JPH0251964B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は低炭素鋼、非鉄金属等を無酸化熱処理
するための雰囲気熱処理炉の予熱室に関するもの
である。

〈従来の技術〉 一般に、低炭素鋼、非鉄金属、特に銅及びその
合金材等を無酸化処理する雰囲気熱処理炉におい
ては、酸化を防止する目的で熱処理炉の炉内へ保
護雰囲気を使用中常時送入する。この送入する気
体は通常発熱型ガスと呼ばれ、気体燃料を燃料の
理論必要空気以下の空気比で完全燃焼させて燃焼
空気中の酸素を除去し、且つ数％の一酸化炭素及
び水素を含んだ燃焼ガスを生成させ、更に冷却脱
湿して熱処理炉の炉内へ送気させている。即ち、
この装置を発熱型ガス発生器と呼び雰囲気熱処理
炉とは別個に設置している。

近時、この雰囲気熱処理炉において、省エネル
ギーの目的で、発熱型ガス発生器で生成する燃焼
熱を被処理材の加熱に利用することにより、雰囲
気熱処理炉の消費熱量を軽減すべく発熱型ガス発
生器を炉に組込んだビルトインタイプの方式が開
発された。

この雰囲気熱処理炉は、第２図に示す如く炉本
体ａを加熱室ｂと予熱室ｃに分割し、該予熱室ｃ
では被加熱材Ａが酸化しない程度の温度（この予
熱温度は炭素鋼の場合300〜350℃である）まで燃
焼ガスによつて直接加熱し、燃焼ガスの持つ熱の
一部を被加熱材Ａに吸収せしめる。ｄは予熱室ｃ
内に臨むガスバーナー、ｅは予熱室ｃの天井位置
外方に設置した熱交換器で、該熱交換器ｅに冷却
器ｆと脱湿器ｇ及びガスブースターｈを順次連結
すると共に、該ガスブースターｈの先端を前記熱
交換器ｅの一部を経て加熱室ｂに接続した構成と
なる。この予熱室ｃでの燃料は保護雰囲気製造に
必要な空燃比において行なうことは勿論である。
また、加熱室ｂは保護雰囲気を使用するから、加
熱はマツフル加熱、燃料焚ラヂアントチユーブ加
熱、電気抵抗加熱等の方式にしてあり、保護雰囲
気は予熱室ｃで加熱に使用した燃焼ガスをブロワ
ー（図示せず）に吸引し冷却及び脱湿処理をし加
熱室ｂへ送り込む。

この場合、省エネルギーのため、予熱室ｃから
吸引した高温燃焼ガスは熱交換器ｅによつて保護
ガスと熱交換を行ない、加熱室ｂへ送り込む保護
ガスを加熱し、燃焼ガスの冷却を行なうことが有
効な方法として採用している。

〈発明が解決しようとする問題点〉 しかし、この加熱室へ送り込む保護雰囲気の送
り込み量は常に一定にしておく必要があり、一
方、予熱室で燃焼する燃料は、被加熱材を酸化さ
せない程度に加熱する必要がある。燃焼量は被加
熱材の時間当りの量によつて制限され、被加熱材
を適正温度に加熱する燃焼量は予熱室の構成によ
つて一次的に決定され、燃焼によつて生成する燃
焼ガス量が保護雰囲気の製造に必要なガス量に達
しない場合も起こりえる。万一、このような場
合、予熱室には外気が吸引され保護雰囲気製造の
目的は直に失われる。

本発明は上記実情に鑑み、予熱室に冷却管を配
すことにより、この不合理を解決する雰囲気熱処
理炉の予熱室を提供することを目的としたもので
ある。

〈問題点を解決するための手段〉 本発明は、発熱型ガスを使用する予熱室をもつ
た保護雰囲気熱処理炉において、この予熱室に冷
却管を貫通配設し、該冷却管の一端には調節装置
に連動の制御弁を介して送風機を接続すると共
に、該冷却管の他端に浮力効果防止用逆止弁を介
して空気放出管を設け、冷却管内の空気流で予熱
室の燃焼量を一定値以上とする構成がある。

〈作 用〉 上記のような構成のため、予熱室の燃焼量の最
低値は加熱室で必要とする保護雰囲気量の製造に
充分値に保ち、予熱室の必要熱量が該最低値以下
に低下したときは冷却管に空気を流して予熱室の
熱量の一部を吸収せしめ、該予熱室の燃焼量を一
定値以上に保たせるものである。即ち、予熱室の
燃焼の熱バランスを保つ如くしたものである。

〈実施例〉 以下、本発明を実施例の図面に基づいて詳述す
れば、次の通りである。

１は加熱室（図示せず）の前段に配す予熱室
で、該予熱室１は内部上方に冷却管２を横貫通
し、該冷却管２の室外となる一端には調節装置
（図示せず）により操作される空気流量制御弁３
を取付け、該制御弁３の基端に送風機４を接続す
ると共に、この冷却管２の室外となる他端に浮力
効果防止用の逆止弁５を通して空気放出管６に導
き、且つ予熱室１の側壁にガスバーナー７を配設
し、全体として雰囲気処理炉の予熱室となる。

いまこの作用を説明すると、先ず所定の搬入手
段（図示せず）をもつて低炭素鋼、非鉄金属等の
被加熱材Ａを、雰囲気熱処理炉の一部となるこの
予熱室１に収容する。

ここにおいて、ガスバーナー７の燃焼ガスによ
つて被加熱材Ａが酸化しない程度の温度まで加熱
し、燃焼ガスの持つ熱の一部を被加熱材Ａに吸収
せしめる。この場合、予熱室１の燃焼量が予熱室
条件により保護ガス製造に充分な量だけ燃焼して
いるときは、この上方に配す冷却管２は作用させ
ないでおき、況により予熱室１の燃焼量が保護
ガス製造に必要な最小値まで低下したとき、燃焼
量はその値に固定され、それ以下には下らず、保
護ガス製造に必要な燃焼量は常に確保される。予
熱室１の条件によつて燃焼量を低下させるとき
は、その差分の熱量は冷却管２に適量の空気を流
して予熱室１の燃焼ガスの熱量の一部を吸収せし
め、予熱室１の燃焼の熱バランスを保たせる。

然るに、熱量制御可能な冷却管２を予熱室１に
設けたことにより、予熱室１の燃焼量を一定値以
下に保つことができ、必要充分な保護雰囲気が得
られると共に、予熱室１における被加熱材Ａも無
酸化の状態で加熱される。この場合、空気を流通
させる冷却管２の空気放出端には微少圧力で作動
する逆止弁５を有し、該逆止弁５に空気を流して
いないときは自動的に閉止し、予熱室１に設けた
冷却管２が、予熱室１の熱により加熱され内部の
空気の温度上昇による浮力効果により管内の空気
が流動し、冷却現象の生ずることを防止してい
る。また、冷却管２を冷却するとき空気は、この
逆止弁５を押し開いて流出するものである。

尚、加熱室へ送り込む保護雰囲気の送り込み量
は常に一定とする。この送気量は加熱室への被加
熱材Ａの入出の時間当り回数、炉体及び扉等の気
密の度合、保護ガスの成分比等によつて決めるも
のであるが、通常加熱室の室内容積の６〜12倍の
量を時間当り送気する。また予熱室１での被加熱
材Ａの加熱に使用した燃焼ガスを吸引処理して加
熱室へ送気するときも吸引すべきガス量は前記の
如く加熱室の条件によつて決定される。

〈発明の効果〉 上述のように本発明の雰囲気熱処理炉の予熱室
は、予熱室の上部に空気流通の冷却管を配し、予
熱室の燃焼量が保護ガス製造に必要な最小値まで
低下したとき、冷却管に空気を流し、予熱室の燃
焼ガスの熱量の一部を吸収せしめる構成としたこ
とにより、予熱室の燃焼の熱バランスが保たれ得
る。しかも、この冷却管の放出端側には逆止弁を
配してなるため、空気を流していないとき自動的
に閉止し、管内の必要以上の冷却現象を防止し得
る。更に、本発明は構成が簡略化してなるため、
故障、誤動作がなく、且つ既設の炉（予熱室）に
も装備し得る等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す予熱室の断面
図、第２図は従来の保護雰囲気熱処理炉の説明図
である。 １……予熱室、２……冷却管、３……制御弁、
４……送風機、５……逆止弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 発熱型ガスを使用する予熱室をもつた保護雰
   囲気熱処理炉において、この予熱室内に冷却管を
   配設し、該冷却管の一端に、調節装置に連動の制
   御弁を介して送風機を接続すると共に、該冷却管
   の他端に浮力効果防止用逆止弁を設け、冷却管内
   の空気流で予熱室の燃焼量を一定値以上に保つこ
   とを特徴とした雰囲気熱処理炉の予熱室。