JPH028678Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は生産ラインにおけるメカニカル同期移
送装置、より詳しくはワークと加工装置とを同期
して移送し、かつ加工装置を自動的に復帰させる
同期移送装置に関する。

従来、生産ラインにおいてワークと加工装置と
を同期して移送するには、一般に、ワークを支持
する台車に直接、加工装置を係合させ、該台車の
移動に連動して加工装置を移送する手段を講じて
いた。しかして、加工ライン通過後は前記加工装
置をワークから離して元の位置に復帰させなけれ
ばならず、このため、通常は、加工装置にモータ
を組込んで自走式にするか、他に駆動用シリンダ
を設けるかして復帰させていた。

しかしながら、自走式、シリンダ方式共、その
手段を設けるにはかなりの製作コストを要し、か
つ設置スペースを大きくとらざるを得ず、さらに
はランニングコスト、メンテナンスコストが嵩む
等、同期移送装置全体として割高なものとなつて
いた。

本考案は上記従来技術の問題点に鑑み、構造が
簡単で、安価に製作でき、かつ台車の駆動力を利
用し得てランニングコストも安価に済む加工装置
の自動復帰機能を具備したメカニカル同期移送装
置を提供することを目的とする。

そして、この目的は、台車の移送ラインに沿つ
て２本のレールを並列に敷設し、該２本のレール
にはシリンダの作動により前記移送ライン上に出
没するアーム部を有する可動シリンダ装置を移動
可能に取付け、前記移送ラインに沿つて移動可能
に配置した加工装置と前記可動シリンダ装置の一
方とを同一方向へ移動可能にワイヤで連結すると
共に、該加工装置と前記可動シリンダ装置の他方
とを相対移動可能にワイヤで連結し、かつ前記各
可動シリンダ装置の相互を相対移動可能にワイヤ
で連結するようにした同期移送装置により達成さ
れる。

以下、本考案の実施例を添付図面にもとづいて
説明する。

第１図は本考案にかかるメカニカル同期移送装
置の同期機構を示す模式図である。同図におい
て、１は台車で、図示を略したワークを支持しつ
つ移送ライン２上を図中、左方から右方へ移動す
る。３は台車１に隣接して、その側方若しくは上
方に配置された加工装置で、移送ライン２に沿つ
て移動し得るようになつている。移送ライン２の
両側にはレール４ａ，４ｂが敷設されており、該
レール４ａ，４ｂのそれぞれには第１のシリンダ
装置５ａと第２のシリンダ装置５ｂが移動自在に
設けられている。第１、第２のシリンダ装置５
ａ，５ｂはそれぞれ移送ライン２側へ傾動自在な
アーム部６ａ，６ｂを有し、該アーム部６ａ，６
ｂが移送ライン２上に傾動することにより、第
１、第２のシリンダ装置５ａ，５ｂは台車１と係
合状態となり、自身は台車１の移動に連動してレ
ール４ａ，４ｂ上を移動することとなる。

しかして、第１のシリンダ装置５ａと加工装置
３との間には、滑車７ａ，７ａ…を経由してけん
引ワイヤ８ａが張設されると共に、第２のシリン
ダ装置５ｂと加工装置３との間には、滑車７ｂ，
７ｂを介して戻しワイヤ８ｂが張設され、さらに
第１と第２のシリンダ装置５ａと５ｂ間には連結
ワイヤ８ｃが張設されている。すなわち、第１、
第２のシリンダ装置５ａ，５ｂおよび加工装置３
はループ状に張設された前記ワイヤ群によつて相
互に連結されたものとなり、連動して移動し得る
ようになつている。

かかる構成により、いまワークを搭載した台車
１が移送ライン２上を左方から進行してくると、
先ず第１のシリンダ装置５ａが作動してそのアー
ム部６ａを移送ライン２上に傾動する。これによ
り第１のシリンダ装置５ａは台車１に係合し、該
台車１の送行に追従して図中、右方へ移動する。
第１のシリンダ装置５ａの移動は、そのままけん
引ワイヤ８ａを介して加工装置３に伝達され、該
加工装置３も右方に移動する。すなわち加工装置
３は、台車１と同期して移動することとなり、台
車１上のワークに対して所定の加工を実施する。

この間、第２のシリンダ装置５ｂは戻しワイヤ
８ｂによりフリー状態で相対的に逆方向（図中、
左方向）へ移動しているが、加工完了と同時に、
第１のシリンダ装置５ａのアーム部６ａが元の位
置に戻ると共に、第２のシリンダ装置５ｂのアー
ム部６ｂが移送ライン２上に傾動し、これによ
り、第２のシリンダ装置５ｂは台車１に係合し
て、該台車１の進行に追従して図中、右方へ移動
する。第２のシリンダ装置５ｂの移動は、そのま
ま戻しワイヤ８ｂを介して加工装置３に伝達さ
れ、該加工装置３は相対的に逆方向（図中、左方
向）へ移動し、所定距離移動すると同時に第２の
シリンダ装置５ｂのアーム部６ｂ台車１から外れ
る。すなわち、加工装置３は台車１の駆動力を利
して自動的に元の位置に復帰することができ、こ
の間フリー状態の第１のシリンダ装置も元の位置
に復帰し、ワークの一加工工程が終了する。

ここで、前記シリンダ装置５ａ，５ｂは、第２
図に示すように、前記レール４ａ，４ｂ上に移動
可能に設けた基台１１上にエアシリンダ１２を載
置、固定し、このエアシリンダ１２の出力軸１３
の先端部に前記アーム部６ａ，６ｂの基端を軸着
し、さらにアーム部６ａ，６ｂの中央部をピン１
５を用いて基台１１上に回動自在に取付けて成つ
ている。これにより、いまエアシリンダ１２の出
力軸を伸縮動させると、アーム部６ａ，６ｂがピ
ン１５を支点に旋回し、その先端部が前記移送ラ
イン２上に出没するようになる。なお、アーム部
は前記構成に限定されず、移送ライン２に出没で
きるものであればどのように構成してもよい。

以下、第３図にもとづいて本メカニカル同期移
送装置の使用態様の一例を説明する。なお、第１
図に示したものと同一構成要素には同一付号を付
した。

第３図はボデー部品の溶接加工ラインを示した
ものであり、同図中、１で示す台車は、天井の架
台２１から垂下するハンガー２２に保持され、コ
ンベア２３により移送されるものとなる。また３
で示す加工装置は、前記架台２１と平行に配設さ
れた架台２４，２４にトロリ２５，２５を介して
垂下されており、その下端部には溶接ガン２６を
具備している。

一方、地上２７には台車１の移送ラインを狭ん
で本願の特徴部分であるレール４ａ，４ａが敷設
され、その上にシリンダ装置５ａ，５ｂが車輪２
８，２８…を介して転動自在に載置されている。
第１、第２のシリンダ装置５ａ，５ｂは、前記し
た移送ライン上に出没自在なアーム部６ａ，６ｂ
をそれぞれ有し、その相互間には加工装置３を介
して第１図に示したと同様の配置になるワイヤ群
２９が張設されている。

しかして、かかる溶接加工ラインには、第１、
第２のシリンダ装置５ａ，５ｂの駆動源であるエ
ア源や台車１の位置を検出する位置センサが別途
設けられており、さらに前記各装置の動作を制御
する制御盤が設置されている。

これにより、いま台車１と共に、該台車１上に
クランプ３０，３０…で固定されたワーク３１が
移送されてくると、第１図につき説明した順序に
したがつて第１、第２のシリンダ装置５ａ，５ｂ
が作動し、加工装置３は、台車１に対して同期し
て移動しつつワーク３１の加工を行い、後方の位
置に復帰する。

以上、詳細に説明したように、本考案にかかる
メカニカル同期移送装置は、台車の駆動力を２つ
の可動シリンダ装置を経て加工装置に伝え、該加
工装置を該台車と同期して移動させ、かつ復帰さ
せるようにしたもので、その構造は簡単で、安価
に製作でき、また他に特別の駆動源を用いないた
めランニングコストも安価になつている。さらに
従来のモータやシリンダを用いたものに比し、設
置スペースは小さく、装置は安定して長期間の使
用に耐え、かつメンテナンスも容易である等、そ
の利用価置は大きいものとなつている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるメカニカル同期装置の
同期機構を示す模式図、第２図はシリンダ装置の
構造を示す斜視図、第３図は本メカニカル同期装
置の加工ラインへの設置状態を示す正面図であ
る。 １……台車、２……移送ライン、４ａ，４ｂ…
…レール、５ａ，５ｂ……シリンダ装置、６ａ，
６ｂ……アーム部、８ａ，８ｂ，８ｃ，２９……
ワイヤ群。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 台車の移送ラインに沿つて２本のレールを並列
   に敷設し、該レールのそれぞれには、シリンダの
   作動により前記移送ライン上に出没するアーム部
   を有する可動シリンダ装置を移動可能に取付け、
   前記移送ラインに沿つて移動可能に配置した加工
   装置と前記可動シリンダ装置の一方とを同一方向
   へ移動可能にワイヤで連結すると共に、該加工装
   置と前記可動シリンダ装置の他方とを相対移動可
   能にワイヤで連結し、かつ前記可動シリンダ装置
   の相互を相対移動可能にワイヤで連結したことを
   特徴とするメカニカル同期移送装置。