JPH0251396B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜技術分野＞ この発明は加熱による物質の昇華または蒸発を
利用してシート上にカラー像を記録する感熱記録
方法に関する。

＜従来技術＞ 従来の感熱記録方法は昇華性の高い分散染料や
カチオン染料または酸と接触することにより着色
する染料前駆体（特開昭58−220788号）を使用
し、これらの染料を記録シート上に直接または昇
華または蒸発させることによりカラー転写を得る
ようにしていた。しかし、この方法では分子量が
かなり大きい染料を直接昇華または蒸発させるた
め、加熱のためのエネルギー消費が非常に大きく
なる。例えば、特開昭58−220788号に開示されて
いる方法では１ドツト当りの消費エネルギーが
0.2Wである。このように染料を直接昇華または
蒸発させる従来の方法ではヘツド部で消費される
エネルギーが相当に大きくなり、感熱記録装置全
体の小型化を阻害するのは勿論、記録時間をある
程度以上短くできない不都合があつた。

＜発明の目的＞ この発明の目的は上記の欠点を解消し、少ない
エネルギーで記録シート上にカラー転写を行うこ
とのできる感熱記録方法を提供することにある。

＜発明の構成＞ この発明は、ラジカル発生物質を浸透させた第
１のシートと、芳香族アミノ化合物あるいは芳香
族アミノ化合物の誘導体を浸透させた第２のシー
トと、を接触させて部分的に加熱したのち、両シ
ートを分離し、前記第１のシートに光を照射して
このシート上にカラー像を形成させることを特徴
とする。

すなわちこの発明においては第２のシートに浸
透されている芳香族アミノ化合物が加熱によつて
昇華または蒸発状態となり、同シートに接触して
いる第１のシート側に転写される。こののち第２
のシートは第１のシートから分離され、第１のシ
ートには光が照射される。この光照射によつて第
１のシート上のラジカル発生物質がラジカルとな
り、芳香族アミノ化合物が反応して発色を呈す
る。

この方法では芳香族アミノ化合物を昇華または
蒸発させているが、芳香族アミノ化合物は一般の
染料に比べて分子量が非常に小さく、昇華または
蒸発に要するエネルギーは極く少なくてよい。こ
のような方法によつて従来の方法に比べてヘツド
での消費エネルギーを極めて少なくすることがで
きる。

尚、上記のようにラジカル発生物質と芳香族ア
ミノ化合物とを第１のシート上に反応させて発色
させるこのプロセスでは両者の反応によつて合成
される色素が分子単位で分散するため染料の透明
性が非常によくなる利点がある。したがつて、三
原色の混合比率の制御を精度よく行うことがで
き、任意の色相を簡単に得ることができる。

ラジカル発生物質、芳香族アミノ化合物の一例
を以下に示す。

ラジカル発生物質 四塩化炭素、四臭化炭素、ジブロムメタン、
ヨードホルム、クロロホルム、ブロムホルム、
ブロムクロルホルム、ヘキサクロルエタン、テ
トラクロルエチレン、トリクロルアセトフエノ
ン、トリブロムアセトフエノン、ｐ−ニトロベ
ンゾトリブロミド、ベンゾトリクロリド、ヘキ
サクロルベンゼン、ヘキサブロムメチルスルホ
ン、ヘキサクロルメチルスルホン、Ｎ−トリブ
ロムメチルトリアジン、トリブロモメチルフエ
ニルスルホン、トリブロム酢酸、トリブロモエ
タン、トリブロモエチレン。

芳香族アミノ化合物 インドール、アゾベンゼン、キノリン、ナフ
トキノン、イミダゾール、ジフエニルアミン、
スチリルベース、トリフエニル、Ｎ−ビニルカ
ルバゾール、カルバゾール、ピリジン、イソキ
ノリン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、
シンノリン、キナゾリン、ピロール、ピラゾー
ル、オキサゾール、異節環誘導体。であり、こ
れらの誘導体を用いることも可能である。

なお、発色に係る材料の他に増感剤や画像の安
定剤を加えることにより、発色時間が短縮された
り、より鮮明な画像が得られるようになる。

＜発明の効果＞ この発明によれば、比較的低分子量の芳香族ア
ミノ化合物を昇華または蒸発させて第１のシート
上に転写するようにしており、それらを昇華また
は蒸発させるエネルギーは従来用いられていた染
料を昇華または蒸発させるエネルギーに比べて極
めて少なくなる。このため、感熱記録装置自身を
小型化できるとともに、ヘツドの１ドツト当りの
消費エネルギーが少ないことから転写時間を短縮
できる利点がある。またこの方法であれば、第２
のシートを加熱する温度や時間を変えることによ
つて芳香族アミノ化合物が昇華または蒸発する量
を調整することができ、色の濃度を任意に設定で
きる利点がある。さらに従来の染料をバインダと
ともに熱転写する方法と組み合わせた場合には、
この発明による方法によつて従来の記録方法で生
じ易い色ずれ等を補正できる効果がある。

＜実施例＞ 実施例 １ ラジカル発生物質としてヘキサブロムメチルス
ルホンを使用し、このヘキサブロムメチルスルホ
ンの３％アセトン溶液中に用紙を浸け乾燥したも
のを用意する（第１のシート；以下シートＣとす
る。）。一方、ｍ−ヒドロキシジフエニルアミン
（芳香族アミノ化合物）の３％アセトン溶液に薄
手の紙を浸け乾燥したものを用意する（第２のシ
ート；以下シートＤとする。）。このようにして処
理したシートＣ上にシートＤを重ねこの上から
130℃の温度で0.3〜２ｍｓ加熱することにより、
シートＤに付いているｍ−ヒドロキシジフエニル
アミンが昇華してシートＣに転写される。このシ
ートＣを螢光灯の下に置くと転写された部分が黒
色に着色する像が得られた。

実施例 ２ 上記と同様にして四臭化炭素を浸透させたシー
トＣと、ｐ−アミノアゾベンゼンを浸透させたシ
ートＤ重ねた後、130℃で0.5〜２ｍｓ間加熱す
る。次に、ジフエニルアミンを浸透させたシート
D′を先のシートＣに重ね、130℃で0.5ｍｓ間加熱
した後、光に当てるとシートＤからの転写部分は
赤色になりシートD′からの転写部分は青色にな
つた。そしてシートＤ、D′が重なつた部分は紫
色に発色した像が得られた。

実施例 ３ ヘキサブロムメチルスルホンとベンゾキノン
（増感剤）をそれぞれ３％溶液にしたアセトン溶
液中に浸けて乾燥したシートＣにｐ−ジメチルア
ミノベンズアルデヒドを浸透させたシートＤを重
ね、80℃で２ｍｓ間熱転写した。さらにＮ−エチ
ルα−ナフチルアミンを浸透させたシートD′を
重ね、同温度で２ｍｓ間熱転写した後、光に当て
ると、シートＤからの転写部分は黄色となり、シ
ートD′からの転写部分は青色になつた。そして
シートＤとD′との重なつた部分は緑色に発色し
た。

実施例 ４ ヘキサブロムメチルスルホンを浸透させたシー
トＣに、ｐ−アミノアゾベンゼンを浸透させたシ
ートＤを重ね、130℃で0.5〜２ｍｓ間熱転写し、
さらにｐ−ジメチルアミノベンズアルデヒドを浸
透させたシートD′を重ね、同温度で１秒間熱転
写を行なつた後光を当てた。シートＤからの転写
部分は赤色となり、シートD′からの転写部分は
黄色となつた。そしてシートＤとD′との重なつ
て部分は橙色に発色した。

実施例 ５ ヘキサブロムメチルスルホン、安定剤およびバ
インダを水または有機溶剤にて分散、溶解したイ
ンキを浸透させたシートＣに、ｐ−Ｎジエチルア
ミノアゾベンゼンをバインダとともに浸透させた
シートＤを重ね、120℃にて熱転写し、こののち
光を照射すると鮮明なマゼンタ色に発色した。

なおシートＣに浸透させる材料としてはラジカ
ル発生物質に代えて活性白土等の芳香族アミノ化
合物を使用することも可能であり、またシートＤ
に浸透させる材料としては芳香族ヒドロキシ化合
物等の発色を呈する材料を用いることも可能であ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ラジカル発生物質を浸透させた第１のシート
   と、芳香族アミノ化合物あるいは芳香族アミノ化
   合物の誘導体を浸透させた第２のシートと、を接
   触させて部分的に加熱したのち、両シートを分離
   し、前記第１のシートに光を照射してこのシート
   上にカラー像を形成させることを特徴とする感熱
   記録方法。