JPH0243637B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は顔料拡散転写装置による金属容器の
装飾方法に関し、順次に移行する金属容器に対し
昇華性染料を用いた標示をもつて印刷された可撓
性キヤリヤを、容器表面上のこのような染料を感
受可能なコーテイング上に貼布し、キヤリヤがコ
ーテイング容器から除去される前に、染料の少く
とも或る量が昇華によつてコーテイング内に転移
するように容器が加熱されている間にキヤリヤが
コーテイングと緊密接触状態に保たれる。

この明細書において、用語「装飾」とは標示の
貼布を意味し、さらに「標示」とは例えば装飾模
様、色彩区域、絵画或は図形、登録商標、説明、
成分、法定銘或は他の記載事項、販売記号、工場
記号等を印刷によつて基材に貼布する或る種の或
はすべての可能な標示（裸眼で可視或は不可視で
あるに拘らず）のことである。「容器」とは空虚
の容器本体を含む。染料拡散式転写技術は、織物
の印刷用として永らく用いられており、これらの
技術は、特にカーテンや室内装飾用材料のような
家庭用布地、衣服、スカートを含む合成繊維製品
に対し、および個人向けテイーシヤツ用としてそ
れらの広範な使用範囲を有している。

染料拡散式転写による装飾は、また適当なコー
テイングが最初に加えられる非織物製品に大幅に
用いられる。よつて、例えば、壁炉のホブカバ
ー、シチユーなべ、およびトースタや他の装置の
ジヤケツトなどの家庭用製品はこの方法によつて
その装飾に成功している。好適な感受性コーテイ
ングが与えられ次いで染料拡散式転写によつて装
飾される材料は金属に限るものではなく、例えば
再生ボール紙のような木材或は木製品をも含む。
染料拡散転写法は好適な感受性コーテイングをま
ず付着した後に或る種の陶磁器への直接付着にも
用いられる。

上記製品の或るものは、大量の製品が年間に造
られるという意図で多量生産されるが、これらの
量は多くの種類の通常の包装容器が造られる量と
は同じオーダではない。例えば、ビール、他の飲
料或は食品用として用いられる種々の形状の所謂
上開き缶は１つの製造ラインから年間で数百万缶
にも達する。

現代の製造装置は、実際には毎秒10缶以上の速
度で運転するから、何等かの理由でもしこのライ
ンが停止するとこれに伴つて原価が増大する。よ
つて、例えば１シフトの終末或は緊急時以外には
缶製造ラインを停止することは極めて望ましくな
い。

金属の上開き缶は従来一般に２つの方法の１つ
で装飾されている。第１の方法は、塗布或はホツ
トメルト接着材によつて缶まわりに紙ラベルを付
着するものである。第２の方法はビールおよび他
の飲料用の所謂二体缶（即ちこれらは深絞りを含
む工程によつて造られる単体の缶本体をもつ）の
場合に一般化してきたもので、これは缶自身に直
接に装飾を印刷するものである。ペンキ缶、金属
エーロゾル缶、飾り箱その他の箱類のような他の
或る種類の金属容器は一般に薄板材を組立てて造
られ、この金属薄板は前もつて印刷されるから、
それ自身装飾工程を受ける容器とは云えない。

紙ラベルの利点は、大多数の缶が中断なく連続
的に製造され、さらに必要に応じて幾つかの小群
に分けられ、各群が異つた缶詰業者の要求に応じ
て、或は１つの缶詰業者の種々の製品を識別する
ために他の群とは別にラベル貼りできることであ
る。しかし、ラベルは、ラベルが破損を受けやす
いという欠点をもつ。また、紙ラベルは幾分不体
裁で、所謂絞り／再絞り加工によつて造られた二
体形式の改良型食糧缶の出現は、ラベルがその外
観を低下させる傾向を強め、従つて最終の小売購
入者への魅力を大いに減じさせる。しかし、恐ら
くさらに重要な不利点は、缶入り製品の大きい比
率部分を占めるものは食料品（飲料を含み）であ
つて、これらは缶が充填かつ閉鎖された後に滅菌
或は低温殺菌を殆んどの場合要求されるという事
実である。紙ラベルは、貼布する場合、一般にラ
ベルの損傷を防ぐために滅菌或は低温殺菌処理の
後に行われる。よつて、もし紙ラベルが使用され
れば、缶詰業者によつて貼布されなければならず
缶製造業者によつては実施されない。

紙ラベルの他の不利点は、それらが容易に破
れ、もしラベルを貼つた缶（或は貯蔵中のラベル
自身）が湿気のある雰囲気を受けると損傷を起し
易く、かつ湿気後は塵埃の影響で缶から剥離する
という事実を含み、これにより、従つて内容物の
寿命を制定し、および或る場合にはそれらの正確
な成分を制定する確実な方法が無く、従つて如何
なる状態でそれらを使用すべきでないかを確実に
把握できなくさせる。

実際の場合、従来は、紙ラベル貼りは缶製造業
者ではなく缶詰業者によつて一般に実施されてき
た。このために、缶詰業者は単に印刷したラベル
と接着材を保管しなければならないばかりでなく
充填装置が運転する速度と少くとも同じ速度でラ
ベルを貼布することができるラベル貼り装置を備
えなければならない。他方において、ラベルを容
器の標示担持要素として使用するときは、数種の
異つたラベルデザインを必要とする数種の製品を
造る缶詰業者の余分な空虚な缶体の貯留は不必要
であり、その理由はもし該業者が前もつて印刷さ
れた缶の在庫品をもつ場合にそれぞれの、および
各製品に関して予期する総需要量を満足するのに
必要とする代りに彼の総予想需要を満足するに足
る量を含むだけでよいからである。後者の場合、
在庫品は、経済上から、直接に缶に印刷する既存
形式の機械は一般に１回に長期間運転しなければ
ならないから、適正量以上とする傾向となり、こ
の結果、印刷した缶は在庫品が占有する実際のス
ペースの代価の他にそれ自身が付加代価の源とな
る必要な制御された環境状態の下での可成りの期
間にわたる保管を必要とさせる。

よつて、缶製造業者は最少量の空虚の未被覆か
つ未印刷缶を保管することが一層経済的であるこ
とを発見し、ここにおいて彼自身の手で装飾を施
すことの魅力が一部を占めるに至つた。他方にお
いて、この魅力は保管中にこれらの缶に適切な保
護を与えることの必要さによつて大いに無効化さ
れる。

事実、紙ラベルは三体形式食物缶用として一般
に用いられているが、現在製造される上開き缶の
増加する大部分を占めるビールおよび飲料缶には
用いられない。これは一部には缶が食物のような
固形製品よりも可成り高い速度で液体によつて充
填されることによる。紙ラベル貼布は、もし使用
されれば、缶詰業者によつて実施され、該業者は
印刷済ラベルおよび接着材の在庫品を保有しなけ
ればならないばかりでなく、充填装置の運転速度
よりも少くとも高い速度でラベル貼布ができるラ
ベル貼布機を備えなければならない。よつて、高
速の充填作業に対し、さらに１充填ライン用とし
て高価な高速レベル貼り機か数基の低速ラベル貼
布機を提供することが必要である。いずれの場合
も、缶詰業者の観点から、このことは資本費用、
工場占有空間、および維持ならびに労務費の点で
大きい支出をあらわす。

これらの理由ならびに他の理由から、装飾は缶
詰業者が行うよりも缶製造業者によつて実施する
ことが望ましい。上述の説明から装飾は紙ラベル
を使用するよりも缶自身に印刷して付着すること
が好ましいことは明らかである。しかし、予め印
刷した金属薄板から造られた組付け或は三体形式
の缶以外は、製造業者は各缶群が互いに異なる装
飾をもつ比較的小群の缶を如何に経済的に提供す
るかという問題に当面する。

通常のブランケツト印像を用いる乾式オフセツ
ト技法によつて二体缶の缶体を装飾するのに適し
た高速装飾機が利用できる。しかし、このような
機械は可成な資本投下を示し、かつこれらの機械
は高速機械であるから印像を変えるために非運転
状態に充当する時間は従つて高価になる。このよ
うにこれらの機械は経済的観点から短時間運転に
対しては魅力ある提案ではない。低速運転の、従
つて（理論的に）短時間運転に対しては潜在的に
魅力の少い他の装飾機械の利用が可能である。こ
れらの機械は種々の印刷技法を用いる。それにも
拘らず、これらはなお可成りの資本投下を要し、
かつ１つの缶群と次の缶群との間における装飾を
変更するために運転を停止しなければならない。

缶体の金属表面に、或は金属表面上の適切なコ
ーテイングに、直接印刷する限り、一般に用いる
大部分の既知の印刷機械は実際面において他の極
めて重要な不利点を受ける。これは、印刷品質が
紙や平坦な金属薄板のような平坦な基材に印刷し
て得られる印刷品質に著しく劣ることである。こ
のように、缶を現在一般に達成されているよりも
高い基準の技術的品質に印刷させる方法の導入に
は可成りの考慮の余地がある。完成品の印刷品質
を改善するために缶体表面への通常の印刷技術に
代る１つの方法としての染料転写印刷技術の使用
が提案システムの主題となつてきた。この提案に
おいて、連続移行する金属薄板製の容器本体が管
状構造体を通つて高速度で前後に並んで通過さ
れ、これとともに成形要素によつて缶体に向けて
前もつて印刷された転写紙の連続帯材が位置づけ
られこれによつてこの帯材がその側縁を缶体の縦
方向に延ばして缶体まわりに巻かれる。この状態
において、缶体と帯材は管状構造体に沿つて通過
される間に加熱され、これによつて帯材に印刷さ
れた染料の缶体上の好適なコーテイング内への転
写が実施される。管状構造体から出る時、帯材は
巻き戻されて放棄される。

上記の提案は識別用標示を受けるすべての大多
数の缶体の高速印刷に対して好適である。しかし
比較的小群の缶体が短時間運転要求を満足するた
めには帯材のリールを変えるために機械が停止さ
れるか（これによつて既述の不利点を受け）、或
はそのこと自体が多数の付加問題点を提起する帯
材が一連の異つたデザインで前もつて印刷されな
い限り適当ではない。

金属缶の表面に直接に印刷しかつ高速度作業が
可能であるが、一つの装飾デザインから他のデザ
インに切換えを行うために生産の停止を要せずに
かつ購入或は維持に高い経費のかかる高度に特殊
化された装置の使用を必要とせずに比較的小群の
缶を特別に配慮せずに異つた装飾デザインの短時
間作業が可能な高品質印刷方法に対する要求が依
然として残つている。

この発明によれば、その第１の態様として、金
属容器を装飾する方法は、このような容器の各連
続移動群に対し、昇華性染料による標示を印刷さ
れた可撓性キヤリヤを、容器の表面上のこのよう
な染料を感受可能なコーテイング上に該コーテイ
ングに損傷を与えずに除去可能な接着材によつて
貼布し、キヤリヤがコーテイングと緊密接触状態
に収縮しかつ染料の実質的な割合が標示をコーテ
イングに転写するために昇華するような温度およ
び時間で、キヤリヤが容器に接着されている間に
容器を加熱し、容器を冷却状態に放置し、キヤリ
ヤおよび接着材を容器から剥離する段階を含む。
好ましくは、ラベル形状の個々のキヤリヤは各順
送容器に貼布される。

各容器にキヤリヤを付着する好適な接着材の使
用は、この目的のために外部の機械装置（高速度
運転において特に複雑或は信頼性が低く、或はそ
の両方の性質を兼ねる）の提供を必要とせずに容
器表面上のコーテイングとキヤリヤとの間の必要
な緊密接触を保証する簡単な方法を提供する。こ
れに関して、例えば連続キヤリヤが缶体まわりに
巻かれこの状態を缶体が加熱管状構造体を通過す
る間に保持される上記のような装置において、染
料転写工程中にキヤリヤの縁部が収縮によつて離
脱しないことを確保する手段を提供しなければな
らない。管状構造体はこの目的用の成形手段とし
て作用できるが、キヤリヤ上に外側から作用する
機械的な力が存在することと同時にこの管状構造
体が缶体の単一のサイズにのみ適合しているた
め、「短時間」運転に対し上述のその不適性によ
つて適用範囲を既に制限されたシステムの多用性
をさらに減少する問題が生ずる。

さらに、上述の事実から、各容器本体にキヤリ
ヤを貼布するのに接着材を使用する重要な結果
は、キヤリヤと本体との間の所要の緊密な接触
が、染料転写工程を実施するために加熱される結
果として水分の損失に起因してキヤリヤが収縮す
るという事実のさもなければ不利点となる特性を
転じて有用な特性とすることによつて達成される
ことが判る。このことは加熱および染料転写を実
施中に外部からの圧力の適用に依存する従来提案
の装置に比して、キヤリヤと容器との間に可成り
改善された接触を生ぜしめる。

もし各容器が、各容器に対し個々のキヤリヤを
用いてこの発明の好適態様に従つて装飾されれ
ば、「短時間」運転が容易に可能となりかつ「ラ
ベル」の１群（予め印刷されかつ印刷された缶体
よりもはるかに狭い場所に貯留できる）を適切に
選択することによつて缶製造業者は殆んど考慮を
払わずに比較的小群の印刷された缶体を製造でき
ることが判る。これはひいては缶詰業者が空虚缶
の貯蔵の上で大きい経済上の利点を得ることを意
味する。

さらに別の利点として、各容器に対して個別の
キヤリヤを使用することによつてこの発明に係る
方法は、もし要求されれば容器を、例えば一つの
容器には一つの景色を示す絵を、次の容器には別
の景色を示す絵をつけるように一連のデザインで
印刷させることができる。この方法は例えば一つ
の絵、および別の絵を様々のキヤリヤに印刷し、
これらが容器に貼布される機械に給送される前に
所与の順序に整理配列することによつて容易に実
施される。

この発明のさらに別の、しかも極めて重要な利
点は、容器上の装飾が、普通の容器印刷装置を用
いる直接貼布によつて印刷された殆んどの容器に
通常見られる装飾に比して改善されるばかりでな
く、経済的に用いられる色彩の種類も増加され
る。これはキヤリヤが紙に印刷するのに通常の技
術を用いて印刷され、容器上の最終装飾は白色染
料を含まないすべての染料は転写されかつ或る色
彩（例えば金属光沢金色）は染料拡散技術では容
易に転写できないことによる。しかし白色を除外
することは容器がこの発明による方法によつて装
飾される前に普通の方法で白色生地被覆を容器上
に提供することによつて解決できる。

各容器は個別のキヤリヤを使用することがこれ
によつて達成されるシステムの「多様性」の上か
ら好ましいが、それにも拘らずこの発明の範囲内
でコイルから引き出されかつ多数の容器用として
標示を予め印刷された連続キヤリヤを使用するこ
とが可能である。この場合、容器は既知の方法で
一列に並んだ形でキヤリヤに向つて提供され、こ
のキヤリヤは容器に導入される前にその縁部に塗
布された接着材をもつ。

しかし、個々のキヤリヤが用いられる場合、接
着材およびキヤリヤは高速度で運転できる自動容
器ラベル貼布機によつて貼布されることが好まし
い。このような機械は基本的には普通形式のもの
であつて、一般に缶へ直接に装飾を印刷する代り
に充填済缶にラベルを貼布するため缶詰業者によ
つてよく通常使用されるラベル貼布機に類似す
る。しかし、この発明の実施に際し、缶体は空虚
でありかつ典型的には極めて薄肉構造体であり、
従つて可撓性さえ有している。従つて、容器本体
にキヤリヤを貼布する装置は容器本体を保持しか
つ搬送しさらに容器本体にラベルを貼布するのに
要する力を最小値に押えることが好ましい。この
ために、各容器本体は、キヤリヤの貼布中にこれ
を定常状態に保つために対応する回転部材を本体
の上端に軽く係合して状態で本体をそれ自身の軸
線まわりに回転するように例えば回転支持具上に
受けられる。キヤリヤは、キヤリヤの一部分が本
体に前もつて塗布された接着材と接触状態にもた
らされ、従つて真空式キヤリヤ保持装置から引き
離され容器本体とともに回転され、柔軟なワイパ
によつて本体と円周方向に接触するように極めて
穏かに掃引されるように、真空式キヤリヤ保持装
置によつて本体と向い合わされる。前記キヤリヤ
保持装置は、例えば容器本体に対して軟質のスポ
ンジゴム或は発泡プラスチツク材料の表面を向け
た１以上の無端移動ベルトを含む。接着材は圧縮
空気、或は接着材自身の供給源におけるその液頭
によつて発生した圧力によつて噴霧或は噴流の形
で貼布される。このために、接着材塗布機が提供
され、該塗布機は容器本体へのキヤリヤの貼布の
直前に容器本体に接着材の噴霧或は噴流を配向す
るノズル或は一連のノズルを具備する。これとは
別に、慣用の「こすり付け」式接着材塗布方式も
使用できる。

もちろん、接着材は染料が困難なく転移できか
つキヤリヤが容器本体から剥離されるとき容易に
除去できる種類のものでなければならない。この
ために、接着材は、例えばDextrine Gum（登録
商標）接着材のような水溶性で移行性のものが好
ましい。容器にラベルを貼布するのに通常用いら
れるホツトメルト型移行性接着材は、水溶性接着
材としてその除去が余り容易でなく、特にホツト
メルト接着材によつて実施されたラベルと容器と
の間の結合が熱を加えることによつて強化する傾
向をもつから好ましくない。ホツトメルト接着材
はまた容器本体上のコーテイングを破損する傾向
をもつ。

水溶性接着材に代つて、基材とは結合部を形成
しない種類の粘着接触型接着材が、加熱後におい
てさえも、もし容器上のコーテイングに損傷を与
えずかつ穏かな摩擦によつて容器から容易に転脱
できれば、使用できる。

キヤリヤが個別型であつても連続型であつて
も、染料転写を実施するのに必要な好適な加熱方
法は、従来提起されてきたような誘導加熱或は加
熱板の使用に依らずに熱風によることが好まし
い。このために、少くとも個々のキヤリヤが用い
られる場合に、容器に接着されたキヤリヤは順次
に熱風式オーブンを通過させることが好適で、こ
のオーブンもまた一般に缶内側ラツカをストーブ
加熱するのに用いられるものと類似のマツト搬送
型オーブンのような本質的に普通型のものが使用
できる。これによつて多量搬送方式で加熱できる
利点をもち、次いで工場スペースの効果的な利用
を許しかつ各キヤリヤの均等加熱を保証する。典
型的な加熱条件は、180℃から220℃の範囲内の温
度で30秒間実施するが、この温度および時間は任
意特定の生産ラインの要求に適合するように変化
させられることが判る。

染料の転移を行うために加熱した後、キヤリヤ
は、摩擦力を加える加えないは別として、噴霧水
を加えて容器から剥離することが望ましい。この
ために、簡単な洗滌装置が設けられ、これによつ
て容器は噴霧水を通して搬送されている間にくび
部から、或は他の方法で好適に支持され、この噴
霧水は接着材を溶かし、かつ容器を洗滌して、内
容品の充填準備が完了する。もし剥離作業に摩擦
作用の支援を行なう場合、例えばゴムや織物など
で造られた可撓性ベルトと接触を保つた状態で容
器を通過させると同時に容器に噴霧水を加えるこ
とによつて実施される。もし接着材が水溶性でな
ければ、キヤリヤの除去は全く摩擦、即ち容器か
らキヤリヤをこすり落しかつ容器上のコーテイン
グから接着材を転脱させることによつて実施され
る。

各容器上のコーテイングは可成りの数の分子当
り反応性基をもつ非直鎖性の架橋ポリエステルま
たは非直鎖性の架橋熱硬化性アクリル樹脂の少く
とも一層を形成する好適に感受性の表面を含む。
好適なコーテイング材料としては、エポキシポリ
エステル、ポリエステル、ポリエステルエポキ
シ、アルキド、アルキド・メラミン、アクリル、
アクリル化、およびアクリル化アクリル型のもの
である。コーテイング、或は少くとも一層のコー
テイングは例えば白（本文の初めにおいて述べた
ような白色下地被覆を提供するために）のような
任意適当な色彩に転移される。転移された層が提
供される場合、この転移層上に第２の半透明のコ
ーテイング材料層を設けることが好ましい。

キヤリヤ上に印刷するための昇華性染料、およ
び容器のコーテイング材料はそれらの反応性基が
染料とコーテイングとの間に化学的結合作用を行
なうために互いに反応するように選択される。こ
の要求を受ける条件として昇華性染料は少くとも
１つの置換された分子当り反応性基の加減によつ
て変性された少くとも１つのアントラキノン或は
キノリン染料を含むことが好ましい。

この発明による方法およびこの方法を実施する
装置の実施例を単にこれを説明例として図面を参
照しつつ以下に述べる。

まず第１図において、この発明による染料拡散
転写方法による金属缶の高速印刷用の印刷ライン
の配列線図を示す。このラインは本質的に３部分
から成り、即ち缶体準備部２、キヤリヤ準備部
４、および缶体印刷部６である。これらの部分の
最初の２つの部分２および４のいずれか或は両方
は図示のように適当なコンベヤを介して直後に、
或は各中間貯留部８或は１０を介して缶体印刷部
６に接続する。

このラインの缶体準備部４において、生地段階
にある缶体、即ち清浄な未被覆の金属生地をあら
わす缶体１２が１６，１８，２０および２２で示
す通常の装置によつて順次に第１コンベヤ１４に
よつて搬送される。段階１６において、有機質の
被覆層２４が各連続移行する缶体１２の側壁２６
（第２ａ図）の外側に塗布される。この下地被覆
は段階１８において乾燥され、そののち第２ａ図
における有機質ワニス２８の層が下地被覆２４を
覆うように段階２０において塗布され、このワニ
スは最終段階２２において乾燥される。このよう
に被覆された缶体１２は中間貯留部１０に除去さ
れて印刷作業に対して待期する。この実施例にお
ける下地被覆２４は白色顔料を含むが、半透明の
ワニス層２８と同様な成分をもつあらゆる他の顔
料を含む。この成分は前文において好適であると
列記した任意のものが用いられる。

キヤリヤ準備部２において、接着材で被覆され
た適当な紙が昇華性染料で一般に通常の方法によ
つてキヤリヤ印刷機３０内で印刷されて、それぞ
れが缶体１２上に順次に印刷される標示を含む多
数の印像を印刷された紙から成る連績キヤリヤを
つくる。染料は、昇華によつて気化するために加
熱されるとき、缶体に塗布されたワニスおよび下
地被覆が染料拡散転写が実施できるように染料蒸
気を受け入れられるように選択される。印刷後、
キヤリヤはそれぞれが前記印像の１つをもつ個々
のキヤリヤに切断機３２によつて切断され、これ
らのキヤリヤは積み重ねられかつ、中間貯留部８
に移送されて前述のようにして必要の時に使用す
るために待機状態に置かれる。

缶体印刷部６の基本構成要素は、３６で図式に
示された主缶体コンベヤを含み、このコンベヤは
この部分で実施される種々の行程段階を通して被
覆された缶体１２を搬送する。これらはキヤリヤ
貼布機３８、加熱オーブン４０、キヤリヤ剥離機
４２および缶体洗滌機４４によつて順次に遂行さ
れる。キヤリヤ貼布機３８は中間貯留部８から
個々のキヤリヤ（４６で示す）を受け入れ、かつ
少量の接着材を各連続移行する缶体に塗布する接
着材貼布機４８を有し、この接着材は被覆された
缶体１２にキヤリヤを固着させかつ缶体のコーテ
イング２４，２８（第２ａ図）を損傷せずに缶体
から除去可能なものである。

この実施例において、各缶体１２は、普通の方
法で側壁２６の後続する絞り作業とともに平坦素
材から絞り作業によつて造られる単体のぶりき板
或はアルミ容器であり、これによつて側壁は極め
て薄くかつ可撓性が大きい。生地の缶体を完成す
るために、くび部およびフランジ（第３図の５
０）が缶体の開口端に形成される。キヤリヤ貼布
機３８は充填した缶に紙ラベルを貼布するのに通
常用いられるような普通型ラベル貼布機を含む
が、各缶体１２に普通の機械では一般的であるよ
りも可成り小さい力を加えるように構成され、こ
れによつて缶体に過度の撓みや生じ得る破損を避
ける。このために、キヤリヤ貼布機３８は缶体と
係合するためにスポンジゴム或は発泡プラスチツ
ク材料の柔軟なスポンジ状表面をもつ駆動ベルト
を含む。さらに、接着材塗布機４８はその長さに
沿つて間隔を保つて配列された一連の噴霧ノズル
をもつ管状体で、この管状体はキヤリヤ貼布機内
に保持された缶体の軸線と平行に配置されかつ接
着液供給源および空気圧力源に接続され、これに
よつて加圧状態の一連の平行な噴流接着材を個々
のキヤリヤ４６を缶体に貼布する直前に被覆され
た缶体側壁の外側表面に向けて塗布する。

缶体印刷オーブン４０はこの実施例では普通型
マツトコンベヤ型であつて、ここにおいて缶体は
オーブンを急速に通過する間に熱風によつて加熱
される。

動作について述べれば、中間貯留部１０から補
充された缶体１２は主コンベヤ３６上にのせら
れ、このコンベヤはこれらの缶体を前後に並べて
キヤリヤ貼布機３８に搬送し、ここにおいて既述
のように缶体に接着材が塗布され、次いでキヤリ
ヤ４６の１つが接着材によつて缶体に接着される
ように缶体に巻き付けられる。次いで、缶体はオ
ーブン４０内に搬送され、ここにおいて、180℃
の温度で30秒間（例えば）加熱される。

第２ａ図は缶体がオーブン４０内に搬入される
直前に缶体に貼布されたキヤリヤを付着させた缶
体側壁の一部分を示す。ここにおいて染料はキヤ
リヤの結合材層４９内に保持されたキヤリヤの紙
基材４７の表面上にあることが判る。全体が加熱
されると、紙基材は水分を失つて収縮しかつ接着
材によつて缶体に保持され、よつてキヤリヤ４６
は何等付加的な機械的圧力を加えることを要せず
にワニス層２８と極めて密接な接触状態となる。
これと同時に、染料の昇華が行われるから大部分
の染料は気化して一般に第２ｂ図に示すようにワ
ニスおよび下地被覆層２８，２４内に拡散する。
キヤリヤ内に残つた残余の染料は缶体を印刷する
のには不必要である。

オーブン４０を離れると、缶体は染料および缶
体のコーテイング内に転写されたしるしがコーテ
イング内で固着するように自然冷却される。次に
キヤリヤは剥離機４２によつて剥離され、次いで
缶体は洗滌機４４内で洗浄される。

この実施例における接着材は既述のような水溶
性のものである。市販品として入手できる好適接
着材の１つはBerkshire州、SloughのWilliams
Adhesives社製の市場照会番号SW1934の所謂
Dextrive Gum（登録商標）である。

次に第３図乃至第５図において、これらの図は
キヤリヤ剥離機４２の１実施例を示し、キヤリヤ
４６および接着材は缶体コンベヤ５６の両側に配
置された一対の平行な噴霧ヘツド５３から送出さ
れる噴霧水５２によつて缶体１２から剥離され
る。コンベヤ２６は懸吊型で一対の無端帯材５８
の形式のもので、これらは缶体の末端くび部５０
内に係合しかつそれらの末端フランジによつて缶
体を支持する。帯材５８はコンベヤ３６と同期的
に（図示しない手段によつて）駆動され、缶体と
キヤリヤ剥離機４２に送出するためキヤリヤ剥離
機４２の上流の前記コンベヤ３６の上流部分を６
０で示す。帯材５８は各缶体１２を取り出し次い
でこれを円滑にコンベヤ部分から離し、これを円
滑にコンベヤ３６の下流部分６２に送出する。動
作について述べれば、噴霧水が接着材を溶解しこ
れによつてキヤリヤは落下し樋６４内に入り、次
いで幅広送出部６６に流し込まれ好ましくは集積
区域にもたらされ、そこから濡れた紙が束になつ
て固め装置に除去され、ここにおいて余分な水分
を絞り出し得られた湿紙屑を梱包し爾后のパルプ
化および再使用に充当される。

第４図から第５図に示す剥離装置４２は多くの
考えられる実施例の１つに過ぎない。他の変形で
は、缶体は、キヤリヤ４６と摩擦係合する一対の
移動要素間に沿つて缶体が押動され、これによつ
て缶体からキヤリヤを剥離し、或は缶体が噴霧水
５２で浸されている間にこのような剥離作用を助
ける。このような移動要素は一般に合成ゴムのよ
うなゴム状材料で造られ、かつ前進方向に異つた
速度で移動し、或は１つが前進方向へおよび１つ
がこれより低速で反対方向に移動するように配置
される。

上述のような印刷ラインは一般に毎分約800〜
1200缶の速度で作動される。もしキヤリヤ剥離機
４２が上記のように噴霧水を用いかつ缶体がコン
ベヤ部分６２に到達したときに完全に清浄化され
るように造られれば缶体洗滌機４４の設置は随意
に決められる。

同様に、缶体準備部分４およびキヤリヤ準備部
分２は缶体印刷部６と同一の生産ラインの一部と
することは必ずしも必要でない。しかし、もしこ
れらの部分が中間貯留部８および１０のいずれか
一方或は両方を備えていなければ、適切な部分２
或は４が第１図の破線で示すように、共通のコン
ベヤシステムを介して部分６と接続させることも
できる。

例えばすべての缶が基本デザインをもつがその
中でそのデザインの或は様態が多数の変形をもつ
ようにするために、もし１つの缶体と別の缶体と
の間で装飾上の変化を望むならば、キヤリヤ３４
或は多数のこのようなキヤリアは異つたデザイン
をもつた印刷され、かつ第１図に示す自動照合機
６８がこのライン内に用いられて、キヤリヤ貼布
機３８に送出される前に個々のキヤリヤ４６を所
要の順序に貯留する。

【図面の簡単な説明】

第１図は連続する金属缶の装飾に用いられる場
合のこの発明に係る装飾方法の基本段階を示す流
れ工程図、第２図はコーテイングおよびコーテイ
ング上に塗布されたキヤリヤを有する金属缶の側
壁の一部分をとおる拡大切断略図で第２ａ図は昇
華によつてキヤリヤからコーテイングに染料を転
移する直前の前記部分を示し、および第２ｂ図は
このような転移が行われた直後の該部分を示し、
第３図は第４図の線−に沿つてとられた簡略
断面図で金属缶が装飾された後に金属缶からキヤ
リヤを除去する一方法を示し、第４図は第３図に
示す剥離作業を実施するキヤリヤ剥離装置の簡略
平面図、および第５図は第４図の矢印Ｖの方向に
見た部分立面図である。 ２……缶体準備部、４……キヤリヤ準備部、６
……缶体印刷部、８，１０……貯留部、１２……
缶体、１４……缶体、１６……下地被覆部、１８
……乾燥部、２０……ワニス塗布部、２２……乾
燥部、２４……下地被覆、２６……側壁、２８…
…ワニス層、３０……印刷機、３２……切断機、
３４……キヤリヤ、３６……主缶コンベヤ、３８
……キヤリヤ貼布機、４０……オーブン、４２…
…キヤリヤ剥離機、４４……洗滌機、４６……キ
ヤリヤ、４７……基材、４８……接着材貼布機、
５０……フランジ、５２……噴霧水、５３……噴
霧ヘツド、５６……缶体コンベヤ、５８……帯
材、６０……コンベヤ上流部分、６２……コンベ
ヤ下流部分、６４……樋、６６……送出部、６８
……照合機。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 順次に移行する各金属容器について、昇華性
   塗料により標示が印刷されたキヤリヤを、前記容
   器の側面上に施された昇華性塗料を受入れるコー
   テイング上に貼付け、前記キヤリヤを前記容器上
   にコーテイングを傷めずに除去できるように接着
   剤により一時的に保持し、塗料の相当な部分が昇
   華して標示がコーテイング内へ転写されるように
   キヤリヤを容器上に保持したまま容器を加熱し、
   ついで容器を冷却し、そしてキヤリヤと接着剤を
   容器から剥離することよりなる金属容器の装飾方
   法において、 個々に分割されている可撓性のキアリヤを各容
   器上に容器を取巻いてフープ状に接着剤により貼
   付けて保持し、前記容器を前記キアリヤが収縮し
   て昇華性塗料を受入れる前記コーテイングに密着
   するような温度および時間で加熱することを特徴
   とする金属容器の装飾方法。 ２ 前記キヤリヤの面積が装飾される面積に実質
   上等しい特許請求の範囲第１項記載の金属容器の
   装飾方法。 ３ 前記接着剤がその中を前記昇華性塗料が移動
   できる種類のものである特許請求の範囲第１項ま
   たは第２項記載の金属容器の装飾方法。 ４ 前記容器が180〜220℃の範囲の温度に加熱さ
   れる特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれ
   か１項に記載の金属容器の装飾方法。 ５ 前記容器が約30秒間加熱される特許請求の範
   囲第１項ないし第４項のいずれか１項に記載の金
   属容器の装飾方法。 ６ 前記キヤリヤが水分を失つて収縮して昇華性
   塗料を受入れるコーテイングに密着される特許請
   求の範囲第１項ないし第５項のいずれか１項に記
   載の金属容器の装飾方法。 ７ 容器からキヤリヤと接着剤を剥離または剥離
   することを支援するために、キヤリヤと係合する
   複数の移動する要素間に前記容器を通過させる特
   許請求の範囲第１項ないし第６項のいずれか１項
   に記載の金属容器の装飾方法。 ８ 前記移動する要素がゴム材の無端ベルトから
   なる特許請求の範囲第７項に記載の金属容器の装
   飾方法。