JPH0257708B2 - - Google Patents

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JPH0257708B2
JPH0257708B2 JP60296481A JP29648185A JPH0257708B2 JP H0257708 B2 JPH0257708 B2 JP H0257708B2 JP 60296481 A JP60296481 A JP 60296481A JP 29648185 A JP29648185 A JP 29648185A JP H0257708 B2 JPH0257708 B2 JP H0257708B2
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laser
cladding layer
type cladding
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Mutsuro Ogura
Seiji Mukai
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Agency of Industrial Science and Technology
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は半導体レーザに関し、特に基板に対し
て垂直方向に発振レーザ光を出力する面発光レー
ザないし垂直発振型レーザにおける改良に関す
る。
〈従来の技術〉 基板に対して垂直にレーザ出力光が得られる面
発光レーザないし垂直発振型レーザは、劈開工程
が不要であること、大面積化が容易であること等
の利点から、レーザ・アレイや大出力レーザへの
応用が検討されている。
特に半導体ヘテロ・エピタキシヤル多層膜を用
いた垂直発振型レーザは、一回のエピタキシヤル
成長で波長選択性を有する光共振器と活性層とを
モノリシツクに形成できるため、反射層を形成す
るための基板エツチングが不要であつたり、発振
波長が安定である等の利点も付加され、集積化に
も有利であることから期待が寄せられている。
しかるに、この種の垂直発振型レーザにおいて
最も初期に提案されたものは、基本的には第12
図Aに示すようなものである。
簡単に説明すると、層状に形成された活性層4
及びその上下のクラツド層3,5から成るpn接
合を有し、上下端面にはこのレーザの電流注入用
電極としても機能する金属ミラー1が設けられて
垂直方向の光共振器が構成され、出力レーザ光は
大きな矢印で示すように、このミラー1,1の
対向方向に沿つた方向に出射される。
また、すでに知られているように、所期の電流
狭窄効果を起こすため、上側金属層1の下には狭
窄対象部分を残してそれ以外の部分を覆う絶縁層
2が設けられ、当該金属層1はこの絶縁層2のな
い部分にて上側クラツド層3に接するようになつ
ており、基板6も同様に狭窄対象部分にて座刳ら
れ、下側金属層1もこの座刳り部分において下側
クラツド層5に接するようになつている。
一方、第12図Bに示すように、同じ従来例で
はあつても、反射層ないし光共振器リフレクタと
して半導体ヘテロ多層膜8,9を利用した構造も
ある。
同一符号は先の第12図Aに示す第一の従来例
における構成子と同様の構成子を示すが、この素
子では活性層4の上下両面をp型ヘテロ半導体多
層膜ミラー8とn型ヘテロ半導体多層膜ミラー9
とで狭んだ格好になつており、素子上下両端面上
の金属層7,7は電極のみの作用を営むようにな
つている。
このような従来例に対して、第12図Cに示す
ように、本出願人が特願昭59−125887号(特開昭
61−4291号公報)にて開示のものがある。
この第12図Cに示される垂直発振型レーザ
は、まず活性層と基板10に対する垂直方向の光
共振器とが半導体ヘテロ多層膜による同一の構造
体11として構成されている点で特徴があり、こ
の活性層兼光共振器11の横方向一側には少数キ
ヤリア閉じ込め用のp型クラツド層12が、他側
にはn型クラツド層13が、それぞれ同様に基板
10に対して垂直方向に形成されて成つている。
これに伴い、電流注入用電極14,15も両クラ
ツド層12,13の外側に沿つて基板10に対し
垂直に形成されている。
この従来例において活性層兼光共振器11に用
いられる上記の半導体ヘテロ多層膜には、本出願
人がそれ以前にすでに開示した特開昭59−36988
号公報に記載されているもの等が採用される。こ
の特開昭59−36988号公報中にて開示されている
半導体ヘテロ多層膜は、その厚さ方向の屈折率の
変化の基本周期がレーザ光の管内波長の1/2とな
つており、この1/2の屈折率基本周期は、1/4管内
波長の整数倍(1を含む)の厚味を持つ高屈折率
媒質層と、同じく1/4管内波長の整数倍の厚味を
持つ低屈折率媒質層とで構成するか、あるいは厚
味方向の組成等を1/2管内波長を周期として連続
的に変化させることにより得られている。
〈発明が解決しようとする問題点〉 上記した三つの従来例を考えるに際し、予め述
べれば、この種の半導体レーザの発振条件は、平
均レーザ利得をg、レーザ長をL、光共振器を構
成するミラーの等価反射率をRとすると、レーザ
利得g・Lが光共振器損失1n(1/R)を上回る
こと、すなわち、 g・L>1n(1/R) …1 なる式を満たすことである。
そして、この式1)を実際上、満足させて、こ
の種の垂直発振型レーザを室温連続発振させるた
めには、上記特願昭59−125887号明細書や上記特
開昭59−36988号公報中に記載されている所から
して、現状における具体的な要件を次の三条件に
絞ることができる。
条件:光共振器の等価反射率が90〜95%程度以
上あること。
条件:活性層の長さ(レーザ長)が5μm程度
以上はあること。ただし通常のエピタリシ
ヤル成長技術により成長可能な膜厚範囲を
逸脱する程の厚さは要さないこと。
条件:キヤリアの閉じ込め構造を有し、既存の
水平方向発振型ないし横型ダブル・ヘテロ
(DH)レーザと同程度の注入電流密度に
おいて同程度のレーザ利得が得られるこ
と。したがつて上記条件において通常の
150μmないし200μm程度の膜厚に比せば
活性層厚が薄くなつたのであるならば、レ
ーザ利得は利得率として向上しているもの
であること。
しかるに、まず第12図Aに示されている最も
初期の構造の垂直発振型レーザでは、上下の電極
1,1間に亘る電流注入の方向と、矢印で示さ
れるように光共振器による光共振方向とが一致し
ているため、少数キヤリアの注入密度を増加させ
るべく、そしてまたレーザ発振時の少数キヤリア
拡散長上の制限から活性層4の厚さLを薄くする
と、そのことが逆にレーザ長Lをそのまま縮める
結果になつてしまう。
実際にもこの第12図Aに示されるレーザ素子
では、レーザ長Lを1μm程度以上に増加させる
ことは不可能であり、したがつて上記条件に反
し、上記条件,も満たされないことから、上
記式1)を満たすことが本質的にできなかつた。
また構造的にも、座刳り部分を必須とするため
に基板にエツチングを要することから、集積化が
難しく、機械的強度も弱くなるという欠点もあつ
た。
一方、光共振器に半導体ヘテロ多層膜を用いた
第12図Bに示されている垂直発振型レーザも、
第12図Aに示すものに比せば機械的強度の問題
や基板加工の必要等からは逃れ得るものの、レー
ザ長Lの増加が難しいという事情は何等変わらな
かつた。
結局、第12図A,Bに示されているように、
電流注入方向と光共振方向とが同一であつて、電
流注入方向の活性層厚をそのままレーザ長Lとし
て規定するタイプの垂直発振型レーザでは、レー
ザ利得を増加させるために少数キヤリアの閉じ込
め効率を損わないでレーザ長Lを十分に稼ぐとい
う要件を満たすことができないのである。
これに対し、本出願人が上記特願昭59−125887
号明細書中で開示した第12図Cに示されるよう
な構造であると、電流注入方向と光共振器の方向
とが直交しているため、キヤリア閉じ込めに関与
する活性層幅Wを狭めて閾値電流の増加を阻んで
も、レーザ長Lは十分に長いものとすることがで
きる。
もつとも、レーザ長Lを長くできるとは言つて
も、従来の横型ダブル・ヘテロ・レーザにおける
と同程度の150μmから200μmもの長さを得るこ
とはできない。活性層兼光共振器11やその両側
のクラツド層12,13等は一般に適当なるエピ
タキシヤル成長に依らねばならず、したがつてそ
うした成長技術の方からの制限を受けるためであ
る。
しかし、こうした第12図Cに示される垂直発
振型レーザでは、このように長いレーザ長は必要
なくなり、結果から言えばその1/20程度の7μm
ないし10μmで足りるのである。
これは、活性層兼光共振器11に既述した特開
昭59−36988号公報に開示されているような半導
体ヘテロ多層膜を用いることにより、光共振器等
価反射率を90〜95%程度にまで上げることがで
き、したがつて先の条件を満たし得ること、ま
た活性層幅Wを例えば0.2μm〜1μm程度にまで十
分に狭めることもでき、かつ両側のクラツド層1
2,13によりキヤリアの閉じ込め効率を大いに
向上させることができたがために条件をも得た
し得たこと、の主として二つの理由による。これ
らの条件,が満たされれば、平均レーザ利得
gが通常の横型ヘテロ・レーザと同程度であるな
らば、上述の式1)からして条件は自動的に満
たされるのである。
そしてこのように、7μmからせいぜい10μm程
度の厚さであれば、当該活性層兼光共振器11や
その両側のクラツド層12,13等は、既存のエ
ピタキシヤル成長技術で容易に形成することがで
き、一方、第12図A,Bに示された構造におけ
る厚味限界に比せば、十分に厚いものとなる。
さらに、リフレクタにのみ半導体ヘテロ多層膜
を用いている第12図B図示の従来例素子との個
別的な対比においても、当該素子ではその活性層
4は上下の多層膜8,9に挟まれた唯一の層であ
つたのに対し、この第12図Cに示される素子で
は、半導体ヘテロ多層膜11中の全ての低エネル
ギ・バンド・ギヤツプ材料膜を活性層として用い
ることが可能なため、レーザ長Lを少数キヤリア
拡散長の制限なしに長くすることができる効果も
あり、また、少数キヤリアの注入が半導体ヘテロ
多層膜のエネルギ・バンド・ギヤツプの障壁に沿
つて行なわれるため、寄生抵抗が低減する利点も
ある。
以上のように、従来の垂直発振型半導体レーザ
にあつては、本出願人が既に開示した第12図C
に示される構造のものが最も優れていることが分
かる。
が、実際にこの思想に即して製品としての半導体
レーザを供給しようとする場合、より具体的な製
造次元においての問題として、次のような不具合
を指摘されることがあつた。
本出願人の開示した第12図Cの構造を実現す
るためになされたその後の製造の実際において
は、活性層兼光共振器の一側に沿うp型クラツド
層を形成する際、予め形成されているn型の半導
体ヘテロ多層膜に対してZnを拡散する方法を用
いたが、これに応じ、Zn拡散後に発生するヘテ
ロ多層膜の結晶欠陥を除去するため、アニール工
程が必須となつた。
アニール工程を採用すること自体に困難な点は
ない(もちろん、用いないで済めばそれに越した
ことはない)が、その結果、当該ヘテロ多層膜の
周期構造が乱れることが問題となつた。
また当然のことではあるが、Zn拡散によつて
はn型のクラツド層を形成することはできないか
ら、ダブル・ヘテロ構造に近い機能は得られて
も、ダブル・ヘテロ構造そのものを構成すること
はできないため、当該構造による強力なキヤリア
閉じ込め機能も期待することができなかつた。
なおまた、他の従来例としては、活性層兼光共
振器を基板上に円柱状に自立的に形成した後、そ
の周囲にp型クラツド層とn型クラツド層を形成
するというアイデアもあり、これは、特開昭59−
152683号公報(従来例)とか、特開昭59−
104188号公報(従来例)に記載されている。
しかし、当該公報中に記載のように、円柱状の
活性層兼光共振器を3〜4μm程度の極めて微細
径でありながら、少なくとも10μm以上の高さに
まで、基板上に自立的に形成するというのは現実
的ではない。
さらに、それら従来例中には、イオン打ち込み
や熱拡散によつて、自立的に形成した円柱状発光
領域の周りに選択的にpないしnクラツド層を形
成する手法も提案されているが、そのような手法
では、深さ数μmから上記のように10μm以上に
まで亙り、それらクラツド層の境界を1μm程度
以下の精度で作成することは現実には不可能であ
る。
また、上記の従来例においては、円柱状の活
性層兼光共振器を両側から狭んでいる以外の部分
においては、p型クラツド層とn型クラツド層と
が互いに直接に接触し合う構造となつている(実
際にも一方の導電型、例えばn型のクラツド層領
域の中に他方の導電型、例えばp型のクラツド層
を形成している)ため、目的とする活性層兼光共
振器に対してのみ、電流を集中して流し込むこと
(電流狭窄効果を起こすこと)が原理的に難しく、
むしろ、活性層兼光共振器以外の部分でのp,n
両クラツド層の直接接触による寄生pn接合を介
し、電流がリークしてしまう構造になつている。
これに対し、上記従来例では、活性層兼光共
振器に接触している部分以外のp型クラツド層と
n型クラツド層の間には、円柱状活性層兼光共振
器の径にほぼ等しい幅、すなわち4μm程度の半
絶縁性層(i層)が挟まつており、したがつて一
応、励起電流を円柱状活性層兼光共振器に集中し
て流し得る構造が開示されているかのように見え
る。
しかしこれも、当該半絶縁性層の幅が上記の
4μm以下にもなつてくると、電流リークが生じ
得る構造になつている。
と言うのも、i層の幅がキヤリアの拡散距離以下
になつてくると、当該i層としての働きが見込め
なくなり、したがつて例えば、当該従来例で指
定されている4μmよりもさらに円柱状活性層兼
光共振器の径を狭め、3μmからさらに1μm以下
にまで、小径にした場合(そのような自立円柱体
の製造が実際には不可能であることを棚上げして
も)、これに応じてほぼ同寸法にまで、幅狭にな
つてくる当該i層は、最早p,nクラツド層間の
分離機能を果たし得なくなり、これがない場合と
ほとんど変わらなくなる。
また特に、先にも述べたように、半絶縁性層
(i層)に対してこれらp,n両クラツド層をイ
オン打ち込み等で形成すると、そのための不純物
は、どうしても、微量と言えど当該i層に侵入
し、これを少なくとも軽いp型(πないしp-
や軽いn型(νないしn-)に反転させてしまう
ので、結局は順方向寄生pn接合が形成され、そ
れでなくとも幅の狭いi層の持つ電流リーク防止
機能は、それで大きく損なわれることになつてし
まう。
結局、この従来例も、本書で問題としている
ように、さらに活性層幅Wを狭めんと努力する方
向においては、始めからp,n両クラツド層が直
接に接触してしまつている従来例と同様、寄生
pn接合が形成され易く、これを介しての電流リ
ークが生じ易い構造となつている。
本発明はこのような実情にかんがみて成された
もので、原理的な構造としては優れている第12
図Cに示される垂直発振型レーザの実現のため、
上記従来例のような欠点を伴わずに完全な横型ダ
ブル・ヘテロ構造によつてキヤリア閉じ込め効率
が高く、低閾値特性を示す垂直発振型レーザを提
供せんとするものである。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明は、上記目的を達成するために、 基板の大域的な面積部分上に形成された半導体
ヘテロ多層膜に対し、それぞれ埋込形成された一
対のp型クラツド層とn型クラツド層とを有し; 該p型クラツド層及びn型クラツド層の各々の
平面形状は、上記半導体ヘテロ多層膜の面内一方
向に沿つて見た場合、それぞれ狭幅部分から該面
内一方向に直交する方向に徐々に拡幅し、最大拡
幅部分に至つた後は再び狭幅部分に戻る形状とな
つており; 該p型クラツド層とn型クラツド層のそれぞれ
の上記最大拡幅部分同志が互いに近接して対向す
ることにより、該最大拡幅部分同志の間に挟まれ
た上記半導体ヘテロ多層膜部分が、レーザ活性機
能と垂直方向の光共振機能とを併せ有する活性層
兼光共振器となつていること; を特徴とする垂直発振型レーザを提供する。
〈作用及び効果〉 本発明によれば、第12図Cに示したように、
構造的には最も優れていると考えられる垂直発振
型レーザを実現することができる。
従来のように半導体ヘテロ多層膜に対しての
Zn拡散やアニール工程を経ることもなく、基板
の大域的面積部分上に一括的に形成された、そし
て最終的には活性層兼光共振器を得るための出発
層となる半導体ヘテロ多層膜に対し、所定の平面
パターンに即してp型、n型の各クラツド層を埋
設形成するようにしてあるので、完全なる横方向
ダブル・ヘテロ構造を得ることが容易にでき、し
かもクラツド層と活性層兼光共振器との界面も高
品質にできるから、大きなキヤリア閉じ込め効果
を期待することができる。
特に、上記クラツド層に関するパターニング精
度によつてのみ、極めて高い精度で活性層兼光共
振器の活性層幅を設計することができ、かつ、両
クラツド層の最大拡幅部分相互の間に当該活性層
兼光共振器を規定しているので、その部分に対し
ての電流集中効果を高めることができる。
既述した従来例群の中でも、イオン注入ではな
く、選択成長を採用すれば実際に作成可能かも知
れない従来例に比しても、本発明は上記の点に
おいて、より有効で、十分なる実用性を持つ基本
構造を提供している。
つまり、当該従来例では、先にも述べた通
り、p,n両クラツド層が互いに面内一方向に沿
つて常に同じ幅で平行に対向しているので、それ
らの間にi層ないし半絶縁層を挟んだにしても、
活性層幅Wの低減のために、その幅もまた、同じ
寸法オーダで狭めて行くと、半絶縁性層(i層)
を挟んだ意味がなくなり、寄生pn接合を介して
の横方向電流リークが生じ得る構造となつてい
た。
これに対し、本発明の場合には、各クラツド層
の最大拡幅部分での幅、すなわち活性層幅を狭め
ても、当該活性層領域から面内一方向に遠ざかる
ほど、p,n両クラツド層間の幾何的な離間距離
は広くなるので、活性層幅を狭めることが、直ち
に電流リークの発生可能性や電流リーク量を増し
てしまう構造にはなつていない。端的に言つて、
従来例群に比せば、副作用なく、遥かに活性層幅
を狭め、実効発光領域を面積的にも絞り込むこと
ができる。
さらに、各クラツド層ごとにそれぞれ最大拡幅
部分から狭幅部分に至る領域を一対の対向するク
ラツド層間の電流阻止用分離領域として見ると、
この領域は、当該最大拡幅部分相互に挟まれた活
性層兼光共振器部位から離れる程に広がる空間領
域となるので、ここには後述の実施例中にて述べ
られているように、半絶縁性層を介在させたり、
第10図示の実施例に認められるように、周方向
にp−n−p−n−…なる接合が繰返される構造
体を組込むこともできる。
これらは同じく後述のように、当該分離領域に
おいて寄生pn接合の形成をさらに低減ないし抑
制する効果を持ち、しかも、従来例とは異な
り、活性層兼光共振器の活性層幅を低減すること
が、直ちにそれら半絶縁性層ないしは繰返しpn
構造の機能を損うことにはならない。
また、上記のように狭幅部分から徐々に拡幅し
て最大拡幅部分に至り、そこからは再び狭幅部分
に戻るような形状の各クラツド層は、その埋込形
式のための溝に対するパターニング加工で簡単に
得られることはもちろん、その深さ方向に見て
も、要すれば適当な既存のエツチング技術によ
り、容易に断面形状を所望の形、例えば逆メサ状
等にもできるから、平面的ないし空間的にそれら
両クラツド層間に挟まれる活性層に対し、最大拡
幅部分相互を介しての電流狭窄効果を起こし得る
のみならず、後述の第2図示実施例に認められる
通り、深さ方向にも、等価反射率の最も高い活性
層中の中央部分にレーザ利得を集中させることも
でき、それはまた、さらなる低閾値特性に寄与す
る。
集積化についても、本発明の構造はそれを簡単
化し得る基本構造を開示している。例えば、上記
のように狭幅部分と拡幅部分とを交互に繰返すパ
ターンでクラツド層対を形成すれば、同一基板上
に所要個数の垂直発振型レーザを任意に得ること
ができ、さらに、そうしたクラツド層対を複数
対、並設することもできる。
もちろん、本発明の構造では、一対のクラツド
層の間に挟み残された活性層兼光共振器の垂直方
向の周期性を乱す要因が積極的にはないから、こ
のこともまた、上記とあいまつて安定な発振波長
を得るに好都合である。
レーザ長についても、キヤリア拡散長等による
制限がないので、要すれば活性層兼光共振器に許
されている基板上垂直方向に膜厚の形成可能な限
度一杯まで、任意に取ることができる。
製造上も劈開工程が不要なため、歩留まりを良
好にでき、一括形成した複数個の中から各個別の
垂直発振型レーザを形成する場合にも簡単な溝切
り作業等で足りる。
〈実施例〉 第1図には本発明の垂直発振型レーザの一実施
例を得るために望ましい製造方法の一例の工程図
が示されている。
第1図中にあつては具体的な材料や寸法等も併
記されているが、これは後述するように実際的な
作成例について用いるもので、ここではまずこれ
らを考えず、本発明の要旨構成に即した基本的な
レーザ作成手順の説明から始める。
本発明においては、第1図Aに示されるよう
に、適当な基板10、特に望ましくは半絶縁性基
板10の大域的な面積部分(一般には全面とな
る)の上に、従来レーザ活性機能と該基板に対し
て垂直な方向の光共振機能とを有する活性層兼光
共振器の構成層となるべき半導体ヘテロ多層膜2
1を一括的に作つてしまう所から始める。
これには既存の適当なる成長方法を用いること
ができ、分子線エピタキシヤル法(MBE)、有機
金属系気相成長法(MOCVD)、液相成長法
(LPE)等を採用することができる。
もちろん、先に挙げた特開昭59−36988号公報
に開示のように、この半導体ヘテロ多層膜21
は、その厚さ方向の屈折率の変化の基本周期が、
得るべきレーザ光の管内波長の1/2となつており、
この1/2の屈折率基本周期は、1/4管内波長の整数
倍(1を含む)の厚味を持つ高屈折率媒質層と、
同じく1/4管内波長の整数倍の厚味を持つ低屈折
率媒質層とで構成するか、あるいは厚味方向の組
成等を1/2管内波長を周期として連続的に変化さ
せることにより得られている。
このように基板10の大域的な面積部分の上に
一括的に形成した半導体ヘテロ多層膜21に対
し、平面的な所定のパターニングを施し、適宜な
エツチング技術によつて、将来p型クラツド層を
埋め込み形成するための溝とn型クラツド層を埋
め込み形成するための溝を同時に、または当初、
一方のみを形成する。
図示の場合は上記後者の場合として、p型クラ
ツド層埋設用の溝22のみを形成しているが、当
該溝22の深さは、少なくとも基板10の表面を
露出させる迄に至らせる。
この溝22を形成したならば、当該溝22内
に、すでに第1図A中には示してあるが、分子線
エピタキシヤル法(MBE)、有機金属系気相成長
法(MOCVD)、液相成長法(LPE)等、適当な
成長技術を援用し、p型クラツド層12を埋設的
に形成する。
この実施例においてはp型クラツド層12は拡
幅部分と狭幅部分とが面内の一方向(便宜的にx
方向とし、これに直交する方向はy方向とした)
に交互に周期的に繰返された形状をしており、ま
た図中、このp型クラツド層12はy方向に適宜
な距離離間して平行に二つ、形成されている。
p型クラツド層12を埋設し終わつたならば、
次いで第1図Bに示すように、先のp型クラツド
層用と同様に適選したエツチング法により、所定
の平面パターンに従つてn型クラツド層埋設用の
溝23を基板10の表面を露出するべく形成す
る。
そうした後、この溝23内にn型クラツド層1
3を先と同様のMBE,MOCVD,LPE等の適選
した成長手法により埋設形成すると、本発明によ
る垂直発振型レーザの基本構造を得ることができ
る。
すなわち、n型クラツド層13も、この実施例
の場合はx方向に拡幅と狭幅の周期がp型クラツ
ド層12のそれと一致した周期の形状に形成され
ており、したがつて隣接するp型、n型の各クラ
ツド層12,13の拡幅部分の峰最大拡幅部分同
志の間にy方向に挟み残された半導体ヘテロ多層
膜21の部分11が活性層兼光共振器11を構成
するようになる。そこで、その幅Wは既述してき
た活性層幅Wとなり、半導体ヘテロ多層膜21の
厚味Lはこの活性層兼光共振器11の部分におい
てレーザ長Lとなる。
また図示の場合、途中で断面を取つた状態で示
してあるが、当該図中に表されているものに限つ
て言つても、活性層兼光共振器11の数はp型、
n型の各クラツド層12,13が二つあり、それ
ぞれの拡幅部分の峰の数が四つであることから、
全部で12個の活性層兼光共振器11…が一遍に形
成されたことになる。これは集積化が極めて容易
なことも表している。
なお図中、表面領域にあつては仮想線の円11
で囲つて示した部分が当該活性層兼光共振器11
ないし各個別の垂直発振型レーザに対応するが、
必要に応じては、隣接するレーザ素子の間に機械
的、物理的、化学的な任意の手法により基板10
に至る深さの溝を形成する等し、各個別のレーザ
素子を分離しても良い。もちろん、図示していな
いが、各クラツド層上の表面電極等は公知既存の
任意の手法により、適当なるものを備えさせるこ
とができる。
上記の形成手順はp型、n型の各クラツド層の
形成に関しては、若干、変更することができる。
n型クラツド層埋設用の溝23の方を先に形成
し、n型クラツド層13を先に形成してからp型
クラツド層埋設用溝22の形成、p型クラツド層
12の形成という逆の手順に変えても良いことは
もちろん、両クラツド層12,13の埋設用溝2
2,23を同時に形成し、その後に順番に各クラ
ツド層を形成するか、両クラツド層の出発基層と
なる膜は同時に形成し、その後、各導電型を定め
る拡散工程やイオン注入工程等を経ても良い。上
記した本発明の要旨構成は当然のことながら、こ
れらを全て含む包括的な記載となつている。
次に、上記の手順に従つて作成した具体的な本
発明垂直発振型レーザの作成例につき、説明す
る。
まず、半絶縁性基板10としてGaAs基板を選
び、その全面の上にAlとGaの組成比が0.3:0.7で
あるAlGaAs/GaAsヘテロ多層膜21を既述の
周期構造に従い、各AlGaAs層の膜厚を66nm、
各GaAs層の膜厚を64nmとし、それら各層の交
互の重畳回数を50回、したがつて全膜厚約6.5μm
に亘り次の条件下でMBEにより作成した。
〈工程 #1〉 基板温度 750℃; Ga Flux:1.1/104 Pa 成長時間 7hr; Al Flux:1.7/105 Pa As Flux:4/103 Pa このようにして形成した半導体ヘテロ多層膜2
1の全面上に、p型クラツド層埋設用の溝22を
形成するマスク材料として、及びp型クラツド層
形成用のマスク材料として、SiNxを次の条件に
より熱化学気相成長法(熱CVD)で作成した。
〈工程 #2〉 基板温度 720℃; 成膜時間 10min.; N2:2.51/min.; NH3:0.751/min.; SiH4(3%Arベース): 10cc/min.; 膜厚 50nm; このマスク材料SiNxに対し、第1図Aに示さ
れるように、拡幅部分と狭幅部分の連続から成る
所定の平面パターニングに即し、まずp型クラツ
ド層埋設用溝とすべき平面部分をのみ開口すべ
く、当該SiNx自体をエツチングした。そのため
のマスクには市販の商品番号AZ 1300−37を用
い、当該エツチングは下記条件下でのプラズマ・
エツチングとした。
〈工程 #3〉 エツチング・ガス:CF4; 0.5Torr; 50mW/cm2; 15min.; このようにして選択開口させたSiNxをマスク
とし、次の条件下のウエツト・エツチングによ
り、AlGaAs/GaAsヘテロ多層膜21をエツチ
ングしてp型クラツド層埋設用溝22を形成し
た。
〈工程 #4〉 硫酸:燐酸:過酸化水素水: 水=1:24:
8:16 室温5min.:深さ 約10μm; その後、上記形成された溝22内に上記SiNx
を成長マスクとしてそのまま用い、Al:Gaの組
成比が0.35:0.65であるAlGaAs/GaAsp型クラ
ツド層12をLPEにより、下記の条件に従い形
成した。
〈工程 #5〉 成長温度 750℃;降温率 0.3℃/min・ 成長時間 約10min.; しかるに、このようにして形成されたp型クラ
ツド層12の寸法は、拡幅部分が約200μm、狭
幅部分が約100μm、そして長手方向(x方向)
寸法が約10mmである。これら寸法に関して若干配
慮すべきことを述べれば、上記のようなLPEに
おいては、溝の深さに対しての狭幅部分の寸法に
注意しないと、Gaメルトがその表面張力により
基板10に接しない場合があるということであ
る。
上記具体例のように、溝の深さが10μm程度の
場合は、溝の狭幅部分の寸法は上記のような
100μm程度が下限寸法となつた。また、エツチ
ング・パターンが狭幅部分と拡幅部分の連続によ
り上述のように連結されているのも、Gaメルト
の表面張力の影響を最少限度に抑えるのに一役か
つている。この点は後述のn型クラツド層の形成
に関しても同様である。
上記のようにp型クラツド層12を形成した
後、次いで上述した工程#2から工程#5までの
作業を繰返し、ただし導電型をn型に規定するよ
うにしながら、所定の平面パターンに即して第1
図B図示のように、Al:Gaの組成比が0.35:0.65
であるAlGaAs/GaAsのn型クラツド層13を
形成した。
このとき、当該n型クラツド層13の拡幅部分
と狭幅部分の周期がp型クラツド層12のそれと
同一になるようにし、かつ、p型、n型の両クラ
ツド層12,13の拡幅部分相互の峰同志が1μ
mから3μm程度の間で選択した距離に近接する
ようにした。
したがつて、この峰同志の間の寸法Wにて規定
される領域のAlGaAs/GaAsヘテロ多層膜21
の部分11が本垂直発振型レーザの活性層兼光共
振器11として規定される領域となり、換言すれ
ば本作成例による垂直発振型レーザの場合、その
活性層幅Wは1μmから3μm程度の間の規定され
た寸法で、基板10に対して垂直な方向のレーザ
長は約8μmのものとなつた。
ただし、活性層幅Wは要すればさらに縮めるこ
ともでき、サブ・ミクロン・オーダにすることも
既存のエツチングないしパターニング技術で高精
度に可能である。
以上にようにして垂直発振型レーザの基本構造
が得られたならば、先に第12図に即して述べた
従来例において採用されているのと同様で良い公
知既存の適当なる技術を採用して、p型、n型の
それぞれのクラツド層に対し、一般にその上面上
にオーミツクな電極を施したり、必要に応じて先
に記したように、隣接するレーザ間に少なくとも
基板10に至る分離溝を切り込んだりして製品と
して完成すれば良い。また、特に二次元集積化を
必要とせず、個別の素子を得たい場合には、分離
溝を基板10をも切り通すように形成すれば良
い。
上記のようにして作成された本垂直発振型レー
ザの一つに関し、走査電子顕微鏡により断面構造
写真を撮つたものが第2図である。
図中、中央の明暗(ないし白黒)のストライプ
集合領域がMBE形成されたAlGaAs/GaAsヘテ
ロ多層膜による活性層兼光共振器11であり、白
いストライプはそれぞれAlGaAs薄膜に、黒いス
トライプはそれぞれGaAs薄膜に相当する。黒い
ストライプの中で、高さ方向中央よりやや上寄り
に、特に他よりは厚くなつているGaAs薄膜があ
るが、これは実際には上から20ペア目のもので、
先に挙げた特開昭59−36988号公報に開示のよう
に、この部分を起点として光路が管内波長の整数
倍となるようにするものである。
ストライプ領域の左右は、順番に二回のLPE
成長で形成されたn型、p型の各AlGaAs/
GaAsクラツド層であるが、特徴的なのは、中央
の多層膜領域と再成長されたこれらクラツド層と
の界面が非常に鮮明であることである。従来の
Zn拡散法により形成された垂直発振型レーザに
対して指摘されていた格子の歪も全く生じていな
い。
またこの実施例においては、第2図に明示され
ているように、中央の二倍厚のGaAs膜近傍の光
共振器の光学的な中心部において左右のクラツド
層が最も張り出してくるようになつていて、当該
活性層兼光共振器が鼓(つづみ)型になつている
が、これは等価的な反射率が最も高い活性層部分
にレーザ利得を集中させ、閾値電流をさらに低下
させ得るように機能する。
このような断面形状は、先に工程#4で挙げた
ウエツト・エツチング工程において、100方位の
基板10で〈110〉の逆メサ方位を選ぶことによ
り得ることができる。
しかし逆に、垂直な界面を得たい場合には、例
えば硫酸:燐酸:過酸化水素水:水=2:5:
5:40等の容積比に選べば良く、その他、容積比
を適宜に選択することにより、ある程度以上の設
計自由度で溝側面の断面形状を設計することがで
きる。
第3図は同様に上記工程によつて作成した垂直
発振型レーザの一つの表面の光学顕微鏡写真を示
している。図中、上方がp型クラツド層12及び
その上に形成されたAu/Cr/AuBep型電極であ
り、下方がn型クラツド層13及びその上に形成
されたAu/Ni/AuGen型電極である。これらの
間に挟まれた部分がアンドープAlGaAs/GaAs
ヘテロ多層膜21であり、特に最も狭幅となつて
いる部分が実効的に活性層兼光共振器11として
規定される。
本第3図では、先に説明したように、上記基本
的な実施例の工程によつた場合、隣接するレーザ
素子のクラツド層相互は連結した状態で得られる
ので、図中、左右に黒く幅を持つた線で示されて
いるように、ダイアモンド・ダイシング・ソーに
よつて約20μmの深さに亘り分離溝を形成し、隣
接レーザ素子を分離、独立させた状態が示されて
いる。
第4図には第2図及び第3図に示される本発明
によつて作成された垂直発振型レーザの駆動電流
対電圧特性が示されている。
同図Aは順方向、同図Bは零交差付近から逆方
向にかけての特性であるが、まず同図Aから読み
取れるように、順方向立ち上がり電圧は約1.4V
であり、10mA通電時における微分抵抗は約50Ω
である。また同図Bからして逆方向耐圧は約27V
となつており、ハート・ブレークダウン特性を示
している。
以上のような特性値及び特性傾向は、本発明の
ように横方向に作成したDH構造が正常な電気的
特性を有し、再成長界面においても結晶欠陥がほ
とんど問題にならないものであることを教えてい
る。
第5図は同様に上記作成した垂直発振型レーザ
のパルス電流駆動時における発光特性であつて、
光共振器の中心波長860nmに対応して半値幅
2.6nmの発光ピークが観察されている。駆動電流
を30mAから増加させるに従つてスーパ・リニア
に光出力が増加しており、誘導放出による所期の
レーザ動作が行なわれていることを示唆してい
る。
第6図は本発明方法により作成した、ただし上
記と異なり光共振器中心波長を875nmに設定した
垂直発振型レーザの発光スペクトラムを示してい
るが、このように、室温におけるGaAsのバンド
端発光と光共振器の中心波長とが一致している場
合には、室温において鋭いピークが生ずる。
第7図は本発明により作成される垂直発振型レ
ーザの光共振器中心波長をさらに845nm付近に設
定した場合の発光特性を示しており、素子温度−
10℃においては発光に明瞭なピークが現れていな
いのに対し、−40℃からさらに−70℃と素子温度
を下げていくに連れ、鋭いピークが現れてくる。
これはヘテロ多層膜の反射膜による波長選択特性
に依存するものではないと考えられる。そうであ
るならば、例え−10℃程度の温度領域においても
すでにその傾向は現れてしかるべきだからであ
る。
したがつてこの第7図に示される特性傾向も、
GaAsの発光バンドと光共振器の中心波長とが一
致した結果生起した誘導放出現象によるものと見
て至当である。
しかるに、既述の第5図ないし第7図による特
性例を見てみると、本発明の製造方法によつて実
際に作成された垂直発振型レーザにおいては、そ
の発振スペクトラム幅が2〜3nmと、既存のシン
グル・モード・レーザに比すと約1桁、大きくな
つている。この半値幅はレーザへの注入電流や光
共振器の中心波長、あるいはまたそれに対応する
動作温度等には余り影響を受けないことからし
て、上記のようにスペクトラム幅が広がつてしま
つているのは、レーザ動作している素子部分に隣
接して寄生の発光ダイオード・モード領域が生じ
たためと思われる。
第3図に示した平面視野と同一の視野で発光パ
ターンを見た光学顕微鏡写真である第8図による
と、本発明で予定した通りにp型及びn型クラツ
ド層によつてダブル・ヘテロ型のキヤリア閉じ込
め機能が働く中央の予定発光領域(20μm×2μ
m)のみならず、クラツド層の側面、特に図中、
上方のp型クラツド層の側面に沿つて大きく発光
領域が拡大していることが分かる。
こうした現象のある一方で、電子線励起電流像
による解析を行なつた所、半絶縁性基板がクラツ
ド層に関するLPE成長中にp型に変成しており、
n型クラツド層との間で寄生pn接合を形成して
いることが判明した。
したがつてこのようなキヤリアの空間的な漏れ
を減少させるためには、活性層を囲む領域を全て
バンド・ギヤツプの大きなAlGaAs層にし、かつ
この領域を半絶縁性とするか、または電流通路に
沿つてpn接合の逆バイアス状態による拡散バリ
アを形成する等図れば良い。
また、基板に対する漏れ電流を阻止するために
は、第9図に示すように、p型及びn型クラツド
層の下にそれぞれ逆の導電型、つまりp型ならn
型、n型からp型(第9図は後者で代表して示し
てある)のAlGaAs層を基板との間に形成して置
くことが有効である。これは、各クラツド層の下
にそれぞれ逆の導電型の電流阻止層を設けて置く
と、基板経由の漏れ電流はいづれかの電流阻止層
が逆バイアスとなることにより阻止されるという
理由による。
さらに空間的に発光領域を限定するためには、
AlGaAs/GaAsヘテロ多層膜にあつて両クラツ
ド層の対向拡幅部分にて狭窄されていない部分を
除去した後、MOCVD等でその除去部分中に半
絶縁性AlGaAsを埋め込み形成するか、第10図
に示されるように、中央の活性層兼光共振器11
ないし実効的な発光領域とすべき領域を取囲んで
周方向に連続して順にp−n−p−n−…なるエ
ンドレスpn接合構造ができるように、p型
AlGaAsクラツド層12に隣接してn型AlGaAs
の電流阻止層13′,13′を、n型AlGaAsクラ
ツド層13に隣接してはp型電流阻止層12′,
12′を各形成するように図ると良い。
また、先にも述べたが、第8図においてはp型
クラツド層に沿つて発光領域が広がつていること
から、電子の拡散及びp型クラツド層への電子の
注入が起こつていることが分かるので、活性層兼
光共振器11自体をp型にドープすることも、電
子の活性層内への閉じ込めを強化する意味からは
有効な手段となる。
発光スペクトラムの半値幅を狭くし、寄生発光
ダイオード領域を縮小させるためには光共振器の
最適化が望ましいが、それには第11図Aに示さ
れるような上記作成例に見られるDFB(分布帰
還)型に代えて、第11図Bに示されるように
DBR(分布ブラツグ反射)型の原理を採用すると
良い。
より詳しく言うと、上記作成例は第11図Aに
示されるようにDFB原理に即したもので、半導
体ヘテロ多層膜全体がキヤリア注入領域として寄
与する利点はあるが、同図に示すように光共振器
の中心部以外は表面及び基板に向かつて急速に光
電界強度が弱くなる欠点を有するため、中心部以
外は誘導放出、すなわちレーザ発振が起こり難い
欠点がある。
実際にも上記において試作した活性層兼光共振
器11の反射率は95%以上はあるが、多層膜の周
辺部ではレーザ光が中心部に比して5%にしか達
していない。
そこでレーザ光のスペクトラム純度を高めるた
めには、第11図Bに示されるようにDBR原理
を採用し、光共振器の中心部のGaAs層の厚味を
増大し、当該中心部にのみ、キヤリアを注入する
ように図ることが有効である。この場合、光共振
器の内部の光電界は、同図に併示のようにキヤリ
ア注入領域の全域に亘つて最大値が保証されるも
のとなる。
このようなDBR原理を採用すると、必要なエ
ピタキシヤル層が厚くなる欠点はあるが、上記の
ように光共振器の中心部分にのみ、キヤリアを集
中させることができるため、より一層の低閾値化
をも達成することができるようになる。
もつとも、実際にはキヤリアの注入分布を厳密
に第11図Bに示されるようにする必要はなく、
活性層兼光共振器11の中央部分のGaAs層の厚
さを例えば1μmから3μm程度に設定し、かつそ
れをp型にする一方で、その上下の多層膜部分は
アンドープにする等によつて、当該中央部分にの
み電流を集中させる程度で十分である。
なお、上記作成例においては、クラツド層埋設
用溝形成のためにウエツト・エツチングを使用し
たが、これに限定されることはなく、他の手法、
例えば反応性イオン・エツチングとか反応性イオ
ン・ビーム・エツチング等を採用しても良好なク
ラツド層対活性層界面を得ることができるし、マ
スクもSiNxに限らず、SiO2はもとよりAlGaAs
の自然酸化膜を利用することもできる。
さらに、上記実施例においては現在、最も妥当
と思われるAlGaAs/GaAsヘテロ多層膜に関し
てのみの作成例を挙げたが、本発明の製造方法は
連続ヘテロ・エピタキシイが可能で格子整合を取
ることができる系であれば、他の系のヘテロ多層
膜であつても適用することができる。例えば−
族化合物半導体系ではGaAs基板上の亜鉛カル
コゲナイド系、−族系ではGaInAsP系、
GaAllnp系、GaAlSb系、等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の垂直発振型レーザを作成する
ための望ましい製造工程中における主要な工程の
説明図、第2図は本発明に従う垂直発振型レーザ
として実際に作成された垂直発振型レーザの主要
部分断面の走査電子顕微鏡写真、第3図は同じく
本発明により実際に作成された垂直発振型レーザ
の表面構造を示す光学顕微鏡写真、第4図は第2
図及び第3図に示される垂直発振型レーザの駆動
電流対電圧特性を取つたオシロスコープ写真、第
5図、第6図、第7図はそれぞれ本発明により作
成された垂直発振型レーザの発光スペクトラム例
を示す特性図、第8図は第3図と同じ平面視野に
おける実際の発光パターン例を撮影した光学顕微
鏡写真、第9図は基板とクラツド層との間に電流
阻止層を挿入した場合の当該主要部断面の走査電
子顕微鏡写真、第10図は平面的な電流阻止層を
設ける場合の概略構成図、第11図は本発明によ
り作成される垂直発振型レーザの活性層兼光共振
器を分布帰還型とした場合と分布ブラツグ反射型
とした場合の相違の説明図、第12図は従来にお
ける垂直発振型レーザの構造説明図、である。 図中、10は基板、11は活性層兼光共振器、
12はp型クラツド層、12′はp型電流阻止層、
13はn型クラツド層、13′はn型電流阻止層、
21は基板の大域的な面積領域上に一括的に形成
された半導体ヘテロ多層膜、22はp型クラツド
層埋設用の溝、23はn型クラツド層埋設用の
溝、である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 基板の大域的な面積部分上に形成された半導
    体ヘテロ多層膜に対し、それぞれ埋込形成された
    一対のp型クラツド層とn型クラツド層とを有
    し; 該p型クラツド層及びn型クラツド層の各々の
    平面形状は、上記半導体ヘテロ多層膜の面内一方
    向に沿つて見た場合、それぞれ狭幅部分から該面
    内一方向に直交する方向に徐々に拡幅し、最大拡
    幅部分に至つた後は再び狭幅部分に戻る形状とな
    つており; 該p型クラツド層とn型クラツド層のそれぞれ
    の上記最大拡幅部分同志が互いに近接して対向す
    ることにより、該最大拡幅部分同志の間に挟まれ
    た上記半導体ヘテロ多層膜部分が、レーザ活性機
    能と垂直方向の光共振機能とを併せ有する活性層
    兼光共振器となつていること; を特徴とする垂直発振型レーザ。
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