JPH0315384Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、駆動エンジンに付属する出力調節
部材を装備した自動車駆動装置の変速機を、クラ
ツチを用いず、即ち切換過程自体のためにクラツ
チを操作する必要がなく切換え且つ同期機械要素
なく切換えるための装置であつて、変速段切換の
間、投入すべき変速段に相当する同期回転数にエ
ンジン回転数を調節するため出力調節部材が操作
される様な前記装置に関する。

ここで出力調節部材は、一般的にはスロツトル
弁であつたり、燃料噴射装置の燃料量調節装置で
あつたりする。また同期機械要素とは、例えば選
択摺動式又は常時噛み合い式変速機で摺動歯車や
結合スリーブの周速度を噛み合わせる歯の周速度
と等しくする機械的に出来ている同期噛み合い装
置などを総称するものである。

〔従来の技術〕

特開昭54−55262号公報（＝特公昭61−5025号
公報、西独特許第2742033号公報）によれば、変
速機を一方の変速段から他の変速段に切換える場
合、変速機制御ユニツトがエンジンの回転数をあ
る変速段に相当する回転数から所定の機関回転速
度こう配を保つて他の変速段に相当する回転数に
変わるまで変化させる変速機の同期回転を行う装
置は公知である。

新しい変速段に相当するエンジンの同期回転数
に達する時、場合によつてある偏差幅（所定時間
後には回転数が所望回転数に達するだろうと予測
した幅、即ち変動分）を保つて、変速機の固有な
切換過程を実行する。即ち予め決めた変動分（機
関回転速度こう配）を有する回転数が他の新しい
値にもたらされる切換過程を述べている。この新
しい値は最適な場合に新しい変速段に対する同期
回転数に対応する。この変動分は固定的に予め決
定されており、その結果例えば切換過程（坂道で
高速段への切換又は戻し切換）の間、自動車を制
動する時にはエンジン側で調節された回転数は実
際の同期回転数に最早対応しなくなる。その時新
しい変速段への嵌め合いは最早不可能である。

言い換えれば、予め決めた固定調節した機関回
転速度こう配に応じてエンジンの回転数を変える
ことは、エンジンの回転数を新しい変速段に相当
する同期回転数にに正確に調整していないことを
意味する。従つて、同期回転数に達する時点で正
確に変速過程を行わない場合、エンジンの回転数
に（高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりという）
行き過ぎが生じるので、新しい制御過程を更に続
ける必要が生じる。

切換過程自体も自動的に行う装置、即ち同期回
転数に達したことが変速を開始させる信号として
使用できる装置に対しても、この従来の装置を使
用できる。これに反して、運転者が手で変速切換
を行う場合、同期状態を示す信号が生じると、運
転者は変速を直ちに行う必要があるので、重大な
難点が生じる。この変速を直ちに行うことは、特
に取り扱いにくい又難しい操作の変速切換を行う
場合、即座には不可能であつた。

その他の点では、この公知の公報は同期回転数
の調節のみにかかわるもので、元の変速段が既に
切り離してある状態を前提にしている。しかしこ
の公報ではどの様に元の変速段から抜かれるのか
説明されていない。この公知の方法乃至は公知の
装置は従つて不完全であり、誤作動につながる。

〔考案の課題〕

それ故、この考案の課題は、上に述べた公知技
術の問題点を排除し、ソフトで楽な変速を可能に
するクラツチ及び同期機械要素を用いない自動車
の変速機の切換装置を提供することにある。

〔課題の解決〕

上記の課題は本考案により、制御装置を設け、
この制御装置がエンジントルクを検出するための
測定部材と接続されており、またこの制御装置は
測定部材の信号に関連して切換過程を開始するた
め、負の駆動トルク（エンジンブレーキ時トル
ク）の場合には出力が上昇する方向に、そして正
の駆動トルク（牽引推進時トルク）の場合には出
力低下の方向に、駆動トルクが零になるまで出力
調節部材を調節し、更に制御装置は目標値と実際
値の比較回路を備え、元の変速段を切り離し新し
い変速段を選択した後、選択した変速段に関連し
て車速から導かれる回転数が目標値として、並び
に実際に測定される回転数に相当する値が実際値
として前記比較回路に供給される様に成され、且
つ目標値と実際値の比較回路に関連して出力調節
部材を適当に操作することによつて、新しい変速
段に対応するエンジンの同期回転数を得るよう前
記制御装置が調節制御することにより解決され
る。

〔作用・効果〕

この考案により、変速操作を始める際、即ち運
転者が変速レバーに触れた時、エンジンはそれに
応じた出力調節装置の操作によりトルクの伝達が
なくなり、先ず元の変速段を無騒音で切り離せ
る。次いで、エンジンの回転数を新しい変速段に
相当した同期回転数に調節することが行われる。
その際、実際に測定したエンジン回転数と、車速
及び選択しようとしているが未だ切換えていない
新しい変速段に相当する変速比から決めた目標回
転数との間で、目標値と実際値の比較を行うと効
果的である。このことは、エンジン回転数の行き
過ぎが同期回転数以上にならないことを意味し、
従つてこの種の装置は自動でなく、手動で操作す
る変速機にも適することを意味する。

この考案の他の有利な構成は、実用新案登録請
求の範囲の実施態様項に記載してある。

〔実施例〕

第１図に示す原理回路図には、例えばオツトー
サイクル−エンジンのスロツトル弁の如き自動車
エンジンの出力調節部材を調整するサーボモータ
２を制御する制御装置１を示してある。の制御装
置には、信号導線３〜５を介して制御に必要な目
標値と実際値を供給することができる。つまり、
信号導線３を経由してエンジンの目標回転数
n_{npt spLL}が供給される。この目標回転数は、目
標値発生器６中で信号導線７を経由して導入され
る車速の実際値V_istと、信号導線８を経由して導
入される今まで入つている又は選択されている変
速段の変速比の値ｉとから作られる。これに反し
て、信号導線４と５を経由し測定器（図示せず）
で検出されたエンジンの実際回転数n_{npt ist}とエ
ンジントルクMd_{npt ist}の実際値が導入される。

制御装置１は、変速切換を始める時、即ち運転
者が変速機の変速レバーに触れた時、出力調節部
材をサーボモータ２を介して調節し、エンジンの
駆動トルクMd_{npt ist}が零になるように構成され
ている。即ち、エンジンは正（駆動推進時）のト
ルクも負（エンジンブレーキ状態時）のトルクも
生じないように構成されている。この条件下で
は、目標回転数がいずれにしても、エンジンの実
際の回転数に一致しているので、接いでいる変速
機の変速段をソフトに、しかも無騒音で外せる。

次いで、この変速段を介し、変速レバーの適切
な操作で新しい変速段を選択した後で、制御装置
１はサーボモータ２を介して対応するエンジンの
出力調節部材を駆動させて、エンジンの回転数を
新たに選定した変速段に相当する目標回転数（同
期回転数）に調節する。この回転数に達すると、
新しい変速段に接いて、変速切換過程が終了す
る。この場合、実行した目標値と実際値の比較結
果に応じて、エンジンのトルク伝達をなくすこと
又はエンジンの同期回転数を非常に早く達成する
サーボモータ２の制御が行われるように制御装置
１を構成できる。

第２図には、この考案による装置を組み込んだ
自動車の車速を自動制御する装置用の回路例が示
してある。この場合、制御装置全体が記号１′で、
また前記制御装置によつて駆動され、自動車１０
のエンジンのスロツトル弁を調節するためのサー
ボモータが参照番号２で示してある。信号導線
４，５はエンジン回転数の実際値とエンジントル
クの実際値を伝送するもので、ここに図示してい
ない測定装置から出ている。参照番号７は、車速
の実際値V_istを伝送する信号導線を、また参照番
号１１はスロツトル弁開度の実際値α_{DK ist}を伝
送する信号導線である。参照番号１２と１３は、
は、自動車１０のアクセルペダルとブレーキペダ
ルに配設したポテンシヨメータである。これ等の
ポテンシヨメータは自動車を運転している間、運
転者によりペダルを操作して予め指令した希望運
転状態を表示するもので、自動車の運転の仕方に
応じてこれ等の運転状態をスロツトル弁の目標値
又は加速度の目標値として見做すことができる。
上記二つの目標値は演算増幅器１４の入力端に導
入される。アクセルペダルの位置に依存するポテ
ンシヨメータ１２の目標値は、増幅器１４の正の
入力端に、またブレーキペダル位置に依存するポ
テンシヨメータ１３に目標値は負の入力端に導入
される。演算増幅器１４の出力は、切換開閉器１
５を経由して目標値と実際値の比較を行う演算増
幅器１６の正の入力端に達する。演算増幅器１６
の負の入力端にはスロツトル弁位置の実際値又は
車の加速度の実際値が入力する。演算増幅器１６
中で目標値と実際値を比較して決定された制御偏
差は、他の演算増幅器１７（この機能は後で詳し
く説明する）を介して出力増幅器１８に導入され
る。この出力増幅器はスロツトル弁を調整するた
めサーボモータ２を直接駆動する。

既に上で示したように、走行状態にある自動車
１０を異なつた二種の運転の仕方で運転すること
ができる。その場合、切換開閉器２０の接点位置
に応じて、目標値と実際値の比較を行う演算増幅
器１６にスロツトル弁開度の実際値α_{DK ist}か、
さもなくば車速V_istの実際値から微分回路２１に
よつて形成した車両の加速度の実際値b_istが導入
される（切換開閉器２０の接点位置２０ａに対応
する）。この場合、開閉器２０は手動操作でき、
その接点位置によつてアクセルペダル又はブレー
キペダルを操作して伝達される運転者の希望する
運転状態をスロツトル弁開度の目標値又は加速
（減速）度の目標値とするかどうかをこの開閉器
２０が決定する。自動車の加速又は減速を調節す
る運転様式の場合、定速の運転状態を確実に調節
できるため、車速V_istの実際値が補助的に自動記
憶器２３（サンプル・ホールド増幅器）を経由し
て入力される。この記憶器はアクセルペダルとブ
レーキペダルを操作しない場合、即ち加速も減速
もしないとき、最も新しい車速の実際値を記憶
し、この値を演算増幅器２４の負の入力端に出力
する。正の入力端には車速の実際値V_istが印加さ
れている。この演算増幅器の出力は、演算増幅器
１６に後置されている演算増幅器１７の負の入力
端に入力する。この様にして、アクセルペダルと
ブレーキペダルを操作しない場合、最後に記憶し
た車速の実際値が目標値として使用され、この目
標値から生じる車速の偏差に応じて、スロツトル
弁が操作される。自動記憶器２３中の開閉器２３
ａは、この時、開いている。即ち、アクセルペダ
ルとブレーキペダルを操作しない限り開いてい
る。従つて、記憶器２３内に車速の最後の値が記
憶してある。これに対して、開閉器２３ａが閉じ
ると、前記自動増幅器は、例えば回転速度計から
出力される車速の値V_istに従う。それ故、演算増
幅器２４中では、アクセルペダルとブレーキペダ
ルを踏んでいないにも係わらず、記憶した車速を
変化させる傾向が生じる時のみ、調節の偏差を指
示する目標値と実際値の比較が行われる。上記の
変化は、演算増幅器１７と出力増幅器１８を経由
して自動車１０のスロツトル弁用のサーボモータ
２を調節することになる。

今迄は、変速機の切換を行わない自動車の通常
の走行状態を説明して来た。変速切換をしている
間、変速レバーに触れて始まるが、二つの開閉器
１５，１９は点線で示した接点位置１５ａ，１９
ａに切り換わる。この場合、切換は、例えば手動
変速レバーに配設した接触スイツチから出る信号
導線２６によつて行われる。両方の開閉器１５と
１９がこの接点位置を占めると、目標値と実際値
の比較を行う演算増幅器１６は正の入力端にエン
ジンの目標回転数n_{npt spLL}を受け取る。目標値
発生器６は、信号導線７の分岐導線７ａを経由し
て導入される車速V_istと、信号導線８を経由して
導入される投入又は選択した変速比ｉの情報とか
ら、各変速段に対応する同期回転数n_{npst spLL}を
出力する。これに対して、演算増幅器１６の負の
入力端には、演算増幅器２２から出力した信号が
入力する。この信号はエンジンのトルクの実際値
Md_istと回転数の実際値n_{npt ist}を加算して合成さ
れている。

変速レバーを元の変速段に相当する位置からま
た切り離していない切換過程の最初の瞬間では、
変速歯車が噛み合つているので、エンジンの目標
回転数n_{npt spLL}はエンジンの実際回転数n_{npt ist}
と同じであるので、エンジンの駆動トルクMd_ist
が零でない場合のみ増幅器１６の出力端に制御偏
差が生じる。従つて、制御装置１′は変速切換の
始めに、先ずエンジンのトルクを零に調節し、零
に達したとき、元の変速段を無騒音で楽にニユー
トラル位置に外せる。

元の変速段から切り離した後、即ちエンジンと
車輪間の駆動連結を遮断した時、エンジンからト
ルクは最早伝達されないので、変速過程の直後に
はエンジンのトルクMd_istは相変わらず零である。
従つて、その後は制御装置はただエンジン回転数
の目標値と実際値の比較のみ行う。この場合、目
標値発生器６からエンジン回転数の目標値とし
て、選択しているが、未だ切り換えていない変速
段に相当する同期回転数が出力される。この同期
回転数は、車速v_istと、選択された変速比ｉと、
一定係数ｋとから合成される。エンジンが目標回
転数に達すると、選択した変速段も無騒音で楽
に、即ち非常にソフトに入れることができ、通常
の自動車である限り必要なエンジンと変速機間の
切離しクラツチを操作する必要はない。この種の
クラツチは変速段を切り換えるためにはもはや不
要であるので、始動用に、例えば遠心クラツチで
形成されていて、運転者により直接操作できない
特別なクラツチを配設してある限り、この考案に
よる装置を装備した自動車にはこの種のクラツチ
を省略できる。更に、変速切換を手でなく、例え
ばプログラム制御してサーボモータによつて行う
こともできる。その場合、サーボモータを電磁的
でも油圧又は空圧でも操作できる。

しかしながら、この考案による装置を装備した
自動車の場合、上記のクラツチが変速過程に不要
であつても、足で操作できるクラツチを配設して
あれば、変速切換中にクラツチを入れておく必要
があるので、開閉器１５と１９を点線で示す接点
位置１５ａ又は１９ａに切り換える条件として、
クラツチを操作せず、変速レバーに触れることが
大切である。

図面に記号１又は１′で示した制御装置は、新
しい変速段に切り換え、変速レバーを再び放すま
で、エンジンの回転数n_nptの制御指令用の制御器
として動作し、その後開閉器１５と１９は実線で
示した走行運転位置に切わ換る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案による制御装置の基本原理
回路図であり、第２図は、この考案を利用して構
成した回路例を部分的略図にした説明図である。 図中参照番号、１，１′…制御装置、２…サー
ボモータ、３〜５…信号導線、６…目標値発生
器、７，８…信号導線、１０…自動車、１５，１
９…切換開閉器、１５ａ，１９ａ…切換接点位
置、１６…比較回路、n_{npt ist}…実際エンジン回
転数、n_{npt spLL}…目標エンジン回転数。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 駆動エンジンに付属する出力調節部材を装備
   した自動車駆動装置の変速機をクラツチを用い
   ず且つ同期機械要素なく切換えるための装置で
   あつて、変速段切換の間、投入すべき変速段に
   相当する同期回転数にエンジン回転数を調節す
   るため出力調節部材が操作される様な前記装置
   において、制御装置が設けられ、この制御装置
   はエンジントルクを検出するための測定部材と
   接続されており、またこの制御装置は測定部材
   の信号に関連して切換過程を開始するため、負
   の駆動トルク（エンジンブレーキ時トルク）の
   場合には出力が上昇する方向に、そして正の駆
   動トルク（牽引推進時トルク）の場合には出力
   低下の方向に、駆動トルクが零になるまで出力
   調節部材を調節し、更に制御装置は目標値と実
   際値の比較回路を備え、元の変速段を切り離し
   新しい変速段を選択した後、選択した変速段に
   関連して車速から導かれる回転数が目標値とし
   て、並びに実際に測定される回転数に相当する
   値が実際値として前記比較回路に供給される様
   に成され、且つ目標値と実際値の比較回路に関
   連して出力調節部材を適当に操作することによ
   つて、新しい変速段に対応するエンジンの同期
   回転数を得るよう前記制御装置が調節制御する
   ことを特徴とする装置。 (2) 目標値と実際値の比較回路１６の出力で、出
   力調節部材を制御するサーボモータ２が作用を
   受けることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の装置。 (3) 目標値と実際値の比較回路１６には、実際値
   としてエンジン回転数とエンジンの測定した駆
   動トルクとを電子信号化した値として加算した
   値が導入できることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第２項記載の装置。 (4) 目標値と実際値の比較回路１６には、変速レ
   バーに触れた時、エンジン回転数の実際値とエ
   ンジントルクの実際値及びエンジンの回転数の
   目標値とを導入できる変速機の切換接点位置１
   ５ａ，１９ａに調節できる切換開閉器１５，１
   ９が前置接続されていることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第３項記載の装置。