JPH0249104Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、自動車のステアリングハンドル位置
調整装置に関する。

（従来技術） 自動車のステアリングハンドルを運転者の体格
等に合わせて操作しやすくするために、ステアリ
ングハンドルの上下位置（チルト位置）と前後位
置（テレスコ位置）をそれぞれ調整できるように
したハンドル位置調整装置は実用化されており、
例えば実公昭54−15385号公報に記載されている。

しかし、上述の公報記載の従来技術において
は、チルト位置調整用の液圧シリンダの一端が、
ステアリングコラム上部に連結され、他端が車体
側に連結される構成となつているため、チルト位
置調整時に、ステアリングコラムと液圧シリンダ
とが干渉しないように、液圧シリンダをステアリ
ングコラムに対して角度をもたせて配設しなけれ
ばならなかつた。そして、このために、液圧シリ
ンダとステアリングコラムとの間に無駄なスペー
スが生じ、結果的には、液圧シリンダの配設のた
めに広いスペースが必要となるといつた問題があ
つた。

（考案の目的） 本考案は、ステアリングハンドルのチルト位置
を確実に調整でき、しかもチルト位置調整用のア
クチユエータを空間内に効率的に配設することの
できる自動車のステアリングハンドル位置調整装
置を提供することを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案に係る自動車のステアリングハンドル位
置調整装置は、ステアリングハンドルを支持する
アツパシヤフトと、ステアリングギヤに連結され
るロアシヤフトとをジヨイント部材によつて連結
したステアリングシヤフトを備え、前記アツパシ
ヤフト及びロアシヤフトを各々アツパコラム及び
ロアコラムで包囲するとともに、前記アツパコラ
ムを前記ロアコラムに対して前記ジヨイント部材
を支点として傾動可能としたステアリングハンド
ル位置調整装置であつて、先端部が二又状に形成
され、前記ジヨイント部材を挾み、かつ側面視で
該ジヨイント部材に対して上下方向にオフセツト
した位置において、前記二又状先端部が前記アツ
パコラムに連結される作動部材と、前記ロアコラ
ムまたは車体に取付けられ、前記作動部材の基端
に連結され、該作動部材をストロークさせること
により、前記アツパコラムを前記ジヨイント部材
を支点として傾動させる駆動手段とを備えている
ことを特徴とする。

（実施例） 以下、添付図面を参照して本考案の好ましい実
施例による自動車のステアリングハンドル位置調
整装置について説明する。

第１図および第２図は、それぞれ本考案の実施
例によるステアリングハンドル位置調整装置の側
面図および平面図である。

これらの図において、符号１はステアリングシ
ヤフトを示し、このステアリングシヤフト１は、
ステアリングハンドル（図示せず）を支持するア
ツパシヤフト２と、ステアリングギヤ（図示せ
ず）に連結されているロアシヤフト３からなり、
これらアツパシヤフト２とロアシヤフト３は、ユ
ニバーサルジヨイント４により連結されている。
上記ロアシヤフト３は、Ｕ字状の固定ブラケツト
５で上端において車体に固定されたロアステアリ
ングコラム６により回転自在に支持されている。
一方、上記アツパシヤフト２は、後に詳細に説明
するように上記ロアステアリングコラム６に対し
て上下方向チルトおよび前後方向テレスコ動作可
能なアツパステアリングコラム７により回転自在
に支持されている。

上記固定ブラケツト５の上端には、２枚の支持
プレート８が該ブラケツト５に一体的に設けられ
ており、この２枚の支持プレート８は、該ブラケ
ツト５から上記ユニバーサルジヨイント４の両側
を該ジヨイント４をわずかに越える位置まで延び
ている。これら２枚の支持プレート８の外側の表
面には、上記ユニバーサルジヨイント４の中心を
通る直線上に配されたロツクボルト９がそれぞれ
溶接されている。

上記アツパステアリングコラム７の下端には、
該コラム７をロアステアリングコラム６に対して
上下チルトおよび前後テレスコの動作をさせるた
めに作用するチルト・テレスコ機構１０が設けら
れている。この機構１０は、上記アツパコラム７
の下端に設けられ、ステアリングシヤフト１の中
心軸を横切つた左右に対称に延びる第１ブラケツ
ト１１、および該第１ブラケツト１１の左右端か
ら下方に延び、ステアリングシヤフト１の両側
に、該シヤフト１に対して対称に設けられた２枚
の第２ブラケツト１２を備えている。

上記第２ブラケツト１２には、シヤフト１の軸
方向に延びる長穴１４が形成されており、この長
穴１４に上記ロツクボルト９が嵌合している。従
つて、この第２ブラケツト１２は、シヤフト１に
沿つて動き得るようになつている。上記第２ブラ
ケツト１２と上記支持プレート８の間には、チル
ト用プレート１５が配置されている。このプレー
ト１５には、上記ボルト９よりわずかに大きい径
の開口（図示せず）が形成されており、この開口
に上記ロツクボルト９が嵌合している。従つて、
このプレート１５は、ロツクボルト９を中心とし
て揺動できるようになつている。上記プレート１
５には、このプレートの表面から立ち上つた２枚
の板状部材からなる案内部材１６が設けられ、上
記第２ブラケツト１２は、この案内部材１６に案
内されて上述のようにシヤフト１の軸方向に移動
するようになつている。

上記ステアリングシヤフト１のアツパシヤフト
２は、第１図に示されているようにスプライン結
合された第１および第２シヤフト部分２ａ，２ｂ
からなつている。従つて、このアツパシヤフト２
は、第１および第２シヤフト部分２ａ，２ｂの相
対運動により伸縮動作すなわちテレスコ動作でき
るようになつている。

上記第１ブラケツト１１の下辺には、シヤフト
１の中心軸を中心として対称に配置された２枚の
作動プレート１７，１８が、その上端において固
着されている。この作動プレート１７，１８は、
上記第１ブラケツト１１からユニバーサルジヨイ
ント４をわずかに越えた位置まで下方に延びてお
り、このユニバーサルジヨイント４の中心点を通
りシヤフト１に直角な線上で共に第１アクチユエ
ータ１９に接続されている。この第１アクチユエ
ータ１９は、ロアステアリングコラム６の下部外
周に固定された第１駆動モータ２１を有してい
る。後述するように、この第１駆動モータ２１の
回転出力によつて、アツパコラム７がジヨイント
４を中心としてチルト動作を行う。この第１駆動
モータ２１の出力軸２１ａにはウオームギヤ２３
が設けられており、このウオームギヤ２３には扇
形ギヤ２５がかみ合つている。この扇形ギヤ２５
は、枢軸２７によつて枢動自在に配置されてお
り、該扇形ギヤ２５の要部からは歯部とは反対側
に延びる第１レバー２９が設けられている。この
第１レバー２９の先端には、第１作動ロツド３１
がその下端において枢着されている。この第１作
動ロツド３１は、その上方部分３１ａが第３図に
示されているように二又状になつており、この二
又状の先端部がジヨイント４を挾み込むように位
置している。また、第４図に示すように、第１作
動ロツド３１の上方部分３１ａは、側面から見た
状態で、ジヨイント４に対して上下方向にオフセ
ツトした位置において、第３図に示す二又状の先
端部がそれぞれ作動プレート１７，１８に連結さ
れている。

上記支持プレート８には、上記第２ブラケツト
１２の両側部に形成されたラチエツト歯１２ａに
係合して、その前後方向への摺動をロツクする２
つのロツク爪３３および３４がピン３５および３
６によつて枢着されている。この２つのロツク爪
３３および３４は、それぞれスプリング３７，３
８によつてラチエツト歯１２ａとの係合方向に付
勢されている。従つて、上記第２ブラケツト１２
は、通常状態においては、上記ロツク爪３３およ
び３４によつてロツクされており、前後方向に摺
動できないようになつている。

上記ロツクボルト９にはロツクナツト３９が螺
合しており、このナツト３９を締付けることによ
り、アツパコラム７のロアコラム６に対する上下
チルトをロツクするようになつている。このナツ
ト３９にはロツク爪操作部材４０が固着されてお
り、この部材４０は、時計方向に回動したときロ
ツク爪３３および３４に係合して、上記スプリン
グ３７，３８に抗して該ロツク爪３３，３４を解
除方向に回動させる作用をなす。

上記ロツクナツト３９には操作レバー４１が固
着されており、この操作レバー４１は、Ａ位置に
あるときナツト３９を締め付けて、上記アツパコ
ラム７のロアコラムに対する上下チルトをロツク
している。このとき、上記操作部材４０は何等ロ
ツク爪３３および３４に作用せず、従つてアツパ
コラム７の前後方向テレスコもロツクされてい
る。一方、操作レバー４１がＢ位置まで回動され
ると、ナツト３９がゆるめられ、上記ロツクが解
除されて、アツパコラム７の上下方向のチルトが
可能となる。なお、このときはまだ操作部材４０
が、上記ロツク爪３３，３４に係合してあらず、
従つて未だ前後方向のテレスコについてはロツク
されている。この後、操作レバー４１が更に回動
されてＣ位置に位置付けられると、上記操作部材
４０は、上記ロツク爪３３，３４をスプリング３
７，３８に抗してロツク解除方向に回動させる。
その結果アツパコラム７のロアコラム６に対する
前後方向のテレスコ動作が可能となる。

上記操作レバー４１を上記Ａ，Ｂ，Ｃ位置のい
ずれかに位置付けるため、該レバー４１には、第
２アクチユエータ４２が設けられている。この第
２アクチユエータ４２は、上記第１アクチユエー
タ１９とほぼ同じ構造のものであつて、ロスステ
アリングコラム６の下部外周に固定された第２駆
動モータ４３を備えている。この第２駆動モータ
４３の出力軸４３ａにはこれと同軸にウオームギ
ヤ４４が設けられており、このウオームギヤ４４
には扇形ギヤ４５がかみ合つている。この扇形ギ
ヤ４５は、枢軸２８によつて枢動自在に取付けら
れており、この扇形ギヤ４５には、該ギヤから半
径方向外方に延びる第２レバー４６が一体に設け
られている。この第２レバー４６の先端には、第
２作動ロツド４７がその下端において枢着されて
いる。この第２作動ロツド４７は、その上端にお
いて上記操作レバー４１に枢着されている。

なお、後に説明する目的のため、上記チルト用
プレート１５の下部には、扇形状にクリツク溝４
８が形成されており、一方ロアステアリングコラ
ム６の側部には、スプリング４９により突出方向
に付勢され、上記クリツク溝４８の１つに嵌合し
て、チルト用プレート１５にクリツクフリクシヨ
ンを与えるクリツクピン５０を支持したクリツク
ケース５１が固定されている。

（作動） 以下、第５図ないし第６図を参照しつつ本考案
の自動車のステアリングハンドル位置調整装置の
作動について説明する。なお、第５図ないし第６
図においてｈはステアリングハンドルを示すもの
とする。

上下方向チルト動作 まず、操作レバー４１がＡ位置にあるときに
は、上述のように上下方向チルトおよび前後テレ
スコがロツクされている。この状態から、第２駆
動モータ４３が駆動されて操作レバー４１がＢ位
置に回動されると、ロツクナツト３９がゆるめら
れて上下チルトのロツクが解除される。この後、
上記第１駆動モータ２１が例えば正転させられる
と、第５図に示されているように作動ロツド３１
が矢印ｘの方向すなわち上方向に同時に移動す
る。この作動ロツド３１の矢印ｘ方向の移動によ
り、アツパステアリングシヤフト２はユニバーサ
ルジヨイント４のところから上方にチルト動作す
る。なお、シヤフト２を下方にチルト動作させる
には、上述と逆の動作すなわち、第１駆動モータ
２１を逆転させ、作動ロツド３１を矢印ｘとは逆
の方向に移動させればよい。

前後方向テレスコ動作 上記アツパコラム７を前後方向にテレスコ動作
させるには、まずこのテレスコ動作についてのロ
ツクを解除しなければならない。そのために、ま
ず第２駆動モータ４３を更に駆動させて操作レバ
ー４１をＣ位置まで回動させる。このように、操
作レバー４１がＣ位置まで回動させられると、上
述したように操作部材４０もこれに伴なつて第１
図において時計方向に回動し、ロツク爪３３，３
４に当接してこれらをロツク解除方向に回動さ
せ、前後方向テレスコのロツクを解除する。

この後、上記第１駆動モータ２１が例えば正転
させられると、第６図に示されているように作動
ロツド３１が矢印ｘの方向すなわち上方向に移動
する。この作動ロツド３１の矢印ｘ方向の移動に
より、アツパコラム７は後方向にテレスコ動作を
行なう。このとき、作動ロツド３１が移動しても
アツパコラム７がチルト動作を行なわないのは、
上記クリツクピン５０等によるクリツクフリクシ
ヨンによるものである。なお、アツパコラム７を
前方にテレスコ動作させるには、上述と逆の動
作、すなわち上記第１および第２駆動モータ２１
および４３を逆転させ、作動ロツド３１，４７を
矢印ｘとは逆の方向に移動させればよい。

（考案の効果） 本考案によつて、チルト位置調整用のアクチユ
エータを空間内に効率的に配設することができ、
液圧シリンダの配設のための広いスペースを必要
とすることなく、チルト位置を確実に調整するこ
とができる装置が提供される。

また、作動部材の先端部は二又状に形成され
て、アツパコラムと連結しているので、チルト操
作時にステアリングコラムの動作が安定する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例による自動車のステ
アリングハンドル位置調整装置の側面図、第２図
は、第１図に示した装置の平面図、第３図は、第
１図に示した装置の主要部の平面図、第４図は、
第３図に示した主要部の側面図、第５図は、第１
図および第２図に示した装置における上下方向チ
ルト動作を説明する概略説明図、第６図は、前後
方向テレスコ動作を説明する概略説明図である。 １……ステアリングシヤフト、２……アツパシ
ヤフト、３……ロアシヤフト、４……ユニバーサ
ルジヨイント、６……ロアステアリングコラム、
７……アツパステアリングコラム、９……ロツク
ボルト、１０……チルトテレスコ機構、１９……
第１アクチユエータ、３１……作動ロツド、３１
ａ……作動ロツド３１の上方部分、３３，３４…
…ロツク爪、３９……ロツクナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリングハンドルを支持するアツパシヤフ
   トと、ステアリングギヤに連結されるロアシヤフ
   トとをジヨイント部材によつて連結したステアリ
   ングシヤフトを備え、前記アツパシヤフト及びロ
   アシヤフトを各々アツパコラム及びロアコラムで
   包囲するとともに、前記アツパコラムを前記ロア
   コラムに対して前記ジヨイント部材を支点として
   傾動可能としたステアリングハンドル位置調整装
   置であつて、先端部が二又状に形成され、前記ジ
   ヨイント部材を挾み、かつ側面視で該ジヨイント
   部材に対して上下方向にオフセツトした位置にお
   いて、前記二又状先端部が前記アツパコラムに連
   結される作動部材と、前記ロアコラムまたは車体
   に取付けられ、前記作動部材の基端に連結され、
   該作動部材をストロークさせることにより、前記
   アツパコラムを前記ジヨイント部材を支点として
   傾動させる駆動手段とを備えた自動車のステアリ
   ングハンドル位置調整装置。