JPH0262617B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、織機のドラム式よこ糸測長貯留装置
に関し、特によこ糸の巻付け張力を目標の張力値
に自動的に修正する制御装置に係る。

発明の背景 この種のドラム式よこ糸測長貯留装置は、固定
的な測長貯留用のドラムの外周に、回転ヤーンガ
イドにより給糸体からのよこ糸を巻付け、巻付け
状態のよこ糸を係止ピンの進退運動によつて解舒
する。そして、この解舒後の所定の長さのよこ糸
は、織機の運動と同期して、メインノズルによつ
て、杼道中によこ入れされる。

このよこ糸の巻付け時に、よこ糸は、ドラムの
円錐面の部分に巻付けて貯留され、係止ピンの解
舒方向の運動により、円錐面を滑つて係止ピンか
ら外れ、上記メインノズルによつてよこ入れされ
る。通常の製織運転時に、よこ糸の巻付け張力
は、よこ糸の給糸体と回転ヤーンガイドとの間に
設けられたテンシヨン付与装置、いわゆるテンサ
ーによる張力と、給糸体からの解舒張力との和と
なつている。

従来技術の欠点 ところが、織機の起動時に、例えば２ピツクだ
け低速回転によつてよこ入れが行われるとき、あ
るいは、織機の回転数が変化するとき、さらに運
転中に給糸体の巻量の変化によつて、よこ糸の解
舒張力が変化するとき、ドラム上でのよこ糸の巻
付け張力は、通常、低い方向や高い方向に変化す
る。この結果、例えば巻付け張力が低い方向に変
化したときは、係止ピンによるよこ糸の解舒時
に、ドラム上のよこ糸は、係止ピンの解舒方向へ
の移動にもかかわらず、ドラムの円錐面を滑り落
ちず、もつれ状態となる。このとき、メインノズ
ルの噴射流が充分に働いたとしても、よこ糸は、
ドラムからの余分な解舒抵抗の作用によつて、正
常なよこ入れ状態とならない。また、高い方向に
変化したときは、ドラムからのよこ糸の解舒抵抗
が減少するので、よこ糸の飛走速度が大きくな
り、チツプトラブルなどのよこ入れ不良が発生す
る。

このような巻付け張力の一時的な低下は、織機
の停止後、よこ糸を修復し、手動操作によつて、
測長および貯留動作を行い、単独によこ入れを行
う場合においても発生している。

発明の目的 したがつて、本発明の目的は、織機の過渡的な
低速運転時、あるいはドラム式測長貯留装置の単
独駆動時または定常運転時に、ドラム上でのよこ
糸の巻付け張力を常に一定の目標値の範囲内に保
持し、ドラム上でのよこ糸の解舒を安定な状態で
行えるようにすることである。

発明の構成 そこで、本発明は、ドラム式測長貯留装置にお
いて、よこ糸の実際の張力を検出し、フイードバ
ツク制御によつて、よこ糸の張力を所定の目標値
の範囲内に修正し、適宜な巻付け張力が得られる
ようにしている。

このような制御系は、検出器、張力設定器、張
力比較器、および操作器によつて構成される。上
記張力検出器は、テンサー手段と回転ヤーンガイ
ドとの間に設けられ、その間のよこ糸の実際の張
力を検出し、電気的な張力信号を発生する。そこ
で、上記比較器は、張力検出器からの張力信号
と、目標の張力値とを比較し、それらの差に対応
する駆動信号を発生し、操作器に送り込む。ここ
で、操作器は、回転式のテンサーまたは把持式の
テンサーを操作し、よこ糸の張力の変動を抑える
方向に駆動する。このようにして、回転ヤーンガ
イドは、その回転速度や、給糸体の巻径の変動に
かかわらず、常に所定の巻付け張力のもとに、よ
こ糸をドラムの外周面に巻付けていく。この時、
よこ糸は、メインノズル、係止ピンのいづれかに
よつて把持されているためドラム外周面にスムー
ズに巻付けられる。この結果、ドラム上でのよこ
糸の解舒は、織機の過渡的な回転速度や、回転ヤ
ーンガイドの回転の変化、さらには給糸体の巻径
の変動にかかわらず、常に安定な状態で行える。

実施例 １ まず第１図および第２図は、基本的な実施例を
示している。

本発明の巻付け張力制御装置１は、ドラム式測
長貯留装置２の存在を前提としている。

このドラム式測長貯留装置２は、給糸体３から
バルーンブレーカ４、ヤーンガイド５、テンサー
手段６、例えば回転式テンサー６１、およびヤー
ンガイド７を経て、よこ糸８を引き出し、このよ
こ糸８を回転ヤーンガイド９の回転運動によつ
て、固定的な測長貯留用のドラム１０の円錐状外
周面に、所定の巻数だけ巻付けていく。この巻付
け中に、よこ糸８は、ドラム１０の円錐面で、係
止ピン１１によつて係止されているが、よこ入れ
時に、係止ピン１１の後退運動によつて、解舒さ
れ、メインノズル１２の噴流とともに、杼道中に
よこ入れされる。その後、係止ピン１１は、再び
ドラム１０の周面に突入し、メインノズル１２、
係止ピン１１のいづれかでよこ糸８を把持したの
ち新たによこ糸８を巻付けながら測長し、かつ貯
留していく。

ここで、回転ヤーンガイド９の回転は、織機の
主運動と調和させるために、織機の主モータ、ま
たはそれと同期する別のモータによつて与えられ
る。また係止ピン１１は、やはり織機の回転と同
期しており、よこ入れタイミングで、ドラム１０
の外周面から離れ、測長後のよこ糸８を解舒し、
解舒後に、再び突入し、次の測長貯留動作に備え
ることになる。

さて、本発明の巻付け張力制御装置１は、張力
検出器１３、比較器１４、および操作器１５によ
つて、張力フイードバツク系を構成している。上
記張力検出器１３は、その検出端１３ａによつ
て、回転式テンサー６１と回転ヤーンガイド９と
の間で、よこ糸８の実際の張力を検出し、その張
力値に比例する電気的な張力信号Ａを発生する。
また比較器１４は、その張力信号Ａを入力とし、
これと設定器１６によつて設定された目標張力値
としての目標信号Ｂとを入力し、その偏差に比例
して、駆動信号Ｃを発生する。そこで、駆動増幅
器１７は、駆動信号Ｃに基づいて、接点１８を介
し、操作器１５として、可逆式のロータリアクチ
ユエータ１５１を操作する。このロータリアクチ
ユエータ１５１は、駆動信号Ｃに比例した回転角
の変位を回転式テンサー６１に与え、よこ糸８の
屈曲角度を変化させることにより、よこ糸８の引
き出し抵抗を変化させる。なおこの回転式テンサ
ー６１は、第２図に示すように、ホルダー１９に
よつて回転可能な状態で支持されている。

ここで、接点１８は、ドラム式測長貯留装置２
の作動時、つまり回転ヤーンガイド９の回転時に
のみオンの状態となり、それ以外のときに操作器
１５の動作を禁止している。なおこの操作器１５
としての上記ロータリアクチユエータ１５１は、
可逆式のモータによつて構成することもできる。

実施例 ２ 次に、第３図および第４図は、テンサー手段６
を２つの回転式テンサー６１および把持式テンサ
ー６２によつて構成した例を示している。

一方の回転式テンサー６１は、目標の張力、例
えば織機の定常回転時に必要な張力値に設定され
ており、また他方の把持式テンサー６２は、よこ
糸８の実際の張力変動分を補正する機能のみを分
担している。

この把持式テンサー６２は、一対の把持体２
１，２２によつてよこ糸８の摩擦的に把持してい
る。そして一方の把持体２１は、ホルダー２０に
対し、軸２３により進退自在に設けられ、かつコ
イルスプリング２４によつて、常に他方の把持体
２２に接する方向に付勢されている。一方、把持
体２２は、操作器１５としてのソレノイド１５２
に取り付けられている。このソレノイド１５２
は、駆動信号Ｃの電圧に比例して、一方の把持体
２１に把持体２２を押しつけるため、よこ糸８の
張力は、それらの把持体２１，２２の間の摩擦力
によつて比例的に変化することになる。

なお、この実施例では、基礎的な張力が一方の
回転式テンサー６１によつて与えられるから、他
方の把持式テンサー６２は、比例制御でなく、単
なるオンオフ制御であつてもよい。

発明の効果 本発明では、織機の過渡的な運転時や、ドラム
式測長貯留装置の単独駆動時または定常運転時に
おいて、よこ糸の張力が給糸体と回転ヤーンガイ
ドとの間で目標の張力に常に自動的に修正される
から、給糸体からの解舒張力が変化しても、ドラ
ム上で適切な巻付け張力が得られるため、ドラム
の外周面でのもつれ現象やよこ入れ速度の増大現
象がなくなり、その結果によるチツプトラブルの
ない安定なよこ入れが実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の巻付け張力制御装置の側面
図、第２図は回転式テンサーの拡大側面図、第３
図は他の実施例での巻付け張力制御装置の側面
図、第４図は把持式テンサーの拡大側面図であ
る。 １……巻付け張力制御装置、２……ドラム式測
長貯留装置、６……テンサー手段、６１……回転
式テンサー、６２……把持式テンサー、９……回
転ヤーンガイド、１０……ドラム、１１……係止
ピン、１３……張力検出器、１４……比較器、１
５……操作器、１５１……可逆式のロータリアク
チユエータ、１５２……ソレノイド、１６……設
定器、１７……駆動増幅器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 給糸体からのよこ糸にテンサー手段により張
   力を掛けながら、このよこ糸を測長貯留用のドラ
   ムの外周に回転ヤーンガイドにより巻付け、その
   巻付け状態のよこ糸を係止ピンの進退運動によつ
   て解舒するドラム式測長貯留装置において、上記
   テンサー手段とドラムとの間でよこ糸の張力を検
   出しその張力値に比例する張力信号を発生する張
   力検出器と、目標の張力を与える設定器と、この
   張力信号を入力とし目標の張力と比較する比較器
   と、この比較器の出力としての偏差に基づいて上
   記テンサー手段を駆動する操作器とを具備するこ
   とを特徴とするドラム式測長貯留装置のよこ糸巻
   付け張力制御装置。 ２ テンサー手段を回転式テンサーとして構成
   し、またその操作器を可逆式のロータリアクチユ
   エータとして構成することを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載のドラム式測長貯留装置のよこ
   糸巻付け張力制御装置。 ３ テンサー手段を把持式テンサーによつて構成
   し、またその操作器をソレノイドにより構成する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のド
   ラム式測長貯留装置のよこ糸巻付け張力制御装
   置。 ４ テンサー手段を２つのテンサーによつて構成
   し、一方のテンサーで標準的な張力を負担し、ま
   た他方のテンサーによりよこ糸張力の変動分を負
   担することを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載のドラム式測長貯留装置のよこ糸巻付け張力制
   御装置。