JP6329359B2 - チャック装置 - Google Patents
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Description
楔式を採用したチャック装置の場合、シリンダからプランジャに伝わった回転軸の軸線方向の推力をチャック本体の半径方向の移動へと変換する際に、回転軸に対して楔角度が緩やかになるほど伝達する力が大きくなる。しかし、プランジャが回転軸の軸線方向に移動する一定ストローク量に対して、楔角度が緩やかになるほど、トップジョウがチャック本体の半径方向に移動するストローク量は少なくなる。そこで、チャック本体の半径方向に大きな推力を伝達し、尚且つ、チャック本体の半径方向に移動するストローク量を増やすためには、プランジャの回転軸の軸線方向に移動するストローク量を増やす必要がある。つまり、チャック本体の胴厚を厚くしなければならなかった。
一方、レバー式を採用したチャック装置の場合、下記特許文献1や特許文献2に開示されるチャック装置が知られている。レバー式の場合、レバーの回動軸中心(支点)からレバーの両腕の長さの比率によって、チャック本体の半径方向の推力と移動するストローク量を変えることができる。すなわち、シリンダからプランジャに伝わった回転軸の軸線方向の推力と移動するストローク量を、回転軸の半径方向の推力と移動するストローク量に効率よく伝達できる。
一般にユーザーによっては、トップジョウのストローク量が大きい(ロングストローク)チャック装置を要求されたり、胴厚の薄いチャック装置を要求されたり、様々である。
レバー式のチャック装置を採用することで、レバーの両腕の長さの比率を適宜変更することで、トップジョウのストローク量を大きくしたり、チャック本体の胴厚を薄くしたりできるようになる。さらに胴厚を薄くすることで、より旋盤の主軸に近い位置での加工も可能となる。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、レバーのガタつきをおさえ、安定した再現精度を得ることができるチャック装置を提供することを目的とする。
具体的には、第一の発明は、チャック本体と、このチャック本体内で回転軸方向へ移動可能なプランジャと、チャック本体のワーク装着側面上に、チャック本体の回転軸の軸線を中心として周方向に等角度間隔で設けられ、かつチャック本体の半径方向に嵌合摺動する複数のマスタージョウと、このマスタージョウの前端部へ設けられワークを把持する複数のトップジョウと、チャック本体に設けられたレバー室内において、チャック本体内においてプランジャと各マスタージョウとの間に設けられ、かつプランジャの回転軸の軸線方向の移動を、マスタージョウのチャック本体の半径方向の移動に変換する複数のレバーと、を備えたチャック装置において、付勢手段の復元力を用いて一方側からレバーをレバー室内のチャック本体内側面に対して直接押し当てるレバー押し当て機構がレバー各々に設けられ、レバーを押し当てることで夫々のマスタージョウのチャック本体の半径方向の移動距離が一定となるチャック装置である。
上記構成によれば、レバーのガタつきをおさえるレバー押し当て機構を配置したことにより、レバーのレバーピンの軸方向への移動をおさえることで、レバーがマスタージョウに同じ位置で当接することが可能となり、マスタージョウに固定されたトップジョウの移動距離は、繰り返し動作しても等しくすることができる。
第二の発明は、レバー押し当て機構が、チャック本体外周から前記レバー室まで貫通された貫通穴にレバーを押圧するピンと、該ピンにバネ力を伝達するバネと、該バネのバネ力を発生させるようにバネを押圧する止めねじと、が順に挿入されて構成されているチャック装置。
上記構成によれば、チャック本体外周に設けられた貫通穴にレバーがガタつかないように一端側で押圧するピンが挿入されている。ピンの他端側にはバネが挿入されており、バネは止めねじでバネ力を発生させている。これによりレバーは回転中や停止中の重力によってレバーピンの軸方向に移動しないようにチャック本体に押し当てられている。しかしながらレバーはレバーピンを支点に回動するため、回動可能な押し当て力をバネの弾性力で調整している。また、長期間の使用によりピンが磨耗しても、バネの復元力によりピンはレバーを押圧することができる。
すなわち、ワークを把握するための安定した再現精度を得ることができる。
旋盤等の工作機械に取付けられるチャック装置は、ワークを把握するトップジョウのストローク量を大きくしたい場合などは、レバーを用いたチャック装置が採用されている。
図1は、(a)に従来のレバーが右側に位置しマスタージョウの嵌合溝に嵌まり込んでいる状態を示し、(b)に(a)のレバーが左側に位置する状態を示し、(c)に(a)図の時のトップジョウとワークの位置関係を示し、(d)に(b)図の時のトップジョウとワークの位置関係を示している。尚、図1は、デフォルメしてあり、レバーピンの傾きやレバーとチャック本体との隙間などは実際より誇張されている。
また、レバー203を回動自在に動かすためには、レバー203とチャック本体201との間は、レバーの回動に負荷がかからないように、予め一定の隙間を有した構造となっている。
すなわち、構造上、必要な隙間を有してあるが故にチャック装置の停止時における重力の影響や、回転時における遠心力や慣性力の影響などにより、レバー203は図1(a)、図1(b)で示すようにレバーピン213の軸に対して左右方向へと移動自在となり、位置が定まらないのである。
また、図1(c)、図1(d)で示すように、図1(a)のレバー203が右方向に位置している場合、トップジョウ205の位置とワークWとの隙間はXとなる。一方、図1(b)のレバー203が左方向に位置している場合、トップジョウ205の位置とワークWとの隙間はX+Yとなる。
また、チャック装置にはトップジョウ205は複数個取り付けられており、夫々のトップジョウの位置が変動している。
つまり、夫々のトップジョウの再現精度が不安定であり、結果、夫々のトップジョウがワークを把握する際のセンタリング把握にも影響を及ぼしている。
以上の検討から、一方側から付勢手段を用いて押し当てることで、ワークWを把握するための安定した再現精度を得ることが可能となる。
図2は、本発明のチャック装置の一部切り欠き正面図、図3は、図2のA−A線断面図、図4は、図3とは異なる状態を示す図3に相当する図をそれぞれ示している。
把握するワークは、図2〜図4に一点鎖線で示すように、ワーク全体を符号Wで示す。
また、チャック本体101内には、前記レバー103を押し当てるレバー押し当て機構120がレバー103各々に設けられ、レバー103を押し当てることで夫々のマスタージョウ104のチャック本体101の半径方向の移動距離が一定となっている。
また、この三つのトップジョウで構成されたチャック装置100は、前側からみて三等分した位置ごとに上記の構成が配置されているが、この構成は全く同一のため、その内の一箇所のみについて説明する。
ここで、便宜上、旋盤側を「後側」、旋盤と反対側を「前側」と定義し、例えば、マスタージョウの前側の端面を「前端面」、マスタージョウの後側の端面を「後端面」という。
レバー103は略L字形状の金属板で形成されており、一方がプランジャ102と係合するレバー受動部103aと、他方がマスタージョウ104と係合するレバー能動部103bと、レバー103の支点となる貫通孔103cとで構成されている。また、レバー103は、貫通孔103cとレバー受動部103aとの距離sと貫通孔103cとレバー能動部103bとの距離dとの比率で力の伝達は変わりユーザー要求により適宜変更可能である。レバー103の一端であるレバー受動部103aはプランジャ102の外周に設けられた嵌合穴102aに嵌合している。一方、レバー103の他端であるレバー能動部103bは、チャック本体101の前側の径方向に設けられたアリ溝に嵌合摺動するマスタージョウ104に設けられた嵌合溝104aに嵌合しており、このマスタージョウ104にはワークを把握するトップジョウ105がボルト108で固着されている。
チャック本体101の外周には、レバーピン113を挿入するレバーピン挿入口Eが設けられており、チャック本体101内には、マスタージョウ104の半径方向に移動する軸に対して略垂直な方向にレバーピン挿入口Eからレバー室107まで貫通された貫通穴101aが設けられている。
また、貫通穴101aとレバー室107の対向する面には、貫通穴101aと同軸上にピン孔101bが穿設されている。
レバーピン113は、円柱状に形成されており、レバーピン挿入口Eから挿入され、貫通穴101aを通り、レバー室107内に達している。さらに、レバーピン113は、レバー室107内に収容されたレバー103の略L字形状面側に設けられた貫通孔103cを通り、穴部101bまで達した状態で固定されている。
つまり、チャック本体101内には、レバーピン113に軸支されるレバー103が回動自在に配設されている。
また、チャック本体101の外周には、マスタージョウ103の半径方向に移動する軸に対してレバーピン挿入口Eと対向側に押し当て機構挿入口Iが設けられており、チャック本体101内には、この押し当て機構挿入口Iからレバー室107まで貫通された貫通穴124が設けられている。この貫通穴124にはレバー押し当て機構120が挿入されており、レバー103は、このレバー押し当て機構120によってチャック本体101に押し当てられている。
図5に示すように、レバー押し当て機構120は、チャック本体101の外周に設けられた貫通穴124にレバーを押圧する平行ピン121と、この平行ピン121にバネ力を伝達するコイルバネ122と、このコイルバネ122のバネ力を発生させるようにコイルバネ122を押圧する六角穴付止めねじ123と、が順に挿入されて構成されている。
平行ピン121は、レバー103より軟らかい材料で円柱状に形成されており、この円柱状の外径は、コイルバネ122の内径より大きい形状で形成されている。尚、平行ピンはノックピン、段付平行ピン、段付ノックピンなどのピンであっても構わない。
コイルバネ122は、バネの復元力によって平行ピン121を介してレバーを押し当てている。尚、コイルバネ122はバネ以外にゴムやシリコンやパッキンなどの弾性体であっても構わない。
六角穴付止めねじ123は、貫通穴124を封じる役割をしており、六角穴付止めねじ123のねじ部がコイルバネ122の一端側を押すことで、コイルバネ122はねじ部とレバー103をチャック本体101に押し当てている平行ピン121との間でバネ力を蓄勢させている。このバネ力の蓄勢により、平行ピン121が磨耗してもバネは復元しようとするため、レバー103を押し当て続けることが可能である。尚、ここでいうレバー103を押し当てとは、レバー103が回動可能な状態でチャック本体101に押し当てることを言い、レバー103が回動不能もしくは、回動に重負荷がかかる状態でチャック本体101に押し当てることではない。
尚、このレバー押し当て機構120の構成は、上述に示した構成に限らず、パッキンやゴム状シールなどの弾性体をレバー103とチャック本体101との片側面に嵌め込むことでも可能である。または、プランジャピンなどの機械要素を使用してレバー103をチャック本体101に押し当てても構わない。
すなわち、レバー103を回動可能にチャック本体101に押し当てることで、チャック本体101とレバーの接する面をガイド面とし、そのガイド面をレバー103の回転の基準面として、レバー103のレバーピン113の軸方向の位置を規定することが可能となり、夫々のレバー103のレバーピン113の軸方向の位置を夫々一定にしている。
これにより、夫々のレバー103は夫々のマスタージョウ104に設けられた嵌合溝104aと同じ位置で接することが可能となり、従って、夫々のトップジョウ105の移動量は夫々一定量移動することが可能である。
また、レバー押し当て機構120の長さは、繰り返し使用や経年劣化によって、消耗してもバネの復元力によりレバー押し当て機構120の長さを維持することが可能である。
このため、長期間メンテナンスフリーでチャック装置100を使用することが可能である。
101 チャック本体
102 プランジャ
103 レバー
104 マスタージョウ
105 トップジョウ
113 レバーピン
120 レバー押し当て機構
121 平行ピン
122 コイルバネ
123 止めねじ
124 貫通穴
R 回転軸
Claims (3)
- チャック本体と、
該チャック本体内で回転軸方向へ移動可能なプランジャと、
前記チャック本体のワーク装着側面上に、チャック本体の回転軸の軸線を中心として周方向に等角度間隔で設けられ、かつチャック本体の半径方向に嵌合摺動する複数のマスタージョウと、
該マスタージョウの前端部へ設けられワークを把持する複数のトップジョウと、
チャック本体に設けられたレバー室内において、チャック本体内においてプランジャと各マスタージョウとの間に設けられ、かつプランジャの回転軸の軸線方向の移動を、マスタージョウのチャック本体の半径方向の移動に変換する複数のレバーと、
を備えたチャック装置において、
付勢手段の復元力を用いて一方側から前記レバーを前記レバー室内のチャック本体内側面に対して直接押し当てるレバー押し当て機構がレバー各々に設けられ、
レバーを押し当てることで夫々のマスタージョウのチャック本体の半径方向の移動距離が一定となるチャック装置。 - 前記レバー押し当て機構が、前記チャック本体外周から前記レバー室まで貫通された貫通穴にレバーを押圧するピンと、該ピンにバネ力を伝達するバネと、該バネのバネ力を発生させるようにバネを押圧する止めねじと、が順に挿入されて構成されている請求項1に記載のチャック装置。
- 前記レバー押し当て機構による前記一方側からの押し当ては、レバーをレバーピンの軸方向へ向けて押し当てるものである請求項1に記載のチャック装置。
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