JPH024433B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は文字、記号等が施されたキーキヤツプ
等の合成樹脂成型品の製造方法の改良に関するも
のであり、その目的とするところは耐摩耗性に優
れた文字、記号等が施されたキーキヤツプ等の合
成樹脂成型品を容易な工程にて位置ずれ、見当ず
れなく製造する方法を提供せんとすることにあ
る。

合成樹脂成型品のうちキーキヤツプについて、
以下説明を行う。

文字、記号等が施されたキーキヤツプは例えば
プツシユボタン式電話機、電子卓上計算機、タイ
プライター、ワードプロセツサー、パーソナルコ
ンピユーター等のキーボード部に多々使用されて
いる。

ところで従来、この文字、記号付キーキヤツプ
を製造する方法としては種々あるが、本発明者は
以前、各種物品への絵付に利用されている転写シ
ートを用いて、キーキヤツプ基材の表面に文字、
記号等のパターンを染色して形成する転写用パツ
ドを利用した転写印刷方法を発明することによ
り、耐摩耗性に優れた文字、記号付キーキヤツプ
を得ることに成功した（特願昭57−38333号）。こ
の方法は、基体シート上に、熱移行性染料を含有
するインキを用いて文字、記号等のパターン層を
形成してなる転写シートを、固定用治具によつて
固定された複数個のキーキヤツプ基材上に、前記
パターン層がキーキヤツプ基材の被転写面に接す
るように載置し、次に先端が曲面を呈する複数個
の弾性突起物を有する転写用パッドを用いて前記
転写シートの基体シート側から押圧して前記キー
キヤツプ基材の被転写面と前記パターン層とを密
着せしめ、その後前記キーキヤツプ基材の被転写
面と前記パターン層とを密着させたまま加熱染色
処理することにより前記パターン層内の熱移行性
染料を熱移行させて前記キーキヤツプ基材の被転
写面に所望の文字、記号等のパターンを染色せし
め、しかる後前記基体シートを除去することによ
りキーキヤツプ基材表面に文字、記号等のパター
ンを染色して形成する方法である。

しかしながらこの転写パツドを利用した転写印
刷方法を実施するにおいて、新たな問題点が生じ
ることがわかつた。即ち、前記転写印刷方法にお
いて、加熱染色処理する方法として、(1)転写用パ
ツドを用いてキーキヤツプ基材の被転写面と転写
シートのパターン層とを密着させた後、そのまま
の状態で加熱雰囲気におくことによつて加熱染色
処理する方法、(2)キーキヤツプ基材を固定用治具
によつて固定させた後、前記キーキヤツプ基材を
固定用治具とともに加熱雰囲気におき、その後キ
ーキヤツプ基材の被転写面と転写シートのパター
ン層とを密着させ、前記熱でもつて加熱染色処理
する方法等がある。しかしながら何れの方法によ
つても、複数個のキーキヤツプ基材の各々に対し
て、その被転写面の所定の位置に鮮明な文字、記
号等を施すことが困難であるという問題点が生じ
ることがわかつた。つまり、キーキヤツプ基材を
加熱する際、このキーキヤツプ基材を固定してい
る固定用治具をも加熱され、この熱によつて前記
固定用治具が熱膨張し、この治具に固定されたキ
ーキヤツプ基材が動き、この結果転写シートのパ
ターン層をキーキヤツプ基材の所定の位置に正確
に密着させることができず、位置ずれ、見当ずれ
を生じてしまうのである。

本発明者らは前記問題点に鑑み、種々実験、考
察を行つた結果、本発明を完成するに至つたもの
である。即ち本発明は基体シート上に、熱移行性
染料を含有するインキを用いて文字、記号等のパ
ターン層を複数個形成してなる転写シートを、前
記パターン層が複数個並べた前記合成樹脂成型品
の被転写面に各々接するように載置し、次に先端
が曲面を呈する複数個の弾性突起物を有する転写
用パツドを用いて前記転写シートの基体シート側
から押圧して前記パターン層と前記合成樹脂成型
品の被転写面とを密着せしめ、そのままの状態で
加熱染色処理することにより前記パターン層内の
熱移行性染料を熱移行させて前記合成樹脂成型品
の被転写面に所望の文字、記号等のパターンを形
成せしめ、しかる後前記基体シートを除去するこ
とよりなる文字、記号付合成樹脂成型品の製造方
法において、前記合成樹脂成型品の被転写面と前
記パターン層とを密着せしめるに先だち、前記合
成樹脂成型品のみを加熱せしめることを特徴とす
る文字、記号付合成樹脂成型品の製造方法であ
る。

以下、本発明を詳細に説明する。

本発明において使用する転写シートは、紙類、
金属箔、紙類と金属箔とをラミネートしたシート
状物、プラスチツクフイルム類等の基体シート上
に文字、記号等からなるパターン層を積層してな
るものを基本的な層構成とするものである。

文字、記号等からなるパターン層は熱移行性染
料を含有するインキを用いて形成する。

本発明に係るキーキヤツプ基材の材質として
は、前記熱移行性染料で染色可能で、かつ後述す
る遠赤外線を吸収する性質を有するものなら何で
もよく、例えばポリブチレンテレフタレート、ポ
リカーボネート等を挙げることができる。

本発明に使用する転写用パツドとしては、例え
ばシリコンゴム等の弾性体が用いられ、またその
形状としては先端が湾曲面を呈する複数個の突起
物を有するものを用いる。更にこの突起物は、染
色しようとするキーキヤツプ基材の個数に対応し
た数を設ける。

この転写用パツドは、キーキヤツプ基材の被転
写面と転写シートのパターン層とを密着させるた
めのものであり、特にキーキヤツプ基材の被転写
面が湾曲した凹型表面を呈している場合等、表面
が平滑でない場合には必要不可欠のものである。

次に前記構成からなる転写シート、及び転写用
パツドを用いてキーキヤツプ基材に文字、記号等
を施す方法を説明する。

先ずキーキヤツプ基材を、固定用治具によつて
複数個並べる。キーキヤツプ基材は通常50〜200
個程度並べる。なお、前記固定用治具としては後
述する遠赤外線を反射しやすいものを用いる。こ
のようなものとしてはアルミニウム等の表面が磨
かれた金属が好ましい。

次に、転写シートをキーキヤツプ基材上に載置
する前に、予めキーキヤツプ基材のみを加熱す
る。このように加熱する方法としては遠赤外線放
射による加熱方法がある。この遠赤外線を利用し
た加熱ヒーターは、遠赤外線を吸収する物質に対
してのみ加熱源となるものであり、本発明におい
てはキーキヤツプ基材のみを加熱することができ
るものである。前記遠赤外線とは通常、赤外線の
うち波長が4μｍ以上のものをいうが、本発明に
使用することができるものとしては波長が1.5μｍ
から1000μｍ、好ましくは4μｍから50μｍの電磁
波を放射するものであればよい。また加熱条件と
しては照射距離30〜150mm、照射時間50〜360秒が
好ましいが、云うまでもなくこれらに限定される
ものではない。前記加熱方法によつてキーキヤツ
プ基材の被転写面が約180〜230℃に加熱される。

次に転写シートを加熱されたキーキヤツプ基材
上に、パターン層とキーキヤツプ基材の被転写面
とが接するように載置する。

次に転写用パツドを用い、前記転写シートの基
体シート側から押圧し、前記キーキヤツプ基材の
被転写面と前記パターン層とを完全に密着せしめ
る。このようにすることによつて加熱されたキー
キヤツプ基材の熱により前記パターン層内の熱移
行性染料が熱移行し、前記キーキヤツプ基材表面
に所望の文字、記号等のパターンが形成される。
即ち、約180℃〜230℃に加熱されたキーキヤツプ
基材の被転写面上に転写シートを載置し、転写用
パツドを用いて密着させると、キーキヤツプ基材
の熱によつて転写シートのパターン層内の熱移行
性染料が、活性化され、その状態を一定時間（通
常５秒〜60秒）保持すると該染料がキーキヤツプ
基材内部に移行し、キーキヤツプ基材表面に所望
の文字、記号等のパターンが形成されるのであ
る。従つて本発明による場合、所謂転写時に特別
の加熱処理を要しないが、キーキヤツプ基材を転
写するまで比較的時間を要する場合あるいは転写
用パツドが大きい場合等、転写時に加熱されたキ
ーキヤツプ基材の温度低下が甚だしい場合には、
例えば加熱盤を有する転写用パツドを用いたりし
て転写用パツドを加熱する等の手段が必要となる
ことは云うまでもない。

しかる後、前記基体シートを除去することによ
り本発明に係る文字、記号付キーキヤツプが得ら
れる。

本発明に係る文字、記号付キーキヤツプの製造
方法は以上のような構成からなるものであるか
ら、次のような効果を有する。即ち、キーキヤツ
プ基材を加熱染色処理する際、キーキヤツプ基材
のみを加熱するものであるから、キーキヤツプ基
材の固定用治具が熱膨張せずキーキヤツプ基材が
動くことなく、従つて転写シートをキーキヤツプ
基材に密着させ加熱染色処理する際に位置ずれ、
見当ずれを全く起こさず、キーキヤツプ基材の所
定の位置に正確にパターンを形成することができ
るものである。

依つて本発明に係る文字、記号付キーキヤツプ
の製造方法は産業上利用価値の極めて優れたもの
である。

なお、以上の説明は文字、記号付キーキヤツプ
の製造方法について行つたが、本発明は被転写体
としてキーキヤツプに限定されるものではなく各
種合成樹脂成型品に対して適用が可能であること
は云うまでもない。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基体シート上に、熱移行性染料を含有するイ
   ンキを用いて文字、記号等のパターン層を複数個
   形成してなる転写シートを、複数個並べた合成樹
   脂成型品の被転写面に前記パターン層が各々接す
   るように載置し、次に先端が曲面を呈する複数個
   の弾性突起物を有する転写用パッドを用いて前記
   転写シートの基体シート側から押圧して前記パタ
   ーン層と前記合成樹脂成型品の被転写面とを密着
   せしめ、そのままの状態で加熱染色処理すること
   により前記パターン層内の熱移行性染料を熱移行
   させて前記合成樹脂成型品の被転写面に所望の文
   字、記号等のパターンを形成せしめ、しかる後前
   記基体シートを除去することよりなる文字、記号
   付合成樹脂成型品の製造方法において、前記合成
   樹脂成型品の被転写面と前記パターン層とを密着
   せしめるに先だち、前記合成樹脂成型品のみを加
   熱せしめることを特徴とする文字、記号付合成樹
   脂成型品の製造方法。