JPH0262614B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属光沢色などの図柄、模様を有しし
かも風合のすぐれた織布の製法に関する。

従来より、染色以外の手段で織布に図柄、模様
を付与する手段として、金属蒸着和紙またはフイ
ルムを細かくスリツトした金銀糸（引箔または平
箔と称されている）またはこれを他の撚糸に巻き
付けた丸撚金銀糸を、織製せんとする織布の緯糸
または経糸と併用して金属光沢色の任意の図柄、
模様を有する織布をうる方法および織製された織
布に任意の図柄、模様に析着剤を塗布し、その接
着剤面に金銀箔など金属光沢を有する薄膜を貼着
して金属光沢色の図柄、模様を有する織布をうる
方法が知られている。前者の方法でえられた織布
は金銀糸使用織物として、後者の方法でえられた
織布は金彩加工友禅として知られている。

しかしながら、前者においては金銀糸が紙また
は合成樹脂フイルムを基材として用いるものであ
るから、一般の織布に使用する緯糸、経糸と異種
の素材であり、その風合も一般の緯糸、経糸より
かたい。したがつて金銀糸を織込むばあいは織布
本来の風合がいちじるしく損なわれるという欠点
がある。さらに和紙を基材とする金銀糸を使用す
るばあいは、えられる織布をソーピングすること
が不可能である。

また後者においては、接着剤が織布の目の間に
浸透し、やはり風合がいちじるしく損なわれると
いう問題がある。

本発明は前記の点に鑑みて、金属光沢色などの
図柄、模様を有ししかも風合のすぐれた織布を提
供するにある。

すなわち本発明は、 (1) 織製する撚糸の形態の緯糸または経糸を予め
ひきそろえて並列にならべた集合体上に、フイ
ルム状ホツトメルト接着剤を重ね、後工程で貼
着せんとする有色薄膜の図柄、模様に対応する
部分を加熱押圧したのち引き剥すことによつて
所望の図柄、模様の熱融着性接着剤層を形成せ
しめ、ついで該熱融着性接着剤層の図柄、模様
上に有色薄膜を熱圧着により貼着せしめ、かく
して有色薄膜の貼着された緯糸または経糸を前
記集合体におけるならびの順序にしたがつて織
製して織製組織に前記集合体上の図柄、模様と
同じものを発現せしめることを特徴とする織布
の製法、 (2) 織製する撚糸の形態の緯糸または経糸を予め
ひきそろえて並列にならべた集合体上に、後工
程で貼着せんとする有色薄膜の図柄、模様に対
応する以外の部分に非接着処理加工を施し、そ
のうえにフイルム状ホツトメルト接着剤を重
ね、全面に加熱押圧したのち引き剥すことによ
つて該フイルム状ホツトメルト接着剤を前記非
接着処理加工の施されていない部分に貼着して
所望の図柄、模様の熱融着性接着剤層を形成せ
しめ、ついで該熱融着性接着剤層の図柄、模様
上に有色薄膜を熱圧着により貼着せしめ、かく
して有色薄膜の貼着された緯糸または経糸を前
記集合体におけるならびの順序にしたがつて織
製して織製組織に前記集合体上の図柄、模様と
同じものを発現せしめることを特徴とする織布
の製法、および (3) 織製する撚糸の形態の緯糸または経糸を予め
ひきそろえて並列にならべた集合体上に、後工
程で貼着せんとする有色薄膜の図柄、模様のと
おりの形状のフイルム状ホツトメルト接着剤を
加熱押圧して所望の図柄、模様の熱融着性接着
剤層を形成せしめ、ついで該熱融着性接着剤層
の図柄、模様上に有色薄膜を熱圧着により貼着
せしめ、かくして有色薄膜の貼着された緯糸ま
たは経糸を前記集合体におけるならびの順序に
したがつて織製して織製組織に前記集合体上の
図柄、模様と同じものを発現せしめることを特
徴とする織布の製法に関する。

つぎに図面に基づいて本発明を説明する。

第１図は本発明の織布の製造工程の一例を示す
概略平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、
第３図は第１図のＢ−Ｂ線拡大部分断面図、第４
図は本発明の織布の一実施例を示す概略平面図で
ある。

まず、第１〜３図に示されるごとく、織製しよ
うとする織布の織巾とほぼ同じ巾を有する支持体
１上に織製せんとする緯糸Ｙ［緯糸の１本１本を
Ｙ１，Ｙ２，Ｙ３，……Yn……とする］を巾方
向にひきそろえて並列にならべて緯糸Ｙの集合体
２を形成する。該集合体２のうえに所望の図柄、
模様（以下、図柄で代表させる）（第１図におい
てはＡ文字）にフイルム状熱融着性接着剤層３を
形成し、そのうえに有色薄膜４を重ねて熱圧する
と有色薄膜４が図柄の部分に貼着された集合体２
がえられる。

つぎに前記集合体２から緯糸Ｙ１，Ｙ２，Ｙ
３，……Yn……を順番にとりだして適宜の経糸
５と織製すると、第４図に示されるごとく集合体
２の図柄と同一の図柄がえられる織布上に発現さ
れる。

前記においては、緯糸に有色薄膜を貼着して織
布に図柄を発現せしめているが、経糸の方に有色
薄膜を貼着してもよく、さらには緯糸、経糸の両
方に有色薄膜を貼着してもよい。

本発明に用いる緯糸、経糸は一般の織布に用い
る絹糸、人造絹糸、羊毛糸、綿糸、合成繊維糸な
どの撚糸である。したがつて金銀糸のように基材
が紙または合成樹脂フイルムでないから、えられ
る織布の風合が従来の金銀糸使用織物にくらべて
いちじるしくすぐれている。また本発明において
は緯糸、経糸の１本１本に有色薄膜を形成し、そ
れを織製しているから、織布の目が接着剤などに
よりつぶされる惧れがなく、したがつて従来のえ
られた織布に接着剤を塗布して有色薄膜を貼着し
ている金彩加工友禅などにくらべて風合がいちじ
るしくすぐれている。さらに本発明においては緯
糸または経糸の１本１本への有色薄膜の形成を、
織製する緯糸または経糸をひきそろえた集合体上
にフイルム状熱融着性接着剤層を介して有色薄膜
を貼着することによつて行なつているから、緯糸
または経糸の１本１本に接着剤を塗布して有色薄
膜を貼着するばあいのように接着剤が撚糸に浸透
せず、そのため糸１本１本の風合がすぐれてい
る。

本発明において有色薄膜４を緯糸または経糸の
集合体２の上に所望の図柄で貼着せしめるには、
前述のごとく集合体２上にフイルム状熱融着性接
着剤層３を所望の図柄に形成し、えられた熱融着
性接着剤層の図柄のうえに有色薄膜を貼着する。

フイルム状熱融着性接着剤層の形成にはいわゆ
るフイルム状ホツトメルト接着剤が用いられ、た
とえばポリオレフイン系樹脂フイルム、ポリ酢酸
ビニル系樹脂フイルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フ
イルム、ニトリルゴム系フイルム、ポリエステル
系樹脂フイルム、アクリル系樹脂フイルムなどの
フイルム状ホツトメルト接着剤があげられる。

フイルム状熱融着性接着剤層を集合体２上に所
望の図柄に形成する方法としては、(イ)集合体２上
にフイルム状ホツトメルト接着剤を重ね、所望の
図柄の刻印を用いてスタンピングする方法、(ロ)集
合体２の図柄をえようとする部分以外に非接着処
理加工を施し、そのうえにフイルム状ホツトメル
ト接着剤を重ね、ラバープレスなどを用いてスタ
ンピングする方法、(ハ)フイルム状ホツトメルト接
着剤を所望の図柄に切り取り、それを集合体２上
に単に熱圧着する方法などがあげられる。

有色薄膜としては転写箔の転写層が用いられる
とともにそれ自体独立した有色薄膜も用いられ
る。

前記転写箔としては接着剤層を有さない通常の
織物用転写箔が用いられる。たとえばベースフイ
ルム上に要すれば離型層を形成し、そのうえに(イ)
着色塗膜、(ロ)金属蒸着層、(ハ)金属箔、(ニ)着色塗膜
＋金属蒸着層または(ホ)着色塗膜＋金属箔などの有
色層を形成した構成の転写箔があげられる。

前記有色薄膜としてはスタンピング時に容易に
切れるように引裂強度の小さいものがあげられ、
たとえば厚さが0.1〜6μ程度の着色プラスチツク
フイルム、着色または無着色の金属箔（とくに打
箔と称されいる金、銀箔が好ましい）などがあげ
られる。前記図柄以外の部分に非接着処理加工が
施される方法(ロ)においては有色薄膜自体が感熱ま
たは感圧接着剤層を有していてもよい。

前記方法(ロ)における非接着処理加工はフツ素系
またはシリコーン系撥水・撥油剤［たとえばスコ
ツチガード（住友スリーエム(株)製フツ素系撥水・
撥油剤、スコツチガード：登録商標）、シリコー
ンKP301（信越化学工業(株)製シリコーン系撥水・
撥油剤）など］を集合体２上に塗布することによ
つて行なわれる。

方法(ロ)において用いる転写箔としては感熱また
は感圧接着剤層を有する転写箔も使用しうる。

前記独立した有色薄膜または転写箔を熱融着性
接着剤層の図柄のうえに重ね、ラバープレスなど
を用いてスタンピングと図柄どおりに有色薄膜が
貼着される。

本発明においては、多色の有色層を有する転写
箔または有色薄膜を用いるか、異色の転写箔また
は有色薄膜を複数枚突合わせてスタンピングする
か、あるいは異色の転写箔または有色薄膜を複数
枚順次スタンピングすることにより色彩豊富な図
柄をうることができる。

前記においては、集合体２の片面に有色薄膜を
貼着して片面のみに図柄をえているが、両面に有
色薄膜を貼着して両面に図柄を形成してもよい。
集合体２の片面のみに図柄を形成するばあいは、
集合体２を構成する緯糸または経糸を取り出して
織製するときに糸がねじれるため有色薄膜が貼着
された面が常に織布の表にくるとはかぎらない
が、集合体２の両面に図柄を形成するときは織製
時に緯糸または経糸がねじれても有色薄膜が織布
の表に現われやすいという利点がある。また集合
体２の両面に形成する図柄を異色にすれば、前記
織製時の糸のねじれにより織布にえられる図柄は
２色の混在したものとなる。

集合体２の両面に図柄を形成するには、第５図
に示されるごとく転写箔６（接着剤層を有さない
もので、その巾が織布の織巾とほぼ同じもの）の
転写層７上に熱融着性接着剤層３を所望の図柄に
形成し、そのうえに前記第１〜３図のばあいと同
様に緯糸Ｙを転写箔の巾方向にひきそろえて並列
にならべて緯糸Ｙの集合体２を形成する。

一方前記と同様な転写箔６′の転写層７′上に熱
融着性接着剤層３の図柄を形成する。ただしこの
図柄は、両転写箔を転写層を内側にして合わせた
ときに双方の図柄が一致するように形成する。

つぎにこの転写箔６′を前記転写箔６上の集合
体２のうえに重ね、熱圧着すると集合体２の両面
に転写層が所望の図柄どおりに貼着される。第６
図に両面に転写層の転着された部分の緯糸Ｙの拡
大横断面図を示す。

前記のごとく片面または両面に有色薄膜で図柄
を形成した集合体２から緯糸または経糸を１本づ
つ取り出してその順序にしたがつて織製していく
と、集合体２の図柄と同一の図柄が織布上にえら
れる。織り方はとくに制限されず、平織、綾織、
朱子織、搦織、複合組織などがいずれも採用され
る。

本発明の織布はその美麗な図柄、とくに金属光
沢色の図柄およびすぐれた風合の故に和洋衣料
用、家具用、室内装飾用、袋物用、ネクタイ用、
表装用、履物用、服飾品用などに好適に利用され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の織布の製造工程の一例を示す
概略平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、
第３図は第１図のＢ−Ｂ線拡大部分断面図、第４
図は本発明の織布の一実施例を示す概略平面図、
第５図は本発明の織布の製造工程の他の例を示す
概略断面図、第６図は５図の方法によりえられた
緯糸の拡大横断面図である。 （図面の主要符号）、１：支持体、Ｙ：緯糸、
２：緯糸の集合体、３：熱融着性接着剤層、４：
有色薄膜、６：転写箔、７：転写層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 織製する撚糸の形態の緯糸または経糸を予め
   ひきそろえて並列にならべた集合体上に、フイル
   ム状ホツトメルト接着剤を重ね、後工程で貼着せ
   んとする有色薄膜の図柄、模様に対応する部分を
   加熱押圧したのち引き剥すことによつて所望の図
   柄、模様の熱融着性接着剤層を形成せしめ、つい
   で該熱融着性接着剤層の図柄、模様上に有色薄膜
   を熱圧着により貼着せしめ、かくして有色薄膜の
   貼着された緯糸または経糸を前記集合体における
   ならびの順序にしたがつて織製して織製組織に前
   記集合体上の図柄、模様と同じものを発現せしめ
   ることを特徴とする織布の製法。 ２ 織製する撚糸の形態の緯糸または経糸を予め
   ひきそろえて並列にならべた集合体上に、後工程
   で貼着せんとする有色薄膜の図柄、模様に対応す
   る以外の部分に非接着処理加工を施し、そのうえ
   にフイルム状ホツトメルト接着剤を重ね、全面に
   加熱押圧したのち引き剥すことによつて該フイル
   ム状ホツトメルト接着剤を前記非接着処理加工の
   施されていない部分に貼着して所望の図柄、模様
   の熱融着性接着剤層を形成せしめ、ついで該熱融
   着性接着剤層の図柄、模様上に有色薄膜を熱圧着
   により貼着せしめ、かくして有色薄膜の貼着され
   た緯糸または経糸を前記集合体におけるならびの
   順序にしたがつて織製して織製組織に前記集合体
   上の図柄、模様と同じものを発現せしめることを
   特徴とする織布の製法。 ３ 織製する撚糸の形態の緯糸または経糸を予め
   ひきそろえて並列にならべた集合体上に、後工程
   で貼着せんとする有色薄膜の図柄、模様のとおり
   の形状のフイルム状ホツトメルト接着剤を加熱押
   圧して所望の図柄、模様の熱融着性接着剤層を形
   成せしめ、ついで該熱融着性接着剤層の図柄、模
   様上に有色薄膜を熱圧着により貼着せしめ、かく
   して有色薄膜の貼着された緯糸または経糸を前記
   集合体におけるならびの順序にしたがつて織製し
   て織製組織に前記集合体上の図柄、模様と同じも
   のを発現せしめることを特徴とする織布の製法。