JPH0311659Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、便所等に設置される人体局部洗浄装
置等の一部として使用される湯沸しタンクに関す
る。

〔従来の技術〕

従来の湯沸しタンクの基本的構成は、ヒータが
内蔵されたタンク本体にサーモスタツトを取付
け、その温度感知により湯温の制御を行うととも
に、タンク本体の下部に配した給水口から噴出さ
れる水量で、これと同量の湯をタンク本体上部の
出湯口から出湯させるようになつている。

しかし、使用開始時等において、タンク本体内
に水が入つていない状態で誤つてヒータが加熱さ
れると、上記サーモスタツトは働かないため、タ
ンクは空焚き状態となり種々の不具合を招来する
恐れがある。

このような恐れを防止するために従来の湯沸し
タンクでは、タンク本体の底部に空焚き防止用の
サーモリミツタを取付けて、その作動に基づいて
ヒータの発熱を停止させる構成となつている。

〔考案が解決ようとする問題点〕

このため、従来の技術ではサーモスタツトの他
にサーモリミツタを必要とするから、構造および
組立てが複雑でコスト高となつていた。更に、給
水口から上向きに噴出される水はその勢いで局部
的に上昇するため、低温の湯が出易いとともに、
加熱されずに上昇する水に影響されない位置にサ
ーモスタツトの感知部を配設しなければならない
という配置上の制約もある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するための手段として本考
案は、折り返し部を介して連なる略水平状部位を
有したヒータをタンク本体に取付けて、上記略水
平状部位を上記タンク本体内の下部に配設し、上
記ヒータには互に対向された上記略水平状部間に
わたつて放熱板を取付け、かつこの放熱板の上面
に近接させてサーモスタツトを配設し、上記タン
ク本体に上記放熱板の略中央部下面に対向する給
水口を有した給水管を取付けるとともに、上記タ
ンク本体の上部に出湯口を設けたものである。

〔作用〕

タンク本体内に満水状態に注水された後にヒー
タが加熱される正規の使用の場合には、採湯時に
給水口から上向きに噴出される水は放熱板に邪魔
されて、サーモスタツトに直接当つてこれを冷や
すことがない。したがつて、サーモスタツトはタ
ンク本体内の水温を感知して、湯温を適温に制御
できるとともに、サーモスタツトの配置の自由度
を大きく確保できる。しかも、上記噴出水は放熱
板によつてタンク本体の底部全体にわたつて拡散
されて、タンク内の湯を底上げするから、出湯口
からは適温の湯が出湯される。また、タンク本体
内に注水せずにヒータが加熱された場合には、ヒ
ータの熱がその略水平状部位を介して放熱板の温
度を速かに上昇させるから、この放熱板の真上に
近接して設けられているサーモスタツトを、放熱
板からの輻射熱で加熱できる。このため、サーモ
スタツトの作動によつてヒータの加熱を速かに停
止させて、空焚きを防止し得る。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図は便所に設置される人体局部洗浄装置の
概略構成を示し、この装置は次のようになつてい
る。つまり、第１図中１は水洗設備のロータンク
で、その内部には容積式のポンプ２に接続された
吸込みストレーナ３が収納されている。ポンプ２
は一定時間動作して本考案の湯沸しタンク４に給
水するとともに、これに伴つて湯沸しタンク４に
流量調整弁５を介して接続した洗浄ノズル６か
ら、湯沸しタンク４内の温水を噴出させるように
なつている。上記弁５はその摘み７を回して洗浄
ノズル６から噴出されるシヤワーの量を調整でき
るものであり、この弁５は配管系の異常な圧力上
昇を防止するための細径のバイパス流路８でバイ
パスされている。なお、第１図中９は先端に上記
ノズル６を有したアームで、これは便器に回動自
在に取付けられるか、又は手で持つて操作できる
ようになつている。

そして、上記湯沸しタンク４の詳細は第２図か
ら第５図に示されており、以下詳述する。

図中１０は角型箱状をなすタンク本体で、例え
ば一側のみを開口した本体主部１０ａと、その一
側開口を閉鎖した本体蓋１０ｂとから形成され、
これら本体主部１０ａと本体蓋１０ｂとの接合面
間には環状の防水パツキング１１が挾着されてい
る。なお、本実施例の場合本体主部１０ａは合成
樹脂製、例えば軟化点91℃の工業用ABS樹脂、
又は軟化点97℃の耐熱性ABS樹脂製であり、ま
た本体蓋１０ｂは上記本体主部１０ａと同様な耐
熱性樹脂、又は耐蝕性の金属板にて形成してあ
る。

このタンク本体１０には、例えばその本体蓋１
０ｂにおいてヒータ１２が取付けられている。ヒ
ータ１２には例えばシーズヒータが用いられ、こ
れは折り返し部を介して連なる略水平状部位１２
ａを有して形成され、本実施例の場合はＵ字形状
をなしている。そして、このヒータ１２はその略
水平状部位１２ａをタンク本体１０内の下部に配
設して本体蓋１０ｂに取付けられている。なお、
本実施例において折り返し部およびこれに連なる
一対の略水平状部位１２ａは、既述のように略Ｕ
字形状をなしたが、これに限らず本考案では略円
環状、略三角形状等をなしていても差支えない。
また、ヒータ１２は発熱源と接続されるヒートパ
イプで形成してもよい。

このヒータ１２には、その互に対向された略水
平状部位１２ａにわたつて放熱板１３が取付けら
れている。この放熱板１３には耐蝕性および熱伝
導性が良い金属板が用いられ、これは平らな盲板
状をなしている。なお、本実施例は放熱板１３を
略水平状部位１２ａの上側にわたつて横架した
が、下側にわたつて設けても差支えない。

また、例えば本体蓋１０ｂにはサーモスタツト
１４が取付けられている。このサーモスタツト１
４には管状をなす液調式のものが用いられ、その
長い感知部は、放熱板１３の全長に略等しいとと
もに、放熱板１３の上面に近接させて平行に配設
されている。放熱板１３と感知部との離間寸法は
５mm〜20mm程度であり、本実施例では38℃でヒー
タ１２の通電回路をONするとともに40℃でヒー
タ１２の通電回路をOFFする性能のサーモスタ
ツトを用いて、これを放熱板１３から約５mm真上
に配設した場合である。この間隔（離間寸法）
は、要求される湯の温度（40℃程度）とサーモス
タツトの性能により上記範囲内に定められるもの
である。

さらに、タンク本体１０には給水管１５が例え
ば本体蓋１０ｂを貫通して取付けられている。こ
の給水管１５の出口たる給水口１５ａは、上向き
となつていて、しかも放熱板１３の略中央部下面
に対向されている。また、給水管１５の入口は上
記ポンプ２の出口に連通されている。

しかも、タンク本体１０の上部例えば本体主部
１０ａの上面には出湯口１６が設けられていて、
この出湯口１６は上記洗浄ノズル６に流量調整弁
５を介して連通されている。

上記湯沸しタンク４のタンク本体１０内が満水
状態である場合には、ヒータ１２への通電によ
り、このヒータ１２がタンク内の水を加熱するか
ら、タンク内の水温が上限の温度に達するとサー
モスタツト１４の働きでヒータ１２への通電は停
止され、その後、自然冷却により下限の温度以下
になると再びヒータ１２への通電がなされる。こ
のような加熱作動の繰返しによつてタンク内の湯
は略一定の温度（40℃程度）を保持する。

したがつて、流量調整弁５を適宜な開度として
ポンプ２を動作すれば、ポンプ２によつてロータ
ンク１からタンク本体１０内に供給された水量に
等しい量の湯が、出湯口１６から流出して洗浄ノ
ズル６から噴出されて、人体局部の洗浄に供され
る。

そして、この場合に給水管１５からタンク本体
１０内に導びかれる水は、その給水口１５ａから
上向きに噴出するが、この噴出水は放熱板１３に
当つて拡散される。このため、水は第４図中実線
矢印に示すようにタンク本体１０内面と放熱板１
３の周縁との間の隙間を通つて上昇し、タンク本
体１０内の湯を底上げする。したがつて、上記出
湯口１６からは所定の温度の湯が流出し、上向き
の噴出水、つまり低温の水が流出することはな
い。

しかも、放熱板１３による給水口１５ａからの
噴出水の拡散によつて、サーモスタツト１４の感
知部が冷水に直接晒されることを防止できる。こ
のため、サーモスタツト１４の正確な作動を期待
できるとともに、サーモスタツト１４の配置の自
由度を高めることができる。

また、この湯沸しタンク４の使用開始時に、誤
つてタンク本体１０内に水を入れないでヒータ１
２に通電した場合には、ヒータ１２の発熱に伴つ
てその熱が速かに放熱板１３に伝熱するから、こ
の放熱板１３からの輻射熱によりその真上に近接
しているサーモスタツト１４を速かに加熱でき
る。このため、サーモスタツト１４が素早く上限
温度を感知してヒータ１２への通電を停止して、
空焚きを防止することができる。ちなみに、本実
施例で空焚き試験を行つた結果は、約55秒でヒー
タ１２への通電が停止され、かつ空焚き中及びそ
の後のヒータ１２の上面温度は67℃、タンク本体
１０内の空気温度はタンク本体１０の最上部で45
℃が最高温度を示した。この結果によれば、空焚
き防止を早期に温度制御用のサーモスタツト１４
を共用して行えることを確認できたとともに、タ
ンク本体１０を樹脂製としてもその軟化点温度よ
りも遥かに低い温度にしか、空焚きに伴う最高温
度がならないことが分つた。

なお、上記一実施例は人体局部洗浄装置用の湯
沸しタンクとして実施した場合であるが、他の用
途の湯沸しタンクにも実施できる。その他、本考
案の実施に当つては、考案の要旨に反しない限
り、タンク本体、ヒータおよびその略水平状部
位、放熱板、サーモスタツト、給水管およびその
給水口、出湯口等の具体的な構造、形状、位置、
材質等は、上記一実施例に制約されることなく
種々の態様に構成して実施し得ることは勿論であ
る。

〔考案の効果〕

上記実用新案登録請求の範囲に記載の構成を要
旨とする本考案によれば、タンク本体の下部に配
設されたヒータの略水平状部位間にわたつて取付
けた放熱板の上面に近接させて、湯温制御用のサ
ーモスタツトを配設したから、サーモスタツトに
より上記タンク本体内に満たされる水温を感知し
て通常の湯温制御を行えることは勿論のこと、誤
つて上記タンク本体に水を入れないで上記ヒータ
に通電したときには、上記ヒータにより加熱され
る放熱板からの輻射熱で上記サーモスタツトを速
やかに加熱できるから、上記湯温制御用のサーモ
スタツトを用いて空焚き防止を速やかに行うこと
ができる。したがつて、従来サーモスタツトとは
別に空焚き防止用に必要であつたサーモリミツタ
を省略できるから、構造、組立てが簡単で、コス
トダウンを図り得る。そして、上記タンク本体が
満水状態にある正常な使用状態では、上記タンク
本体内への上向きの給水に伴つて、上記サーモス
タツトが直接的に冷やされることを、上記放熱板
で防止して上記タンク本体内の湯を底上げできる
から、湯の温度制御の正確性が高く、かつ低い湯
が出湯されることも防止でき、しかも、サーモス
タツトの配置の自由度も高い等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は人体
局部洗浄装置の概略構成図、第２図は湯沸しタン
クの正面図、第３図は第２図中−線に沿う断
面図、第４図は第３図中−線に沿う断面図、
第５図は湯沸しタンクの分解斜視図である。 ４……湯沸しタンク、１０……タンク本体、１
２……ヒータ、１２ａ……略水平状部位、１３…
…放熱板、１４……サーモスタツト、１５……給
水管、１５ａ……給水口、１６……出湯口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 折り返し部を介して連なる略水平状部位を有し
   たヒータをタンク本体に取付けて、上記略水平状
   部位を上記タンク本体内の下部に配設し、上記ヒ
   ータには互に対向された上記略水平状部位間にわ
   たつて放熱板を取付け、かつこの放熱板の上面に
   近接させてサーモスタツトを配設し、上記タンク
   本体に上記放熱板の略中央部下面に対向する給水
   口を有した給水管を取付けるとともに、上記タン
   ク本体の上部に出湯口を設けたことを特徴とする
   湯沸しタンク。