JPH0316411Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、農業機械の作業機器装着機構に関
し、更に詳しくは、トラクター等の農業機械の前
部あるいは後部に、所望の作業機器を装着するた
めの作業機器装着機構に関するものである。

従来の技術 農業機械、例えばトラクターは後部に種々の作
業機器を取付けるための装着機構が配設されてお
り、現在、上記装着機構は、第７図に示す如き、
３点リンクヒツチ式のものが多用されている。

上記３点リンクヒツチ式装着機構Ａは、トラク
ター１の後部上方の略中央部に、上下方向に揺動
可能に配置した棒状のトツプリンク２と、トラク
ター１の後部下方の両側に上下方向に揺動可能に
配置したアーム状のロワーリンク３，３と、上記
ロワーリンク３，３の上方に配置したリフトアー
ム４，４と、このリフトアーム４，４の先端と上
記ロワーリンク３，３の略中央部とを連結するリ
フトロツド５，５とからなり、上記各リンク２、
３，３の先端部にはピン穴６，７，７がトラクタ
ー１の車幅方向に形成されている。

そして、上記リフトアーム４，４は、トラクタ
ー１のボデイに内蔵された単動型の油圧シリンダ
（図示せず）によつて上方への揺動動作のみが与
えられ、この揺動動作はリフトロツド５，５を介
してロワーリンク３，３に伝達され、このロワー
リンク３，３を上方に揺動し得るように構成され
ている。

一方、作業機器のフレーム（図示せず）には、
上記各リンク２、３，３の先端のピン穴６、７，
７と対応するピン穴及び軸耳が形成されており、
この各リンク２、３，３のピン穴６、７，７と上
記作業機器のピン穴及び軸耳とを合致させてピン
を挿通することにより、トラクター１に作業機器
を装着している。

考案が解決しようとする問題点 上記の如き３点リンクヒツチ式の作業機器装着
機構は、各リンク先端のピン穴と作業機器の３箇
所のピン穴及び軸耳を合致させ、この各ピン穴に
連結ピンを挿通することによつて作業機器を農業
機械に装着しているが、上記作業機器は一般に大
きく、重いため、上記のピン穴合わせに非常な労
力と時間を費やしていた。

特に、１台の農業機械に複数の作業機器を順次
取付けて、多様な作業を行う場合には、作業機器
の着脱作業に多くの時間と労力を要するため、作
業能率を低下させていた。

問題点を解決するための手段 本考案は農業機械本体の前部あるいは後部の下
方両側に取付けられ、上方向へのみの揺動駆動力
が与えられるロワーリンクと、上記農業機械本体
のロワーリンクより上方定位置に固定された上部
係止部材と、上記農業機械のロワーリンクの近傍
に、夫々、固定された２つの下部係止部材と、上
記農業機械に装着される作業機器のフレームの両
側に夫々固定され、上記ロワーリンクの先端部と
係合する係合部と、上記作業機器のフレームの上
部に固着され、上記上部係止部材に先端部が係止
される上部アーム状ブラケツトと、上記作業機器
のフレームの下部両側に固定され、上記下部係止
部材の夫々に先端が係止される下部アーム状ブラ
ケツトとからなり、上記上部係止部材は、上記上
部アーム状ブラケツト先端をピン軸でもつてピン
結合するための水平方向のピン穴と、このピン穴
と上記アーム状ブラケツト先端のピン穴とを位置
合わせするための案内面を具備し、上記下部係止
部材は、上記下部アーム状ブラケツトの先端に形
成されたピン状突起が嵌合し得る係止溝と、この
係止溝に上記ピン状突起を嵌合させるための案内
溝とを具備した農業機械の作業機器装着機構であ
る。

作 用 本考案に係る農業機械の作業機器装着機構は、
在来の３点リンクヒツチ式作業機器装着機構にお
けるロワーリンクを利用し、このロワーリンクの
先端を所定の作業機器のフレームに形成した係合
部に係合させた後、このロワーリンクの上方への
揺動動作により作業機器を持ち上げ、農業機械本
体の下部係止部材の係止溝に作業機器の下部アー
ム状ブラケツト先端のピン状突起を嵌合させると
共に、農業機械本体の上部係止部材の案内面によ
つて位置決めされた作業機器の上部アーム状ブラ
ケツト先端と上記上部係止部材とをピン結合する
ことによつて農業機械本体に作業機器を装着す
る。

実施例 第１図乃至第５図は、本考案に係る農業機械の
作業機器装着機構の一実施例を示すものである。

図面において、１０は、例えばトラクター等の
農業機械本体、１１は農業機械本体１０の後部に
設けられた作業機器装着機構、１２は、上記装着
機構１１によつて農業機械本体１０に装着される
バケツトローダー等の作業機器を示す。

上記装着機構１１は、農業機械本体１０の後部
上方の略中央部に取付けられた上部係止部材１３
と、農業機械本体１０の後部下方の幅方向２箇所
に取付けられた下部係止部材１４，１４と、前記
公知の３点リンクヒツチ式装着機構Ａのロワーリ
ンク１５，１５とで構成される。尚、第１図乃至
第４図では、上記ロワーリンク１５，１５に連結
されるリフトアーム並びにリフトロツドを省略し
てある。

上記上部係止部材１３は、第５図に示すよう
に、後部が開放した箱状の部材で、内側両側面に
は、斜め下方に開口部を有する略Ｕ字形の凹溝１
６，１６が形成されており、この凹溝１６，１６
の上下面を案内面１７ａ，１７ｂとしてある。更
に上記上部係止部材１３，１３の凹溝１６，１６
の奥部には、水平方向のピン穴１８，１８が形成
してある。

上記下部係止部材１４，１４は、農業機械本体
１０の前後方向に沿つて形成され、後縁下部に開
口部１９ａ，１９ａを有する案内溝１９，１９が
形成されており、更に上記案内溝１９，１９の奥
側には、この案内溝１９，１９から斜め上方に向
けて係止溝２０，２０が形成されている。

上記作業機器１２は、本実施例においては、バ
ケツトローダーを図示しており、このバケツトロ
ーダー１２は、垂直フレーム２１と、この垂直フ
レーム２１の上端に揺動可能に配設されたメイン
アーム２２と、このメインアーム２２の先端に揺
動可能に配設されたバケツト２３とからなり、上
記装着機構１１との係合部材として上記垂直フレ
ーム２０の前縁に３本のアーム状ブラケツト２
４，２５，２５が固着されている。

上記３本のアーム状ブラケツト２４，２５，２
５のうち、垂直フレーム２１の上部に位置する上
部アーム状ブラケツト２４の先端には、中心部に
ピン穴２６を穿設したボス部２７が形成されてお
り、下部に位置する２本の下部アーム状ブラケツ
ト２５，２５の先端には、夫々、ピン状突起２
８，２８が水平に植設されている。

更に、上記バケツトローダー１２の垂直フレー
ム２１の両側略中央部には、前記ロワーリンク１
５，１５の先端部と係合するフツク状係合部２
９，２９が固着されている。

以下に、本考案に係る装着機構による作業機
器、即ちバケツトローダー１２の装着要領を説明
する。

先ず第１図に示すように、農業機械本体１０を
バケツトローダー１２の前方に所定間隔を隔てて
位置させ、ロワーリンク１５，１５を上方に揺動
させてこのロワーリンク１５，１５の先端を垂直
フレーム２１のフツク状係合部２９，２９に係合
させる。

次に、第２図に示すように、単動型油圧シリン
ダ（図示せず）を作動させ、図示しないリフトア
ーム、リフトロツドを介してロワーリンク１５，
１５を上方に向けて揺動させると、バケツトロー
ダー１２は、先端のバケツト２３が接地した状態
で、垂直フレーム２１が持ち上げられ、上記下部
係止部材１４，１４の案内溝１９，１９の上縁後
端側に上記下部アーム状ブラケツト２４，２４先
端のピン状突起２８，２８が当接する。

次に、第３図に示すように、上記ロワーリンク
１５，１５を更に上方に向けて揺動させると、上
記下部アーム状ブラケツト２４，２４のピン状突
起２８，２８は、上記案内溝１９，１９内を前方
に向かつて、即ち、係止溝２０，２０の側に向か
つて摺動する一方、上記上部アーム状ブラケツト
２４は、上部係止部材１３の案内面１７ａ，１７
ｂに向かつて接近する。

上記下部アーム状ブラケツト２５，２５のピン
状突起２８，２８は、上記ロワーリンク１５，１
５の上方への揺動につれて、下部係止部材１４，
１４の案内溝１９，１９内を前方に向かつて摺動
した後、係止溝２０，２０に嵌まり込み、一方、
上記上部アーム状ブラケツト２４の先端のボス部
２７は、上記上部係止部材１３の凹部１６内に嵌
り込んで案内面１７ａ，１７ｂに当接することに
よつて位置決めされ、第４図に示すように、上部
係止部材１３のピン穴１８，１８と上部アーム状
ブラケツト２４の先端のピン穴２６とが一致した
状態となる。

然る後、上記上部係止部材１３のピン穴１８，
１８と上部アーム状ブラケツト２４の先端のピン
穴２６にピン軸３０を挿通して、上記上記係止部
材１３と上部アーム状ブラケツト２４とをピン結
合する。

この状態では、バケツトローダー１２の下部ア
ーム状ブラケツト２５，２５のピン状突起２８，
２８が下部係止部材１４，１４の係止溝２０，２
０に係合しており、また、バケツトローダー１２
の上部アーム状ブラケツト２４と上部係止部材１
３とはピン軸３０によつてピン結合されているた
め上記バケツトローダー１２の垂直フレーム２１
は農業機械本体１０に対して確実に装着固定され
ている。従つて、上記バケツトローダー１２の如
く、バケツト２３等の先端作業部材を、下方に向
けて加圧する必要のある作業機器においては、作
業機器のフレームが、農業機械本体１０に対して
固定された状態となつているため、上記の先端作
業部材の下方への加圧が可能となる。

尚、上記バケツトローダー１２を農業機械本体
１０から取り外す際には、上記と逆の手順で行え
ばよい。

また、上記装着機構１１によれば、バケツトロ
ーダー１２のバケツト２３を下方に向けて加圧し
て農業機械本体１０の後部を持ち上げることがで
きるため、農業機械本体１０の後輪の交換作業等
も容易に行うことができる。

第６図は、本考案に係る農業機械の作業機器装
着機構の他の実施例を示すものである。

上記実施例における下部係止部材１４′，１
４′は、水平方向に案内溝１９′，１９′を形成し、
この案内溝１９′，１９′の奥側に水平方向に係止
溝２０′，２０′を形成したもので、この下部係止
部材１４′，１４′は農業機械本体１０の後部底面
の両側に固着されている。

一方作業機器１２′は、農作物等を運搬する運
搬用荷台としてある。

上記実施例における作業機器１２′の装着に際
しては、垂直フレーム２１′の両側面に突出する
軸耳状の係合部２９′，２９′とロワーリンク１
５，１５の先端のピン穴７，７とを、所定長さの
チエーン３１の両端にフツク３２，３２を連結し
てなる連結部材３３，３３を用い、このフツク３
２，３２を上記軸耳状係合部２９′，２９′とロワ
ーリンク１５，１５のピン穴７，７に引つ掛ける
ことによつて連結しておく。

後は、前出の実施例同様にロワーリンク１５，
１５を上方に向けて揺動させることによつて作業
機器１２′を吊り上げ、下部係止部材１４′，１
４′の係止溝２０′，２０′に、作業機器１２′の下
部アーム状ブラケツト２５，２５先端のピン状突
起２８，２８を嵌合させると共に、上部係止部材
１３の案内面１７ａ，１７ｂによつて位置決めさ
れた作業機器１２′の上部アーム状ブラケツト２
４先端のボス部２７とをピン３０にてピン結合す
ることにより、農業機械本体１０に作業機器１
２′を装着する。

尚、本考案に係る装着機構は、例えばトラクタ
ー等の農業機械の全てに適用することができ、ま
た作業機器は上記の如きバケツトローダーや運搬
用荷台等に限るものではなく、更に上記農業機械
は、作業機器を後部あるいは前・後部の両方に取
付ける型式のものであつても適用できる。

考案の効果 以上説明したように、本考案に係る農業機械の
作業機器装着機構は、在来の３点リンクヒツチ式
作業機器装着機構におけるロワーリンクを利用
し、このロワーリンクの先端を所定の作業機器の
係合部に係合させた後、このロワーリンクの上方
への揺動により、作業機器を持ち上げ、農業機械
本体の下部係止部材の係止溝に作業機器の下部ア
ーム状ブラケツト先端のピン状突起を嵌合させる
と共に、農業機械本体の上部係止部材の案内面に
よつて位置決めされた作業機器の上部アーム状ブ
ラケツトと農業機械本体の上部係止部材とをピン
結合することによつて、農業機械本体に作業機器
を装着するようにしたので、従来のようにピン穴
を合致させるための煩わしい作業が不要になり、
僅かな労力と時間で、農業機械本体に作業機器を
装着することができる。

更に、本考案に係る装着機構では、作業機器
が、上述の如く、下部アーム状ブラケツトのピン
と下部係止部材の係止溝との嵌合並びに上部アー
ム状ブラケツトと上下係止部材とのピン結合によ
つて決定される位置関係で確実に強固に、農業機
械本体に装着されるため、バケツトローダーの如
く下方に加圧する必要のある作業機器に対して、
その作業能力を十分に発揮させ得ることができ
る。

また、本考案に係る装着機構は、在来の３点リ
ンクヒツチ式装着機構を有する農業機械及び在来
の作業機器に小改造を施すのみでよいため、実施
に際してのコスト上昇を極めて低くおさえること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は、本考案に係る農業機械の
作業機器装着機構の一実施例を示すもので、夫々
は、農業機械への作業機器の装着要領を示す各状
態での概略図、第５図は上部係止部材の拡大斜視
図、第６図は、本考案に係る農業機械の作業機器
装着機構の他の実施例を示す概略図、第７図は在
来の３点リンクヒツチ式の作業機器装着機構の一
例を示す要部拡大図である。 １０……農業機械本体、１１……作業機器装着
機構、１２……作業機器（バケツトローダー）、
１２′……作業機器（運搬用荷台）、１３……上部
係止部材、１４，１４，１４′，１４′……下部係
止部材、１５，１５……ロワーリンク、１７ａ，
１７ｂ……案内面、１８，１８……ピン穴、１
９，１９，１９′，１９′……案内溝、２０，２
０，２０′，２０′……係止溝、２１，２１′……
作業機器のフレーム（垂直フレーム）、２４……
上部アーム状ブラケツト、２５，２５……下部ア
ーム状ブラケツト、２６……ピン穴、２８，２８
……ピン状突起、２９，２９，２９′，２９′……
係合部、３０…ピン軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 農業機械本体の前部あるいは後部の下方両側に
   取付けられ、上方向へのみの揺動駆動力が与えら
   れるロワーリンクと、上記農業機械本体のロワー
   リンクより上方定位置に固定された上部係止部材
   と、上記農業機械のロワーリンクの近傍に、
   夫々、固定された２つの下部係止部材と、上記農
   業機械に装着される作業機器のフレームの両側に
   夫々固定され、上記ロワーリンクの先端部と係合
   する係合部と、上記作業機器のフレームの上部に
   固着され、上記上部係止部材に先端部が係止され
   る上部アーム状ブラケツトと、上記作業機器のフ
   レームの下部両側に固定され、上記下部係止部材
   の夫々に先端が係止される下部アーム状ブラケツ
   トとからなり、上記上部係止部材は、上記上部ア
   ーム状ブラケツト先端をピン軸でもつてピン結合
   するための水平方向のピン穴と、このピン穴と上
   記アーム状ブラケツト先端のピン穴とを位置合わ
   せするための案内面を具備し、上記下部係止部材
   は、上記下部アーム状ブラケツトの先端に形成さ
   れたピン状突起が嵌合し得る係止溝と、この係止
   溝に上記ピン状突起を嵌合させるための案内溝と
   を具備したことを特徴とする農業機械の作業機器
   装着機構。