JPH026108Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 基礎杭打設工法の一つであるオールケーシング
工法に使用されるケーシングパイプや、既設の杭
の引抜きの際、杭と土砂とのフリクシヨンをカツ
トするために使用する杭径より大径のケーシング
パイプの先端に取付ける掘削刃の取付構造に関す
るものである。

基礎杭の全長にわたつてケーシングパイプを揺
動や回転によつて押込みながらケーシングパイプ
内の土砂をバケツト等によつて除去して基礎杭を
構築する、いわゆるオールケーシング工法があ
る。従来このケーシングパイプの押込抵抗を少な
くするため、先端の刃口を鋭角形状にすると共に
刃口径を上部の胴径より大きくして胴部と地盤と
の直接接触をさけ、押込時の周面摩擦抵抗を軽減
させたものや、ケーシングパイプの先端に超硬チ
ツプを埋込んだり、掘削刃を取付けたものがあ
る。この中で掘削刃を取付けたものが一番押込抵
抗が小さいが、第７図で示すように従来の掘削刃
２００の取付構造は、ケーシングパイプ１００の
刃口下に一列状態で取付けるようになつているた
め、掘削土の排出に対する考慮が不足しており、
押込抵抗も充分軽減されたものとは言えなかつ
た。

本考案は、この掘削刃の取付構造の改良に係る
もので、掘削刃によつて掘削された土砂の排出を
速やかに行なうと共に押込抵抗を軽減させること
ができるケーシングパイプ先端掘削刃取付構造を
提供することを目的とするものである。

この目的を達成するために本考案は、ケーシン
グパイプの先端に掘削刃を取付け、ケーシングパ
イプを回転させることにより、地盤を掘削してケ
ーシングパイプの押込抵抗を軽減させる装置にお
いて、前記掘削刃をケーシングパイプの内周側と
外周側と中央部との３位置に順次配設し、中央部
の掘削刃を内、外周側の掘削刃より先行して掘削
させるようにすると共に、内、外周側の掘削刃と
ケーシングパイプの胴部内、外壁との間にギヤツ
プを生じさせるように構成したことを特徴とする
ものである。

以下本考案の一実施例を第１図乃至第６図を用
いて、さらに具体的に説明する。第１図は本考案
が適用される回転式押込装置を示す全体側面図、
第２図乃至第６図は本考案の掘削刃取付構造に係
る拡大詳細図である。２は地上に設置した架台、
３はケーシングパイプ１を締付けるバンドで、締
付シリンダ４によつて締付け力が与えられる。５
はギヤ付旋回輪で、そのアウタレースにはギヤが
設けられ、さらにバンド３の固定部分と接続され
ている。６はギヤ付旋回輪５にかみ合つているピ
ニオンで、モータ７によつて回転駆動される。８
はモータ７を固定するブラケツトで、フレーム９
に固定される。フレーム９には前記ギヤ付旋回輪
５のインナレースが固定されている。１０はフレ
ーム９と架台２との間に設けられた押込シリンダ
である。尚、１１はケーシングパイプ１内の土砂
を地上に排出するためのハンマグラブを示してい
る。

ケーシングパイプ１の先端刃口は、第３図、第
４図及び第６図に示すように胴部１ａよりのギヤ
ツプδ₁と等しいか、わずかに小さい寸法のリング
状の段差をもつと共に、傾斜部１ｂを有してい
る。その先端刃口には、内周側に配設した掘削刃
１２と外周側に配設した掘削刃１３と中央部に配
設した掘削刃１４とがボルト１５を介して順次取
付けられている。掘削刃１２には、その内端と胴
部１ａ内壁との間にギヤツプδ₂を生じさせる逃げ
面１２ａが形成されている。また掘削刃１３に
は、その外端と胴部１ａ外壁との間にギヤツプδ₁
を生じさせる逃げ面１３ａが形成されている。ま
た掘削刃１２のすくい面には超硬チツプ１２′が
山形状に取付けられ、下部には透げ角β₁が、側面
には逃げ角β₂が形成されている。同様に掘削刃１
３のすくい面には超硬チツプ１３′が山形状に取
付けられ、下部には逃げ角β₂が、側面には逃げ角
β₂が形成されている。掘削刃１４は、掘削刃１２
及び掘削刃１３と同様の構造を有し、それら双方
にラジアル方向でラツプすると共に掘削部の先端
が掘削刃１２，１３より下位に位置し、深さ方向
で先行して掘削していくように構成されている。

次に本考案の作用を説明する。ケーシングパイ
プ１は締付シリンダ４を縮めることによりバンド
３と一体になる。この状態でモータ７を駆動させ
れば、ピニオン６によつてギヤ付施回輪５が回転
すると共に、ギヤ付旋回輪５と一部が一体的に固
定されているバンド３も回転するので、ケーシン
グパイプ１もまわされる。このように回転させな
がら押込シリンダ１０を縮めれば、ケーシングパ
イプ１に押込み力が付加される。

一方、ケーシングパイプ１の刃口部では、掘削
刃１２，１３，１４に押込み力と回転力とが付加
されるので、地盤に対し掘削が行われる。ここで
掘削刃１２によつて掘削された結果、ケーシング
パイプ１の内周側にはδ₂のギヤツプが生じ、この
ギヤツプによつて生まれた空隙を経て掘削刃１２
の後方にまわり込む上砂の他は上方へ押上げられ
る。また掘削刃１３によつて掘削された結果、ケ
ーシングパイプ１の外周側にはδ₁のギヤツプが生
じ、このギヤツプによつて生まれた空隙を経て掘
削刃１３の後方にまわり込む土砂の他は上方へ押
上げられ、ケーシングパイプ１１の端面を内周側
に開いた傾斜部１ｂに案内されてケーシングパイ
プ１の内周側へ押出される。さらに、掘削刃１３
によつて掘削された土砂は掘削刃１２の後方にま
わり込んだゆるんだ土砂を内周側に押出す働きも
なす。

ここで、掘削刃１２と掘削刃１３との間には山
形状の掘残し部分が生じることからも明らかなよ
うに、掘削刃１２，１３を地盤にくい込ませるの
に必要な押込み力は、垂直に取付けた場合の掘削
刃より過大な押込み力が必要となる。このため、
掘削刃１４を掘削刃１２と掘削刃１３との間に位
置させると共に、これらより先行掘削させること
により、山形状の掘残し部分が取払われ、掘削刃
１２，１３，１４には有効に垂直方向の荷重であ
る押込み力が作用し、掘削された土砂の排出がス
ムーズに行われるのと相いまつて、押込み抵抗は
小さく押えられる。

また掘削刃１３の内周側はすでに掘削刃１２に
よつて地山の大半を掘削されており、完全な空隙
でなくても掘削刃１２によるゆるんだ土砂のた
め、掘削刃１３による掘削土の逃げ場となる。掘
削刃１３と掘削刃１４との関係においても同様で
ある。掘削刃１２、掘削刃１３、掘削刃１４とを
一体にした掘削刃、すなわち全断面を一度に掘削
する構造のものと比較し、掘削刃１２、掘削刃１
３、掘削刃１４の各掘削抵抗をプラスした掘削抵
抗の方が小さくてもすむ。掘削刃１４が先行し、
掘削刃１２が後行となる関係においても同様であ
る。このため、掘削刃１２と掘削刃１３と掘削刃
１４によつて掘削された土砂は撹拌され、流動化
するため排出されやすくなる。

尚、掘削刃１２，１３，１４にはすくい面以外
の面が地盤と接触しにくいように、逃げ角β₁，β₂
が設けられているため、地盤との接触による回転
抵抗の増加を防ぐことができる。

また、掘削刃１４はほぼ垂直に形成されている
ため、ケーシングパイプ１の回転の際の芯振れを
押える機能も有する。

以上述べたように本考案によれば、ケーシング
パイプの刃口下の地盤を内周側と外周側とに分担
し合つて掘削する掘削刃を取付けたことにより、
掘削によつて発生する空隙部への土砂のまわり込
みが容易であり掘削土砂の動きもスムーズに行わ
れ、さらに外周側の掘削刃によつて掘削された土
砂が周周側掘削刃後方に位置するゆるめられた土
砂を内周側に押出すことができる他、内周側のギ
ヤツプが形成されることによつて、土砂がケーシ
ングパイプの内壁に沿つて上方へスムーズに押上
げられて排出される等、掘削土砂の排出と掘削抵
抗の軽減を考慮した掘削刃の取付構造になつてい
る点と、前記内周側掘削刃と外周側掘削刃との間
に位置し、これらより先行して掘削する中央部掘
削刃を取付け、内周側掘削刃と外周側掘削刃との
間の掘残し部分を除去するようにした点とにより
ケーシングパイプの押込抵抗を小さく押えること
ができる効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用される回転式押込装置全
体図、第２図乃至第６図は本考案の一実施例を示
したもので、第２図は第１図Ａ部の拡大詳細図、
第３図は第２図の−線に沿い一部を断面した
矢視図、第４図は第２図の−線に沿う断面
図、第５図は第２図の−線に沿う断面図、第
６図は第２図の−線に沿う断面図、第７図は
従来行われていたケーシングパイプの先端に設け
た掘削刃取付構造の一部断面斜視図である。 １……ケーシングパイプ、１ａ……胴部、１
２，１３，１４……掘削刃、１２ａ，１３ａ……
逃げ面、１５……ボルト、δ₁，δ₂……ギヤツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングパイプの先端に掘削刃を取付け、ケ
   ーシングパイプを回転させることにより、地盤を
   掘削してケーシングパイプの押込抵抗を軽減させ
   る装置において、前記掘削刃をケーシングパイプ
   の内周側と外周側と中央部との３位置に順次配設
   し、中央部の掘削刃を内、外周側の掘削刃より先
   行して掘削させるようにすると共に、内、外周側
   の掘削刃とケーシングパイプの胴部内、外壁との
   間にギヤツプを生じさせるように構成したことを
   特徴とするケーシングパイプ先端掘削刃取付構
   造。