱を一体化したものはなく、例えば特開昭
57−36270号公報に示すように、出窓本体の下に
地袋部を設けているにすぎない。

そして、下駄箱は、通常、建屋の建築時に内装
工事として施工するか、あるいは予め完成した既
製品の下駄箱を玄関のコンクリート床などの土間
に設置するかのいずれかであつた。さらに、この
ような下駄箱として実開昭53−13630号公報に示
すように、底部に水抜きを有する傘立て部を設け
たものもあつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、従来の内装工事として施工する下駄箱
は建築現場で多くの手数を要し、かつ工期も長く
かかるよいう問題点があり、また土間に設置する
下駄箱は玄関などの建屋外方に張出すことができ
ないので、玄関の有効床面積を狭くし、かつこの
ため大きな下駄箱を置くことはできないという問
題点があつた。さらに、玄関の床に設置する下駄
箱として傘立て部を有するものがあるが、この下
駄箱では、傘立て部の底に水抜きを設け、この水
抜きにホースを接続し、玄関壁などに設けた水抜
き孔からホースを建屋外に導く必要があり、設置
に手数を要する上に、ホースが見え体裁がよくな
いこともあるという問題点があつた。そして、こ
れらの問題点は、出窓本体の下部に設けた地袋部
を単に下駄箱としただけでは解決できない。

本考案は、前述した問題点を解決して、建築現
場で手数を要することなく短時間で建屋に取付け
ることができ、しかも下駄箱の奥行方向の一部を
建屋外側に突出させて、玄関の有効床面積を狭く
することを防止でき、さらに、設置状態での屋外
への排水が容易に、かつ体裁よくできる傘立て部
を前記下駄箱に組込んで、体裁よく玄関に設けら
れる上に、下駄箱の履物収納部を大きく開くこと
ができるようにした下駄箱付き組立式出窓を簡単
な構造で安価に提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による下駄箱付き玄関用出窓は、組立式
の出窓本体の下方に、履物収納部とこの収納部の
間口方向の側方に配置した傘立て部とを有する出
窓本体と下駄箱とを一体にしたものを一体に設
け、この下駄箱の奥行方向の一部を建屋外側に突
出させ、前記出窓本体の地板と前記下駄箱の履物
収納部および傘立て部に共通する天板とを兼用さ
せ、この天板の傘立て部建屋内側部分の位置に傘
入れ用開口を形成し、傘立て部の底の建屋外側部
分に水抜きを開口させ、さらに前記傘立て部の正
面板より屋内側に前記履物収納部の間口方向寸法
の1/2より若干大きい幅寸法を持ち履物収納部を
開閉する２枚の引違い戸を配設したものである。

〔作用〕

本考案の下駄箱付き玄関用出窓は、出窓本体の
下方に傘立て部付きの下駄箱を一体に設けたの
で、これらを一体に建屋に取付けることができ、
手数を要することなく、短時間で容易に取付ける
ことができ、前記下駄箱の奥行方向の一部を建屋
外側に突出させたので、建屋内の玄関の有効床面
積を狭くすることが少ない。そしてとくに、本考
案は、下駄箱の履物収納部の間口方向の側方に傘
立て部を並べて設けたので、傘立て部も奥行方向
の一部が建屋外側に突出し、玄関の傘立て用スペ
ースが小さくてすみ、体裁もよくなる上に、傘立
て部の底の建屋外部分に水抜きを設けたので、傘
立て部の底からの屋外への排水が容易にでき、玄
関内にホースなどが玄関内に見えず体裁がよい。
さらに、本考案は、出窓本体の地板と下駄箱の履
物収納部および傘立て部に共通する天板とを兼用
させると共に、この天板に傘入れ用開口を設けた
ので、傘立て部を有する下駄箱が簡単な構造で得
られる。そして、本考案は、傘立て部の正面板よ
り屋内側に履物収納部の２枚の引違い戸を配設し
たので、これらを２枚重ねて前記正面板の屋内側
に位置させて、履物収納部の開口部を大きく開く
ようにすることができ、履物収納部の清掃などに
便利である。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例につき図面を参照して
説明する。

第１図乃至第６図において、１は出窓本体、２
は収納体である下駄箱であり、これらは各部材が
工場で製作される組立式のものである。前記出窓
本体１は建屋外側の方立３，３と竪枠４，４が平
面長方形状に配設され、方立３，３間に上枠５お
よび下枠６が架設され、方立３，３と竪枠４，４
の間にそれぞれ袖部上枠７および袖部下枠８が架
設されている。上枠５と屋根９が固定され、地板
１０に下枠６と袖部下枠８が固定され、前記地板
１０が下駄箱２の天板を兼ね、出窓本体１の下方
に下駄箱２が一体に設けられている。前記出窓本
体１の方立３，３、上枠５、下枠６で形成された
窓枠には、開閉可能な引違いガラス障子１１と、
これらの建屋外側に配置し、かつ引違いガラス障
子１１と平行移動可能な１枚の網戸１２とが装着
されている。前記方立３、竪枠４、袖部上枠７お
よび袖部下枠８で囲まれた部分にガラス板が張設
されて左、右嵌殺し袖部窓１３が装着されてい
る。さらに、地板１０と屋根９の間には屋根９に
近接して天板１４が配設されている。そして、出
窓本体１と下駄箱２の建屋外側面がそれぞれほぼ
等しい突出量で建屋外方に突出し、かつ下駄箱２
の奥行方向寸法のほぼ1/2が建屋外壁１５ら建屋
外方に突出して下駄箱２の底が建屋の土台１６に
載架固定されている。

前記下駄箱２は、第１図乃至第４図および第６
図に示すように、出窓本体１と等しい間口（幅）
寸法方向になつている。また、下駄箱２は、出窓
本体１の地板１０を兼ねた天板と背面板１７と
左、右側板１８と底板１９とで屋内側が開口した
直方体状に構成され、背面板１７、両側板１８の
建屋外に突出した部分は合板などで外壁コンクリ
ートの施工や塗装ができるように構成され、天
板、両側板１８、底板１９の建屋内に位置する部
分の表面は、適宜の仕上げが施され、または施し
得るように構成されている。

前記下駄箱２内は、間口方向に、中央部に位置
する履物収納部２０と、一端部に位置し主として
乾いた状態の傘を入れる傘収納部２１と、他端部
に位置し雨等で濡れている状態の傘を収納する傘
立て部２２の三部分に仕切板３０，３１で仕切ら
れている。履物収納部２０の建屋内側開口部に
は、この収納部２０の間口方向寸法の1/2より若
干大きい幅寸法の引違い戸２３が開閉可能に装着
され、傘収納部２１の建屋内側開口部は開き戸２
４によつて開放可能に覆われている。また傘立て
部２２の傘入れ開口部２５は、出窓本体１の地板
１０である下駄箱２の天板に穿設されている。傘
立て部２２の建屋内側は正面板２６で塞がれてお
り、この正面板２６より屋内側に前記引違い戸２
３が配置されている。傘立て部２２の底壁および
周囲壁内面には金属板が張られまたは耐水加工が
施され、傘立て部２２の底の建屋外側に突出した
部分には水抜き２７が開口し、この水抜き２７は
パイプからなり、建屋外の下水道などの適所に連
通され、水抜き２７内には排水のみを許す逆止弁
２８が設けられている。この逆止弁２８は、第７
図に示すように、漏斗状部２８ａをもつ弾性材料
の成形品で構成され、水の重量が加わつた場合に
だけ、前記漏斗状部２８ａの中心から円周方向の
複数個所に放射状に伸びるスリツト２８ｂがある
ために漏斗状部２８ａが開いて排水され、通常時
は漏斗状部２８ａが閉じて下方すなわち建屋外か
ら虫やほこりや風が侵入しないように形成されて
いる。なお、第４図中２９は履物収納部２０に設
けられた上下多数段の棚である。

前述のように構成された実施例の下駄箱付き出
窓は、各部材を工場で組立てて建築現場に運び、
または出窓本体１の各部材を適宜分解して建築現
場に運んで組立て、建屋の玄関部に形成した出窓
開口部の周辺部に出窓本体１と下駄箱２とを一体
にして固定する。

前述したように、本実施例の出窓は、出窓本体
１と下駄箱２がともにこれらの構成部材を工場生
産で量産でき、建築現場では出窓本体１と下駄箱
２が一体化したものを建屋に取付ければよいた
め、手数を要することなく、短時間に容易に取付
けることができる。また、本実施例のものは、下
駄箱２の奥行寸法の1/2程度を建屋外側に突出さ
せたので、既製の下駄箱２を玄関の床面に設置す
るものに比べて、その有効床面積を広くすること
ができる。

また、本実施例のものは、出窓本体１の建屋外
側面と下駄箱２の背面板１７とがほぼ平坦、すな
わち建屋外側に突出する寸法がほぼ等しいので取
扱い易く、かつ建屋外方からの外観もよく、下駄
箱２の建屋外側に突出する部分を合板などの外装
仕上げが容易な材料で構成してあることも、建屋
外壁と同時に外装仕上げができてその施工が容易
であると共に、外観をよくするのに役立つ。そし
て、本実施例の出窓は、出窓本体１の地板１０と
傘立て部２２を有する下駄箱２の天板とを１枚で
兼用させたので、材料費を易くすることができ
る。

さらに、本実施例のものは、下駄箱１に傘収納
部２１だけではなく、傘立て部２２も組込んだの
で、従来は別置きしていた傘立てを必要とせず、
体裁がよい上に履物収納部２０と共に、玄関のス
ペースを有効に利用して、雨天の際などに傘を置
くことができる。とくに、傘立て部２２も一部が
建屋外側に突出していることを利用して、その突
出部の底に水抜き２７を設けて、傘立て部２２に
立てた濡れ傘から垂れる水を水抜き２７で建屋外
に排出できるようにしたため、傘立て部２２から
の排水も容易にでき、ホースなどが玄関内に見え
ず体裁もよく、傘立て部２２が下駄箱２に一体的
に組込まれて建屋側に固定されていても使用上問
題がない。また、水抜き２７には逆止弁２８が設
けてあり、建屋外から傘立て部２２内に虫、ほこ
りなどが侵入しないようにしてあるため、安心し
て使用できる。

そして、履物収納部２０の引違い戸２３を傘立
て部２２の正面板２６の屋内側に２枚重ねて開
き、履物収納部２０の開口部を間口方向に大きく
開くようにすることができるので、履物収納部２
０の清掃などに便利である。

なお、本考案において、出窓本体のガラス窓
は、引違い障子に限られることなく、左右方向中
央部または一側部に壁板を固定し、または嵌殺し
窓を設け、２枚または１枚の横引き窓を単一レー
ルに沿つて往復動可能に装着するなど適宜変更で
きる。

また、本考案において、水抜きの形状、構成は
適宜変更でき、逆止弁も構成を変更できるが、例
えば水抜きを暗〓式の下水道管に連通させた場合
には水抜きにごみを捕捉するための金網などを設
けるだけでもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の出窓は、出窓本
体の下方に傘立て部付きの下駄箱を一体に設けた
ので、これらを一体に建屋に取付けることがで
き、これらを別々に取付けたり、下駄箱を建築現
場で内装工事として施工するのに比べて、手数を
要することなく短時間で容易に取付けることがで
き、前記下駄箱の奥行方向の一部を建屋外側に突
出させたので、既製品の下駄箱を玄関の建屋内に
置くものに比べて、玄関内の有効床面積を狭くす
ることが少ない。

また、本考案は、下駄箱の履物収納部間口方向
の側方に傘立て部を設けたので、雨天時などに傘
を立てるための玄関スペースが傘立てを別置きす
るのに比べて小さくてすみ、体裁もよくなり、と
くに、傘立て部に底の建屋外部分に水抜きを設け
て傘立て部内に溜つた水を建屋外に排水するよう
にしたので、傘立て部が建屋側に固定してあつて
も使用上支障がなく、しかも下駄箱の設置状態で
の傘立て部から屋外への排水が容易にでき、ホー
スが玄関内に見えることもなく体裁もよい。

さらに、本考案は、出窓本体の地板と下駄箱の
履物収納部および傘立て部に共通する天板とを兼
用させると共に、この天板に傘入れ用開口を形成
したので、傘立て部を有する下駄箱が簡単な構造
で安価に得られる。

そして、本考案は、傘立て部の正面板より屋内
側に履物収納部の開口方向寸法の1/2より若干大
きい幅寸法を持つ２枚の引違い戸を配設したの
で、これらの引違い戸を２枚重ね合せて傘立て部
の正面板の屋内側に位置させ、履物収納部の開口
部を大きく開くようにすることができ、履物収納
部の清掃などに便利であるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は本考案の一実施例を示し、
第１図は概略正面図、第２図は同側断面図、第３
図は同側面図、第４図は同背面図、第５図は出窓
本体部の同水平断面図、第６図は下駄箱部の水平
部分断面図、第７図は逆止弁の説明図である。 １……出窓本体、２……下駄箱、３……方立、
４……竪枠、５……上枠、６……下枠、７……袖
部上枠、８……袖部下枠、９……屋根、１０……
地板、１５……建屋外壁、１６……土台、１７…
…背面板、１８……側板、１９……底板、２０…
…履物収納部、２１……傘収納部、２２……傘立
て部、２３……引違い戸、２５……傘入れ用開
口、２６……正面板、２７……水抜き、２８……
逆止弁、２９……棚、３０，３１……仕切板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 組立式の出窓本体の下方に、履物収納部とこの
   収納部の間口方向の側方に配置した傘立て部とを
   有する下駄箱を一体に設け、この出窓本体と下駄
   箱とを一体にしたものの奥行方向の一部を建屋外
   側に突出させ、前記出窓本体の地板と前記下駄箱
   の履物収納部および傘立て部に共通する天板とを
   兼用させ、この天板の傘立て部の位置に傘入れ用
   開口を形成し、傘立て部の底の建屋外側部分に水
   抜きを開口させ、さらに前記傘立て部の正面板よ
   り屋内側に前記履物収納部の間口方向寸法の1/2
   より若干大きい寸法を持ち履物収納部を開閉する
   ２枚の引違い戸を配設したことを特徴とする下駄
   箱付き玄関用出窓。