JPH0315382Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用ステツプ装置に関し、特に車
体側面に形成された乗降口を開閉するスライドド
アを備えた自動車において、そのスライドドアの
動きを利用して乗降口が開いたときにステツプが
出てくるようにしたステツプ装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 従来から、スライドドアを備えた自動車の乗降
口にステツプを固定して設けたものはあるが、外
部に突出して設けた場合は危険であり、内部に設
けると床面の一部に段差ができることになる。そ
のため、スライドドアの開閉に連動してステツプ
板が出退するようにしたものが種々提案されてい
る。例えば、実開昭55−70338号公報には水平揺
動アーム、垂直揺動アームやスライド機構でステ
ツプ板を出退可能に支持し、このステツプ板をス
ライドドアの移動に伴つて出退させるようにステ
ツプ板に設けたガイド板とスライドドアに固定し
て設けたガイドローラからなるカム機構を備えた
ものが開示されている。また、実開昭57−84136
号公報にはステツプ板が立上り状態と水平状態の
間で上下回動自在に支持するとともに立上り状態
で折込み格納されるようにし、このステツプ板の
遊端部に設けたローラをスライドドアの内側面に
形成した傾斜湾曲面に係合させ、スライドドアを
閉じるとステツプ板を立上り回動させるように構
成したものが開示されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、実開昭55−70338号公報のものは、
ステツプ板の出退自在な支持構造やカム機構が大
掛かりとなり、コスト高になるという問題があ
る。また、実開昭57−84136号公報のものはスラ
イドドアの下部内面に傾斜湾曲面を形成する必要
があるとともに、床面下に立上り格納されている
ステツプ板をスライドドアの下部で覆う必要があ
るため、スライドドアがコスト高になるという問
題がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記従来の問題点を解消するため、車
体側面に形成された乗降口を開閉するスライドド
アを備えた自動車において、乗降口の下部に略水
平なステツプ姿勢と両側のサイドガードに略沿つ
たガード姿勢との間で水平軸心まわりに回動可能
なステツプ板を設け、スライドドアを閉じた状態
でこのスライドドアの下端部に取付けられたロー
ラが係合するとともにスライドドアが開くとロー
ラとの係合が外れる当て板をステツプ板の側部に
取付けたことを特徴とするものである。

（作用） このような構成によると、スライドドアを開く
とスライドドアが外側に移動するとともに当て板
とローラの係合が外れてステツプ板が略水平なス
テツプ姿勢となり、このステツプ板を利用して楽
に乗降することができる。また、スライドドアを
閉じるとその際にスライドドアが内側に移動し、
そのためローラと当て板の係合を介してステツプ
板が回動してガード姿勢となり、両側のサイドガ
ードに連なつてサイドガードの一部として機能
し、走行中に石などが内側に飛び込むのを防止す
ることができるものである。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。１は車体の乗降口を開閉するスライドドア
であり、図示していない周知の案内機構によつて
移動自在に支持されている。このスライドドア１
は乗降口を閉鎖した状態から開く際には、まず横
移動しながら外側にも移動した後横移動して開
き、閉じる際には横移動した後閉鎖完了の少し前
から横移動しながら内側に移動して閉鎖するよう
に構成されている。２は車体のフレームで、乗降
口両側の下方位置に一対の支持ブラケツト３，４
が一体固着されている。スライドドア１が開くと
きにその開口端が離れていく側の一方の支持ブラ
ケツト３はＶ字状で、他方の支持ブラケツト４は
Ｌ字状であり、これらの屈曲部がフレーム２に固
着されている。これら支持ブラケツト３，４にス
テツプ板５の両側に形成された起立片６ａ，６ｂ
の一端部が支軸７を介して水平軸心回わりに回動
自在に枢支されている。フレーム２には、ステツ
プ板５が略水平なステツプ姿勢となつた状態でこ
のステツプ板５の枢着側端部の上面に係合するス
トツパ片８が固着され、その係合部にはゴム製の
緩衝片９が取付けられている。また、一方の支持
ブラケツト３の一端部３ａには、ステツプ板５が
上方に回動して車体の側面下部に配設されている
サイドガード１０に略沿つたガード姿勢となつた
状態でそれ以上回動するのを阻止するゴム製の緩
衝ストツパ片１１が取付けられている。こうし
て、ステツプ板５はステツプ姿勢とガード姿勢と
の間で回動自在に支持され、かつ自重によつてス
テツプ姿勢に向かつて常時付勢されている。ステ
ツプ板５の外面、即ちガード姿勢で外側になる面
には塗装板や合成樹脂板などの化粧板１２が貼着
されている。又、一方の支持ブラケツト３の他端
３ｂとステツプ板５の一方の起立片６ａの一端部
との間にはターンオーバー機能を備えた弱い引張
ばね１３が介装され、ステツプ板５がステツプ姿
勢に向かつて自重で回動する際の衝撃を和らげる
ようにされている。前記引張ばね１３はステツプ
板５がステツプ姿勢となつたとき、ステツプ板５
の上面を前記ストツパ片８に押圧させる作用を営
むので、ステツプ板５をステツプ姿勢に安定させ
る効果がある。スライドドア１の開口側とは反対
側の端部近傍の下部にローラ１４が取付けられ、
ステツプ板５の他方の起立片６ｂ、即ちスライド
ドア１を開くときにその開口端が近付いてくる方
の起立片６ｂには、スライドドア１を閉じたとき
に前記ローラ１４が係合する当て板１５が取付け
られている。こうして、スライドドア１を閉じる
と、閉鎖完了の少し前にローラ１４が当て板１５
に係合し、その後スライドドア１が内側に移動す
るのに伴つてステツプ板５をガード姿勢に向かつ
て回動させ、閉鎖状態でステツプ板５をガード姿
勢に保持するように構成されている。

以上の構成において、スライドドア１を開く
と、それに伴つてスライドドア１が外側に移動
し、その結果まずローラ１４と当て板１５が係合
した状態でステツプ板５がステツプ姿勢に向かつ
て回動し、スライドドア１が一定以上開くと、ロ
ーラ１４と当て板１５の係合が外れるとともにス
テツプ板５が完全にステツプ姿勢となる。かくし
て、ステツプ板５をステツプとして利用して乗降
することが可能となる。逆に、スライドドア１を
閉じると、閉鎖完了の少し前にローラ１４が当て
板１５と係合し始め、その後閉鎖完了位置に向か
つてスライドドア１が内側に移動するため、ロー
ラ１４と当て板１５との係合を介してステツプ板
５がガード姿勢に向かつて回動せしめられ、閉鎖
状態ではステツプ板５が完全にガード姿勢とな
り、その状態に保持される。かくして、ステツプ
板５はサイドガード１０と一連のスライドドア１
下部におけるガードとして機能し、石などの内側
への飛び込みを防止することができる。

（考案の効果） 本考案の自動車用ステツプ装置によれば、以上
のように、スライドドアを開くとその際にスライ
ドドアが外側に移動して当て板とローラの係合が
外れ、ステツプ板が略水平なステツプ姿勢となる
ので、このステツプ板を利用して楽に乗降するこ
とができる。また、スライドドアを閉じるとその
際にスライドドアが内側に移動してローラが当て
板に係合し、ステツプ板がガード姿勢に向かつて
回動しその状態で保持されるので、ステツプ板が
両側のサイドガードと一連のガードとして機能
し、走行中に石などが内側に飛ぶ込むのを防止す
ることができる。このように、スライドドアの動
きを利用してコンパクトで簡単な構成によつてス
テツプ板を操作できるため安価にステツプ装置を
提供でき、しかもステツプ板をサイドガードの一
部として利用することができるという大なる効果
を発揮する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は要部
の斜視図、第２図は作用状態を示す要部の概略正
面図である。 １…スライドドア、５…ステツプ板、１０…サ
イドガード、１４…ローラ、１５…当て板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体側面に形成された乗降口を開閉するスライ
   ドドアを備えた自動車において、乗降口の下部に
   略水平なステツプ姿勢と両側のサイドガードに略
   沿つたガード姿勢との間で水平軸心まわりに回動
   可能なステツプ板を設け、スライドドアを閉じた
   状態でこのスライドドアの下端部に取付けられた
   ローラが係合するとともにスライドドアが開くと
   ローラとの係合が外れる当て板をステツプ板の側
   部に取付けたことを特徴とする自動車用ステツプ
   装置。