JP3575547B2 - 球帯状シール体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動車の排気管継手に用いて好適な球帯状シール体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンの排気ガスは、エンジンから車体フレーム等に配された排気管に導かれて大気中に排出されるが、この排気管はエンジンのトルク反力及び慣性等により振動される。この振動は排気管つり架具を伝わって車室内にもたらされたり、或いは騒音の原因になるばかりでなく、排気管の疲労折損等の不具合を生じさせる。このような問題点を解決するために、従来、排気管の所定箇所に球帯状シール体を具備した排気管継手を配して振動を吸収させる等の手段が講じられている。この排気管継手に使用される球帯状シール体には、自動車エンジンの回転にともなって生じる上流側及び下流側排気管の相対角運動を円滑に許容する機能、排気ガスの当該継手部分からの漏洩を防止する密封機能及び自動車エンジンの回転にともなって生じる排気管の微小振動を吸収する振動吸収機能などが要求される。
【0003】
この球帯状シール体としては、例えば特公昭58−21144号公報に開示されているように、従来、ワイヤーメッシュと可撓性を有する耐火材シートとを重ね合わせ、これらを円筒状に捲回して予備成形体を形成した後、この予備成形体を当該予備成形体の軸方向に圧縮して形成したものが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のワイヤーメッシュと耐火材とからなるシール体は、該耐火材がワイヤーメッシュの目や隙間の全てに充填されかつ両者が互いに絡み合って構造的一体性を有していること、及びシール体の部分凸球面部に露出した耐火材がそれ自体可撓性を具備して相手面へのなじみ性に優れていることから、球面継手部における排気ガスの漏洩に対する密封機能は高められる反面、排気管に生じる微小振動に対してはシール体自体が剛体として作用するため、当該振動に対する振動吸収性はほとんど期待できず、当該振動に起因する騒音の発生及び車室のこもり音の発生防止については問題として残されている。
【0005】
上述した従来技術の問題点に対し、本出願人は先に特願昭63−126340号(特開平1−299393号)において、次の構成からなる球帯状シール体を提案した。すなわち、中央部に円孔を有し外面に部分凸球面部を有する球帯状シール体であって、金属細線を織ったり編んだりして得られる金網と膨脹黒鉛からなる耐火材とからなり、該シール体はその中央部の円孔側から該凸球面部側にかけて所定の幅をもって形成された金網からなる振動吸収部と該振動吸収部と一体的に該振動吸収部を覆って該凸球面部及び該凸球面部の大径側端面に形成された該金網と該金網の目や隙間を充填した耐火材とからなる密封部とを備えた球帯状シール体である。
【0006】
この球帯状シール体は、自動車エンジンからもたらされる排気管の振動を金網からなる振動吸収部の弾性作用によって吸収し、該排気管の振動に起因する騒音の発生、車室のこもり音の発生を防止するものである。
【0007】
しかしながら該シール体の密封部は熱的良導体である金網を含んで形成されているため、この金網を介して排気管内の排気ガスの熱が容易に密封部の外表面に伝達され、当該外表面が過度に加熱される。この外表面は外気に晒されているため、これが過度に熱せられるとそこでの酸化腐食が促進され、その結果密封部の劣化が早期に生じ、密封機能の低下に加えて滑り機能の低下が生じる。
【0008】
本発明は上記特願昭63−126340号の利点である振動吸収部の機能はそのまま有効に利用し、密封部の過度の加熱を防止し得てそこでの酸化腐食の進行を好ましく低減し得、その結果密封部の初期の密封機能及び滑り機能を長期に亘って維持し得る球帯状シール体並びにその製造方法を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、中央部に円孔を有し大径端部と小径端部との間の外面に部分凸球面を有してなり、排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、中央部の円孔から部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成され、圧縮された金網からなる振動吸収層と、この振動吸収層を覆って部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成されていると共に金網を含まない耐火材のみからなる密封層と、この密封層を覆って部分凸球面まで配され、圧縮された金網及びこの金網の目や隙間を充填した耐火材からなる摺動層とを具備しており、密封層は、振動吸収層から摺動層への熱の伝達を遮断する断熱層として、振動吸収層と摺動層との間に、小径端部から大径端部まで伸びて介在されていると共に、大径端部側で無端環状端面を形成して外部に露出している球帯状シール体によって達成される。
【0010】
また本発明によれば、前記目的は長尺の金網を渦巻き状に捲回して予備圧縮成形してなる金網円筒体と、長尺の耐火材を渦巻き状に捲回した後、その外周に金網と耐火材とからなる複合シートを捲回してこれらを予備圧縮成形してなる複合円筒体とを準備する工程と、金網円筒体の外側に複合円筒体を配し、これらを金型の心棒に同心状に嵌装して金型内に挿入して円筒体の軸方向に圧縮する工程とを具備した上述の球帯状シール体の製造方法によっても達成される。
【0011】
前記目的は本発明によれば、長尺の金網を捲回して円筒渦巻き状に形成した後、その外周に長尺の耐火材を渦巻き状に捲回し、さらにその外周に金網と耐火材とからなる複合シートを捲回して渦巻き状の予備複合体を準備する工程と、これを金型の心棒に嵌装し金型内に挿入して予備複合体の軸方向に圧縮する工程とを具備してなる、上述の球帯状シール体の製造方法によっても達成される。
【0012】
上記した製造方法において、金網と耐火材とからなる複合シートは、1)帯状の金網と耐火材とを重ね合わせて構成したもの、2)金網として袋状金網を使用し、この袋状金網を径方向に圧縮し帯状に加工した後、この金網内に耐火材を挿入して構成したもの、3)上記2)の構成からなる複合シートを、さらにロール掛けして両者を一体化して構成したもの、などが使用される。
【0013】
前述した製造方法において、長尺の耐火材を捲回して渦巻き状に形成した後、その外周に上記1)の構成からなる複合シートを使用し、かつ耐火材を外周に位置させて予備圧縮成形した場合には、外周面に耐火材が露出した複合円筒体が得られ、最終の球帯状シール体の外周面、すなわち凸球面は耐火材が露出した平滑な面となる。
【0014】
また、長尺の耐火材を捲回して渦巻き状に形成した後、その外周面に上記2)または3)の構成からなる複合シートを形成して予備圧縮成形した場合には、外周面に金網と該金網の目及び隙間を充填した耐火材が混在した複合円筒体が得られ、最終の球帯状シール体の外周面、すなわち部分凸球面は金網と該金網の目及び隙間を充填した耐火材が混在して露出した平滑な面となる。
【0015】
さらに本発明によれば、前記目的は中央部に円孔を有し大径端部と小径端部との間の外面に部分凸球面を有してなり、排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、中央部の円孔から部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成され、圧縮された金網からなる振動吸収層と、この振動吸収層を覆って部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成されていると共に金網を含まない耐火材のみからなる密封層と、この密封層を覆って部分凸球面まで配され、圧縮された金網並びにこの金網の目や隙間を充填した耐火材及び滑り材からなる摺動層とを具備しており、密封層は、振動吸収層から摺動層への熱の伝達を遮断する断熱層として、振動吸収層と摺動層との間に、小径端部から大径端部まで伸びて介在されていると共に、大径端部側で無端環状端面を形成して外部に露出している球帯状シール体によっても達成される。
【0016】
さらにまた本発明によれば前記目的は、長尺の金網を渦巻き状に捲回して予備圧縮成形してなる金網円筒体と、長尺の耐火材を渦巻き状に捲回した後、その外周に金網と耐火材と該耐火材の表面に一体的に形成された滑り材とからなる複合シートを、滑り材を外周面に位置させて捲回してこれらを予備圧縮成形してなる複合円筒体とを準備する工程と、金網円筒体の外側に複合円筒体を配し、これらを金型の心棒に同心状に嵌装して金型内に挿入して円筒体の軸方向に圧縮する工程とを具備した上述の球帯状シール体の製造方法によっても達成される。
【0017】
また、本発明によれば前記目的は、長尺の金網を捲回して渦巻き状に形成した後、その外周に長尺の耐火材を渦巻状に捲回し、さらにその外周に金網と耐火材と該耐火材の表面に一体的に形成された滑り材とからなる複合シートを、滑り材を外側に位置させて捲回して渦巻状の予備複合体を準備する工程と、これを金型の心棒に嵌装して金型内に挿入して予備複合体の軸方向に圧縮する工程とを具備してなる、上述の球帯状シール体の製造方法によっても達成される。
【0018】
上述した製造方法において、金網と耐火材と耐火材の表面に一体的に形成された滑り材からなる複合シートは、4)帯状の金網上に表面に滑り材が一体的に形成された耐火材を、滑り材を外側にして重ね合わせて構成したもの、5)金網として袋状の金網を使用し、この袋状金網を径方向に圧縮して帯状に加工した後、この金網内に表面に滑り材が一体的に形成された耐火材を挿入して構成したもの、6)上記5)の構成からなる複合シートを、さらにロール掛けして両者を一体化して構成したもの、などが使用される。
【0019】
前述した製造方法において、上記4)の構成からなる複合シートを使用した場合には、最終の球帯状シール体の外周面、すなわち凸球面は滑り材が露出した平滑な面に形成される。また、上記5)又は6)の構成からなる複合シートを使用した場合には、最終の球帯状シール体の外周面、すなわち凸球面は圧縮された金網と金網の目及び隙間を充填した滑り材とが混在した平滑な面に形成される。
【0020】
本発明の球帯状シール体の好ましい例では、大径端部側の密封層は振動吸収層の端面と摺動層の端面との間で無端環状端面を形成して外部に露出している。
【0021】
【作用】
本発明の球帯状シール体は、例えば自動車のエンジンの排気管途中に設けられる排気管継手に適用される。このようにして適用された本発明の球帯状シール体では、振動吸収層によって上流側排気管の微小振動を吸収し、密封層によって継手部分からの排気ガスの漏洩を防止する。そして本発明の球帯状シール体では密封層を覆って配された摺動層が相手材と摺接し、その結果球帯状シール体を介して接続される排気管の相対角運動を円滑に許容する。
【0022】
次に本発明を、図に示す具体例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら具体例に何等限定されないのである。
【0023】
【具体例】
図1及び図2において、自動車の排気管継手1に適用された本例の球帯状シール体2は、中央部に円孔3を有し大径端部4と小径端部5との間の外面に部分凸球面6を有しており、中央部の円孔3から部分凸球面6に向かって所定の厚みをもって形成され、圧縮された金網からなる振動吸収層7と、振動吸収層7を覆って部分凸球面6に向かって所定の厚みをもって形成されていると共に金網を含まない耐火材のみからなる密封層8と、密封層8を覆って部分凸球面6まで配され、圧縮された金網及びこの金網の目や隙間を充填した耐火材からなる摺動層9とを具備しており、ここで、密封層8は、振動吸収層7から摺動層9への熱の伝達を遮断する断熱層として、振動吸収層7と摺動層9との間に、小径端部5から大径端部4まで伸びて介在されていると共に、大径端部側4で無端環状端面10を形成して外部に露出している。
【0024】
振動吸収層7を形成する金網としては、金属細線を織ったり編んだりして得られた織組又は編組金網を使用し得、金属細線としては、オーステナイト系のSUS304、SUS316、フェライト系のSUS430等のステンレス鋼線或いは鉄線、亜鉛メッキ鉄線(JIS−G−3532)等を例示し得る。金網としては、3mmから5mmの網目を有するものが使用されて好適である。
【0025】
本発明では大径端部4側の密封層8は、振動吸収層7の環状端面と摺動層9の環状端面との間で無端環状端面10を形成して外部に露出している。密封層8を構成する耐火材の一つとしては膨脹黒鉛又はマイカを例示し得る。
【0026】
本例の摺動層9の耐火材は、圧縮された金網及びこの金網の目や隙間に充填されていると共に、層11を形成して部分凸球面6の表面に露出している。
【0027】
このように形成された本例の球帯状シール体2は図2に示すように排気管継手1に使用されるわけであるが、ここで排気管継手1は、上流側(エンジン側)の排気管21に溶接等の手段により固着されたフランジ22と、下流側(消音器側)の排気管23に一端が溶接等により固着されており、球帯状シール体2の部分凸球面6に対して相補的形状を有して部分凸球面6に接した凹球面シール座面24を有したシール座25と、シール座25から一体的に延設されたフランジ26と、フランジ26に穿設された孔27を通って一端がフランジ22に螺着された一対のボルト28と、ボルト28の膨大頭部29及びフランジ26間にそれぞれ配されたコイルばね30とを具備しており、球帯状シール体2は、フランジ22とシール座25との間であって、大径端部4がフランジ22の側面に当接するようにして、排気管21の一端に嵌装される。コイルばね30はそのばね力によりフランジ22と26とを弾性的に連結し、その結果、部分凸球面6に凹球面シール座面24を弾性的に押圧させている。
【0028】
このような排気管継手1では、排気管23に対する排気管21の滑らかな相対的角変位を球帯状シール体2の摺動層9によって可能とし、排気管21側の大きな振動の排気管23側への伝達を効果的に防止する。そして自動車のエンジンの回転に伴って生じる排気管21の微小振動は主に球帯状シール体2の振動吸収層7において吸収され、また排気ガスの漏洩は密封層8によって防止される。更に球帯状シール体2では、振動吸収層7と摺動層9との間に、金網を含まない耐火材のみからなる密封層8が断熱層として設けられているため、摺動層9への排気ガスの熱の伝達が密封層8により遮断され、摺動層9が過度に加熱されるような事態もを避けることができ、その結果外気に晒される摺動層9が酸化腐食する程度を極端に少なくし得る。
【0029】
なお、本例の球帯状シール体2では、その大径端部4側の密封層8の無端環状端面10が外部に露出してこれが無端環状的にぴったりとフランジ22の側面に当接し得る結果、孔3と排気管21の一端の外面との間の隙間を介する排気ガスの流出をここで確実に阻止し得る。また無端環状端面10が振動吸収層7の環状端面と摺動層9の環状端面との間に形成されているため、大径端部4側の端面に当接するフランジ22の部位が多少小径であっても、密封層8とフランジ22との当接を常に確保し得る。更に好ましくは無端環状端面10が他の部位に対して軸方向に若干突出していると、更にシール性が増大し好ましい。
【0030】
ところで上記の球帯状シール体2では、圧縮された金網及びこの金網の目や隙間に充填され、摺動層9を構成する耐火材を、層11を形成するように、部分凸球面6の表面に露出させたが、これに代えて耐火材の層11を形成することなしに、摺動層9を構成する耐火材を、圧縮された金網の目や隙間を充填してこの金網と混在して部分凸球面6の表面に露出させても良く、このようにすると部分凸球面6の表面の耐火材が、金網にしっかりと保持され剥離、脱落することを好ましく防止し得る。
【0031】
また、摺動層9を、圧縮された金網並びにこの金網の目や隙間を充填した耐火材及び滑り材から構成しても良く、滑り材としては、四フッ化エチレン樹脂が好適であるが、その他の耐熱性を有して摺動摩擦抵抗を低減し得るものであればいずれであっても良い。ここで摺動層9を構成する滑り材を、上述と同様に層11を形成するように、部分凸球面6の表面に露出させても良く、または滑り材の層11を形成することなしに、圧縮された金網の目や隙間を充填し、この金網と混在して部分凸球面6の表面に露出させても良い。このように滑り材をももって摺動層9を構成すると、振動においてさらに低摩擦抵抗状態で部分凸球面6と凹球面シール座面24とが摺接するため、振動及び摩耗を好ましく低減し得る。
【0032】
次に球帯状シール体2の製造方法を図3から図9を参照して説明する。まず図3及び図4に示すように、金網円筒体41と複合円筒体42とを準備する。金網円筒体41は、図6に示すように長尺の金網43を多数回心棒44に渦巻き状に捲回し、この捲回して渦巻き円筒状になった金網43を心棒44から取り外してプレス装置で予備圧縮成形することにより得ることができる。複合円筒体42は図7に示すような長尺の耐火材45を図6に示したと同様に渦巻き状に捲回した後、その外周に、図8に示すような金網46と金網46に重ね合わされた耐火材47とからなる複合シート48を、耐火材47が外側となるように一回捲回し、これをプレス装置で予備圧縮成形することにより得ることができる。次に図5に示すように金網円筒体41の外側に複合円筒体42を配し、これを金型の心棒51に同心状に嵌装して金型52内に装着して金網円筒体41の軸方向であるA方向に圧縮して、図1に示す球帯状シール体2を得る。
【0033】
金網円筒体41を得るべくプレス装置により付加される面圧は、好ましい例では30kgf/cm2ないし100kgf/cm2であるが、これに限定されないのはもちろんであって、金網円筒体41の形状保持性を考慮して適宜決定すれば良い。複合円筒体42は、面圧150kgf/cm2ないし500kgf/cm2程度の予備成形荷重でプレス装置により圧縮成形することにより得ることができる。
【0034】
金網43及び46は、一つの例では、金属細線を織ったり編んだりして図9に示すように長尺の袋状の金網61を形成し、これを二つのローラ62及び63によりローラ掛けして偏平にすることにより得ることができるが、本発明はこのような袋状の2層の金網43及び46に限定されず、一層でも良い。
【0035】
耐火材45及び47としては、上述したように膨脹黒鉛又はマイカを用いることができ、膨脹黒鉛を用いる場合には、一つの例では、特公昭44−23966号公報に開示されている米国ユニオンカーバイド社製のグラフォイル(商品名)或いは日本カーボン社製のニカフィルム(商品名)等を用いると良く、耐火材にマイカを用いる場合には、シリコンで接合したマイカシートを用いると良い。
【0036】
以上のようにして製造された球帯状シール体2では摺動層9は層11を有し、部分凸球面6は耐火材47が露出した平滑な面となる。
【0037】
上記では金網46と金網46に重ね合わされた耐火材47とからなる複合シート48を用いて球帯状シール体2を製造したが、図10に示すように金網46と金網46に重ね合わされた耐火材47と、さらに耐火材47の一方の面に一体的に形成された滑り材71とからなる複合シート72を用いて前記と同様にして球帯状シール体2を製造しても良い。すなわち、長尺の金網43を捲回して予備圧縮成形してなる金網円筒体41と、長尺の耐火材45を捲回して円筒状に形成した後、その外周に金網46と耐火材47と耐火材47の表面に一体的に形成された滑り材71とからなる複合シート72を、滑り材71を外周面に位置させて一回捲回し、これらを予備圧縮成形してなる複合円筒体42に相当する複合円筒体とを準備し、金網円筒体41の外側にこの準備した複合円筒体を配し、これらを金型52の心棒51に同心状に嵌装して金型52内に挿入して金網円筒体41の軸方向に圧縮して球帯状シール体2を製造しても良い。このようにして製造された球帯状シール体2では、圧縮された金網46並びに金網46の目や隙間を充填した耐火材47及び滑り材71からなる摺動層9はさらに滑り材71からなる層11を具備し、しかして部分凸球面6の表面に滑り材71が露出されている。
【0038】
滑り材71としては上述のとおり四フッ化エチレン樹脂が好適であるが、このような四フッ化エチレン樹脂が滑り材71として上面に設けられた耐火材47は、一つの例としては、耐火材としての膨脹黒鉛シートの一方の面に四フッ化エチレン樹脂を塗布して形成することができ、また、図11に示すように、膨脹黒鉛シート75の上に四フッ化エチレン樹脂フィルム又はテープ76を重ね合わた後、これらをローラ77及び78によってローラ掛けして圧着一体化しても形成することができる。使用して好適な四フッ化エチレン樹脂フィルム又はテープ76の厚さは、0.05mmから0.5mm程度である。例えば四フッ化エチレン樹脂ファインパウダー(テフロン6J、ポリフロンF101、フルオンCD1、いずれも商品名)をペースト押出し成形法によって製造された四フッ化エチレン樹脂フィルム、生テープ等は好適なものとして例示し得る。
【0039】
前記では耐火材47と金網46とが重ね合わされた複合シート48又は72を用いて球帯状シール体2を製造したが、図9に示すようにして製造された袋状の金網46を用いる場合には、図12に示すように袋状の金網46の内部に滑り材71を有さない耐火材47又は滑り材71を一体的に有する耐火材47を挿入して複合シート81を形成し、複合シート81を用いて前記と同様に球帯状シール体2を製造しても良い。こうして得られた球帯状シール体2では、層11を有することなしに、耐火材47又は滑り材71は圧縮された金網46の目や隙間を充填して金網46と混在して露出し、平滑な部分凸球面6を形成する。なお複合シート81に予め図11に示すようなローラ掛けをして、その後渦巻き状に捲回された長尺の耐火材45の外周にこれを滑り材71が外側になるようにして捲回しても良い。
【0040】
以上のような球帯状シール体2の製造方法によれば、予備圧縮成形された金網円筒体41と複合円筒体42とを金型52に適用するため、作業性を飛躍的に向上させることができ、より一定の品質をもった製品を安価に提供し得る。
【0041】
ところで前記の製造方法ではそれぞれ、予備圧縮成形してなる金網筒状体41及び複合円筒体42を準備して球帯状シール体2を製造したが、このような予備圧縮成形体を準備することなしに、図13に示すよな予備複合体91を準備してこれから球帯状シール体2を製造しても良い。すなわち、図6に示すような長尺の金網43を捲回して図13に示すように円筒渦巻き状に形成した後、その外周に、図7に示すような長尺の耐火材45を渦巻き状に捲回し、さらにその外周に、図8に示すような金網46と耐火材47とからなる複合シート48を、耐火材47を外側にして一回捲回して渦巻き状の予備複合体91を準備し、予備複合体91を図5に示すような金型52の心棒51に嵌装し金型52内に挿入して複合円筒体91の軸方向に圧縮して球帯状シール体2を製造しても良い。複合シート48を用いてこうして製造された球帯状シール体2では、摺動層9を構成する耐火材は、層11を形成して部分凸球面6の表面に露出することとなる。またこの製造方法において、複合シート48の代わりに複合シート72を、滑り材71を外側にして捲回して渦巻き状の予備複合体91と同様の予備複合体を準備しても良く、こうして製造された球帯状シール体2では、摺動層9を構成する滑り材71は、圧縮された金網46の目や隙間を充填した耐火材47の表面に配され、層11を形成して部分凸球面6の表面に露出することとなる。さらに図13に示す製造方法において、複合シート48又は複合シート72の代わりに図12に示すような袋状の金網46の内部に滑り材71を有さない耐火材47又は滑り材71を一体的に有する耐火材47を挿入した複合シート81を、耐火材47又は滑り材71を外側にして捲回して前記と同様に球帯状シール体2を製造しても良い。こうして得られた球帯状シール体2では、層11を有することなしに、耐火材47又は滑り材71は圧縮された金網46の目や隙間を充填して金網46と混在して露出し、平滑な部分凸球面6を形成することとなる。なお、この場合においてもローラ掛けされた複合シート81を用いても良い。
【0042】
以上のような予備複合体を準備して球帯状シール体2を製造する場合には、予備圧縮成形工程を省き得るため作業時間を短縮し得る。
【0043】
【発明の効果】
上記のように本発明の球帯状シール体では、振動吸収層と摺動層との間に金網を含まない耐火材のみからなる密封層が断熱層として設けられているため、摺動層への排気ガスの熱の伝達が密封層により遮断され、摺動層が過度に加熱されるような事態を避けることができ、その結果外気に晒される摺動層が酸化腐食する程度を極端に少なくし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一具体例の球帯状シール体の断面図である。
【図2】図1に示す好ましい一具体例の球帯状シール体が適用された排気管継手の断面図である。
【図3】本発明の製造方法における予備圧縮成形された金網円筒体の説明図である。
【図4】本発明の製造方法における予備圧縮成形された複合円筒体の説明図である。
【図5】本発明の製造方法における圧縮成形の説明図である。
【図6】本発明における金網円筒体の製造方法の説明図である。
【図7】本発明の製造方法における耐火材シートの説明図である。
【図8】本発明における複合シートの説明図である。
【図9】本発明における金網の一製造方法の説明図である。
【図10】本発明における滑り材が設けられた複合シートの説明図である。
【図11】図10に示す複合シートの一製造方法の説明図である。
【図12】本発明における他の複合シートの説明図である。
【図13】本発明の製造方法における予備複合体の説明図である。
【符号の説明】
2 球帯状シール体
3 円孔
4 大径端部
5 小径端部
6 部分凸球面
7 振動吸収層
8 密封層
9 摺動層
Claims (12)
- 中央部に円孔を有し大径端部と小径端部との間の外面に部分凸球面を有してなり、排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、中央部の円孔から部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成され、圧縮された金網からなる振動吸収層と、この振動吸収層を覆って部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成されていると共に金網を含まない耐火材のみからなる密封層と、この密封層を覆って部分凸球面まで配され、圧縮された金網及びこの金網の目や隙間を充填した耐火材からなる摺動層とを具備しており、密封層は、振動吸収層から摺動層への熱の伝達を遮断する断熱層として、振動吸収層と摺動層との間に、小径端部から大径端部まで伸びて介在されていると共に、大径端部側で無端環状端面を形成して外部に露出している球帯状シール体。
- 摺動層を構成する耐火材は、部分凸球面の表面に露出している請求項1に記載の球帯状シール体。
- 摺動層を構成する耐火材は、部分凸球面の表面に圧縮された金網の目や隙間を充填して該金網と混在して露出している請求項1に記載の球帯状シール体。
- 中央部に円孔を有し大径端部と小径端部との間の外面に部分凸球面を有してなり、排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、中央部の円孔から部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成され、圧縮された金網からなる振動吸収層と、この振動吸収層を覆って部分凸球面に向かって所定の厚みをもって形成されていると共に金網を含まない耐火材のみからなる密封層と、この密封層を覆って部分凸球面まで配され、圧縮された金網並びにこの金網の目や隙間を充填した耐火材及び滑り材からなる摺動層とを具備しており、密封層は、振動吸収層から摺動層への熱の伝達を遮断する断熱層として、振動吸収層と摺動層との間に、小径端部から大径端部まで伸びて介在されていると共に、大径端部側で無端環状端面を形成して外部に露出している球帯状シール体。
- 摺動層を構成する滑り材は、圧縮された金網の目や隙間を充填した耐火材の表面に配され、部分凸球面の表面に露出している請求項4に記載の球帯状シール体。
- 摺動層を構成する滑り材は、部分凸球面の表面に圧縮された金網の目や隙間を充填し、該金網と混在して露出している請求項4に記載の球帯状シール体。
- 滑り材は、四フッ化エチレン樹脂からなる請求項4から6のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 耐火材は、膨脹黒鉛からなる請求項1から7のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
- 長尺の金網を渦巻き状に捲回して予備圧縮成形してなる金網円筒体と、長尺の耐火材を渦巻き状に捲回した後、その外周に金網と耐火材とからなる複合シートを捲回してこれらを予備圧縮成形してなる複合円筒体とを準備する工程と、金網円筒体の外側に複合円筒体を配し、これらを金型の心棒に同心状に嵌装して金型内に挿入して円筒体の軸方向に圧縮する工程とを具備した請求項1に記載の球帯状シール体の製造方法。
- 長尺の金網を捲回して円筒渦巻き状に形成した後、その外周に長尺の耐火材を渦巻き状に捲回し、さらにその外周に金網と耐火材とからなる複合シートを捲回して渦巻き状の予備複合体を準備する工程と、これを金型の心棒に嵌装し金型内に挿入して予備複合体の軸方向に圧縮する工程とを具備した請求項1に記載の球帯状シール体の製造方法。
- 長尺の金網を渦巻き状に捲回して予備圧縮成形してなる金網円筒体と、長尺の耐火材を渦巻き状に捲回した後、その外周に金網と耐火材と該耐火材の表面に一体的に形成された滑り材とからなる複合シートを、滑り材を外周面に位置させて捲回してこれらを予備圧縮成形してなる複合円筒体とを準備する工程と、金網円筒体の外側に複合円筒体を配し、これらを金型の心棒に同心状に嵌装して金型内に挿入して円筒体の軸方向に圧縮する工程とを具備した請求項4に記載の球帯状シール体の製造方法。
- 長尺の金網を捲回して渦巻き状に形成した後、その外周に長尺の耐火材を渦巻状に捲回し、さらにその外周に金網と耐火材と該耐火材の表面に一体的に形成された滑り材とからなる複合シートを、滑り材を外側に位置させて捲回して渦巻状の予備複合体を準備する工程と、これを金型の心棒に嵌装して金型内に挿入して予備複合体の軸方向に圧縮する工程とを具備した請求項4に記載の球帯状シール体の製造方法。
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