JPH0310233Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、シールド式トンネル掘進において切
羽地盤のロータリカツタに対する掘削抵抗の軽減
またはずりへの流動性および止水性の付与のため
にシールド本体の隔壁前方で地盤またはずりに施
した起泡処理または気泡混入処理によつて気泡が
混入したずりの処理装置に関し、特にその消泡装
置に関する。

（従来技術） 本願出願人は、先に、特開昭57−29792号公報
において、シールド本体の隔壁前方の圧力域に所
定の圧力を維持する間に気泡混入ずりを前記加圧
域から大気域に排出させるための排出手段として
スクリユーコンベア装置を用い、該スクリユーコ
ンベア装置に開放する消泡剤供給管を経て気泡混
入ずりに消泡剤を供給し、あるいは前記排出手段
として排出管およびピストンを備える排出装置を
用い、該排出装置から排出された気泡混入ずりを
撹拌するための撹拌手段を有するずり溜めを設
け、該ずり溜めに消泡剤供給管を経て消泡剤を供
給することを提案した。

これらは、気泡混入ずりの気泡を消去するに
は、気泡混入ずりと、消泡剤との充分な混合が必
要であるとの考えを基に、前記スクリユーコンベ
ア装置あるいは前記ずり溜めでの撹拌混合作用を
期待したものである。

しかしながら、前者では、スクリユーコンベア
装置に開放する前記消泡剤供給管の開口部にずり
が詰まることがあり、そのために消泡剤の供給量
に不足が生じると、消泡効果が低下する。また、
後者では、撹拌手段を有する前記ずり溜めの設置
に比較的広いスペースを必要とすることから、小
径のシールド掘進機には適用できない場合があつ
た。

ところで、気泡混入ずりに消泡剤を供給するに
ついて、気泡混入ずりにその量に応じた適正量の
消泡剤を散布すれば、両者を積極的に撹拌せずと
も、気泡混入ずりから気泡を効果的に消去し得る
ことが判明した。

（目 的） 本考案の目的は、比較的小径のシールド掘進機
にも適用することができ、気泡混入ずりの気泡を
確実に消去し得るシールド掘進工法のための気泡
混入ずり処理装置を提供することにある。

（構 成） 本考案は、切羽地盤のロータリカツタに対する
掘削抵抗の軽減またはずりへの流動性および止水
性の付与のための気泡が混入したずりをシールド
本体の隔壁前方の圧力域に所定の圧力を維持する
間に前記圧力域から大気域に排出させ手段と、該
排出手段から排出された気泡混入ずりを坑道外へ
向けて搬送する手段と、該搬送手段により移送さ
れる気泡混入ずりに消泡剤を散布する手段と、前
記排出手段の作動速度を検出する手段と、前記布
手段による消泡剤の散布量を前記検出手段の検出
信号に基づいて制御する手段とを含むことを特徴
とする。

（作用効果） 前記搬送手段により搬送される単位時間当りの
気泡混入ずりの量は前記排出手段から排出される
単位時間当りの気泡混入ずりの量にほぼ比例し、
この排出手段から排出される単位時間当りの気泡
混入ずりの量は前記排出手段の作動速度にほぼ比
例する。

従つて、本考案によれば、前記排出手段の作動
速度と、該排出手段から排出される単位時間当り
の気泡混入ずりとの関係を予め知ることにより、
前記検出手段からの前記排出手段の作動速度の情
報に基づいて前記散布手段から散布される消泡剤
の量を適正に制御することができ、これにより前
記搬送手段を通過する気泡混入ずりに過不足のな
い適正量の消泡剤を散布することができることか
ら、比較的大きな設置スペースを必要とする格別
な撹拌手段を用いることなく、気泡混入ずりから
気泡を効果的かつ確実に消すことができ、比較的
小径のシールド掘進機にも適用できる。

また、適正量の消泡剤が供給されることから、
消泡剤の過多の供給によつて生じる消泡処理後の
ずりの含水率の増大に起因する諸問題をも解消
し、経済的な消泡処理が可能となる。

（実施例） 本考案が特徴とするところは、図示の実施例に
ついての以下の説明により、さらに明らかになろ
う。

第１図は、本考案に係る気泡混入ずり処理装置
が設けられるシールド式トンネル掘進装置１０の
一例を示す。

前記掘進装置１０は、そのシールド本体１２の
後部にセグメント１４に反力を担わせてシールド
本体１２を推進させるジヤツキ１６を備え、また
前部には回転カツタヘツド１８を支承すると共に
シールド本体１２内を前方の加圧域２０と後方の
大気域２２とに区画する隔壁２４を備える。

カツタヘツド１８には、その回転軸１８ａを経
てカツタフエイスから切羽に向けられた複数の開
口を有する起泡剤供給路２６が設けられている。
また隔壁２４には、開口２８が設けられている。
前記起泡剤供給路２６および開口２８には、起泡
剤供給管３０がそれぞれ接続され、該起泡剤供給
管を経て供給される起泡剤は、前記開口２８を経
て加圧域２０に送られ、また前記起泡剤供給路２
６を経て切羽面に注入される。カツタヘツド１８
は、その回転軸１８ａに設けられたギヤ３２およ
び該ギヤに噛合するピニオン３４を介して回転軸
１８ａに接続された駆動装置３６の作動により回
転されるが、このカツタヘツド１８の回転によつ
てずりと起泡剤との混合を促進するための撹拌翼
３８がカツタヘツド１８の背面に設けられてい
る。

従来の前記掘進装置１０では、前記切羽面に注
入される気泡剤および前記加圧域に供給される起
泡剤によつて起生される気泡は、カツタヘツド１
８の掘削抵抗を低減し、また、ずりと混合される
ことにより、ずりに流動性および止水性を与え
る。この気泡の混入によつて流動性および止水性
を与えられたずりは、加圧域の圧力低下を防止
し、これにより切羽の崩壊が防止される。

本考案に係る気泡処理装置４０は、隔壁２４を
経て加圧域２０に一端が開放しかつ隔壁２４の後
方へ仰角をもつて大気域２２内に伸長する筒状ケ
ーシング４２ａおよびスクリユー軸４２ｂを有す
るスクリユーコンベア装置から成る排出手段４２
を含む。前記排出手段４２は、スクリユー軸４２
ｂが連結された駆動源４４の作動により、前記加
圧域２０内の気泡混入ずりを前記ケーシング４２
ａの他端部に設けられた排出口４６より、大気域
２２に配置された第１の搬送手段４８上に放出す
る。この気泡混入ずりの大気域２２への排出に際
して、気泡混入ずりは、液密性および気密性に富
むことから、前記ケーシング内の気密性を維持し
た状態で排出口４６へ移送され、第１の搬送手段
４８上に排出される。従つて、この気泡混入ずり
の大気域２２への排出に際して、加圧域２０内の
圧力降下が生じることはない。前記排出手段４２
として、スクリユーコンベア装置に代えて、例え
ば特開昭57−29792号公報に開示されているよう
なドラム式あるいはピストン式のような種々の排
出手段を用いることができる。

前記排出手段４２から排出される気泡混入ずり
を受ける前記第１の搬送手段４８は、図示の例で
は、連続的に運転される従来よく知られたベルト
コンベア装置であり、前記排出手段４２における
と同様に傾斜配置されている。また、第２図に示
す例では、第１の搬送手段４８に引続いて、トロ
ツコから成る第２の搬送手段５０が設けられてお
り、これらの搬送手段４８および５０により、坑
道外へ向けてのずりの搬出が行なわれている。

前記第１の搬送手段４８に関連して、消泡剤を
散布する手段５２が設けられている。前記散布手
段５２は、前記排出手段４２の排出口４６の近傍
で前記搬送手段４８の上方に置され、前記排出口
４６から第１の搬送手段４８上に排出されかつこ
れにより搬送される気泡混入ずり５４に消泡剤を
散布するためのノズル装置５６と、例えば界面活
性剤のような消泡剤を収容するタンクから成る消
泡剤源５８と、送給ポンプ６０の作動により前記
消泡剤源５８から消泡剤をノズル装置５６に送給
するための消泡剤供給管６２とを備える。前記起
泡剤に増粘剤が含まれている場合には、前記消泡
剤に粘性低下剤を混入することが好ましい。

前記供給管６２には、ノズル装置５６への消泡
剤供給量を調整するための流量制御弁装置６４が
設けられており、また過剰分を消泡剤源５８に戻
すための帰還管６６が接続されている。前記弁装
置６４は、その作動により、前記ノズル装置に送
給される消泡剤の量と前記帰還管６６を経て前記
消泡剤源５８へ戻される消泡剤の量との比率を変
えることから、前記弁装置６４の作動を制御する
ことにより、前記送給ポンプ６０の作動を可変と
することなく前記ノズル装置５６から散布される
消泡剤の量を可変とすることができる。

前記排出手段４２の作動速度に応じて前記ノズ
ル装置５６から散布される消泡剤の量を制御する
ために、作動速度検出手段６８が設けられてい
る。前記排出手段がスクリユーコンベア装置４２
から成る図示の例では、前記検出手段６８は、ス
クリユー軸４２ｂの回転速度すなわち１分間当り
の回転数を検出し、この回転数に応じた電気信号
を発する回転速度計から成り、該回転速度計は、
検出信号を演算装置７０に送る。演算装置７０に
は、前記スクリユー軸４２ｂの回転速度と、前記
搬送手段５４上に排出される１分間当りの気泡混
入ずりの量との関係および該気泡混入ずり量に対
する消泡剤の適正使用率が予め入力されており、
演算装置７０は、前記検出手段６８からの前記電
気信号に基づいて、前記搬送手段４８上を移送さ
れる気泡混入ずり量に応じた適正量の消泡剤を前
記ノズル装置５６から散布すべく前記弁装置６４
の作動を制御する。

気泡混入ずり量に対する消泡剤の適正使用率
は、例えば、起泡剤の使用量、切羽地盤の性質等
によつて変化することから、前記演算装置７０に
前記使用率についての複数のデータを記憶させて
おき、これらの内から適正値を選択し、あるいは
作動開始前に演算装置７０に適正使用率を手動に
より入力することができる。

前記気泡処理装置４０では、前記排出手段４２
から第１の搬送手段４８上に排出された気泡混入
ずりは、前記排出口４６の近傍に配置された前記
ノズル装置５６の下方を通過するときに該ノズル
装置より消泡剤の散布を受ける。この消泡剤の散
布量は、前記したように、搬送手段４８上を移送
される気泡混入ずり量に応じた適正量に制御され
ていることから、前記ノズル装置５６の下方を通
過する気泡混入ずりは、過不足のない適正量の消
泡剤の散布を受け、これにより気泡が効果的かつ
確実に消去される。

従つて、排出手段４２から排出された気泡混入
ずりを切羽の比較的近傍で自然の土砂の状態に戻
すことができることから、例えば第１の搬送手段
４８およびこれに引続く第２の搬送手段５０によ
る坑道外へ向けてのずりの搬出作業は比較的容易
となる。また、格別な撹拌手段が不要となること
から、比較的小径のシールド掘進機にも適用する
ことができ、適正量の消泡剤の使用により経済性
を高めることができる。

前記したところでは、前記排出手段４２から放
出される気泡混入ずりを直接受ける第１の搬送手
段４８に関連して前記ノズル装置５６を前記排出
手段４２の排出口４６の近傍に配置した例につい
て説明したが、前記ノズル装置を排出口４６から
遠く隔たつた第１の搬送手段４８上の位置に配置
し、あるいは第１の搬送手段に引続く、例えばベ
ルトコンベア装置のような連続的な搬送が可能な
搬送手段上に配置することができる。

しかしながら、前記ノズル装置を排出手段４６
の前記排出口から遠く隔たつた位置に設けると、
前記排出口から排出された気泡混入ずりが前記ノ
ズル装置による消泡剤散布領域に達する迄の時間
遅れを考慮する必要がある。これに対して、前記
したように、前記ノズル装置５６を前記排出手段
４２の排出口４６の近傍に配置することにより、
前記時間遅れを考慮する必要がなくなることか
ら、演算装置による演算処理の単純化の上で図示
の実施例が有利である。

また、前記演算装置７０の出力信号による前記
送給ポンプ６０の作動制御によつて前記ノズル装
置５６からの散布量を制御することができること
から、演算装置７０によつて前記送給ポンプ６０
の作動を制御することにより、前記流量制御弁装
置６４および前記帰還管６６を不要とすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る気泡処理装置が設けられ
るシールド掘進機を概略的に示す縦断面図であ
り、第２図は本考案に係る気泡処理装置の概略図
である。 １８……ロータリカツタ、２０……加圧域、２
２……大気域、２４……隔壁、４２……排出手
段、４８……搬送手段、５２……散布手段、５６
……ノズル装置、５８……消泡剤源、６２……供
給管、６４……流量制御弁装置、６６……帰還
管、６８……作動速度検出手段、７０……演算装
置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 切羽地盤のロータリカツタに対する掘削抵抗
   の軽減またはずりへの流動性および止水性の付
   与のための気泡が混入したずりをシールド本体
   の隔壁前方の圧力域に所定の圧力を維持する間
   に前記圧力域から大気域に排出させる手段と、
   該排出手段から排出された気泡混入ずりを坑道
   外へ向けて搬送する手段と、該搬送手段により
   移送される気泡混入ずりに消泡剤を散布する手
   段と、前記排出手段の作動速度を検出する手段
   と、前記散布手段による消泡剤の散布量を前記
   検出手段の検出信号に基づいて制御する手段と
   を含む、気泡混入ずり処理装置。 (2) 前記排出手段はスクリユーコンベア装置であ
   る、実用新案登録請求の範囲第(1)項に記載の気
   泡混入ずり処理装置。 (3) 前記検出手段は、前記スクリユーコンベア装
   置のスクリユー軸の回転速度を検出する回転速
   度計である、実用新案登録請求の範囲第(2)項に
   記載の気泡混入ずり処理装置。 (4) 前記搬送手段は、前記排出手段から排出され
   る気泡混入ずりを受けかつ連続的に作動される
   ベルトコンベア装置である実用新案登録請求の
   範囲第(1)項に記載の気泡混入ずり処理装置。