JPH0246288Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は魚釣りに使用する釣竿に関する。

（従来の技術） 一般に、釣竿は、カーボン繊維などの高強度繊
維に合成樹脂を含浸したプリプレグを用い、この
プリプレグを芯金に複数回巻付けた後、加圧焼成
して管状に形成されるのである。

所で、従来、此種釣竿として、特公昭50−
38595号公報に記載されている通り、高強度繊維
に合成樹脂を含芯したプリプレグを巻回して形成
するロツド本体の内周面または外周面の一部分
に、ガラス糸を巻付けたものが知られている。

（考案が解決しようとする問題点） 以上のようにガラス糸を周方向に巻装すること
により、重量の増加を抑え乍ら、曲げに対する強
度、径方向の圧潰に対する強度を高めることがで
きるのであるが、前記ガラス糸をロツド本体の一
部分にのみ周方向に巻付けても、釣竿の張り、つ
まり剛性を向上し、負荷に対し曲がりにくゝする
ことはできなかつたのである。しかし、前記ガラ
ス糸を所定長さに亘つて巻装すれば、釣竿の張
り、つまり剛性を向上することも可能であるが、
この場合、ガラス糸をロツド本体の長さ方向に沿
つて多数回巻付けるため、剛性を向上させる場
合、その重量の増大率が高く、重くなる問題があ
る。

本考案の目的は、重量増大を最小にできながら
ロツド本体の張り、つまり、剛性を向上でき、負
荷が作用しても曲がりにくくすることができるよ
うにするものである。

（問題点を解決するための手段） しかして、本考案は、高強度繊維に合成樹脂を
含浸したプリプレグを巻装して形成する中空ロツ
ド本体１の中間部分に、前記ロツド本体１の長さ
方向に沿つて延びる長さをもち、かつ、前記ロツ
ド本体１を構成するプリプレグにおける高強度繊
維の引張弾性率と同じか、又は、それよりも高い
引張弾性率をもつた高強度繊維の引揃えシートに
合成樹脂を含浸したプリプレグから成る少なくと
も一つの張り調整体２をその繊維方向が前記ロツ
ド本体１の長さ方向に沿うように巻装したもので
ある。

（作用） 張り調整体２はロツド本体１に沿つて延びる長
さをもち、その上該調整体２を構成する高強度繊
維を引揃えた引揃えシートとし、かつ、前記高強
度の繊維方向が前記ロツド本体１の長さ方向に沿
うように巻装し、しかも、この高強度繊維の引張
弾性率が、ロツド本体１を構成するプリプレグに
おける高強度繊維の引張弾性率と同じか、又はそ
れよりも高くなつているため、前記高強度繊維を
有効に利用した、重量増大を最小にできながらロ
ツド本体１の張り、つまり剛性を向上でき、負荷
が作用しても曲がりにくくできるのであつて、竿
の調子を有効に調整できるのである。

（実施例） 図において、１はカーボン繊維、ガラス繊維な
どの高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
を芯金に巻回して中空状に形成するロツド本体で
あつて、このロツド本体１は、太径の手元ロツド
部１１と細径の穂先ロツド部１２と、これらロツ
ド部１１，１２を継合する径の異なる三つの中間
ロツド部１３，１４，１５とから成り、又、この
ロツド本体１は、前記プリプレグを、その高強度
繊維が長さ方向に指向する如く巻装して形成する
のである。又、前記プリプレグは、一般に、引張
弾性率が24〜46ton／mmの高強度繊維を使用して
いる。尚、前記ロツド本体１の内周には、引揃え
高強度繊維に合成樹脂を含浸した補強テープ（図
示せず）を螺施状に巻装して補強層を形成してい
る。又、前記竿本体１の外周には、引揃え高強度
繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ、又は補強
テープを、その繊維方向が周方向になる如く巻装
して補強層を形成してもよい。

しかして、前記ロツド本体１の中間部分に、前
記ロツド本体１の長さ方向に沿つて延びる長さを
もち、かつ、前記ロツド本体１を構成するプリプ
レグにおける高強度繊維の引張弾性率と同じか、
又は、それよりも高い引張弾性率をもつた高強度
繊維の引揃えシートに合成樹脂を含浸したプリプ
レグから成る少なくとも一つの張り調整体２をそ
の繊維方向が前記ロツド本体１の長さ方向に沿う
ように巻装したものである。

この張り調整体２は、主としてカーボン繊維又
は引張弾性率が大きいカーボン繊維の引揃えシー
トに合成樹脂を含浸したプリプレグを用いるので
あつて、このプリプレグを、前記高強度繊維の方
向をロツド本体１の長さ方向に沿わせて、該ロツ
ド本体１の外周に１プライ、又は２プライ巻装す
るのであつて、主として５〜20cmの長さに形成す
るのである。

又、前記張り調整体２を構成するプリプレグ
は、前記ロツド本体１を焼成する以前に、即ち、
該ロツド本体１を構成するプリプレグの合成樹脂
が硬化する以前に、前記張り調整体２を構成する
プリプレグをロツド本体１の外周に巻装し、次い
で、この張り調整体２及びロツド本体１の外周に
セロフアンテープを巻付けて、前記張り調整体２
及びロツド本体１を緊縛し、加熱炉で加熱焼成
し、前記張り調整体２をロツド本体１に一体に結
合するのである。

又、前記ロツド本体１が、第１図の如く五つの
ロツド部から構成されている場合、主として手元
ロツド部１１側から三つ目の中間ロツド部１４
で、かつ基端継合部１４ａ側部分が最も大きく撓
むため、撓みの大きい三つ目中間ロツド部１４に
おける基端継合部１４ａの前方位置に巻装するこ
とにより、その張り、つまり剛性を向上できなが
ら、曲げ強度も向上できるのである。

以上の如く張り調整体２は、ロツド本体１の長
さ方向に長い高強度繊維の引揃えシートを用い、
かつ、その繊維方向が前記ロツド本体１の長さ方
向に沿うように巻装し、しかも、この高強度繊維
の引張弾性率が、ロツド本体１を構成するプリプ
レグにおける高強度繊維の引張弾性率と同じか、
又は、それよりも高くなつているため、前記高強
度繊維の強度を有効に利用できるのであつて、前
記張り調整体２により、重量増大を最小にできな
がらロツド本体１の張り、即ち、剛性を向上で
き、負荷に対し曲がりにくくして竿の調子を先調
子にすることができるのである。

尚、以上説明した実施例では、張り調整体２を
ロツド本体１の外周に巻装したが、その他、ロツ
ド本体１の内周又は肉厚方向中間に巻装してもよ
い。しかし、外周に巻装することにより、ロツド
本体１を構成するプリプレグの高強度繊維が径方
向外方に曲げられるのを防止できるのである。

又、ロツド本体１が、五つのロツド部から構成
されているものにおいて、張り調整体２を三つ目
ロツド部１４の基端継合部側部分にのみ設けた
が、その他、この張り調整体２は、前記ロツド部
の基端継合部側部分と、先端継合部側部分との両
方に設けてもよいし、又、二つ目ロツド部１５に
設けてもよいのであつて、張り調整体２の巻装位
置及び個数は特に限定されるものではない。しか
し、ロツド本体１の最もよく撓む部分即ち、変曲
点に巻装するのが好ましい。

斯くすることにより前記変曲点を大径側へ移行
させることができるので、強度の向上も可能とな
る。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、高強度繊維に合成樹脂を
含浸したプリプレグを巻装して形成する中空ロツ
ド本体１の中間部分に、前記ロツド本体１の長さ
方向に沿つて延びる長さをもち、かつ、前記ロツ
ド本体１を構成するプリプレグにおける高強度繊
維の引張弾性率と同じか、又は、それよりも高い
引張弾性率をもつた高強度繊維の引揃えシートに
合成樹脂を含浸したプリプレグから成る少なくと
も一つの張り調整体２をその繊維方向が前記ロツ
ド本体１の長さ方向に沿うように巻装したから、
前記高強度繊維を有効に利用して重量増大を最小
にできながら、前記張り調整体２によりロツド本
体１の張り、つまり、剛性を向上でき、負荷が作
用しても曲がりにくくすることができるのであつ
て、竿の調子を有効に調整でき、軽くて張り具合
のよい釣竿を形成できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案釣竿の一実施例を示す正面図、
第２図は要部のみの切欠断面図、第３図は製造工
程の一部を示す説明図である。 １…ロツド本体、２…張り調整体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを
   巻装して形成する中空ロツド本体１の中間部分
   に、前記ロツド本体１の長さ方向に沿つて延びる
   長さをもち、かつ、前記ロツド本体１を構成する
   プリプレグにおける高強度繊維の引張弾性率と同
   じか、又は、それよりも高い引張弾性率をもつた
   高強度繊維の引揃えシートに合成樹脂を含浸した
   プリプレグから成る少なくとも一つの張り調整体
   ２をその繊維方向が前記ロツド本体１の長さ方向
   に沿うように巻装したことを特徴とする釣竿。