JPH0242358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は多段式圧造成形機の素材移送装置によ
つて素材を移送させる分野で利用される。即ち本
考案は隣接する圧造ダイの前面間で左右動して素
材を移送させる上記装置に、圧造ダイとの関係で
素材を軸方向に抜差しさせる機能をもたせるよう
にしたものである。

〔従来技術とその問題点〕

多段式圧造成形機には、ラムが後退から前進す
る間に、被加工素材を正面の機台面において一定
間隔に並設させた粗から精に至る複数個の圧造ダ
イ間にて順次移送させるため、トランスフアーチ
ヤツクと称する素材移送装置が用いられているの
であるが、従来のこの装置は、圧造ダイの前面で
捕捉した素材を次のダイ前面に向けて移送させた
のち再び前位ダイの前面に復帰する左右動の機能
しか有していないのである。

従つてかかる装置では、例えば点火プラグの金
属製ハウジングのように軸長が比較的短くて外径
が数段に変化しているような特殊な製品を圧造成
形する場合には、素材を前記ラムの後退時に前進
するノツクアウトピンにより圧造ダイの前部に抜
き出るまで押圧してしまうと、該素材が前端部の
重量により傾斜が生じて該素材をチヤツクで確実
に捕捉しえないことになり、また仮に捕捉できて
も上記圧造パンチの圧造加工動作だけでは次段の
ダイ内部に正確に挿入できないことになるのであ
る。

このため前記のような特殊な製品の圧造成形を
なす際、移送すべき素材を捕捉するチヤツクを、
素材の掴持時に際して圧造ダイの前面から離反す
る方向に後退させ、さらに移送直後には該チヤツ
クを圧造ダイに向けて前進させるようになすこと
により、圧造ダイ内部からのノツクアウトピンに
よる素材の押出しを途中までとして、あとは素材
移送装置でその素材を抜き出させ、また次段の圧
造ダイ内部へは、上記装置でその素材をある程度
まで差しこませてから圧造パンチの圧造加工動作
で完全に挿入させうるよう、素材移送装置に圧造
ダイ内部に対する素材の抜差し機能をもたらした
装置が特公昭57−48294号公報によつて公開され
ているのである。

然しながらこの従来の装置は、可動フレームに
支持させた素材捕捉用のチヤツクを圧造ダイの前
面から後退させるために集合カム体や押動ピンそ
の他多くの駆動用関係部品を用いているのであ
り、しかもこれらの部品は圧造成形竝びに本来の
素材移送には何等寄与しないばかりか、これらの
存在は全体の構造を複雑かつ特殊化させると共に
在来機に採用するとしても大幅な設計変更を強い
られるので高価になるのである。

〔考案の技術的課題〕

そこで、このような実情のもとにおける本考案
の技術的課題は、例えば特公昭52−19184号公報
その他にもあるように、従来開閉式チヤツクと称
して素材を捕捉させるのにチヤツク爪を揺動リン
ク機構により積極的に開閉させる形式の素材移送
装置を備えた多段式圧造成形機が知られているの
であり、本考案はかかる従来の開閉式チヤツクを
他の形式のチヤツクに取換えることにより前記チ
ヤツク開閉用の揺動リンク機構を用いて、隣接圧
造ダイ間にて往復動せしめるようにした当該チヤ
ツクに圧造ダイの内部に対する素材の抜差し機能
をもたらしめるようにする点にある。

〔考案の技術的手段〕

かかる技術的課題に対応した本考案の技術的手
段は、圧造ダイの前面に位置して該ダイの隣接間
隔を往復動しうるようにされた可動フレームに支
持され、かつ回転カムによつて作動される揺動リ
ンク機構によりチヤツク爪を積極的に開閉しうる
ようにした圧造成形機における従来の開閉式チヤ
ツクを、一対として左右対向させたチヤツク爪間
に素材を圧入することで掴持させる形式のチヤツ
クに取換えることを前提とするのである。

即ち本考案の技術的手段は、一定間隔に平行し
て配設された粗から精に至る複数個の圧造ダイの
上方にて固定フレームに支持され、且つ上記圧造
ダイの配設方向に往復動される可動フレームと、
この可動フレームに上記圧造ダイと同数だけ同間
隔として備えしめた素材捕捉用のチヤツクと、回
転カムによつて揺動運動せしめられる揺動リンク
機構とを有し、上記可動フレームは隣接する圧造
ダイの間隔に等しい行程を往復動させられて、該
行程の両端で上記チヤツクに備えしめたチヤツク
爪を圧造ダイの前面に位置させるように構成され
た圧造成形機であつて、上記の各チヤツク爪は前
記可動フレームの前面に装着したチヤツク基台に
対し前後動可能とし、かつバネによりチヤツク基
台に向けて附勢させるようにしたチヤツクホルダ
ーに備えしめ、さらに上記チヤツク基台に内装し
た昇降ロツドの上端係止部に前記揺動リンク機構
の係合部を係止すると共に、該昇降ロツドに軸支
したローラを上記チヤツクホルダーの背面に設け
たカムブロツクに対接させ、然して上記のリンク
機構は、各チヤツク爪が素材を捕捉した時点では
昇降ロツドを上昇させ、該素材を隣接する圧造ダ
イまで移送した時点ではそのロツドを下降させう
るように定めたことを特徴とするのである。

〔考案の作用〕

このように構成された本考案の技術的手段で
は、可動フレームの往復動により夫々のチヤツク
におけるチヤツク爪が各圧造ダイの前面に位置さ
れるのであるが、上記チヤツク爪が素材の捕捉を
なす往動行程の終端においては、回転カムによつ
て揺動せしめられる揺動リンク機構により昇降ロ
ツドが上昇せしめられてローラおよびカムブロツ
クを介し前記各チヤツク爪が圧造ダイの前面から
後退せしめられるのであり、さらにこのチヤツク
爪が素材を隣接ダイまで移送した復動行程の終端
に位置されたとき上記昇降ロツドが下降して該チ
ヤツク爪を圧造ダイの前面に向けて前進せしめる
のである。従つて圧造ダイより半ば押し出された
素材はチヤツク爪に捕捉された状態で圧造ダイの
前面から後退することにより該ダイから完全に抜
き出されるのであり、然してこの素材が前記チヤ
ツク爪によつて隣接ダイの前面に移送せしめられ
たとき該チヤツクが圧造ダイの前面に向けて前進
することにより圧造ダイ内部に素材が部分的に差
しこまれることになるのである。

〔実施例〕

次に本考案の具体的な実施例についてである
が、先ず本考案の実施の対象となる開閉式チヤツ
クを備えた従来の多段式圧造成形機を示す第３〜
５図について説明する。

図において、１は多段式圧造成形機の機台で、
これのダイベース２には粗から精に変化する複数
個（図面では３個）の圧造ダイ３が同一線上にて
一定間隔に配設され、かつこれら各ダイ内には素
材押出し用のノツクアウトピン４が内蔵されてい
る。然してダイベース２の前方には、図示されて
いないが該ベースに向かつて往復動するラムがあ
り、このラムの前面には上記圧造ダイ３と同数の
圧造パンチが各ダイと対をなして夫々対向するよ
う配置されているものとする。３′は素材供給口
を示す。５は素材移送装置の固定フレームであつ
て、前記した機台１上の左右方向に取付けられて
おり、６はダイベース２の上方において上記固定
フレーム５の前方に平行として位置された可動フ
レームで、左右二本の平行等長な揺動アーム７，
７を介して固定フレーム５に連結され、これら両
アームに拘束された状態で円弧運動を伴いつつ左
右方向に往復動可能とされている。８は前記した
ラムの往復動作と同期して進退する駆動ロツド
で、上記可動フレーム６の一端に連結され、ラム
が後退している時間帯内において上記フレーム６
を隣接する圧造ダイ３，３間の間隔に等しい距離
だけ左右方向へ一往復させるのであり、さらにこ
の可動フレーム６の前面には開閉式チヤツク９が
前記圧造ダイ３と同じ間隔でもつて同数取着さ
れ、このフレーム６が往復動行程の各終端に達し
たとき、該チヤツク下端のチヤツク爪９ａ，９ｂ
が各圧造ダイ３の前面に位置するように関係づけ
られている。この開閉式チヤツク９は前記可動フ
レーム６に固着されたチヤツクホルダー１０と、
該ホルダー内を昇降するチヤツク軸１１と、該軸
下端の両側面に形成されたラツク部１２、ならび
に該軸を左右に挟んでラツク部１２に噛合するよ
うホルダー１０の下部に軸設したピニオン１３，
１３およびこのピニオンに一体として固着された
チヤツク爪９ａ，９ｂによつて構成されていて、
該チヤツク爪は前記チヤツク軸１１の下降時にラ
ツク部１２とピニオン１３の噛合により開かれ、
上昇時に閉じるようにされているのである。１４
は動リンク１５と従リンク１６よりなる揺動リン
ク機構で、一方の動リンク１５は、中間部を固定
フレーム５上のブラケツト１７に枢軸１８を介し
て上下揺動可能に支持せしめられ、さらに該リン
クの後端に軸支した個々のカムフオロワー１９を
固定フレーム５の背後に平行して軸装した駆動軸
２０上の回転カム２１に当接させると共に、前端
には調整杆２２を設けしめ、然して他方の従リン
ク１６は、中間部を前記固定フレーム５と可動フ
レーム６との間において、これらと平行するよう
揺動アーム７，７に両端を軸設させて中間リンク
２３に回動自在として設けしめたブラケツト２４
に枢軸２５を介して上下揺動可能に支持せしめら
れ、さらに該リンクの後端は、前記動リンク１５
の調整杆２２と、固定フレーム５に設けたシリン
ダチユーブ２６に内装の弾機２７によつて上方へ
附勢させるようにしたピストン２８におけるピス
トンロツド２９との間に介在させると共に、前端
の二叉状とした係合部３０が前記チヤツク軸１１
の上端に着脱自在に係止されるのである。従つて
チヤツク爪９ａ，９ｂが往動行程の終端に移動せ
しめられたとき、回転カム２１によつて動リンク
１５がイ矢印方向に、さらに従リンク１６がロ矢
印方向に弾機２７に抗して夫々揺動することによ
り前記チヤツク軸１１が上昇して、各ダイ３の内
部から押出された素材を掴持させるのであり、然
して該チヤツク爪が復動行程の終端１へ移動され
たとき上記チヤツク軸１１が下降して素材を解放
するのである。なお上記の回転カム２１は、前記
したラムの往復動作と同期して一往復につき一回
の割合で回転させられ、且つチヤツク９が圧造ダ
イ３より押出された素材を掴持した時点から該素
材を隣接する圧造ダイの前面へ移送し終つた時点
までの間だけ、動リンク１５のカムフオロワー１
９を押し上げるようになされているのである。

以上の圧造成形機において、本考案は可動フレ
ーム６に取つけられている前記開閉式チヤツク９
を素材の圧入にて左右対向させた一対のチヤツク
爪を開かせ、あるいは各ダイの前部にあつて掴持
素材が圧造パンチによりダイ内に向けて押しこま
れることで解放させた際に閉縮する機能をもつた
捕捉式のチヤツク３１に取替えることによつて実
施されるのである。以下これを第１，２図の実施
例について説明すると、このチヤツク３１はチヤ
ツクホルダー３２の下端にチヤツク爪３１ａ，３
１ｂを備えていて、該チヤツク３１は前記の圧造
ダイ３と同数だけ用意され、該ダイと同間隔とし
て個々にチヤツク基台３３を介し前記可動フレー
ム６の前面に装着されて、該フレームが往動行程
および復動行程の各終端に達したとき、各下端の
チヤツク爪３１ａ，３１ｂが圧造ダイ３の前面へ
位置されるのであり、同時にこれらのチヤツク３
１は、少なくとも下端のチヤツク爪３１ａ，３１
ｂを圧造ダイ３の前面から後退させ、或いはその
前面へ前進させるのであるが、このチヤツク爪の
後退および前進は、圧造ダイ３の中心線に沿つて
直線方向に行われるのが望ましいが、直線方向に
近似するのであれば円弧方向であつても差支えな
いのである。

ここで図示の実施例は、圧造ダイ３に対してチ
ヤツク爪３１ａ，３１ｂを近似的に直線方向へ前
後させるようにしたもので、即ち前記の各チヤツ
クホルダー３２は、可動フレーム６に固定された
夫々のチヤツク基台３３に対し、左右方向に水平
な支軸３４で枢支され、該支軸を支点としてチヤ
ツク３１の全体を前後方向へ回転しうるようにさ
れ、さらにチヤツクホルダー３２にはこれをチヤ
ツク基台３３の下端へ弾力的に押しあてておくた
めのバネ３５が、ホルダー３２を貫挿してチヤツ
ク基台に螺着した植込杆３６に套嵌されているの
である。３７は上記チヤツク基台３３に内装させ
た昇降ロツドで、上端の係止部３８に前記揺動リ
ンク１４における従リンク１６の先端係合部３０
が係合されるのであり、さらに下端にはローラ３
９が軸支されていて、然して該ローラの前部に位
置するチヤツクホルダー３２の背面にカムブロツ
ク４０が設けられ、このカムブロツクはその上半
部がローラがわに突出する形状をなし、ローラ３
９がロツド３７と共に上昇するとカムブロツク４
０を介しチヤツクホルダー３２がバネ３５に抗し
て押動され、前記のようにチヤツク爪３１ａ，３
１ｂをダイ３の前面より後退させる方向に移動さ
せるのである。

なおチヤツク爪３１ａ，３１ｂを圧造ダイ３の
中心線に沿つて正しく直線方向へ前後させたいと
きは、チヤツクホルダー３２のチヤツク基台３３
へ支持を、支軸３４による枢支に替えて、圧造ダ
イの中心線に平行な直線方向へ摺接させるスライ
ドガイドによつて行わせるとよいのである。

上記の構成によるときは、第１図に示すように
圧造ダイ３内に圧入された素材がラムの後退でノ
ツクアウトピン４によつて上記ダイの前部に押出
される直前、チヤツク３１が該ダイの軸心前部に
復帰しているのであり、従つて上記素材はノツク
アウトピン６の前動で前端がチヤツク爪３１ａ，
３１ｂによつて掴持される。この素材掴持の瞬
間、回転カム２１によりカムフオロワー１９を介
して動リンク１５及び従リンク１６が揺動して昇
降ロツド３７を上昇させ、該ロツド下端のローラ
３９が前部のカラムブロツク４０を押圧すること
でチヤツクホルダー３２がバネ３５に抗して支軸
３４を中心に揺動することになつて上記チヤツク
爪３５ａ，３５ｂは第１図鎖線のように圧造ダイ
３から離反する方向に後退するのである。このた
め前記掴持素材はダイ３より完全に抜きとられて
いるのであり、次いで駆動ロツド８の作動により
可動フレーム６が揺動することになつて各チヤツ
ク３１が夫々後位置のダイ３の前部に移動するの
であるが、このチヤツクの移動完了と同時に前記
カムフオロワー１９が回転カム２１を出外れるこ
とで従リンク１６がピストンロツド２９の復元力
で第１図の時計方向に揺動して直ちに昇降ロツド
３７を下降させるのである。このため前記チヤツ
クホルダー３２は第１図実線位置に復帰すること
になり、この瞬間ラムが前進してパンチにより上
記素材を正面のダイ３内に圧入させるのである。

以上のようにラムが前後進するごとに可動フレ
ーム６が一定間隔を左右動して素材を夫々前位が
わりより後位がわの圧造ダイ前部に移送させるこ
とになつて所要の圧造製品が得られるのである。

〔考案の効果〕

本考案は、多段式圧造成形機の素材移送装置に
備えられたチヤツクを、移送すべき素材が捕捉さ
れてから移送が開始されるまでの間で圧造ダイの
前面から後退させ、移送が完了してからパンチが
作用するまでの間で再び圧造ダイの前面に向かつ
て前進させるようにしたものであるから、このよ
うな本考案によれば、隣接する圧造ダイ間で素材
の移送のみを行う装置に、圧造ダイの内部への素
材抜差し機能をも附与せしめうることが可能とな
り、このため爪の左右動のみでは移動の困難な例
えば軸長の短い特殊な製品を圧造成形するに際し
て素材移送を支障なく行わしめうるのであり、し
かも本考案によるときは、従来の圧造成形機に備
えられている開閉式チヤツクを、捕捉式のチヤツ
クに夫々その関係部品と共に交換するのみで、上
記従来の開閉式チヤツクの関連部品として備えら
れている揺動リンク機構をそのまま利用しうるこ
とにより、従来のように大幅な設計変更を行うこ
となく在来機に容易に採用せしめうる効果を奏す
るのである。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本考案装置の実施例を示すもの
で、第１図は要部縦断側面図、第２図は同正面
図、第３〜５図は開閉式チヤツクを備えた従来の
多段式圧造成形機を示し、第３図は平面図、第４
図は同正面図、第５図は要部縦断側面図である。
なお図面中同一符号は同一部材を示す。 ３は圧造ダイ、５は固定フレーム、６は可動フ
レーム、９は開閉式チヤツク、９ａ，９ｂはチヤ
ツク爪、１１はチヤツク軸、１４は揺動リンク機
構、３１は捕捉式チヤツク、３１ａ，３１ｂはチ
ヤツク爪、３２はチヤツクホルダー、３３はチヤ
ツク基台、３７は昇降ロツド、３９はローラ、４
０はカムブロツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一定間隔に平行して配設された粗から精に至る
   複数個の圧造ダイの上方にて固定フレームに支持
   され、且つ上記圧造ダイの配設方向に往復動され
   る可動フレームと、この可動フレームに上記圧造
   ダイと同数だけ同間隔として備えしめた素材捕捉
   用のチヤツクと、回転カムによつて揺動運動せし
   められる揺動リンク機構とを有し、上記可動フレ
   ームは隣接する圧造ダイの間隔に等しい行程を往
   復動させられて、該行程の両端で上記チヤツクに
   備えしめたチヤツク爪を圧造ダイの前面に位置さ
   せるように構成された圧造成形機であつて、上記
   の各チヤツク爪は前記可動フレームの前面に装着
   したチヤツク基台に対し前後動可能とし、かつバ
   ネによりチヤツク基台に向けて附勢させるように
   したチヤツクホルダーに備えしめ、さらに上記チ
   ヤツク基台に内装した昇降ロツドの上端係止部に
   前記揺動リンク機構の係合部を係止すると共に、
   該昇降ロツドに軸支したローラを上記チヤツクホ
   ルダーの背面に設けたカムブロツクに対接させ、
   然して上記のリンク機構は、各チヤツク爪が素材
   を捕捉した時点では昇降ロツドを上昇させ、該素
   材を隣接する圧造ダイまで移送した時点ではその
   ロツドを下降させうるように定めたことを特徴と
   する多段式圧造成形機の素材移送装置。