JPH029056Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両等のエンジン駆動に際し発生す
る排気ガスを浄化する為にもうけられる単一型触
媒排気ガス浄化装置において、該装置内の排気ガ
ス通過部に位置させる触媒部外周と該排気ガス通
過部内周壁との間に配設されるシール材とクツシ
ヨン体とを一体成形することにより組立作業を簡
易化したシール兼用クツシヨン体の改良に関する
もので、さらに詳しくは該触媒部をさらに確実に
該排気ガス通過部内周壁に弾性支持させ且つその
弾性支持させる為の該触媒部と排気ガス通過部内
周壁との間隙から該触媒内を通過せずに未浄化の
ままの排気ガスが漏出しないようにさらに確実に
シールするとともに該触媒部の装置内への組込み
作業を容易にして且つ確実なる組込み状態を実現
する単一型触媒排気ガス浄化装置におけるシール
兼用クツシヨン体の提供に係るものである。

従来の単一型触媒排気ガス浄化装置においては
その触媒部を該装置内に弾性支持する為のクツシ
ヨン体と、該触媒部外周と該触媒部を装着する装
置内周壁すなわち排気ガス通過部分内周壁との間
の間隙に未浄化の排気ガス漏出防止の為にもうけ
るシール材とが別体であり、該クツシヨン体と該
シール材とを別々に装置する際、その兼ね合せが
難かしく作業性悪くそれに加えて車両の走行によ
る振動もしくはエンジン駆動による振動等により
シール材の移動を招き未浄化の排気ガスが漏出す
る等の問題点があつた。この為、これらの問題点
の解決を試みて昭和55年特許出願公開第128613号
にてクツシヨン体とシール材とを一体化したシー
ル材封入クツシヨン体に関する発明が開示された
が、封入されるシール材が棒状である為、触媒部
外周と排気ガス通過部分内周壁との間の間隙をシ
ールする理想状態は、該間隙よりわずかに大きい
外形寸法を有する棒状シール材を該棒状シール材
の材料として有する弾性範囲内で圧縮させて該間
隙内に配設させれば高いシール効果が期待できう
るものであるが、該間隙には該触媒部外周面を弾
性支持する為のクツシヨン体も配設させており該
間隙の一部分に外形寸法が固定された棒状シール
材を位置させることにより、結果として、該間隙
をシールする為にクツシヨン体の弾性支持機能を
第二義的なものとなさしめるこになりシール機能
と弾性支持機能を同時に満足するものとは言い難
いものであるという問題点があつた。

そこで本考案は前記問題点に鑑みて、シール機
能と弾性支持機能とを同時に満足し且つさらに該
機能の向上を意図してシール機能を兼ね合せたシ
ール兼用クツシヨン体を提供せんとするもので、
その要旨とするところは、耐熱性の無機材料をか
らませた金属細線よりなる編物体もしくは織物体
を二重にし、全面を密着して基体となし、該基体
巾方向中間部において該巾方向に少なくとも１以
上の波が長さ方向に連続し且つ他の基体部分にお
いて長さ方向に対して斜行する波付加工を施して
なる点にある。

本考案の詳細を図例に基づいて説明する。第１
図に示す本考案の代表的実施例は、耐熱性の無機
材料１例えば図例においては石綿繊維をからませ
た金属細線２例えばステンレス細線よりなる編物
体３もしくは織物体３′を二重にし、全面を密着
させた基体Ｂに該基体Ｂの巾方向中間部において
該巾方向に少なくとも１以上の波４、図例では対
称形で１と約1/2の波４が長さ方向に連続し且つ
他の基体部分においては長さ方向に対して斜行す
る波付５加工を施して単一型触媒排気ガス浄化装
置におけるシール兼用クツシヨン体Ａを形成して
いる。ここで、シール兼用クツシヨン体Ａの内、
巾方向の波であつて長さ方向に連続する波４と長
さ方向に対して斜行する波５とはもちろん同波高
を有している。

しかして、本考案に係るシール兼用クツシヨン
体では、第２図に示す如く単一型触媒排気ガス装
置Ｄ内の触媒部Ｅ外周面と該装置内周壁すなわち
排気ガス通過部内周壁面F′との間の間隙Ｇよりわ
ずかに大きい波高さの波付を設定して加工を施し
たシール兼用クツシヨン体Ａを、該触媒部Ｅ外周
を連続して囲んだ状態で該間隙Ｇに該シール兼用
クツシヨン体Ａを厚さ方向すなわち波高さ方向に
圧縮して配設するだけで組立作業は完了し、しか
も該間隙Ｇ内であつて該触媒部Ｅ外周面並びに排
気ガス通過部内周壁面F′の両面へ対して、耐熱性
無機材料をからませた金属細線による編物体もし
くは織物体に波付加工を施したシール兼用クツシ
ヨン体を圧縮させたことによる反発弾性力により
波頂部が押圧して位置を保ち且つ耐熱性を有する
無機材料を金属細線にからませて編物体もしくは
織物体を形成したのでシール材とクツシヨン部と
が別体ではなく完全に一体となしたので基体Ｂ全
面に対して波付加工が可能となる為前記押圧もシ
ール兼用クツシヨン体Ａ全面部において行なわれ
ることになるので該触媒部Ｅを該単一型触媒排気
ガス装置Ｄ内で確実に弾性支持できるものであ
り、該装置Ｄもしくは触媒部Ｅに振動により排気
ガス通過部内周壁面F′並びに触媒部Ｅ外周面に対
する該シール兼用クツシヨン体Ａの波頂部の前記
押圧力を上まわる慣性力が作用して波部を若干扁
平にさせる方向にたわんでも、シール兼用クツシ
ヨン体Ａは、無機材料をからませた金属細線によ
りなる編物体もしくは織物体である基体を波付加
工したものなのでその弾性復元力の作用により該
触媒部Ｅを該装置内Ｄ内のもとの位置関係へ瞬時
に再現させうるものであるとともにシール機能を
付与させる為の無機材料を金属細線にからませて
編物体もしくは織物体を形成したので基体全面に
対して波付加工可能となり基体全面に対して波付
加工を施している為全面において前記弾性復元力
が期待でき、もつてクツシヨン性をともなつた弾
性支持が可能となるのである。又、該シール兼用
クツシヨン体Ａは、長さ方向に斜行する波付６加
工が施されているので触媒部Ｅと装置内壁すなわ
ち排気ガス通過部内周壁面F′との間の間隙Ｇを通
つて未浄化の排気ガスが漏出しようとしても第３
図に示す如くそれぞれの凹波部６…へ高速で流入
した排気ガスは凸波部７…の壁に斜めに突き当る
が、該壁は金属細線による編物体もしくは織物体
であり且つ金属細線で区切られる空間であるべき
部分には当初金属細線にからませた無機材料が編
込まれもしくは織込まれることにより前記空間で
あるべき部分に密に詰つた状態で存在することに
なるので、排気ガスは透過できずにはね返され該
凹波部６…内を該凹波に沿つて乱流状態で進行
し、該シール兼用クツシヨン体Ａの巾方向中間部
に至れば巾方向に少なくとも１以上の波５が長さ
方向に連続し、すなわち触媒部Ｅ外周方向全周に
わたつて少なくとも１つの波５の一方の波頂部も
しくは他方の波底部が間隙Ｇを構成する触媒部Ｅ
外周面と排気ガス通過部内周壁面F′とに当接して
いるのでそれ以上の未浄化排気ガスの漏出進行を
完全に遮断でき、もつて触媒部Ｅと排気ガス露出
防止の為のシール機能を発揮するのであり、触媒
部Ｅもしくは装置Ｄ全体が振動しても基体Ｂに波
付加工したことによる弾性復元力により波頂部が
常に該触媒部Ｅ外周面並びに排気ガス通過部内周
壁面F′に当接状態となしているので常に前記シー
ル機能の発揮を持続するものである。

そして、本シール兼用クツシヨン体は、その主
体である基体が耐熱性の無機材料をからませた金
属細線によりなるので高い耐熱性並びに断熱性を
示し、高温の排気ガスにさらされても材質的劣化
も極めて少なく前記したシール機能やクツシヨン
性をともなつた弾性支持機能を持続する。又、該
基体Ｂは、第４図に一例の部分拡大図を示す如く
耐熱性の無機材料１、例えば石綿もしくは石綿繊
維８を金属細線２なかでも望ましくはステンレス
細線にからませて編込んだ編物体３もしくは織込
んだ織物体を二重にして密着させてなるものなの
で有形の固形物形成が困難な石綿を板状に保持し
て形成できるとともに変形にも追随できうる可塑
性を有するとともに波付加工をした際の圧縮・引
張側での石綿もしくは石綿繊維８の剥離によるも
しくは高温下での飛散を該石綿もしくは石綿繊維
８をからませて編み込んだ金属細線２により防止
できるものである。なお、図示しないが、基体の
外表面をさらに他の金属細線よりなる編物体もし
くは織物体で被覆して密着させれば高温下にさら
されても石綿もしく石綿繊維８の飛散をさらに確
実なる防止が期待できるのである。又、さらに石
綿片等の飛散防止、耐熱性、断熱性並びにシール
材としての性能を完全に近いものを目指すならば
第５図に示す如く、例えばマイカペーパー、カー
ボンペーパーもしくはガラス繊維製ニツトメツシ
ユ又は加熱されると膨張する性質を有する「イン
タラム」（スリーエム社製商品名）等の薄膜９を、
二重にして密着させる前段階の該二重にした編物
体もしくは織物体の間に挾装させて密着させた基
体Ｃを用いればよい。

本考案に係るシール兼用クツシヨン体の製造方
法としては、耐熱性の無機材料１をからませた金
属細線２による編物体３もしくは織物体３′を別
体にて形成して二重となしてもよいが、工程の合
理化を意図して第６図に示す如く筒状の編物体１
０もしくは織物体を形成し、該筒状の編物体１０
もしくは織物体を２本の圧着ローラー１１，１１
間を通過させれば一工程で二重の編物体もしくは
織物体を密着させた基体Ｂが得られ、ついで所定
の波付型２本ローラー１２，１２間を通過させる
ことにより本考案に係るシール兼用クツシヨン体
Ａが長さ方向への連続物として得られ複雑な形状
にもかかわらず極めて高い製造性を有し、ひいて
はコスト低減を期待でき、好ましいものである。

以上にしてなる本考案に係るシール兼用クツシ
ヨン体は、耐熱性の無機材料をからませた金属細
線よりなる編物体もしくは織物体の二重にしたも
のを密着して基体となしたので基体全面において
波付加工可能となり単一型触媒排気ガス浄化装置
において触媒部外周囲に連続して位置させ該触媒
部外周と排気ガス通過部内周壁との間の間隙に配
設すれば該触媒部をさらに確実に且つクツシヨン
性をともなつて該装置内に弾性支持可能となし、
さらに基体部分に施した波付加工の波形を長さ方
向に対して斜行する波形となしたので高温・高速
で流送されてきた排気ガスを急角度で屈折を繰返
させて乱流状態で凹波部内を進行させるとともに
巾方向中間部においては該巾方向に少なくとも１
以上の波が長さ方向に連続して未浄化の排気ガス
のそれ以上の進行を完全に遮断してなるので該排
気ガスの触媒部外周と排気ガス通過部内周壁との
間の間隙からの漏出防止の為のシールをさらに確
実に行ない併せてシール材とクツシヨン部材を一
体にして且つ網状基体全面に波付して弾性復元力
を付与したので単に触媒部外周と排気ガス通過部
内周壁との間の間隙に配設するだけで組込み作業
が確実にして且つ容易に完了するものである。

とりわけ本考案に係るシール兼用クツシヨン体
では、耐熱性の無機材料をからませた金属細線に
より形成した編物体もしくは織物体を二重にして
密着させたものを基体となしたので、基体そのも
のが平板状のシール基材を構成し、さらに該基体
に波付加工を施してクツシヨン性をともなう弾性
支持機能を付与させたものであるとともに基体の
巾方向中間部に長さ方向に連続して且つ巾方向に
少なくとも１以上の波形が存するように波付加工
がなされているので、未浄化排気ガスを完全に遮
断しえるというシール機能とクツシヨン性をとも
なつた弾性支持機能の双方を合理的に満足させる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る単一型触媒排気ガス装置
におけるシール兼用クツシヨン体の代表的実施例
を示す説明図、第２図は第１図のものを当該装置
内に配設した状態を示す説明図、第３図は排気ガ
スの移動状態を示す説明図、第４図は基体の一例
の部分拡大平面図、第５図は基体の他の態様を示
す説明断面図、第６図は製造方法を示す説明図で
ある。 Ａ：シール兼用クツシヨン体、Ｂ：基体、Ｃ：
基体、Ｄ：単一型触媒排気ガス浄化装置、Ｅ：触
媒部、Ｆ：排気ガス通過部、F′：排気ガス通過部
内周壁面、Ｇ：間隙、１：耐熱性無機材料、２：
金属細線、３：編物体、３′：織物体、４：波、
５：波付、６：凹波部、７：凸波部、８：石綿繊
維、９：薄膜、１０：筒状の編物体、１１：圧着
ローラー、１２：波付型ローラー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 耐熱性の無機材料をからませた金属細線より
   なる編物体もしくは織物体を二重にし、全面を
   密着して基体となし、該基体巾方向中間部にお
   いて該巾方向に少なくとも１以上の波が長さ方
   向に連続し且つ他の基体部分において長さ方向
   に対して斜行する波付加工を施した単一型触媒
   排気ガス浄化装置におけるシール兼用クツシヨ
   ン体。 ２ 前記金属細線にからませる耐熱性の無機材料
   として、石綿もしくは石綿繊維を用いることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の単一型触媒排気ガス浄化装置におけるシール
   兼用クツシヨン体。 ３ 前記基体として、耐熱性の無機材料をからま
   せた金属細線よりなる編物体もしくは織物体で
   ある筒体を断面方向に扁平にして二重となした
   ものを利用してなることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項または第２項記載の単一
   型触媒排気ガス浄化装置におけるシール兼用ク
   ツシヨン体。