JPH0262254B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 業上の利用分野 この発明は障害者用の車椅子に関するものであ
つて、詳しくは、障害者を乗せて看護人が押して
移動する形態の車椅子に係るものである。

従来技術 従来、この種の車椅子は、左右横方向の軸に回
転自在に取付けられていて前後方向には動かない
後輪と上下方向の軸の回りに回動自在な金具を介
して取付けられた前輪とで転動される機枠に腰掛
部と背凭れ枠と足載台とが設けられた構造になつ
ていて、この背凭れ枠が後方へ回動できるリクラ
イニング構造になつており、該背凭れ枠と足載台
とが連動されて、背凭れ枠を後方へ倒すときには
足載台が上動するように構成されていた。

発明が解決しようとする問題点 従来の障害者用の車椅子は、背凭れ枠を垂直状
の位置から後方へ倒し、身体障害者の上半身が後
方へ倒れてた状態の後ろ荷重になつたときでも、
後輪は定位置にあつて動かないから車椅子が後ろ
へ転倒し易く、車椅子を押している看護人が手を
放したり、障害者を載せたままで放置するような
場合に、不測に車椅子が後方へ倒れてしまうこと
があり極めて危険であつた。

問題点を解決するための手段 この発明は、前記の従来型の車椅子がもつ問題
点を解消するため、次の技術的手段を講じた。

即ち、障害者の身体を支持するシート４８の腰
受部を受ける水平状の固定受部分を有した枠枠１
の下部前側左右にキヤスター型の転動前輪２，２
を取付けると共に下部後側左右に前後に回動する
アーム６，６を介して転動後輪４，４設け、機枠
１の後部側には立設の状態から後方側へ倒れる前
記シート４８の背部を受ける背凭れ枠８を設け、
機枠１の前部側にはシート４８の脚受部を支持す
る脚受側アーム１８を回動自在に設けた車椅子に
おいて、前記機枠１と背凭れ枠８との間に背凭れ
枠８をワンタツチレバー操作で自由に前後回動設
定可能な伸縮固定装置２３を設け、背凭れ枠８と
前記脚受側アーム１８及び後輪取付け側のアーム
６とを、該背凭れ枠８を後方へ回動するとき脚受
側アーム１８を上方へ回動するよう連動連結する
と共に転動後輪４，４の取付けアーム６，６を後
方へ回動して転動後輪４，４が後方へ移動するよ
う連動構成してなる障害者の車椅子とした。

発明の作用及び効果 この発明によると、車椅子に身体障害者を乗せ
て、該車椅子を看護人が押して移動する場合、車
椅子の背凭れ枠を直立状態にした正常な姿勢で運
行するときは、後輪が背凭れ枠の下辺りに位置し
て従来の車椅子と何等変わることなく運行できて
旋回半径も大きくならないで小回りも利く。次
に、背凭れ枠を後方へ倒し障害者を寝させるよう
にして運行するときは、自動的に背凭れ枠の後方
回動に起因して後輪が後方へ移動し、障害者の体
重が大きく後方に掛つても後輪が十分にこれを支
えることができる。

したがつて、この発明によると、車椅子の背凭
れ枠を後方に回動して乗せている障害者の椅子掛
け姿勢をどのように変えても、この姿勢変更に対
応して後輪が自動的に前後動してバランスが自動
調整され不測に車椅子が後方へ転倒するような事
態が起こらず極めて安全である。

実施例 この発明の一実施例を図面に基づき詳細に説明
すると、１は機枠で、後方側をＵ状に折り曲げて
前端側が上下方向に開いた鉄製のパイプ１ａの前
端側を上下方向のパイプ１ｂで連結して、その下
端を該パイプ１ａよりもやや下方に延ばした側部
フレームを左右に一定の間隔で配設して、前側の
パイプ１ｂ同志を連結横パイプ１ｃ，１ｄで一体
的に連結構成している。１ｅは前記Ｕ状のパイプ
１ａの前後中間部を連結する補強支柱を示す。

２，２は前輪で、前記パイプ１ｂ，１ｂの下端
に該パイプ１ｂの軸心回りに回動自在なフオーク
状の金具３，３を介して転動自在に取付けられて
いる。

４，４は後輪で、子供用の自転車に用いられる
ような空気入のタイヤを有する車輪であり、前記
機枠１の後端側下位にピン５，５で上下中間部が
枢着された左右一対のく字状のアーム６，６の下
端外側に回転自在に軸承され、この支軸７は左右
一体になつている。

８は背凭れ枠で、鉄製のパイプを正面視が門型
状になるよう折り曲げて構成してあり、前記機枠
１の後端上部にピン９，９で枢着した回動アーム
１０，１０にピン１１，１１で枢着ならしめると
共に固定具１２，１２で回動アーム１０，１０に
固着可能に構成している。そして、前記左右の回
動アーム１０，１０はブラケツト１３，１３を介
し連結パイプ１４で互いに連結ならしめている。

１５，１５は連動リンクで、前記く字状のアー
ム６，６の上部と前記回動アーム１０，１０の下
部とを枢結していて、背凭れ枠８を後方へ回動さ
せるときは後輪４，４が後方へ移動し、逆に前側
へ回動するときは同じく前側へ移動するよう構成
されている。

１６，１６は足載台で、機枠１の前側に次の通
りに設けられている。即ち、前記機枠１の左右両
側の前端上部にピン１７，１７によつて上端部を
回動自在に枢着した脚受側アーム１８，１８に筒
体１９，１９を固着し、この筒体１９，１９にＬ
字状杆２０，２０を挿通支持ならしめ、この下端
部の折り曲げ片部２０ａ，２０ａに取付けられて
いる。そして、前記筒体１９，１９の上方に突出
するＬ字状杆２０，２０には、該杆２０，２０を
回動すると共に回動を固定できるレバー２１，２
１が取付けられている。２２は連結パイプで、前
記左右の脚受側アーム１８，１８を互いに連結す
る鉄製のパイプである。

２３はバルブ操作によつて任意に伸縮してその
状態を維持できる伸縮固定装置で、図例では、シ
リンダケース２３ａ側の基部側を前記機枠１を構
成する連結パイプ１ｃにブラケツトを介して枢結
し、ピストン２３ｂの先端側を前記背凭れ枠８の
連結パイプ１４に取付けたアーム３０に枢結して
いる。

そして、該伸縮固定装置２３の基端側に突出す
るバルブ開閉ピン２４と、前記背凭れ枠８の上側
部後方の左右両側に設けた操縦ハンドル２５，２
５のうち右ハンドルに取付けたレバー２６とをボ
ーデンワイヤー２７で連動連結し、このレバー２
６を握つてワイヤー２７を引きピン２４をシリン
ダケース２３ａ内へ押し込んでケース２３ａ内に
設けたバルブ（図示せず）を開くと自由にピスト
ン２３ｂが移動可能な状態になつて背凭れ枠８が
前後に回動でき、レバー２６を放してワイヤー２
７を弛めるとバルブが閉じてピストン２３ａの移
動がロツクされて背凭れ枠８が固定されるよう構
成されている。

２８はロツドで、前記連結パイプ２２に固着の
アーム２９と前記連結パイプ１４に固着のアーム
３０を互いに枢結するものであり、背凭れ枠８を
後方へ回動すると足載台１６が上方へ回動するよ
うに構成されている。

３１はブレーキで、前記く字状のアーム６，６
にピン３２，３２によつて枢着したアーム３３，
３３に孔を明けてブレーキピン３４，３４を挿通
し、このブレーキピン３４，３４が前記後輪４，
４の上部に位置するよう構成し、この左右のブレ
ーキピン３４，３４同志を背面視がＵ字状をした
連結枠３５で連結し、更に、ブレーキピン３４，
３４は、く字状のアーム６，６の上端側に基部が
係止されたばね３６，３６で引き上げている。そ
して、前記背凭れ枠８の左右パイプ間に両端が枢
着されて回動可能なＵ字杆レバー３７と前記連結
枠３５、及び後輪の支軸７とをボウデンワイヤー
３８で次の通り連結している。即ち、アウターワ
イヤー３８ａが背凭れ枠８に止着のアウタースト
ツパ３９と前記連結枠３５とで両端が係止され、
インナーワイヤー３８ｂがＵ字杆レバー３７と支
軸７とに取付けられ、Ｕ字杆レバー３７を上方へ
回動操作するとき、アウターワヤー３８ａで連結
杆３５が下方へ回動されてブレーキピン３４，３
４が後輪４，４の上面を押圧し両輪にブレーキが
掛るよう構成されている。尚、ブレーキピン３
４，３４を支えるアーム３３，３３は、ピン３
２，３２でく字状のアーム６に遊動状態に取付け
られ、また、ブレーキピン３４，３４はアーム３
３，３３に遊着されていて、左右の後輪４，４の
タイヤ面をブレーキピン３４，３４が押圧すると
きは片利きしないで両車輪４，４が略々一様な力
で押圧されて確実にブレーキが利くように構成さ
れている。

４０は肘掛け枠で、この肘載せ部４０ａが前後
の支持棒４０ｂ，４０ｂで支えられていて、前記
機枠１のパイプ１ｂと補強支柱１ｅに取付けた支
持パイプ４１，４１に、該支持棒４０ｂ，４０ｂ
が挿通される構成になつていて、この支持棒４０
ｂ，４０ｂの下端部を前記支持パイプ４１，４１
の下面部で受け止める状態と受け止めない状態に
切り替えができるストツパー機構４２を設けてい
る。図例のストツパー機構４２は、前記支持パイ
プ４１，４１に止着の金具４３，４３に孔を明け
て、この孔に鍵状の柄が前後に設けられたストツ
パーピン４４の柄の折り曲がり部を挿通し、更
に、このストツパーピン４４をばね４５で後方、
内側へ引き付け、このストツパーピン４４が支持
パイプ４１，４１の下部に位置したり、下部から
外れたりするように構成している。

４６，４６…はクツシヨンスプリングで、前記
機枠１の左右上面のパイプ１ａ，１ａ間及び前記
背凭れ枠８の前面の左右パイプ間及び前記足載台
１６，１６を装着する左右の回動アーム１８，１
８の基部側前側面に張設されている。尚、この張
設にあたつては、パイプ１ａ、背凭れ枠８のパイ
プに所望の間隔で孔が多数あけられている金具４
７を溶接して、該孔にクツシヨンスプリング４６
の折り曲げ端面部を係合し張設する構成にしてい
る。このようにすれば、スプリング４６張設位置
が自由に変更でき、障害者の障害の度合や身体の
不自由な部分に応じてクツシヨンの度合あるいは
クツシヨンの利き位置を変更できて好都合であ
る。

４８は布あるいは革等の裏目に薄いウレタンシ
ートが張られたマツトで、足載台１６，１６を装
着する回動アーム１８，１８の前面、機枠１の上
面及び背凭れ枠８の前面のクツシヨンスプリング
４６に接当して張られ、該マツト４８の背凭れ部
分の上部は袋状に形成されていて、背凭れ枠８の
上部が包まれるようにして装着し、マツト４８の
左右側を適宜機枠１側に係止ならしめている。次
に、上例の作用を説明する。

先ず、ベツトに寝かされている身体障害者や身
動きの利かない老人を車椅子に乗せるとき、車椅
子をベツトに横付けしてベツト側のストツパー機
構４２のストツパーピン４４を支持パイプ４１，
４１の下面から外し、肘掛け枠４０を押し下げて
肘載せ部４０ａの高さを機枠１に張設しているマ
ツト４８の高さと略々同じ高さにセツトし、背凭
れ枠８を、レバー２６を操作して伸縮固定装置２
３のロツク状態を解いて後方に倒し機枠１に張設
のマツトと背凭れ枠８に張設のマツトとが略々平
面状になるように操作してレバー２６の操作を解
除して固定状態にセツトする。この時、背凭れ枠
８の後方回動により連動リンク１５，１５および
アーム６，６を介し後輪４，４が後方へ回動され
る。また、同時にアーム２９，３０およびロツド
２８、連結パイプ２２を介して脚受側アーム１
８，１８が前方上方へ回動され、足載台１６，１
６が上方に移動する。

この状態で、障害者をベツトから車椅子に移せ
ばよい。このとき、後輪４，４は後方へ移動して
いるから、車椅子は非常に安定状態を保ち安心し
て障害者を移し変えることができる。

次に、障害者を乗せた状態で車椅子を移動する
場合、先ず、下方へ押し下げていた肘掛け枠４０
を引き上げてストツパーピン４４を支持パイプ４
１，４１の下面に回動させて肘掛け枠４０の下が
らないようにセツトした後、レバー２６を操作し
て伸縮固定装置２３のロツク状態を解除して背凭
れ枠８を適当位置まで起こせばよい。このとき、
前述の場合とは逆に、後輪４，４は前方へ移動
し、かつ足載台１６，１６は後方下方へ回動して
設定される。したがつて、後輪４，４によつて車
椅子を押している看護人の足元側が何ら邪魔され
ることなく操縦でき、しかも、小回りが利いて操
縦が容易である。

次に、障害者を車椅子の前側から降ろす場合に
は、足載台１６，１６がＬ字状杆２０，２０の回
動によつて回動できるから車椅子の外側方に退避
させることができて車椅子の前面下部を開放で
き、障害者を容易に降ろすことができる。

尚、Ｌ字状杆２０，２０の回動を固定するレバ
ー２１，２１が図例では障害者自身が操作できる
位置にあつて、かつ、このレバー２１，２１を回
動させると足載台１６，１６が外方へ回動される
ようにＬ字状杆２０，２０にレバー２１，２１を
取付けているから、障害者が杖等の助けで歩ける
ような場合には自分で足載台１６，１６を外側へ
移動できて、自分自身による乗り降りも楽にでき
る。尚、図例では、足載台１６，１６を車椅子の
外側方に回動させる構造にしたが、内側方に回動
させて足載台１６，１６を車椅子の下側に内装す
る構造にしてもよいことは謂うまでもない。更
に、この足載台１６，１６はＬ字状杆２０，２０
の折り曲げ片部２０ａ，２０ａの軸心に対して上
方へ回動させることもできる。

尚、この車椅子をトラツク等で運搬するような
ときは、固定具１２，１２を操作して背凭れ枠８
をピン１１，１１の回りに回動させて座席面に重
なるように屈折ならしると共に、肘掛け枠４０を
押し下げた状態にすると極めてコンパクトになり
運送経費を低減できる。

【図面の簡単な説明】

図は、この発明の一実施例を示したもので、第
１図は全体の斜面図、第２図はマツトを取り外し
た状態の側面図、第３図はその背面図、第４図は
背凭れ枠を後方へ倒した状態の要部の側断面図、
第５図は要部の側面図、第６図は要部の正面図、
第７図は要部の平面図を示す。 図中の記号は次の通りである。１は機枠、２は
前輪、３は金具、４は後輪、６はアーム、８は背
凭れ枠、１６は足載台、２３は伸縮固定装置、２
５は操縦ハンドル、４６はクツシヨンスプリン
グ、４８はマツトを示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 障害者の身体を支持するシート４８の腰受部
   を受ける水平状の固定受部分を有した枠枠１の下
   部前側左右にキヤスター型の転動前輪２，２を取
   付けると共に下部後側左右に前後に回動するアー
   ム６，６を介して転動後輪４，４設け、機枠１の
   後部側にには立設の状態から後方側へ倒れる前記
   シート４８の背部を受ける背凭れ枠８を設け、機
   枠１の前部側にはシート４８の脚受部を支持する
   脚受側アーム１８を回動自在に設けた車椅子にお
   いて、前記機枠１と背凭れ枠８との間に背凭れ枠
   ８をワンタツチレバー操作で自由に前後回動設定
   可能な伸縮固定装置２３を設け、背凭れ枠８と前
   記脚受側アーム１８及び後輪取付け側のアーム６
   とを、該背凭れ枠８を後方へ回動するとき脚受側
   アーム１８を上方へ回動するよう連動連結すると
   共に転動後輪４，４の取付けアーム６，６を後方
   へ回動して転動後輪４，４が後方へ移動するよう
   連動構成してなる障害者用の車椅子。