JPH0259186B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔発明の属する技術分野〕 本発明は接着剤組成物に係り、特に重合可能な
アクリル単量体および／またはメタアクリル単量
体と、カルボン酸基を有するエチレン−アクリル
系共重合体（エラストマー）とを主成分として含
有し、接着剤としての優れた諸性能を保持し、特
に剥離接着強度、耐衝撃強度等に優れ、かつ金属
に対する腐食性が改良された接着剤組成物に関す
る。 〔従来技術とその問題点〕 従来、（メタ）アクリル単量体を主成分とする
重合型接着剤は、有機過酸化物及び硬化促進剤を
添加することによつて短時間の内に均一に硬化
し、作業性の点ですぐれているが、硬化物が硬く
てもろい性質を有するか、硬化物が柔かい場合に
は抗張力が少なく機械的強度、特に剥離接着強度
及び衝撃強度が構造接着剤としての要求性能を充
分に満足せしめるのではなかつた。 こうした欠点を改良する方法として、硬化時に
アクリル系単量体とグラフト重合せしめるエラス
トマー成分を添加する方法が提案されている。例
えば、未加硫ゴムを添加する方法（特公昭53−
24102）、酢酸ビニル−エチレン共重合体を添加す
る方法（特開昭57−74374）等が提案されている
が、いづれも（メタ）アクリル単量体に対し溶解
性に欠けるという欠点を有するのみならず、臭気
および環境汚染の問題も生じる。そして低臭性の
単量体が50％以上の場合には溶解性、低粘度性が
問題となり、エラストマー成分割合の減少を余儀
なくされ、その場合、構造用接着剤として充分な
性能を得ることができなかつた。又、クロロスル
ホン化ポリエチレン樹脂又は塩素化ポリエチレン
を添加する方法（特公昭53−41699）が提案され
ているが、樹脂に含有する塩素が遊離し、金属を
腐食する欠点を有した。 本発明者等は前述の諸欠点を改良すべく鋭意研
究の結果、カルボン酸基を有するエチレン−アク
リル系共重合体をエラストマー成分として使用し
たところ、このエラストマー成分は（メタ）アク
リル系単量体に容易に溶解するのみならず、接着
剤としての優れた諸性能を付与することを発見
し、本発明を完成するに至つた。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、前述の公知技術に存する欠点
を改良し、剥離接着強度、耐衝撃強度に優れ、か
つ長時間高温雰囲気中に保存した後であつても初
期接着強度が維持され、さらに金属に対する腐食
を起こさないという、接着剤としての優れた諸性
能を妥く保持した接着剤組成物を提供することに
ある。 〔発明の要点〕 前述の目的を達成するため、本発明によれば、 (1) アクリル単量体およびメタクリル単量体から
なる群から選ばれた少なくとも一種の重合可能
な単量体100重量部と、 (2) エチレン、アクリル酸エステルおよび不飽和
有機酸エステルからなる、カルボン酸基を有す
るエチレン−アクリル系共重合体10〜80重量部
と、 (3) 有機過酸化物0.1〜10重量部と、 (4) 重合促進剤0.1〜10重量部とからなることを
特徴とする。 〔発明の具体的説明〕 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明に使用される重合可能な単量体はアクリ
ル単量体およびメタクリル単量体からなる群から
選ばれた少なくとも一種の単量体であつて、本発
明接着剤組成物の硬化成分となるものであり、具
体的にはメチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、ベンジルアクリレート、２エチル
ヘキシルアクリレート、２エチルヘキシルメタク
リレート、２ヒドロキシエチルメタクリレート、
２ヒドロキシメチルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート、グリシジルアクリレート、フエノ
キシヒドロキシエチルメタクリレート、フエノキ
シヒドロキシエチルアクリレート、エトキシエチ
ルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレー
ト、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエ
チルアクリレート、ブトキシカルビトールメタク
リレート、ブトキシカルビトールアクリレート、
メタクリル酸、アクリル酸、２−メタクリロイロ
キシエチルアシツドホスフエート、２−アクリロ
イロキシエチルアシツドホスフエート、ジフエニ
ル２−メタクリロイロキシエチルホスフエート、
ジフエニル２−アクリロイロエチルホスフエー
ト、エチレングリコール並びに高級エチレングリ
コールのメタクリレート、ウレタン変性アクリレ
ート、ウレタン変性メタクリレート、等が上げら
れる。 本発明に使用されるカルボン酸基を有するエチ
レン−アクリル系共重合体はエチレン、アクリル
酸エステルおよび不飽和有機酸エステルからなる
非晶性の実質的に線状のアタクテツク共重合体で
あつて、例えばエチレン30〜65重量％、メチルア
クリレートまたはエチルアクリレート40〜60重量
％、およびマレイン酸またはフマル酸のメチル、
エチルまたはプロピルモノエステル0.1〜10％の
共重合体であり、具体的には、イー．アイ．デユ
ポン デニモアス アンド カンパニーの商品名
VAMAC Ｂ−124およびVAMAC Ｎ−123等が
挙げられる。 また、本発明に用いられる有機過酸化物は、ジ
アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、
ハイドロパーオキサイド、ジアルチルパーオキサ
イド、パーオキシエステル等であつて、具体的に
は、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロ
パーオキサイド、ｔ−ブチルハイドロパーオキサ
イド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ｔ−ブチルパーオキシアセ
テート等の公知のフリーラジカル発生剤があげら
れる。 さらに、本発明に用いる重合促進剤は三級アミ
ン類、チオ尿素、金属の有機塩、還元性有機化合
物等であつて、具体的には、ジメチルアニリン、
Ｎ，ＮジメチルＰ−トルイジン、Ｎ，Ｎジエチル
アニリン、チオ尿素、エチレンチオ尿素、ベンゾ
イルチオ尿素、アセチルチオ尿素、テトラメチル
チオ尿素、1.3ブチルチオ尿素、ナフテン酸コバ
ルト、ナフテン酸ニツケル、ナフテン酸銅、ラウ
リルメルカプタン、パラトルエンスルホン酸、ア
スコルビン酸等であり、これらの一種に限定され
ず、２種以上用いることも可能である。 前述の各成分において、エチレン−アクリル系
共重合体（エラストマー）は（メタ）アクリル単
量体100部に対し10〜80部が適当であるが、作業
性接着性等を考慮すれば、30〜60部が特に好まし
い。これが80部以上では粘度が高すぎて作業が困
難であり、10部以下では充分な性能を発揮できな
い。有機過酸化物は0.1〜10部、好ましくは２〜
５部である。重合促進剤は0.1〜10部であるが、
好ましくは２〜５部である。 本発明は上記成分の他にラジカル重合防止剤と
してハイドロキノン、ベンゾキノン、ｔ−ブチル
カテコール、ハイドロキノンメチルエーテルや着
色剤、有機、無機充填剤等の使用も可能である。 また、本発明では、第３成分である有機過酸化
物および第４成分である重合促進剤はそれぞれ保
存時には混合されることなく、使用時に接触また
は混合される。これは前述の第３および第４成分
が接触ないしは混合されるとすぐに硬化してしま
うため、接着剤のライフタイムを長く保つためで
ある。前述の第３成分および等４成分の接触ない
しは混合の具体的態様として、例えば前記第(1)、
第(2)および第(3)成分をＡ群とし、かつ前記第(1)、
第(2)および第(4)成分をＢ群とし、これらＡ、Ｂ群
を使用時に接触または混合する方法、前記第(1)、
第(2)および第(3)成分をＡ群とし、かつ前記第(4)成
分を有機溶剤に溶解してプライマー(4)とし、これ
らＡ群およびプライマー(4)を使用時に接触または
混合する方法、具体的には前記プライマー(4)を被
接着物の両面または片面に塗布し、溶剤乾燥後、
前記Ａ群を前記被接着物の両面または片面に塗布
して、接着、硬化させる方法、前記第(1)、第(2)お
よび第(4)成分をＢ群とし、かつ前記第３成分を有
機溶剤に溶解してプライマー(3)とし、これらＢ群
およびプライマー(3)を使用時に接触または混合す
る方法、具体的には前記プライマー(3)を被接着物
の両面または片面に塗布し、溶剤乾燥の後、前記
Ｂ群を前記被接着物の両面または片面に塗布して
接着、硬化せしめる方法等が挙げられる。 以下、本発明を実施例により詳述する。 実施例 １ 撹拌機を付属する加熱可能なガラス容器にハイ
ドロキノン0.02部、MMA140部を加え、撹拌し
ながらVAMAC Ｎ−123 60部を加える。50℃に
て約20時間撹拌するとVAMAC Ｎ−123は完全
に溶解する。これを常温に冷却してから２つのガ
ラス容器に100重量部づつ分割し、次いで、一方
にベンゾイルパーオキシド５部を加え、撹拌溶解
した液をＡ−１とし、他の一方にジメチルＰ−ト
ルイジン１部加えた液をＢ−１とした。Ａ−１及
びＢ−１とも40℃にて１ケ月以上固化しなかつ
た。次にJIS G3141、150×25×0.5mmの脱脂した
冷間圧延鋼板の一方にＡ−１、他の一方にＢ−１
をうすく均一に塗布し、貼り合せ後24時間、25℃
にて養生し、その後、100mm／分のスピードで剥
離強度を測定した結果、26Kg／25mmの接着強度を
有した。さらに−40℃、１時間、120℃、１時間
のヒートサイクルを100サイクル行つた後、剥離
強度を測定した結果、27Kg／25mmでの値を示し
た。 実施例 ２ 実施例１と同様な方法で表１の実施例２〜７お
よび比較８〜９に示す配合物を調製し、これらに
ついて各種試験を行ない、結果を表１および表２
に示した。

【表】

【表】

〔発明の効果〕

表１および表２から明白なとおり、本発明にか
かる接着剤は、比較例に示す接着剤（特に本発明
の第２成分を含まない）と比較して剥離接着強
度、耐衝撃強度に優れ、かつ長時間高温雰囲気中
に保存した後であつても初期接着強度が維持さ
れ、さらに耐腐食性にも優れている。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １(1) アクリル単量体およびメタクリル単量体か
   らなる群から選ばれた少なくとも一種の重合可
   能な単量体100重量部と、 (2) エチレン、アクリル酸エステルおよび不飽和
   有機酸エステルからなる、カルボン酸基を有す
   るエチレン−アクリル系共重合体10〜80重量部
   と、 (3) 有機過酸化物0.1〜10重量部と、 (4) 重合促進剤0.1〜10重量部とからなる接着剤
   組成物。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の接着剤組成物
   において、前記第(3)および第(4)成分は使用時に接
   触または混合されることを特徴とする接着剤組成
   物。 ３ 特許請求の範囲第１項または第２項に記載の
   接着剤組成物において、前記第(1)第(2)および第３
   成分をＡ群とし、かつ前記第(1)、第(2)および第(4)
   成分をＢ群とし、これらＡ、Ｂ群を使用時に接触
   または混合することを特徴とする接着剤組成物。 ４ 特許請求の範囲第１、２または３項に記載の
   接着剤組成物において、前記第(1)、第(2)および第
   (3)成分をＡ群とし、かつ前記第(4)成分を有機溶剤
   に溶解してプライマー(4)とし、これらＡ群および
   プライマー(4)を使用時に接触または混合すること
   を特徴とする接着剤組成物。 ５ 特許請求の範囲第１、２または３項に記載の
   接着剤組成物において、前記第(1)、第(2)および第
   (4)成分をＢ群とし、かつ前記第(3)成分を有機溶剤
   に溶解してプライマー(3)とし、これらＢ群および
   プライマー(3)を使用時に接触または混合すること
   を特徴とする接着剤組成物。