JPH0247765Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、大径リング部と小径リング部の間が
蛇腹部とされている高分子弾性体製の機械軸継手
用ブーツ（以下「ブーツ」と略す）における蛇腹
部の山部の改良に関し、例えば乗用車の駆動軸と
車軸とを連結する等速形の自在軸継手用に好適な
ものである。 ＜従来の技術＞ 昨今、乗用車における居住空間の拡大化に伴な
い、エンジンルームは狭小化の傾向にある。従つ
て、エンジンルーム内に配設されるブーツには小
型化とすべき要請がある。そこで従来より種々の
方策が採られてきたが、例えば、第４，５図に示
した如く、大径リング部３と第１山部９（大径リ
ング部側から数える；以下谷部も同じ）との間に
谷部（第１谷部１１）を形成したブーツ１があ
る。 しかし、このようなブーツ１では機械軸継手１
７が交差運動時、圧縮側において大径リング部３
の蛇腹部連接側端部４と第２山部１３との間に第
１山部９が挟まれて押しつぶされてしまい、該第
１山部９は圧縮歪を受け易くなる。従つて、ブー
ツ全体において交差運動時の伸長歪と圧縮歪との
差が第１山部９で最大となり、屈曲疲労が促進さ
れ易い。それで第１山部９の頂部に損傷が発生し
易いこととなる。 第２山部１３が第１山部９と第３山部１５とで
挟まれて押しつぶされてしまう場合も同様であ
る。 そこで、第４，５図に仮想二点鎖線で示した如
く、押しつぶされてしまうおそれのある第１山部
を大径とし、かかる問題の解決を図るものがある
（本願発明者らによる特開昭60−201166号公報参
照）。 尚、符号２３，２５は各々大径リング部３と小
径リング部５をハウジング１９と車軸２１へ締結
する締結クランプである。 ＜考案が解決しようとする問題点＞ 確かに、上記公報記載のブーツ１では圧縮側に
おいて第１山部９が押しつぶされなくなり、ブー
ツ１の耐久性が向上しているが、第１山部９を大
径化することが要請されるためブーツの小型化
（振れ回り性も含めて）に限度がある。 本考案は、かかる問題点にかんがみて、問題と
なる山部の径を特に大きくすることなく、当該山
部が押しつぶされてしまうことを防止し、耐久性
の高いブーツを提供することを目的とする。 ＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は上記目的を達成し得るブーツであり、
機械軸継手が交差運動時、圧縮側において両隣り
の山部に又は大径リング部の蛇腹部連結側端部と
小径リング部側の山部とに挟まれる山部頂部近傍
の裏面側斜面へ、該山部の頂部屈曲形状を略保持
する凸部が形成されていることを特徴とする。 ＜構成及び作用の説明＞ 以下、本考案の構成を図例（第１〜２図）に基
づいて更に詳しく説明する。 第１図は本考案に係るブーツ１０の半断面図で
あり、第２図は第１山部９近傍の部分拡大断面図
である。尚、従来例（第４図）と同一の部材には
同一の図符号を付し説明を省略する。 このブーツ１０は従来例のブーツ１において、
第１山部９の頂部近傍の裏面側の大径側斜面へ半
球断面の凸部２７が周方向に形成されていること
を特徴とする。この凸部２７は連続的であるか非
連続的であるかを問わず、小径側の裏側斜面に又
は大径側及び小径側の両側斜面に形成してもよ
い。また、断面形状や形成個数も特に限定されな
いが、第３図の如く第１山部９が大径リング部３
の蛇腹部連結側端部４と第２山部１５とに挟まれ
たとき、第１山部９の頂部屈曲形状を略保持可能
なものとする。 ブーツにおいて蛇腹部の山数が多くなると、第
２山部、第３山部……においても、両隣りの山部
に挟まれて当該山部の頂部屈曲形状を保持できな
いおそれがある。従つて、これら第２山部、第３
山部……にも上記第１山部と同様、裏面側の斜面
へ凸部２７を形成することができる。 尚、山部の頂部裏面側へ凸部を形成すると、頂
部の屈曲性が損なわれるため好ましくない。 上記ブーツ１０の成形材料である高分子弾性体
としては、NR、NBR、SBR、BR、CR等の合
成ゴム、ウレタン系、ビニル系、ポリエステル
系、オレフイン系等のTPE等を例示できる。 成形方法は、前者は射出成形、後者は射出ブロ
ー成形による。勿論凸部２７も一体的に成形す
る。 尚、ブーツのタイプが大径リング部３と第１山
部９の間に第１谷部を形成したものだけに限定さ
れないことは勿論である。 ＜考案の効果＞ 以上説明したように、本考案のブーツは機械軸
継手が交差運動時、圧縮側において、両隣りの山
部に、または大径リング部の蛇腹部連結側端部と
小径側の山部とに挟まれる山部の頂部近傍の裏面
側斜面へ、該山部の頂部屈曲形状を略保持させる
凸部が形成されている構成である。このようなブ
ーツは、後述する試験結果のように、その耐久性
が向上することとなる。 更には、両隣りの山部等に挟まれてしまう問題
の山部自体の形状は特に限定されないので、従来
のブーツの如く当該山部の大径化を図らなければ
ならないという問題点を解決する。即ち、本考案
に係るブーツは設計自由度が向上し、汎用性の高
いものとなる。 ＜試験結果＞ 第１図（実施例）及び第４図（従来例）の各ブ
ーツ（CR製）について、駆動軸に対する車軸の
交差角度を40゜として耐久テストを行つた。結果
はブーツ内のグリースが漏れ始めた駆動軸の総回
転数（回転速度×時間）で判断した。その結果を
第１表に示す。本考案のブーツは従来のものに比
べて第１山部の耐久性が向上したことが判る。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案の機械軸継手用ブーツの一
例を示し、第１図は半断面図、第２図は第１山部
９の拡大図、第３図は駆動軸交差運動時における
第１図の機械軸継手用ブーツのＸ線透視図、 第４図は従来例の機械軸継手用ブーツの半断面
図、第５図は駆動軸交差運動時における第４図の
機械軸継手用ブーツのＸ線透視図である。 ３……大径リング部、４……蛇腹部連結側端
部、５……小径リング部、７……蛇腹部、９……
第１山部、１０……機械軸継手用ブーツ、１３…
…第２山部、１５……第３山部、１７……機械軸
継手、２７……凸部（凸条部）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 交差運動をする二軸間の機械軸継手を保護する
   ブーツであつて、 大径リング部と小径リング部の間が蛇腹部とさ
   れている高分子弾性体製の機械軸継手用ブーツに
   おいて、 前記機械軸継手が交差運動時、圧縮側におい
   て、 両隣りの山部に、 または前記大径リング部の蛇腹部連結側端部と
   小径側の山部とに 挟まれる山部頂部近傍の裏面側斜面へ、該山部
   の頂部屈曲形状を略保持させる凸部が形成されて
   いることを特徴とする機械軸継手用ブーツ。