JPH0310453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、流体の流量又は圧力をソレノイド
の励磁電流に略比例して制御する比例ソレノイド
形電磁比例弁に関する。

〔従来の技術〕

比例ソレノイド形電磁比例弁には、圧力制御弁
と流量制御弁があり、圧力制御弁は一般に、ボデ
イに形成した流体の流入口（Ｐポート）と流出口
（Ｔポート）との間の流路に固定の弁座と可動の
弁体（例えばポペツト）を介装し、比例ソレノイ
ドによつて弁体を駆動して弁座に対する弁体の押
圧力を制御することにより、流入口側の圧力（例
えばリリーフ圧力）を電気的に比例制御するよう
になつている。

一方、流量制御弁の場合は一般に、流体の流入
口と流出口を形成したボデイ内で摺動するスプー
ルを、スプリングによる付勢力に抗して比例ソレ
ノイドによつて駆動してその位置を制御すること
により、流出口から流出する流量を電気的に比例
制御するようになつている。

従来のこの種の圧力制御弁としては、例えば特
開昭53−90229号公報にも見られるように、弁体
としてポペツトを用いたものがある。

そして、通常このような比例ソレノイド形電磁
比例弁においては、弁体を駆動する比例ソレノイ
ドの可動鉄心の後方に突出するロツドにスプリン
グ受を装着し、ボデイに外部から可動に設けた零
調整部材との間に調整スプリングを介装して、比
例ソレノイドに通電しない時の流量又は圧力を、
この零調整部材による調整スプリングの圧縮度合
によつて調整し得るようになつている。

例えば、本出願人は先に弁座及び弁体としてノ
ズルとフラツパを用いて圧力特性を高めた比例ソ
レノイド形電磁圧力制御弁を出願している（実願
昭59−54759号（実開昭60−167279号公報））。

この圧力制御弁は、第３図に示すように、弁本
体部１０と比例ソレノイド２０と調整部３０とが
一体に連結されて構成され、弁本体部１０は、ボ
デイ１１に形成した流入口１２と流出口１３と
を、ボデイ１１内に突設したノズル１４のノズル
孔１４ａ及びノズル・フラツパ室１８を介して連
通させると共に、ノズル１４と対向するフラツパ
部材（弁体）１６を軸受１７を介してボデイ１１
に摺動自在に嵌挿しており、このフラツパ部材１
６をスプリング１８によつてノズル１４から離す
方向に付勢している。

このフラツパ部材１６の後端部は、比例ソレノ
イド２０のボデイ２１内を移動する可動鉄心２２
を貫通して固着され、軸受２３，２４によつてボ
デイ２１に支持されたたロツド２５の前方（図で
左側）突出部２５ａに当接している。

そして、比例ソレノイド２０の電磁コイル２６
に通電されると、可動鉄心２２がロツド２５の突
出部２５ａを介してフラツパ部材１６をノズル１
４の先端に押圧するように作用し、そのノズル孔
１４ａを閉鎖しようとするが、それによつて流入
口１２の流体圧力が上昇してフラツパ部材１６を
押し戻そうとする力が作用する。

したがつて、この両者の力が平衡したところ
で、比例ソレノイド２０への入力電流に比例した
圧力制御が行なわれる。

一方、ロツド２５の後方（図で右側）突出部２
５ｂは、調整部３０のカバー３１内に突出し、そ
の先端にスプリング受け３２を嵌着しており、カ
バー３１の右端部に螺合してナツト３４によつて
固定される零調整ねじ３３によつて摺動されるス
プリング受け３５（これらによつて零調整部材を
構成する）との間に調整スプリング３６を介装
し、比例ソレノイド２０に通電しない時のフラツ
パ部材１６の押圧力を調整できるようになつてい
る。

すなわち、零調整ねじ３３を調整スプリング３
６が圧縮される方向（ねじ込み方向）へ回転させ
れば、その付勢力（反力）が増加して、ロツド２
５を介してフラツパ部材１６をノズル１４へ押圧
する力が大きくなり、零調整ねじ３３を反対方向
に回転させれば、調整スプリング３６の付勢力が
減少し、フラツパ部材１６をノズル１４へ押圧す
る力が小さくなる。

工場出荷時には、この零調整ねじ３３を調整し
て比例ソレノイド２０の入力電流が零（ゼロ）の
時の最低設定圧を規制する。

また、使用中におけるトラブル発生時に、電気
系の故障か弁本体の故障かを判断するには、この
零調整ねじ３３を回転操作してフラツパ部材１６
に強制的に押圧力を加えてみれば良い。さらに、
電気系の故障の場合には、零調整ねじ３３を調整
することによつて、制御圧力のマニユアル設定を
行なうこともできる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、これらの従来の比例ソレノイド
形電磁比例弁にあつては、比例ソレノイドの可動
鉄心の後方に突出するロツドの突端部にスプリン
グ受けがしつくりと嵌着しており、また零調整部
材との間に介装される調整スプリングは、弁体側
からの大きな反力を受けるため大きな設定力を要
する場合が多い。

例えば前述の圧力制御弁では、スプリング１５
の反力が大きいため、調整スプリング３６の設定
力も大きくしなければならない。

ところが、一般にスプリングは圧縮していくと
曲るのが普通であり、従来はこの曲りを生じさせ
ない状態で圧縮しているため、スプリング受け
（第３図の例では３２）にこの曲げ力が作用して
いた。

そのため、ロツド２５の軸受２４及び２３に半
径方向の押しつけ力が作用し、これに摩擦係数を
乗じて得られる大きな摩擦力が発生し、その摩擦
力に起因してヒステリシスが大きくなり、比例制
御の再現性が悪くなると共に、軸受の寿命が短か
くなるという問題点があつた。

そこで、例えば特開昭51−79024号公報に見ら
れるように、ソレノイドの後方に突出するロツド
の先端に尖端部を形成して、スプリング受けに設
けた凹部にその尖端部を緩く嵌入させて略点接触
させるようにした構造を、零調整部材との間に介
装する調整スプリングのソレノイド側受け部に適
用して、調整スプリングが傾いた時にスプリング
受けの傾きを許容し、ソレノイドのロツドに半径
方向の押し付け力を与えないようにすることが考
えられる。

このようにすれば、調整スプリングが傾いても
その作用中心がロツドの軸心に一致している場合
には、点接触によるスプリング受けの傾きが生じ
るだけでロツドへの影響は防止できるが、実際に
はスプリング自体は傾きとともに作用中心も変化
し、その作用中心のロツドの軸心とのずれ量はス
プリングの弾性能力によつて吸収されることにな
る。

ところが、この弾性能力により無理にその作用
中心がロツドの中心に変位するので、当然その反
力が点接触部において半径方向の力としてロツド
に作用するため、やはり前述した摩擦力が生じ、
それによる問題を充分に解決することはできな
い。

この考案は、このような問題を完全に解決し
て、ヒステリシスが少く再現性のよい比例制御が
でき、且つ寿命も長い比例ソレノイド形電磁比例
弁を提供することを目的とする。

この考案は、このような問題点を解決すること
を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

そのため、この考案による比例ソレノイド形電
磁比例弁は、比例ソレノイドの可動鉄心の後方に
突出するロツドの突端を平坦面にすると共に、零
調整部材との間に介装する調整スプリングを受け
るスプリング受けに、上記ロツドの突端部を遊嵌
させる凹部を形成し、この凹部内に鋼球を設けて
その鋼球に上記ロツドの突端を当接させるように
したものである。

〔作用〕

ロツドの突端の平坦面とスプリング受け内の鋼
球とが点接触しており、零調整部材によつて調整
スプリングが圧縮されて曲りを生じると、その曲
げ力によつてスプリング受けが自由に傾くととも
に、調整スプリングの作用中心がロツドの軸心に
対して偏心して半径方向の力が発生しても、ロツ
ドの突端が平坦面なのでその力により鋼球が平坦
面上を移動するため、ロツドに対して径方向の押
しつけ力は殆んど作用しない。

したがつて、軸受との間に摩擦力が殆んど発生
せず、ヒステリシスの少ない再現性のよい比例制
御ができる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は、この考案の一実施例を示す縦断面図
であり、これは第３図に示したノズル・フラツパ
機構を用いた比例ソレノイド形電磁圧力制御弁に
この考案を適用したもので、第３図と同じ部分に
は同一符号を付してその説明を省略する。

この実施例において、第３図の従来例と異なる
のは、比例ソレノイド２０の可動鉄心に突設され
たロツド２５の後方突出部２５ｂに装着されて、
調整スプリング３６を受けるスプリング受け部の
構造である。

ロツド２５の後方突出部２５ｂの突端２５ｃは
平坦面に形成されており、スプリング受け３８に
は、この突端部２５ｄを遊嵌させる凹部３８ａを
形成している。すなわち、この凹部３８ａの内径
はロツド２５の突端部２５ｄの外径より充分大き
い。

そして、このスプリング受け３８の凹部３８ａ
内に鋼球３９を収納して設け、この凹部３８ａに
遊嵌するロツド２５の突端２５ｃをこの鋼球３９
に当接させ、このスプリング受け３８と零調整ね
じ３３によつて摺動されるスプリング受け３５と
の間に調整スプリング３６を介装している。

したがつて、ロツド２５の突端２５ｃと鋼球３
９とは常に点接触しており、零調整ねじ３３によ
つてスプリング受け３５が図で左方へ押し込ま
れ、調整スプリング３６が大きく圧縮設定されて
も、それによる調整スプリング３６の曲げ力によ
りスプリング受け３８が図示のように自由に傾
き、調整スプリング３６も曲がる。

また、その時の突端２５ｃと鋼球３９との接触
位置も半径方向に力が作用するとその力によつて
移動し、軸受２４によつて支持されるロツド２５
の後方突出部２５ｂに対する半径方向の押しつけ
力は極めて僅かとなる。

それ故、ロツド２５と軸受２４との間の摩擦力
も僅かとなり、ヒステリシスが小さく、比例ソレ
ノイド２０の入力電流に応じた再現性のよい圧力
制御ができる。

なお、スプリング受け３５には調整スプリング
３６を軸心に一致させるためのガイド部３５ａを
設けてある。このガイド部３５ａは鋼球３９が突
端２５ｃの平坦面内の中央部から大幅にずれない
ように作用する。

次に、第２図に示すこの考案の他の実施例を説
明する。

これは、弁本体部の弁体としてスプールを用い
た比例ソレノイド型電磁流量制御弁にこの考案を
適用したもので、第１図及び第３図と同じ部分に
は同一符号を付してあり、それらの説明は省略す
る。

この実施例における弁本体部４０は、ボデイ４
１に形成した流入口４２と流出口４３を連通する
摺動孔４４内に、スプール４５が摺動可能に収納
されている。

このスプール４５はスプリング４６によつて図
で右方に付勢され、右端面には比例ソレノイド２
０の可動鉄心２２に固設されたロツド２５の前方
突出部２５ａが当接している。なお、４７，４８
はドレイン油路である。

そして、比例ソレノイド２０の入力電流が零の
時は、スプール４５がスプリング４６と調整スプ
リング３６の付勢力のバランスによつて図示の位
置にあり、流入口４２と流出口４３の間を全閉状
態にしており、比例ソレノイド２０に通電する
と、その入力電流に応じてロツド２５がスプリン
グ４６の付勢力に抗してスプール４５を左方へ移
動させ、流入口４２と流出口４３との間の開度を
所定値に設定し、そこを流れる流量を比例制御す
る。

調整部３０の構成及び作用効果は第１図の実施
例と全く同様である。

〔考案の効果〕 以上説明してきたように、この考案による比例
ソレノイド形電磁比例弁は、零調整用スプリング
に設定力の大きなものを使用しても、比例ソレノ
イドのロツド側のスプリング受けがロツドに対し
て自由に移動しかつ傾くので、調整スプリング自
体も圧縮状態に応じて曲り、かつ鋼球によるロツ
ドへの作用点が半径方向の力を少くするようにそ
の位置を変化するのでロツドを軸受に押しつける
半径方向の押しつけ力が殆んど発生しない。

したがつて、ロツドと軸受との間の摩擦力が極
めて小さくなり、ヒステリシスが少なく再現性の
よい比例制御ができる。また、軸受の面圧が低く
なるのでその寿命が長くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断面図、
第２図はこの考案の他の実施例を示す縦断面図、
第３図は従来の比例ソレノイド形電磁比例弁の一
例を示す縦断面図である。 １０，４０……弁本体部、１２，４２……流入
口、１３，４３……流出口、１４……ノズル、１
６……フラツパ部材、２０……比例ソレノイド、
２２……可動鉄心、２３，２４……軸受、２５…
…ロツド、２５ａ……前方突出部、２５ｂ……後
方突出部、２５ｃ……突端、３０……調整部、３
３……調整ねじ、３５……スプリング受け、３６
……調整スプリング、３８……スプリング受け、
３８ａ……凹部、３９……鋼球。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 比例ソレノイドによつて弁体を駆動して流体の
   流量又は圧力を比例制御すると共に、前記比例ソ
   レノイドの可動鉄心の後方に突出するロツドに装
   着したスプリング受けと零調整部材との間に調整
   スプリングを介装して、前記比例ソレノイドに通
   電しない時の前記流量又は圧力を前記零調整部材
   による前記調整スプリングの圧縮度合によつて調
   整し得るようにした比例ソレノイド形電磁比例弁
   において、 前記ロツドの突端を平坦面にすると共に、前記
   スプリング受けに前記ロツドの突端部を遊嵌させ
   る凹部を形成し、該凹部内に鋼球を設けて該鋼球
   に前記ロツドの突端を当接させるようにしたこと
   を特徴とする比例ソレノイド形電磁比例弁。