JPH0246286Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は魚釣りに使用する釣竿に関する。

（従来の技術） 現在、殆んどの釣竿は、カーボン繊維、ガラス
繊維などの高強度繊維の引揃えシートに合成樹脂
を含浸させた引揃えプリプレグを用い、この引揃
えプリプレグを、その高強度繊維が周方向に指向
する如く巻回して内層を形成し、この内層の外周
に、前記引揃えプリプレグを、その高強度繊維が
長さ方向に指向する如く複数回巻回して外層を形
成している。

（考案が解決しようとする問題点） 所で、前記プリプレグは、先細状に傾斜する芯
金の外周に巻回して内層及び外層を形成するので
あるから、前記プリプレグを、その高強度繊維が
長さ方向に指向する如く複数回巻回して外層を形
成する場合、その巻回数が多くなるに伴なつて、
外側層における高強度繊維が長さ方向に対し周方
向に捩れ易くなるばかりか、外側層のプリプレグ
に皺が生じ易くなるのである。

所が、前記外層の高強度繊維が捩れたり、プリ
プレグに皺が生じたりすると、高強度繊維の総使
用量に対する強度が充分に発揮されないことにな
り、それだけ単位重量当たりの強度が小さくなる
問題があり、又、前記プリプレグを、高強度繊維
が捩れないように、かつ、皺が生じないように巻
回するのは、非常に難かしいため、熟練を要する
ばかりか、能率が非常に悪く、コスト高となる問
題があつた。又、プリプレグを複数回巻回して前
記外層を形成すると、プリプレグの巻回両端部に
おける肉厚が厚くなり、この巻回両端部と、巻回
両端部を除く部分との間に段部ができるので、全
周面に亘つて同じ肉厚にならないのであり、従つ
て、方向性のある釣竿が形成されることになるの
である。

本考案は、プリプレグを巻回して形成する釣竿
において、高強度繊維を長さ方向に引揃えたプリ
プレグの前記高強度繊維が長さ方向に対し周方向
に捩れたり、皺が生じたりすることなく、簡単
に、かつ容易に巻回できるようにしたもので、高
強度繊維を長さ方向に引揃えた通常のプリプレグ
を敢えて複数回巻回しなくても、通常のプリプレ
グより肉厚の厚いプリプレグを用い、この厚手の
プリプレグを１回のみ巻回して、高強度繊維が捩
れたり、皺が生じたりしないようにした方が、高
強度繊維の総使用量に対する強度が充分に発揮さ
れることになり、単位重量当たりの強度を高める
ことができるばかりか、作業能率を向上できるこ
とを見出したのである。

しかして、本考案は肉厚の薄いプリプレグと、
肉厚の厚いプリプレグと、テープ状のプリプレグ
とを用い、前記薄手のプリプレグにより内側補強
層を形成し、更に、厚手のプリプレグにより中間
層を形成し、又、テープ状のプリプレグにより外
側補強層を形成することによつて長さ方向に引揃
える高強度繊維に捩れがなくて、しかも、皺のな
い釣竿を安価に提供できるようにしたものであ
る。

（問題点を解決するための手段） しかして本考案は、高強度繊維の繊維方向を周
方向にした肉厚の薄いプリプレグを巻回して内側
補強層１を設け、この内側補強層１の外周に、高
強度繊維を長さ方向に引揃えた肉厚の厚いプリプ
レグを１回巻回し、かつ、その両端を重ねること
なく突合わせて中間層２を形成し、この中間層２
の外周に、高強度繊維から成り、その繊維方向を
長さ方向としたテープ状のプリプレグを巻回して
外側補強層３を形成したものである。

（作用） 内厚の厚いプリプレグを１回のみ巻回して、そ
の両端を重ねることなく突合わせて中間層２を形
成することにより、長さ方向に引揃える高強度繊
維に捩れがなくて、しかも皺をなくすることがで
きながら、内側補強層１と外側補強層３とにより
前記中間層２を補強して、高強度繊維を長さ方向
に引揃えたプリプレグを複数回巻回するものに対
し単位重量当たりの強度を大きくできることにな
るのであり、又、方向性のない釣竿を形成するこ
とができるのである。

（実施例） 第１，２図に示した実施例では、高強度繊維の
繊維方向を周方向にした肉厚の薄いプリプレグを
巻回して内側補強層１を設け、この内側補強層１
の外周に、高強度繊維を長さ方向に引揃えた肉厚
の厚いプリプレグを１回巻回し、かつ、その巻回
両端を重ねることなく突合わせて中間層２を形成
し、この中間層２の外周に、高強度繊維から成
り、その繊維方向を長さ方向としたテープ状のプ
リプレグを巻回して外側補強層３を形成したので
ある。

以上の構成において、前記内側補強層１におけ
る薄手のプリプレグは、引揃えた高強度繊維に合
成樹脂を含浸したもので、その肉厚を、主として
0.05mm以下の薄肉とし、例えば１回巻回して、そ
の巻回両端部を互いに重ね合わせるのであるが、
２回以上に亘つて巻回してもよい。尚、この内側
補強層１は、シート状のプリプレグを巻回して形
成する他、テープ状のプリプレグを巻回して形成
してもよい。

又、前記中間層２における厚手のプリプレグ
は、通常のプリプレグにおける肉厚0.1mmよりも
厚い肉厚、例えば0.3mmに形成するのである。

斯く形成するには、例えば合成樹脂量を多くし
たり、高強度繊維として、通常のプリプレグにお
ける繊維太さよりも太い繊維を用いたり、又は高
強度繊維のシートを複数枚重ねた状態で合成樹脂
を含浸させて多層にするのである。

又、前記外側補強層３におけるテープ状のプリ
プレグは、引揃えた高強度繊維に合成樹脂を含浸
させたもので、このプリプレグを、その繊維方向
を長さ方向として螺施状に巻回するのである。
尚、このプリプレグは、螺施状に巻回する他、綾
巻状に巻回してもよいし、又、所定の間隔を置い
て巻回する他、間隔を置かずに巻回してもよいの
である。

又、このプリプレグの幅、巻回ピツチ、肉厚
は、前記中間層２の外径に対応して選択するので
ある。

尚、前記各プリプレグにおける高強度繊維は、
カーボン繊維、ガラス繊維などである。

本考案は以上の如く構成するもので、前記中間
層２により、長さ方向に対する一定の曲げ強度を
得ることができるのであり、又、前記内側補強層
１及び外側補強層３により、前記中間層２を補強
して、径方向の圧潰強さ、及びねじり強さを釣竿
に必要な強度にすることができるのである。又、
前記高強度繊維を長さ方向に引揃えたプリプレグ
は、１回のみ巻回し、かつ、その両端を重ねるこ
となく突合わせるのであるから、このプリプレグ
の巻回時、その高強度繊維が長さ方向に対し周方
向に捩れ難いし、又、プリプレグに皺も生じ難い
のである。しかも、肉厚の厚いプリプレグを突合
わせて重ね合わせないから、中間層２には、その
全周面に亘つて段部が生ずることはなく、従つ
て、全周面の厚さを同じにできるので、方向性の
ない釣竿、即ち、周方向のどの位置においても調
子が同じ釣竿を形成することができるのである。

尚、本考案の釣竿を製造する方法は、肉厚の薄
いプリプレグを芯金の外周に、高強度繊維の方向
が周方向になる如く巻回して内側補強層１を形成
した後、この内側補強層１の外周に、肉厚の厚い
プリプレグを、高強度繊維の繊維方向が長さ方向
になる如く１回巻回し、その巻回両端を突合わせ
て中間層２を形成し、然る後、この中間層２の外
周に、前記高強度繊維から成り、その繊維方向を
長さ方向としたテープ状のプリプレグを螺施状に
巻回して外側補強層３を形成し、次いで、この外
側補強層３の外周にセロフアンテープ（図示せ
ず）を巻付けて、前記内側補強層１中間層２及び
外側補強層３を緊縛し、加熱炉で加熱焼成し、前
記内側補強層１と中間層２と外側補強層３とを一
体的に結合するのである。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、内側補強層１と、該内側
補強層１の外周に設ける中間層２と、この中間層
２の外周に設ける外側補強層３とから成る釣竿で
あつて、高強度繊維を長さ方向に引揃えた肉厚の
厚いプリプレグを用いて前記中間層２を形成し、
しかも、この中間層２は、厚手のプリプレグを１
回のみ巻回し、かつ、その巻回両端を重ねること
なく突合わせて形成するのであるから、緩テーパ
の釣竿は勿論のこと、急テーパの釣竿であつて
も、また一部分に急テーパのテーパ部をもつた釣
竿であつても、前記中間層２における高強度繊維
を釣竿の長さ方向に対し捩らせることなく、長さ
方向に沿つて直線状に配設でき、しかも中間層２
の外周には、テープ状のプリプレグを巻回して外
側補強層３を形成しているから、成形時、中間層
２における高強度繊維が釣竿の長さ方向に対し捩
じれたりすることを防止できるのであつて、全体
として中間層２を構成する高強度繊維の繊維方向
を釣竿の長さ方向に沿わせて直線状に形成できる
のであるから、前記高強度繊維の特性を有効に利
用でき、従つて、単位重量当たりの強度を大きく
できるし、その上、肉厚の厚いプリプレグを突合
わせて重ね合わせないから、中間層２には、その
全周面に亘つて段部が生ずることはなく、従つ
て、全周面の厚さを同じにできるので、方向性の
ない釣竿、即ち、周方向のどの位置においても調
子が同じ釣竿を形成することができるのである。

更に、高強度繊維の繊維方向を周方向にした肉
厚の薄いプリプレグと、テープ状のプリプレグと
を用い、前記薄手のプリプレグを前記中間層２の
内側に巻回して内側補強層１を設けると共に、前
記テープ状のプリプレグを前記中間層２の外周に
巻回して外側補強層３を形成し、これら内側補強
層１及び外側補強層３により、前記中間層２を補
強し、釣竿に必要な径方向の圧潰強度及びねじり
強度を得ることができるのであり、しかも、前記
中間層の構成により作用を相俟つて重量当たりの
強度をより一層増大でき、それだけ軽量化できる
のである。

また、成形時、長さ方向に引揃える高強度繊維
に捩じれがなくて、皺を寄らせずに中間層を形成
できるから、前記した特性を有する釣竿を、簡
単、容易に、かつバラツキなく形成できて、作業
能率を向上でき、安価に形成できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案釣竿の一実施例を示す縦断斜視
図、第２図は縦断側面図である。 １…内側補強層、２…中間層、３…外側補強
層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高強度繊維の繊維方向を周方向にした肉厚の薄
   いプリプレグを巻回して内側補強層１を設け、こ
   の内側補強層１の外周に、高強度繊維を長さ方向
   に引揃えた肉厚の厚いプリプレグを１回巻回し、
   かつ、その両端を重ねることなく突合わせて中間
   層２を形成し、この中間層２の外周に、高強度繊
   維から成り、その繊維方向を長さ方向としたテー
   プ状のプリプレグを巻回して外側補強層３を形成
   したことを特徴とする釣竿。