JPH025522B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、円筒研削盤や旋盤又はその他の工作
機において、主軸台のケレー棒の回転を、主軸台
のセンターに係合した工作物に伝達する自動ケレ
ー装置に関する。

＜従来の技術とその問題点＞ ケレーは、工作物に挿嵌する円環体の周壁に、
工作物に当接するボルトを螺貫し、円環体の外周
に、主軸台のケレー棒に係合する二又部を突設し
ている。

ところが、ケレーは、工作物への取付に当業者
の手作業を要し、多くの手間が掛かる。

そこで、その手間を省き、自動化を図るため、
自動ワークドライバーといわれる装置が発明され
た。

この自動ワークドライバー装置は、実公昭53−
16710号公報に開示されているように、主軸台か
ら突出するセンターの前部に円筒体を回転可能に
嵌装し、円筒体の後端に、主軸台のケレー棒に当
接するレバーを取り付け、円筒体の前端に、セン
ターの尖端に係合した工作物を遠心力によつて把
持する爪を装置している。

ところが、この自動ワークドライバー装置を用
いて工作物を回転させると、工作物は、センター
の尖端を基準にして回転しようとすると共に、円
筒体の回転中心を基準にして回転しようとするの
で、センターの尖端のみを基準にして回転する上
記のケレーを用いた場合とは異なり、工作物の回
転精度が悪い。従つて、工作精度が高くない。

そこで、本発明者は、特開昭60−56807号公報
に開示されているように、工作物をセンターの尖
端のみを基準にして回転させるため、センターの
尖端に係合した工作物を把持する爪を備えたケレ
ー盤を、ケレー盤の爪を開閉するセンター前部の
操作機構から、工作物を把持する時に分離する自
動ケレー装置を発明した。

この自動ケレー装置においては、ケレー盤は、
爪を油圧シリンダ機構を介して又は直接に押圧し
て閉鎖するばねを設け、このばねに抗して爪を開
放する油圧シリンダ機構を設け、この油圧シリン
ダ機構を作動する油圧プランジヤ機構を設け、こ
の油圧プランジヤ機構のプランジヤを操作機構の
ピストンで操作する構成にしている。

ところが、自動ケレー装置は、円筒研削盤や旋
盤等の主軸台の前側に装着され、ケレー盤の回り
には研削用又は切削用の冷却水や砥粒又は切粉が
飛散する雰囲気で使用される。

従つて、ケレー盤の油圧シリンダ機構や油圧プ
ランジヤ機構は、摺動面やオイルシールが冷却水
によつて腐食し、また、砥粒や切粉によつて損傷
し、油漏れを生ずるようになる。

即ち、従来の自動ケレー装置は、使用期間が長
くなると、ケレー盤が油漏れを生じて円滑に作動
しなくなる。

また、従来の自動ケレー装置は、ケレー盤に油
圧シリンダ機構や油圧プランジヤ機構を装置して
いるので、ケレー盤が複雑な構造になり、製作に
多くの手間が掛かる。

本発明の目的は、上記のような従来の問題点を
解決することである。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は、従来の自動ケレー装置において、ケ
レー盤の爪を開閉する装置に、油圧式に代えて、
梃子式を採用したものである。

即ち、工作機の主軸台に嵌装するセンターの前
側位置に、センターの尖端に係合した工作物を把
持する爪を備えたケレー盤を、主軸台のケレー棒
によつて回転可能に設け、 ケレー盤に、爪を閉鎖するばねとこのばねに抗
して爪を開放する梃子を設け、 センターの前部に、一方向に移動してケレー盤
を支持する環状のピストンと他方向に移動してケ
レー盤の梃子を操作する環状のピストンを、原位
置に復元可能に嵌装した操作機構を設け、 操作機構の両ピストンがそれぞれ一方向、他方
向に移動すると、ケレー盤が操作機構に支持され
てケレー盤の爪が開放し、両ピストンが原位置に
復元すると、ケレー盤の爪が閉鎖して工作物を把
持し、ケレー盤が工作物に固定されて操作機構か
ら分離する構成にしたことを特徴とする工作機用
自動ケレー装置である。

＜発明の効果＞ 本発明の工作機用自動ケレー装置においては、
ケレー盤は、爪を開閉する装置に梃子式を採用し
ているので、油圧式を採用した従来品とは異な
り、使用期間が長くなつても油漏れを生ずること
がなく、長期間に渡つて円滑に作動する。

また、ケレー盤は、油圧シリンダ機構や油圧プ
ランジヤ機構を要しないので、油圧式の従来品に
比較して、構造が簡単になり、製作に多くの手間
が掛からない。

＜実施例＞ 本例の工作機用自動ケレー装置は、工作機の主
軸台に嵌装するセンター３２の前側位置に、第１
図に示すように、センターの尖端３７に係合した
工作物Ｗを把持する爪６を備えたケレー盤１を、
第２図と第３図に示すように、主軸台のケレー棒
Ｒによつて回転可能に設けている。

ケレー盤１には、第２図に示すように、爪６を
閉鎖するばね１２を設け、第１図と第３図に示す
ように、ばね１２に抗して爪６を開放する梃子１
５を設けている。

センター３２の前部には、第１図に示すよう
に、後方に移動してケレー盤１を牽引して支持す
る環状のピストン３８と、前方に移動してケレー
盤の梃子１５を押動して操作する環状のピストン
３９を、原位置に復元可能に嵌装した操作機構３
１を設けている。

操作機構の両ピストン３８，３９がそれぞれ後
方、前方に移動すると、第１図と第３図に示すよ
うに、ケレー盤１が両ピストン３８，３９に支持
されて、第１図と第２図に示すように、ケレー盤
の爪６が開放し、また、両ピストン３８，３９が
原位置に復元すると、ケレー盤の爪６が閉鎖して
工作物Ｗを把持し、ケレー盤１が工作物Ｗに固定
されて操作機構の両ピストン３８，３９から分離
する構成にしている。

ケレー盤１は、第２図に示すように、２枚の厚
板を上下にボルト結合した円盤状の基盤２の中心
部に、センターの尖端３７が挿入する長方形状の
爪孔３を貫設している。

爪孔３の上端面と下端面には、第２図と第３図
に示すように、それぞれ、案内孔４を中央位置に
穿設し、また、ばね孔５を左右の両側位置に穿設
している。

上下の両案内孔４には、第２図に示すように、
それぞれ、爪６の案内軸７を摺嵌し、上下の両案
内軸７の先端にそれぞればね受部８をＴの字形状
に連設し、上下の両ばね受部８を爪孔３の上部と
下部に配置し、上下の両案内軸７の先端前側に、
それぞれ、工作物Ｗに当接するＶブロツク状の爪
片９を、センターの尖端３７を挟んで向い合つた
位置に配置している。

なお、爪６は、案内軸７とばね受部８及び爪片
９によつて構成している。

上下に同軸芯に向い合つた左側の両ばね孔５の
軸芯位置と、上下に同軸芯に向い合つた右側の両
ばね孔５の軸芯位置には、第２図に示すように、
それぞれ、爪孔３を縦断する細径の案内軸１０を
配置し、左右の両案内軸１０を、それぞれ、上下
に同軸芯に向い合つた両ばね孔５の底部の間に掛
け渡して固定している。

左右の平行する両案内軸１０には、第２図に示
すように、それぞれ、上側と下側の爪６の左右の
両ばね受部８に貫設した案内孔１１を摺嵌して、
上側と下側の爪６を、それぞれ、センターの尖端
３７を挟んで上下動可能に装置している。

上下左右の各ばね孔５には、第２図と第３図に
示すように、それぞれ、螺旋ばね１２を挿入し、
各案内軸１０に挿嵌した各螺旋ばね１２を、それ
ぞれ、各爪の各ばね受部８と各ばね孔５の底部の
間に嵌め込み、４個の螺旋ばね１２によつて上下
の爪６を閉鎖して工作物Ｗを把持する構成にして
いる。

上下の両爪の案内軸７には、第１図と第２図及
び第３図に示すように、それぞれ、縦長長方形断
面状の係合孔１３を前後方向に貫設し、基盤２の
後面と上下の各案内孔４の周面の間に、それぞ
れ、爪の係合孔１３に連通する縦長長方形断面状
の挿通孔１４を貫設している。

基盤２後面の各挿通孔１４貫設位置には、第１
図と第３図に示すように、それぞれ、くの字形状
の梃子１５を、基盤２の後面に左右方向に取り付
けた枢軸１６によつて枢支し、上下の両梃子１５
の前部をそれぞれ基盤の挿通孔１４に摺貫して爪
の係合孔１３に摺嵌し、上下の両梃子１５の後端
をそれぞれ基盤２の後方に突出している。

上下の両爪の係合孔１３の内側端面には、第１
図に示すように、それぞれ、弾丸状の押圧子１７
を摺動可能に埋め込み、両押圧子１７内にそれぞ
れ螺旋ばね１８を挿入して、螺旋ばね１８によつ
て係合孔１３の外側端面側に弾圧される各押圧子
１７をそれぞれ梃子１５の前部の内側面に当接
し、両梃子１５の前部の外端をそれぞれ爪の係合
孔１３の外側端面に当接している。

上下の両梃子１５の後端を前方に押圧すると、
両梃子１５の回動によつて上下の両爪６がそれぞ
れ爪閉鎖用の螺旋ばね１２に抗して上方又は下方
に移動して、常時閉鎖型の爪６が開放する構成に
している。

基盤２の後面の周辺部には、第１図と第３図に
示すように、円環状の支持環１９を同芯状にボル
ト結合し、支持環１９の内周に段部２０を周設し
ている。

なお、基盤２の外周面には、第２図と第３図に
示すように、ケレー棒Ｒが係合する二又状の回転
駆動部２１を突設している。

操作機構３１は、第１図に示すように、センタ
ー３２の前部を、鐶部３３、大径部３４、中径部
３５、小径の螺歯部３６と円錐状の尖端３７を順
次連設して構成している。

センターの大径部３４には、第１図に示すよう
に、円環状の大径のピストン３８を摺嵌し、セン
ターの中径部３５に円環状の中径のピストン３９
を摺嵌し、センターの螺歯部３６に円環状の小径
の停止環４０を嵌着している。

大径の後側のピストン３８の前側凹部内には、
第１図に示すように、中径の前側のピストン３９
を摺嵌し、センター３２に沿つて前後動する両ピ
ストン３８，３９の間に円環状の圧力室４１を形
成している。

前側のピストン３９が前進すると、第１図に示
すように、そのピストン３９の前面がケレー盤１
の後側に突出した上下の両梃子１５の後端に当接
し、ピストン３９が両梃子１５の後端を前方に押
圧して、ケレー盤の爪６を開放する構成にしてい
る。

後側のピストン３８の外周前端には、第１図と
第３図に示すように、ケレー盤の支持環１９の内
側に位置する操作部４２を周設し、後側のピスト
ン３８が後退すると、第１図に示すように、その
ピストンの操作部４２がケレー盤の支持環の段部
２０に当接して、ピストン３８がケレー盤１を後
方に牽引して支持する構成にしている。

後側のピストン３８とセンターの鐶部３３の間
には、第１図に示すように、後側のピストン３８
を前進させて原位置に復元する螺旋ばね４３を嵌
め込み、また、前側のピストン３９と停止環４０
の間に、前側のピストン３９を後退させて原位置
に復元する螺旋ばね４４を嵌め込み、両ピストン
間の圧力室４１に、センター３２の軸芯位置に穿
設した圧力通路４５を連通している。

センターの圧力通路４５に油を圧送すると、そ
の圧油が圧力室４１に流入し、第１図に示すよう
に、後側のピストン３８がその螺旋ばね４３に抗
して後退し、そのピストンの操作部４２がケレー
盤の支持環の段部２０に当接し、一方、前側のピ
ストン３９がその螺旋ばね４４に抗して前進し、
そのピストン３９の前面がケレー盤の両梃子１５
の後端に当接し、後側のピストン３８がケレー盤
１を後方に牽引すると共に、前側のピストン３９
がケレー盤の両梃子１５の後端を前方に押圧し、
第１図乃至第３図に示すように、ケレー盤１が操
作機構の両ピストン３８，３９に支持されると共
に、ケレー盤の爪６がその螺旋ばね１２に抗して
開放する構成にしている。

また、センターの圧力通路４５を開放すると、
圧力室４１の圧油が流出し、後側のピストン３８
がその螺旋ばね４３によつて前進して原位置に復
元し、そのピストンの操作部４２がケレー盤の支
持環の段部２０から離隔し、一方、前側のピスト
ン３９がその螺旋ばね４４によつて後退して原位
置に復元し、そのピストン３９の前面がケレー盤
の両梃子１５の後端から離隔し、ケレー盤の爪６
がその螺旋ばね１２によつて閉鎖して、センター
の尖端３７に係合した工作物Ｗを把持し、ケレー
盤１が爪６による工作物Ｗの把持によつて工作物
Ｗに固定されると共に、操作機構３１から分離す
る構成にしている。

本例の工作機用自動ケレー装置を使用する場合
は、図示しない円筒研削盤又は旋盤若しくはその
他の工作機の主軸台のセンター孔にセンター３２
の後部を嵌装し、主軸台の回転輪に突設したケレ
ー棒Ｒをケレー盤の回転駆動部２１に係合し、セ
ンターの圧力通路４５を、図示しない油圧源に接
続し、圧力通路４５に油を圧送する。すると、ケ
レー盤１が操作機構３１に支持されると共に、ケ
レー盤の爪６が開放する。

その後、主軸台のセンターの尖端３７と図示し
ない心押台のセンターの尖端の間に工作物Ｗを挟
持し、センターの圧力通路４５を開放する。する
と、ケレー盤の爪６が閉鎖して工作物Ｗの端部を
把持し、ケレー盤１が工作物Ｗの端部に固定され
て操作機構３１から分離する。

ケレー盤１が操作機構３１から分離した後、主
軸台の回転輪を回転してケレー棒Ｒを回動し、一
体化したケレー盤１と工作物Ｗを回転する。

すると、工作物Ｗは、これに固定されたケレー
盤１が操作機構３１から分離しているので、操作
機構３１を基準にせずに、センターの尖端３７の
みを基準にして回転する。

従つて、工作物Ｗの回転精度が高いので、工作
精度が高い。

本例の工作機用自動ケレー装置においては、ケ
レー盤１は、爪６を開閉する装置に構造の簡単な
梃子１５を用いているので、故障が少なく、長期
間に渡つて円滑に作動する。

また、ケレー盤１は、油圧シリンダ機構や油圧
プランジヤ機構を設けていないので、構造が簡単
になり、製作に多くの手間が掛からない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施例の工作機用自動ケレ
ー装置の爪開放状態を示す縦断側面図である。第
２図は、同装置の同状態を示す一部縦断正面図で
ある。第３図は、同装置の同状態を示す一部破断
平面図である。 １：ケレー盤、６：爪、１２：螺旋ばね、１
５：梃子、３１：操作機構、３２：センター、３
７：尖端、３８：支持用ピストン、３９：操作用
ピストン、Ｗ：工作物、Ｒ：ケレー棒。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 工作機の主軸台に嵌装するセンターの前側位
   置に、センターの尖端に係合した工作物を把持す
   る爪を備えたケレー盤を、主軸台のケレー棒によ
   つて回転可能に設け、 ケレー盤に、爪を閉鎖するばねとこのばねに抗
   して爪を開放する梃子を設け、 センターの前部に、一方向に移動してケレー盤
   を支持する環状のピストンと他方向に移動してケ
   レー盤の梃子を操作する環状のピストンを、原位
   置に復元可能に嵌装した操作機構を設け、 操作機構の両ピストンがそれぞれ一方向、他方
   向に移動すると、ケレー盤が操作機構に支持され
   てケレー盤の爪が開放し、両ピストンが原位置に
   復元すると、ケレー盤の爪が閉鎖して工作物を把
   持し、ケレー盤が工作物に固定されて操作機構か
   ら分離する構成にしたことを特徴とする工作機用
   自動ケレー装置。