JPH0259601B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、非磁性の物体によつて少なくとも２
つの部分に分割されている少なくとも２つの磁極
片と、磁極片部材の間に配置された回転可能な永
久磁石及び固定された永久磁石とから成り、強磁
性物体を磁気付着するために用いられる切換可能
な永久磁石保持装置に関する。

強磁物体、例えば加工しようとする加工物の付
着のために用いられる永久磁石保持装置は既に公
知であり、この永久磁石保持装置は、軟磁材でで
きた少なくとも２対の扁平な磁極片で構成されて
いて、その際個々の磁極片の対が、非磁性物体、
例えば黄銅によつて分割されている。この扁平な
磁極片の間には、１つの又は数個の扁平に形成さ
れた固定された永久磁石が設けられている。この
固定された永久磁石は、円柱状の空洞を有してお
り、この空洞の中に、それぞれ円板状の永久磁石
が回転可能に配置されている。この固定された永
久磁石、及び回転可能な永久磁石は、軸方向に交
番的に異なつた極性を有する少なくとも２つの磁
極の対を有する。

このように構成された永久磁石装置の場合、オ
ン（保持）の位置においては、固定された永久磁
石と回転可能な永久磁石の同極の磁極片域が、又
オフ（解離）の位置においては、固定された永久
磁石と回転可能な永久磁石の異なる磁極片域が、
非磁物体によつて分割された磁極片板に当接す
る。（ドイツ連邦共和国特許出願公開第2517364号
公報） このように構成された永久磁石保持装置の場
合、少なくとも２つの付着面が利用されない。さ
らにこの種の保持装置においては、付着面が、回
転可能な永久磁石に対し直径方向に配置されてお
り、そのため高さが高くなるのを回避できなかつ
た。

発明の目的 本発明の課題は、非常に扁平な構造を有し、か
つ同時に付着面に対する全磁極片面の付着作用を
向上させた、強磁性物体を磁気付着するために用
いる切換可能な永久磁石保持装置を提供すること
にある。

発明の構成と効果 本発明においては、この課題は次のようにして
解決される。即ち良導磁材例えば軟鉄より成る片
側が開口している外側の中空体及びその内側に同
心配置された片側が開口している内側の中空体
を、磁力線を発する全磁極片面が付着平面に位置
するように配置し、その際前記各中空体が少なく
とも１つの非磁性物体により少なくとも２つの部
分に分割されており、前記内側及び外側の中空体
の中空体壁の間に、磁気的に分割されて固定配置
された永久磁石を設け、さらに外側の中空体の底
部と内側の中空体の底部との間に回転可能な永久
磁石を配置し、前記の各中空体の底部の間に配置
された、交番的に異なる極性をもつた少なくとも
２つの磁極対を有する前記回転可能な永久磁石
を、その厚みの方向に貫通磁化し、この回転可能
な永久磁石の第１の回転位置においては前記中空
体部分中の磁束を増強し、この回転可能な永久磁
石の第２の回転位置においては前記中空体部分の
磁束を減少させるようにするのである。

一方が開口しているこの中空体は、Ｕ字形の断
面を有する壷形、直方体形、環形又はレール形に
形成することができる。

本発明によつて構成された保持装置において
は、磁極片面に出てくる全磁極線が、保持装置保
持のために当接される強磁面に十分に有効に作用
するので、永久磁石材の使用最大体積を、扁平な
構造で漂遊損失なしに最大限に利用できる。この
ようにして、簡単な構造であつても非常に強い付
着力が生じる。

さらに、保持装置を本発明により構成する場
合、バリウムフエライト、ストロンチウムフエラ
イト、鉛フエライトをベースとする合成樹脂で結
合された、成形した磁石や可撓性礎石等の比較的
安価な永久礎石材を使用することができる。

磁気的にすぐれた永久磁石材、例えば稀土類−
コバルト磁石を用いる場合には、永久磁石材の体
積は比較的小さくなる。

又、本発明による保持装置は、強磁性の基台に
対する付着には種々に適用できる。例えばこの保
持装置は、自動車のアンテナホルダ、又はランプ
ホルダとして用いることができる。その際、この
保持装置を車体上に載置した後にオン（保持）し
ても、ラツカを塗つた表面に掻き傷がつくのを避
けられる。

又、加工作品を加工したり、測定装置や他の付
着対象物を保持するための固定部材として用いる
ことも可能である。

本発明の有利な実施例において、例えばレール
形又は環形に形成された保持装置には、数個の回
転可能な永久磁石が、外側及び内側の中空体の間
に配置されている。これらの回転可能な永久磁石
は、ラツク又は歯付リングによつてオン（保持）
の位置からオフ（解離）の位置へと切換調整可能
である。

これらの回転可能な永久磁石は、円板状、正方
形、又は長方形に形成されている。これらの回転
可能な永久磁石は、焼結及びプラスチツクで結合
した成形永久磁石材より形成されている。固定永
久磁石は、可撓性永久磁石材の条片で形成するこ
とができる。その際、永久磁石材は、バリウムフ
エライト粉末、ストロンチウムフエライト粉末、
又は鉛フエライト粉末を、ゴム状の弾性接合剤の
中に埋め込んだものである。これらの磁石を、稀
土類−コバルト磁石材で形成することもできる。

この保持装置を強磁性の基台の上へ載置する際
に付着面に掻き傷ができるのを避けるために、付
着面に向かつて僅かに突出したゴム弾性材で保持
装置の内側の空洞を満たすことができる。

実施例の説明 次に本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明
する。

第１図に示す本発明による、切換可能な、永久
磁石を用いた保持装置は、外側の壷形の中空体１
及び、内側の壷形中空体２より成る。これらの中
空体は良導磁性の材料、例えば軟鉄でできてお
り、第２図から明らかなように相互に同心配置さ
れている。外側の壷形中空体１及び内側の壷形中
空体２は、非磁性の物体３，４、例えば黄銅、又
は空気によつて、少なくとも２つの部分に分割さ
れている。外側及び内側の壷形中空体１，２の壁
５，６の間には永久磁石環状体７が設けられてい
る。この永久磁石環状体７は、この２つの壷形中
空体を磁気的に区分している。この永久磁石環状
体は、例えば弾性永久磁石材で構成し得る。その
際、永久磁石材は、バリウムフエライト粉末、ス
トロンチウムフエライト粉末、又は鉛フエライト
粉末を、ゴム状の弾性接合剤の中に埋め込んだも
のである。この永久磁石環状体は、その厚さが最
も薄い方向に貫通磁化されている。各磁極は、図
においてＮ及びＳの文字により示されている。

図から明らかなように、壷形中空体の右半部に
おいては、外側の壷形中空体１の内周面にＳ極
が、内側の壷形中空体２の外周面にＮ極が当接
し、他方、第１図の左半部においては、永久磁石
環状体のＮ極が外側の壷形中空体の内周面に、又
Ｓ極が内側の壷形中空体の外周面に当接してい
る。

外側の壷形中空体１の底部８と内側の壷形中空
体２の底部９との間には、円板状の永久磁石１０
が、回転可能に配置されている。この円板状の永
久磁石１０は、その半部が他の半部とは逆にその
厚さが最も薄い方向に貫通磁化されている。各磁
極は再びＮ，Ｓの文字で図示してある。

回転可能な、円板状の磁石１０は、その中心部
に四角形の孔を備えており、ここへ環状の突出部
を有するスリーブ１６が挿入されている。このス
リーブ１６は、内側及び外側の壷形中空体の底部
に、回転可能に配置されている。この保持装置を
オン（保持）、オフ（解離）する目的で、スリー
ブ１６は係止可能な操作部材１４と連結されてい
る。このスリーブの中に棒１９、例えばアンテナ
棒がさし込まれている。

第１図に、この保持装置のオン（保持）位置を
示す。第１図の右半部においては、Ｓ極が外側の
壷形中空体の底部の内底面に当接し、Ｎ極は内側
の壷形中空体の底部の外底部に当接している。左
半部においては、この配置は全く逆になつてい
る。

第１図及び第２図から判るように、それぞれ向
き合つた半円形の磁極面、すなわち付着面１１，
１２には異なる極性の磁極が存在し、その結果、
磁力線がこの部分を介して閉じることにより、こ
の強磁材１３は保持される。

回転可能な永久磁石１０が操作部材１４によつ
て180゜回転させられると、この保持装置は、オフ
位置の状態になる。なぜなら各磁極は、内側及び
外側の壷形中空体の各半部を介して短絡されるか
らである。この場合、付着面から磁力線は出ない
ので、磁気保持装置と強磁材１３は相互に解離可
能となる。

保持装置の内側の空洞１５には、ゴム弾性材１
８が付着面１７に向つて僅かに突起するように満
されており、その結果、保持装置を付着部分、例
えば自動車の車体上に取付ける際に、磁極面１
１，１２が付着部分と最初に接触することはな
い。保持装置をオンにすると、その強い付着力は
ゴム弾性材１８の僅かなばね作用を克服し、完全
に作用するようになる。これにより、保持装置の
取付けの際に、車体の表面に掻き傷がつくのを避
けられる。

この保持装置は、図示の実施例に限定されな
い。この保持装置は、例えば十字形に分割するこ
とも可能である。この場合、回転可能な永久磁石
の磁極は、交互に極性を変えて、その厚さが最も
薄い方向に磁化され、その結果４つの扇形の磁極
領域が生じる。その際、中空体壁の間に固定して
配置された永久磁石環状体は、４つの部分に分割
される。この４つの部分は、同様に永久磁石環状
体の厚さが最も薄い方向に磁性を交互に変えて磁
化されている。この場合、オフにするためには
90゜だけ回転させればよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による保持装置の縦断面図、
第２図はこの保持装置を上方から見た図である。 １……外側の中空体、２……内側の中空体、
３，４……非磁性物体、５，６……中空体壁、７
……固定配置された永久磁石、８，９……中空体
底部、１０……回転可能な永久磁石、１１，１２
……磁極片面、１３……強磁材、１４……操作部
材、１６……スリーブ、１８……ゴム弾性材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 非磁性の物体によつて少なくとも２つの部分
   に分割されている少なくとも２つの磁極片と、磁
   極片部材の間に配置された回転可能な永久磁石及
   び固定された永久磁石とから成り、強磁性物体を
   磁気付着するために用いられる切換可能な永久磁
   石保持装置において、良導磁材例えば軟鉄より成
   る片側が開口している外側の中空体１及びその内
   側に同心配置された片側が開口している内側の中
   空体２を、磁力線を発する全磁極片面１１，１２
   が付着平面に位置するように配置し、その際前記
   中空体が少なくとも１つの非磁性物体４により少
   なくとも２つの部分に分割されており、前記内側
   及び外側の中空体１，２の中空体壁５，６の間
   に、磁気的に分割されて固定配置された永久磁石
   ７を設け、さらに外側の中空体１の底部８と内側
   の中空体２の底部９との間に回転可能な永久磁石
   １０を配置し、前記の各中空体の底部の間に配置
   された、交番的に異なる極性をもつた少なくとも
   ２つの磁極対を有する前記回転可能な永久磁石１
   ０を、その厚みの方向に貫通磁化し、この回転可
   能な永久磁石１０の第１の回転位置においては前
   記中空体部分５，８及び６，９中の磁束を増強
   し、この回転可能な永久磁石１０の第２の回転位
   置においては前記中空体部分中の磁束を減少させ
   るようにしたことを特徴とする永久磁石保持装
   置。 ２ 中空体１，２を、Ｕ形の断面を有する壷形、
   直方体形、環形又はレール形に形成した、特許請
   求の範囲第１項に記載の保持装置。 ３ 回転可能な永久磁石１０を、円板状、正方
   形、又は長方形に形成した、特許請求の範囲第１
   項ないし第２項のいずれかに記載の保持装置。 ４ 回転可能な永久磁石１０を、焼付または永久
   磁石粉末かプラスチツクにより成形された永久磁
   石材で形成した、特許請求の範囲第１項ないし第
   ３項のいずれかに記載の保持装置。 ５ 回転可能な永久磁石１０と固定された永久磁
   石７を、バリウムフエライト、ストロンチウムフ
   エライト、鉛フエライト、又は稀土類−コバルト
   磁石材で形成した、特許請求の範囲第４項に記載
   の保持装置。