JPH02883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、カメラ等の小型で精密な機器類の内
部に組込むのに適した電磁石装置の改良に関す
る。

（従来技術） 第１図はカメラ等の内部に組込まれて用いられ
る自己保持型電磁石と称呼されるものある。この
自己保持型電磁石は、略Ｕ字型を成す一対の磁気
ヨーク１Ａ，１Ｂと、両ヨーク間に設けられる永
久磁石２と、各ヨークの足部に装着されるコイル
３と、前記ヨーク１Ａ，１Ｂの先端に形成される
Ｎ，Ｓ極に吸着され又は離反する鉄等の磁性可動
片４とを具備している。その可動片４は取付用穴
５を利用してレバーにピンで枢着されるのが一般
的である。

このような自己保持型電磁石は、コイル３に通
電していない時、ヨーク１Ａ，１Ｂの間に装着さ
れた永久磁石２による吸着用外力F₁によりスプ
リング力F₂に抗して可動片４を吸着し、ヨーク
１Ａ，１Ｂに装着されたコイル３に永久磁石２に
よる磁束とは逆方向に磁界が発生する方向に電流
を流す時、前記永久磁石２の磁束が打消されて可
動片４をスプリング力F₂により離反させるもの
である。そして、離反する時の可動片４の動きを
利用して、必要な動作（シヤツター、係止、係止
解除など）を行なわせる。

第２図は通電型電磁石と称呼されるものある。
この通電型電磁石は、略Ｕ字型磁気ヨーク１と、
各ヨークの足部に装着されるコイル３と、該コイ
ル通電時にヨーク１の側端に形成されるＮ，Ｓ極
に吸着され又は離反する鉄等の磁性可動片４とを
具備している。

このような通電型電磁石は、コイル３に通電し
ている時、可動片４を吸着し、通電停止時に可動
片４は離反する。

ところで、第１図及び第２図の電磁石におい
て、動作の信頼性を向上させるために以下に述べ
るような付加機能もしくは付加作業を必要とす
る。

(1) 外部からのごみ、金属粉が電磁石吸着面に付
着することを防止する防塵カバーを取付ける。

(2) 可動片４の離反時、可動片４が取付用穴５を
中心軸として回転するのを防止するため、可動
片取付レバー等に回転防止機能を持たせる。

(3) 可動片４が離反状態から吸着状態に移動する
時、ヨークの吸着面と可動片の吸着面が摺動し
ながら吸着することを防止するため、吸着状態
の姿勢で可動片４の中心部又は背部をゴム状接
着剤でレバー等に固定する。

しかし、それらの付加機能あるいは付加作業は
構造が複雑化したり、作業に手間がかかる等のき
らいがあつた。

（考案の目的） 本考案は、かかる問題を解消するためのもの
で、コイル又はコイル及び永久磁石の装着された
２本の足部を有する略Ｕ字型ヨークと、該ヨーク
の足部端面に吸着、離反するよう前記コイルのボ
ビン内周に摺動自在に嵌合した磁性可動片とから
なる構成に於いて、前記磁性可動片の取付用穴を
前記磁性可動片の摺動方向に直交する向きに長い
長円形に形成することによつて、磁性可動片の動
きを外部に伝えるレバー等と当該磁性可動片とを
連結する際の遊びを少なくして動作の信頼性を向
上させ、あわせて防塵性能の改善、可動片の回転
防止を図つた電磁石装置を提供しようとするもの
である。

（考案の実施例） 以下、本考案に係る電磁石装置の実施例を図面
に従つて説明する。

第３図及び第４図は自己保持型の電磁石装置で
ある。これらの図において、略Ｕ字型を成す一対
の磁気ヨーク１Ｃ，１Ｄ間には永久磁石２が設け
られ、各ヨークの足部２０にはボビン２１に巻線
したコイル３が夫々設けられている。ここで、各
足部２０はボビン２１より突出しておらず、ヨー
ク１Ｃ，１ＤのＮ，Ｓ極面となる足部先端面はコ
イル３の巻線内径部（ボビン２１の内周）２２の
途中位置にある。そして、前記ヨーク１Ｃ，１Ｄ
の足部先端に形成されるＮ，Ｓ極に吸着され又は
離反する鉄等の磁性可動片４Ａは、略Ｕ字型であ
つて前記巻線内径部２２に摺動自在に嵌合する足
部２３を夫々有している。各足部２３の先端の吸
着面は、離反状態でも巻線内径部２２内に存在す
る如く可動片４Ａの移動量が設定されている。可
動片４Ａは取付用穴２４を利用してレバー等にピ
ン止めされる。該取付用穴２４は可動片の摺動方
向に直交する向きに長い長円形に形成されてい
る。

上記実施例の構成において、コイル３に通電し
ていない時、永久磁石２による吸着用外力F₁に
よりスプリング力F₂に抗して第３図のようにヨ
ーク１Ｃ，１Ｄの足部２０の吸着面すなわちＮ，
Ｓ極面に可動片４Ａの足部２３は吸着される。ヨ
ーク１Ｃ，１Ｄに装着されたコイル３に通電した
とき、永久磁石２の磁力は打消され、第４図のよ
うに可動片４Ａはこれが取付けられたレバーに働
いているスプリング力F₂によつて離反する。こ
のような吸着、離反動作において、可動片４Ａは
コイル３のボビン内周面で構成される巻線内径部
２２により常時摺動自在にガイドされる。第６図
を用いて磁性可動片４Ａの取付用穴２４を可動片
の摺動方向に直交する向きに長い長円形に形成し
た場合の利点を説明する。この図において、４０
は支点Ｐを中心にして回動自在なレバーであり、
該レバー４０は長円形取付用穴２４に係合するピ
ン４１を有している。今、磁性可動片４Ａがヨー
ク足部２０に吸着した実線位置からコイル３に通
電することにより仮想線位置に離反したとする
と、磁性可動片４Ａの動きは直線運動であるのに
対してピン４１は支点Ｐを中心とした円弧Ｑ上を
動く曲線運動となる。これらの可動片４Ａとピン
４１とのずれは取付用穴２４が長円形であること
により吸収できることになる。磁性可動片４Ａの
移動方向についての取付用穴２４とピン４１との
遊びは少なくすることができるので可動片４Ａの
動きを確実にレバー４０に伝えることができる。

なお、ピン４１に対して遊びを持たせた真円形
の取付用穴を採用した場合には磁性可動片４Ａの
移動方向のがたつきが大きくなつてしまい、しか
も磁路が狭くなつてしまうため好ましくない。

なお、第３図及び第４図の実施例の構成におい
てヨーク１Ｃ，１Ｄ及び可動片４Ａの全体の磁路
長と磁路断面積を従来の第１図と同一に作成すれ
ば、可動片４Ａ吸着時における吸着力は、従来の
第１図の場合と同等である。すなわち、可動片４
Ａが無い状態でのヨーク足部２０に生ずるコイル
による磁力はコイル巻線内径部２２の途中までし
かヨーク１Ｃ，１Ｄがない分だけ実施例の構成の
方が第１図の場合よりも弱い。しかし、可動片４
Ａが吸着している状態では磁気回路条件は同一で
あり、従つて吸着力及びコイルによる逆磁界発生
量は同一である。従来の第１図及び第２図の場合
においても離反状態にある可動片を磁力によつて
吸着するときの動作を利用することは行なわれて
おらず、スプリング力に抗して可動片を吸着位置
にもつてくるのは外力であり、従つて、実施例の
構造であつても吸着性能の点で差違は生じない。
第５図は本考案の他の実施例を示す。この場合、
コイル３を設けたボビン２１Ａの一部は厚肉にな
つていて、ここに端子ピン３０が側方に突き出す
向きに植設されている。該端子ピン３０はコイル
巻線端の処理及び接続用配線のはんだ付けに利用
される。なお、その他の構成は前述の実施例と同
様である。

上述の実施例では自己保持型の場合を示した
が、永久磁石のない通電型の電磁石装置の場合に
も本考案は適用可能であることは明らかである。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の電磁石装置によ
れば、コイル又はコイル及び永久磁石の装着され
た２本の足部を有する略Ｕ字型ヨークと、該ヨー
クの足部端面に吸着、離反するよう移動可能な磁
性可動片とからなる構成に於いて、前記磁性可動
片の取付用穴を前記磁性可動片との摺動方向に直
交する向きに長い長円形に形成した構成としたの
で、次のような効果を得ることができる。

(1) 可動片４Ａの動きを、レバーを介して外部に
伝える場合、レバー端部の円弧上の動きと可動
片４Ａの直線運動との間のずれは、長円形取付
用穴で吸収できる。また、可動片４Ａの移動方
向のがたつきは、少なくできるから、動作の信
頼性も高い。

(2) 可動片４Ａの足部はボビン内径を摺動するの
で、防塵性能が良好で、可動片４Ａを同一姿勢
に支持でき、可動片に回転防止機能を付加する
必要がない。

(3) 可動片４Ａが吸着されるときにヨーク側磁極
面に傾いて接触して磁極面を摺動する動作を防
止でき、可動片をレバー等にゴム状弾性体等で
半固定とする作業が不要である。

従つて、小型にして製造組立容易で経済的な電
磁石装置を得ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自己保持型電磁石を示す平断面
図、第２図は従来の通電型電磁石を示す平断面
図、第３図は本考案に係る電磁石装置の実施例で
あつて可動片吸着状態の平断面図、第４図は可動
片離反状態の平断面図、第５図は本考案の他の実
施例を示す部分断面図、第６図は実施例にて示し
た長円形の取付用穴の作用を説明する部分断面図
である。 １，１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄ……磁気ヨーク、
２……永久磁石、３……コイル、４，４Ａ……可
動片、２０，２３……足部、２１……ボビン、２
２……巻線内径部、４０……レバー、４１……ピ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コイル又はコイル及び永久磁石の装着された２
   本の足部を有する略Ｕ字型ヨークと、該ヨークの
   足部端面に吸着、離反するよう前記コイルのボビ
   ン内周に摺動自在に嵌合した磁性可動片とからな
   る電磁石装置に於いて、前記磁性可動片の取付用
   穴を前記磁性可動片の摺動方向に直交する向きに
   長い長円形に形成したことを特徴とする電磁石装
   置。