JPH0247286Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、パネルに開設する透孔に部品類の軸
状の係止脚を突き通すことによつて簡単に、且つ
確実に止め付ける為に用いられる合成樹脂製で製
造されるクリツプに関する。

自動車等においてボデイ外面に装飾部品類、例
えばエンブレムを取付ける場合、接着剤を使つて
貼着する場合もあるが、通常はボデイの金属板に
透孔を穿つてこれにエンブレムの背面に植設する
軸状の係入脚を突き入れ係止するようにしている
のが一般的である。

この場合、従来から上記透孔には筒形に形成し
た金属製の、或はゴム、合成樹脂製等の筒状をな
す装着クリツプを予じめ装着しておくか、若しく
はエンブレムの係止脚に対して予じめ装着して上
記透孔に突き入れる該係止脚をこの装着クリツプ
を介して止め付ける方法が採られている。

この装着クリツプのうち、金属製のものは素材
の上から隔通性に欠け、ガタ付きを生じたり、複
数個所で止付けるとき透孔と係止脚の位置の誤差
を吸収できず取付不良を生じたりする一方、止水
性に難点があり透孔を通して室内に雨水が侵入し
たり、透孔の塗膜を被つて発靖させる等の問題が
あつた。

これに代つてゴム或は合成樹脂製のクリツプは
隔通性があり、装着も容易で止水性も金属製のも
のに比べ良好ではあるが、係止力に劣り、信頼性
に欠ける大きな難点があつた。

本考案は、この様な実情に鑑み研究開発された
もので、クリツプの主体部分を合成樹脂で成形
し、この素材のもつ特性を活して前述した様な効
果を挙げる一方、この主体部分に装着部を一体に
設けてこれに金属製の係止板を組入れ、主体の内
部を通して挿入される軸状係止脚をこの係止板の
挿通孔に通し、この孔縁部に設ける係止爪をその
周面にかみ付かせて堅固に止付けられるようにし
た軸状係止脚の止め付けクリツプを提供すること
にある。

特に、本考案はボデイの金属パネルに穿つ透孔
に対して容易に装着することができ、また同時に
係入脚の差し入れが容易で作業性に優れると共
に、エンブレム等部品類を装着したとき係入脚と
共同して透孔を完全に塞ぎ優れた止水効果を発揮
し、しかも安定した係止力を発揮して信頼度の高
いクリツプを提供するところに特徴がある。

以下、本考案は図示する実施例につき詳述し、
併せてその他の特徴を説明する。

第１図は右半を中央部で断面とした本考案クリ
ツプの正面図で、第２図は側面図、第３図は平面
図であり、第４図は第１図の−線に沿つて断
面とした係止板を着装した状態における断面図で
ある。

本考案クリツプの主体１は合成樹脂を材料にし
て成形されるもので、ここでは短尺な円筒形にし
てその一方の開口端２の外周面には後述するパネ
ルＡの透孔ａへの挿入量を規制し透孔内部に止ま
らせる傘形に形成した鍔３が設けてある。そし
て、主体の胴外周面にはこの鍔３に対向する様に
略パネルの板厚程の間隔をおいて抜止めのための
係止部４が複数個突設してある。

一方、主体の中空内部には空隙５を介して円筒
形の挿入体６が主体１と同心円状に備えてあり、
主体とは共通する側の開口部７において一体に接
続させてある。

上記挿入体６は後述するようにエンブレムＢ等
の部品類から延設される係止脚ｂを直接受け入れ
るもので、筒壁を肉薄加減にして柔軟性をもたせ
る一方、内径は上記係入脚ｂの外径に等しいか幾
分小さくして差込まれる係入脚ｂと密着できるよ
うにしてある。

図中９は主体の上記開口部７から挿入体６の中
空部１０に連通させて延設した装着体で、１１は
この装着体に組付けられるワツシヤ状に形成した
金属板製の係止板である。

装着体９は主体１の延長部として形成してあ
り、この実施例では中空内部を横切るように係止
板１１を挿入する横長の窓１２を側面に開設して
ある。

係止板１１は略正方形状の金属板にして中心部
に装着体中空部の内径と同一径の挿通孔１３を有
し、この挿通孔の縁部に内方に向け突き出す係止
爪１４を設けてある。

この係止板は第６図に示した様に平面を歪ませ
て装着体９の窓１２を通して挿入したとき、この
歪みによつて上下の面を窓の上下に弾力的に押当
て上記挿通孔１３を中空部に一致させた状態で収
まるようにしてある。

尚、この実施例では窓１２に通じる装着体９の
中空内部の対向壁面の各中央部に突部１５を設
け、一方係止板１１の両側縁部中央部分にはこの
突部１５に対応する切欠き凹部１６を設けて窓１
２を通して挿入したとき、凹部１６を突部１５に
係合させて任意の移動を阻止すると同時に挿通孔
１３を中空部の中心に自動的に位置合せできるよ
うにしてある。

本考案のクリツプは上述の如く構成されるもの
で、エンブレムＢ等の部品類をパネルＡに装着す
るに当つては、先ずパネルに穿つ透孔ａに主体１
を装着体９側から挿し入れて胴の周面を内方に撓
ませながら鍔３がパネルの表面に当接するまで押
入れ、係合部４を透孔の縁に掛止める。

この場合、傘形の鍔３をパネル表面に圧接させ
て水密性を確保する外、透孔ａの径を主体１の外
径より幾分小径にして胴の弾性を利用して無理に
装着し、水密性を確保するとよい。

かくしてパネルに対する装着後、パネルの表面
側の開口部２から挿入体６に向けてエンブレムＢ
の係止脚ｂを挿入れこの中空部を貫き、その先に
設けられる装着体９の中空部に脚端を突き入れ
る。

この様にして挿入された係止脚ｂは挿入体６を
拡張させ、密着した状態で収まると共に、装着体
９に突き入れた脚端はこれに収められた係止板１
１の挿通孔１３を貫き脚周面に係止爪１４を突き
立ることになる。

従つて、クリツプに押入れられた係止脚ｂは挿
入と同時に挿入体６に保持されると同時に、係止
板１１によつて抜出しが極めて困難な状態に拘束
されることになる。

以上説明の様に、本考案クリツプは主体１を中
心に挿入体６、装着体９を合成樹脂で成形してあ
ることから、パネルに対する取付けが容易であ
り、しかも適当な軟性があることから透孔を削つ
て塗膜を傷付けて発靖の原因を作つたりすること
がなく、また密着性に優れることから防止性にも
優れ自動車等の部品取付けに有利である。また、
本考案クリツプはパネルの透孔に対する係合が主
体１で行われ、係止脚に対しては挿入体６と装着
体１１が保持する構造とし、この両者の間に空隙
５を設けてパネルと係止脚から受ける影響を他方
に作用させないものとしたことからそれぞれに対
して充分な密着性が得られ前述した防水効果を一
層確実なものとしている。

そして、本考案クリツプは素材の弾性に加え、
主体と挿入体は接続部分８を介して柔軟に接続し
ていることから部品類を複数の係止脚で止付ける
場合、透孔と係止脚の間に位置の誤差があつても
これを吸収することができ、又係止脚の向きに多
少の斜きがあつても挿入体の向きがこれに対応す
ることが可能であるため止付け不良の発生を大幅
に改善できる利点がある。

更に本考案のクリツプは部品類の係止脚を単に
押入れることで、パネルに対する取付けが完了
し、作業性の上で極めて有利であると共に、当該
クリツプは係止板を備え、この挿通孔１３の係止
爪１４が係止脚の周面にかみ付き係止するため確
実な止め付けを保障してくれる利点がある。

勿論、本考案クリツプは係止板を除く全体を合
成樹脂で成形するため量産的製造が容易であるこ
とは言うまでもない。

尚、前記実施例では係止板１１を装着体９の窓
１２を通して装着組立る例につき説明したが、ク
リツプ主体と共に予じめ一体にインサート成形し
てもよい。また主体並びに挿入体はパネルの透孔
と係止脚にそれぞれ対応するものであるから透孔
或は係止脚が円形以外の場合にはそれぞれの形状
に合せて主体の外形、挿入体の内形を選択するこ
とは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したもので、第１
図は右半を中央部で断面とした正面図、第２図は
側面図、第３図は底面図、第４図は係止板を装着
した状態における第１図−線に沿つて断面と
した底面図、第５図は係止板の平面図、第６図は
右半を断面にした係止板の正面図、第７図は使用
状態を示す要部の中央縦断正面図である。 １……クリツプの主体、２……一方の開口部、
３……鍔、４……係止部、５……空隙、６……挿
入体、７……他方の開口部、８……接続部分、９
……装着体、１１……係止板、１３……挿通孔、
１４……係止爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. パネルに開設する透孔に部品類から延設する軸
   状係止脚を突き差し状に係止せしめる合成樹脂製
   のクリツプであつて、筒形をなす主体の胴外周面
   には一端開口部側に挿入量を規制する鍔を、この
   鍔に対向させて係止部をそれぞれ設けると共に上
   記主体の中空内部には空隙を介在させて前記軸状
   係止脚を挿通する筒形の挿入体の一端を接続させ
   て一体に備える一方、前記主体の他端開口部には
   前記挿入体に連通させて係止板装着体を連設せし
   め、該装着体内に前記軸状係止脚を挿通する挿通
   孔を備え、且つその縁部から係止脚周面に突き立
   てこれを係止する係止爪を突設するワツシヤ形の
   金属製係止板を装着してなることを特徴とした軸
   状係止脚の止付けクリツプ。