JPH0311105Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のスペアタイヤ格納構造に関
し、特に、スペアタイヤ格納構造を利用してフロ
アパネルの剛性強度を高める対策に関する。

（従来の技術） 従来より、自動車のスペアタイヤ格納構造とし
て、例えば実開昭59−133378号公報に開示される
ように、トランクルームのフロアに取付座として
の円形の窪みを形成し、該窪みにスペアタイヤを
格納するようにしたものは一般によく知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記トランクルームのフロア下面に
は、窪みを挾んで前後に車幅方向に延びる２つの
クロスメンバが設けられているが、このクロスメ
ンバは、それぞれその両端で、車体前後方向に延
びるサイドメンバに接合されているだけであり、
中央部では互いに何等連結されていないので、車
幅方向の荷重に対する剛性強度に比し、車体前後
方向の荷重、例えば車体後方からの追突による衝
撃荷重に対する剛性強度には十分に寄与するもの
ではなかつた。

本考案は、上記の点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、車体後部に配置さ
れるスペアタイヤの格納構造を改良し、その格納
部周辺のフロアパネルの剛性強度、特に車体前後
方向の剛性強度を向上させることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の解決手段
は、フロントフロアパネルと傾斜パネルとリヤフ
ロアパネルとからなり、上記傾斜パネルが上記フ
ロントフロアパネルの後端から斜め後方上向きに
傾斜し上記リヤフロアパネルに連接されたフロア
パネルに対し、上記フロントフロアパネルの後端
部に上方に突出して車幅方向に延びる第１クロス
メンバと、上記リヤフロアパネルの前端部下面に
車幅方向に延びる第２クロスメンバと、上記第１
クロスメンバと第２クロスメンバとを連結しかつ
スペアタイヤを支持する補強メンバとを備えた構
成としている。

（作用） 上記の構成により、本考案では、第１クロスメ
ンバと第２クロスメンバとが車体前後方向に延び
る補強メンバにより連結されていることによつ
て、一方のクロスメンバが補強メンバを介して他
方のクロスメンバの補強部材として機能し、車体
前後方向の剛性強度が向上することになる。

しかも、上記補強メンバに、スペアタイヤを支
持して格納するようにしたので、スペアタイヤ取
付のため別途新たな取付座を必要としなくなる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図は本考案の一実施例に係る
自動車のスペアタイヤ格納構造を示し、１は車室
のフロアを構成するフロントフロアパネル、２は
該フロントフロアパネル１の後端から斜め後方上
向きに傾斜する傾斜パネル、３は該傾斜パネル２
から車体後方に延びるリヤフロアパネルであり、
上記フロントフロアパネル１、傾斜パネル２およ
びリヤフロアパネル３によつて車体のフロアパネ
ル４が構成されている。

また、５は上記フロントフロアパネル１の後端
部に上方に突出して該フロントフロアパネル１と
で閉断面を形成して車幅方向に延びる第１クロス
メンバ、６は上記リヤフロアパネル３の前端部下
面に接合され、該リヤフロアパネル３とで閉断面
を形成して車幅方向に延びる第２クロスメンバで
あり、上記第１，第２クロスメンバ５，６は、そ
の両端で車体前後方向に延びるサイドフレーム７
にそれぞれ接合されている。

ここで、上記第１クロスメンバ５は、両側下端
にフランジ８，８を有し、該フランジ８，８にて
フロアパネル４上面に接合された断面略コ字状の
ロアクロスメンバ９と、該ロアクロスメンバ９の
上方に被冠し該ロアクロスメンバ９の両側面に接
合された断面略コ字状のアツパクロスメンバ１０
とで構成されている。

そして、上記傾斜パネル２の上方には、補強メ
ンバ１１がその上面を上記リヤフロアパネル３と
面一になるように水平状態で配され、該補強メン
バ１１の前、後端部はボルト１２，１２により第
１クロスメンバ５の上面および傾斜パネル２の後
端部（第２クロスメンバ６の接合部）にそれぞれ
固定されており、この補強メンバ１１を介して上
記第１クロスメンバ５と第２クロスメンバ６とが
連結されている。また、上記補強メンバ１１およ
びリヤフロアパネル３の上面には、スペアタイヤ
１３が載置されており、該スペアタイヤ１３は、
固定ネジ１４により補強メンバ１１に締付け支持
されるとともに、スペアタイヤ１３上方に開閉自
在に取付けられたフロアカバー１５により覆われ
ている。これにより、フロアカバー１５を取り外
してスペアタイヤ１３の出し入れを行い得るよう
になつている。

尚、１６は車体の側壁を構成するサイドボデ
ー、１７は後車輪に対応する位置で上記サイドボ
デー１６のインナパネル１６ａから車体内方に膨
出するように形成されたタイヤハウス、１８は該
タイヤハウス１７から車体内方に張り出したサス
タワー部である。

また、１９は上記第１クロスメンバ５の両側端
部の上面から上方に立設されたレインフオースメ
ントであり、該レインフオースメント１９は、そ
の下端部が車体前方側では第１クロスメンバ５上
面に、車体後方側ではタイヤハウス１７にそれぞ
れ接合されている。

さらに、２０は上記リヤフロアパネル３の上方
で車幅方向に延びて、両端が車体のサイドボデー
１６上端に接合されたリヤデツキ、２１は該リヤ
デツキ２０の両側端部とタイヤハウス１７とを連
結するレインフオースメント、２２はトランクリ
ツドである。

したがつて、上記実施例では、上記フロントフ
ロアパネル１の後端部に上方に突出して車幅方向
に延びる第１クロスメンバ５と、リヤフロアパネ
ル３の前端部下面に車幅方向に延びる第２クロス
メンバ６とを補強メンバ１１によつて互いに連結
したので、車体前後方向の荷重、例えば車体後方
からの追突による衝撃荷重に対し、上記補強メン
バ１１によつて第１，第２クロスメンバ５．６が
分担して上記荷重を支持できるようになるととも
に、車体後方からの荷重によつて傾斜パネル２に
第２図反時計方向に作用するねじり力に対し、該
傾斜パネル２が補強メンバ１１によつて補強支持
されるようになり、よつて、フロアパネル４の剛
性強度が向上する。

また、スペアタイヤ１３は、上記補強メンバ１
１上に載置されて固定ネジ１４により補強メンバ
１１に固定されており、開閉自在に取付けたフロ
アカバー１５によつて上方が覆われて格納されて
いるので、スペアタイヤ１３取付のための新たな
取付座を要することなく車体にスペアタイヤ１３
を格納することができ、部品点数を少なくしてコ
ストダウン化を図ることができる。

さらに、スペアタイヤ１３は、格納時には、上
方がフロアカバー１５によつて覆われ外部より見
えないので、何らデザイン上の美観を損うことが
なく、また、スペアタイヤ１３は、車室とトラン
クルームとの間の仕切部分に格納されるので、ト
ランクルームのスペースを大きくとれ、トランク
ルームを有効に利用することができる。

（考案の効果） 以上の如く、本考案によれば、フロントフロア
パネル後端部とリヤフロアパネル前端部でそれぞ
れ車幅方向に延びる第１，第２クロスメンバを補
強メンバによつて互いに連結したので、フロアパ
ネルの剛性強度、特に車体前後方向の剛性強度が
向上し、車体後方からの追突による衝撃荷重に対
し、傾斜パネルの補強および上記両クロスメンバ
への荷重の分散が図れて車体強度の向上を図るこ
とができるとともに、上記補強メンバをスペアタ
イヤ格納用にそのまま利用して、該補強メンバ上
にスペアタイヤを支持して格納することができる
ので、スペアタイヤ取付のための新たな取付座が
不要となり、コストダウン化を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は車体後
部構造を示す図、第２図は要部拡大断面図であ
る。 １……フロントフロアパネル、２……傾斜パネ
ル、３……リヤフロアパネル、４……フロアパネ
ル、５……第１クロスメンバ、６……第２クロス
メンバ、１１……補強メンバ、１３……スペアタ
イヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロントフロアパネルと傾斜パネルとリヤフロ
   アパネルとからなり、上記傾斜パネルが上記フロ
   ントフロアパネルの後端から斜め後方上向きに傾
   斜し上記リヤフロアパネルに連接されたフロアパ
   ネルと、上記フロントフロアパネルの後端部に上
   方に突出して車幅方向に延びる第１クロスメンバ
   と、上記リヤフロアパネルの前端部下面に車幅方
   向に延びる第２クロスメンバと、上記第１クロス
   メンバと第２クロスメンバとを連結しスペアタイ
   ヤを支持する補強メンバとを備えることを特徴と
   する自動車のスペアタイヤ格納構造。