JPH0240279Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、バランサを備え、設置したとき、気
筒が傾斜状態になるエンジンに補機を取付けるた
めの装置に関する。

（従来の技術） エンジンの振動を減少させる目的で、バランサ
を取付けたエンジンは公知であり、例えば、特開
昭55−132437号には、このようなバランサ付エン
ジンの例が開示されている。また、各気筒が垂直
軸から傾斜した方向に配置されるいわゆるスラン
ト型エンジンも従来から公知であり、例えばキヤ
ブオーバ車などでは、エンジン上方に十分なキヤ
ビン空間を確保する必要性から、エンジンの上方
への張出しを極力抑えるために、エンジンをスラ
ント型にすることが知られている。実開昭55−
106323号には、スラント型エンジンの例が開示さ
れている。この開示されたスラント型エンジンで
は傾斜したシリンダの上方側から燃焼室に吸気が
導入され下方側から排気が排出されるようになつ
ている。

（解決すべき問題点） スラント型エンジンにおいては、各気筒が斜め
に形成されている。シリンダブロツクを通常の直
列エンジンのようにシリンダボアの両側で対称に
なるように形成すると、シリンダブロツクの下端
面に取付けられるオイルパンの上端面を斜めに加
工することが必要となる。しかし、十分なオイル
パン貯溜領域を確保しつつ、シリンダブロツクの
下端に適合するようにオイルパンを形成すると、
オイルパンの一方の側面の面積が大きくなる。そ
して、遮音性の低いオイルパンのこの側面からエ
ンジン内部の騒音が外部に漏れるという問題が生
じる。また、この騒音の問題を解決するために、
シリンダブロツクのシリンダボア上部側のスカー
ト部を長くして下方に延ばし、オイルパンの上端
面の傾斜が大きくならないようにすると、スカー
ト部の上側部分の剛性が弱くなるという問題が生
じる。

この問題は、シリンダブロツクの高い剛性が要
求されるバランサ付エンジンでは、特に重大であ
る。

（上記問題を解決するための手段） 本考案は、上記問題を解決するために構成され
たもので、本考案が適用されるエンジンは、設置
状態でシリンダボアが傾斜状態になるシリンダブ
ロツクは、シリンダヘツドが取り付けられるブロ
ツク部上端からオイルパンが取り付けられるスカ
ート部下端までの長さが前記シリンダボアの上部
側の方が下部側より長くなるようにし、前記シリ
ンダブロツクの下部であつてシリンダボアに対し
て上部側に位置する部分に、上側に張り出したバ
ランサ支持部を形成し、前記バランサ支持部から
さらに上方に突出する突出部により下部補機取付
部を形成し、前記シリンダブロツクのシリンダボ
アに対する上部側には前記突出部の上方に凹部を
形成し、前記凹部の上方に上部補機取付部を形成
し、補機は前記凹部に配置して前記上部補機取付
部と前記下部補機取付部とにより支持したことを
特徴とする。もつと詳細に述べると、本考案にお
いては、シリンダブロツクの下部であつてシリン
ダボアに対して上部側に位置する部分に、上側に
張り出したバランサ支持部を形成し、該バランサ
支持部からさらに上方に突出する突出部により下
部補機取付部を形成し、シリンダブロツクのシリ
ンダボアに対する上部側には前記突出部の上方に
凹部を形成し、前記凹部の上方に上部補機取付部
を形成し、補機は前記凹部に配置して前記上部補
機取付部と前記下部補機取付部とにより支持す
る。

（作用） バランサ付スラント型エンジンのバランサ支持
部は、シリンダブロツクの他の部分に比べて剛性
が高いが、本考案においては、この剛性の高い部
分に下部補機取付部となる突出部を形成するとと
もに、該突出部の上方には凹部を形成して、この
凹部に補機を配置する。そして、該凹部の上方に
設けた上部補機取付部と前述の下部補機取付部と
により補機を支持する。この構成により、コンパ
クトな配置で、かつ剛性の高い補機取付装置が得
られる。

（実施例の説明） 以下、図面を参照しつつ本考案の１実施例につ
き説明する。

図において、本例のスラントエンジンＥは、内
部にピストンが往復動するシリンダボアとクラン
ク軸が配置されるクランク室とが形成されるシリ
ンダブロツク１０とシリンダブロツク１０の上方
部に取付けられるシリンダヘツド１２とを備えて
いる。シリンダヘツド１２の上方部には動弁機構
を覆うシリンダヘツドカバー１４が取付けられ
る。また、シリンダブロツク１０の下部を構成す
るスカート部１０ａの下端面に適合するように、
エンジンオイルを貯溜するためのオイルパン１６
が取付けられる。本例のエンジンＥでは、シリン
ダブロツク１０のシリンダボアは、斜めに延びる
ように形成されており、その内部でピストンは傾
斜方向に往復動する。従つて、シリンダヘツド１
２は、シリンダブロツク１０の上端面に適合する
ように傾斜状態で取付けられる。シリンダヘツド
１２の上方側面には吸気管１７が下方側面には排
気管１８が接続される。シリンダブロツク１０は
クランク軸２０を支持しており、クランク軸２０
には、出力端と反対側にプーリ２２が固定され
る。また、シリンダブロツク１０にはクランク軸
１０に関し対称になるようにバランサを備えた一
対のバランサシヤフト２３が取付けられる。さら
に、スカート部１０ａにはオイルクリーナ２１が
取付けられる。

本例のシリンダブロツク１０は、シリンダボア
が傾斜しているため、シリンダヘツド１２が取付
けられるブロツク部１０ｂの上端面は垂直方向か
ら大きく傾斜しているが、オイルパン１６が取付
けられるスカート部１０ａの下端面は、傾斜度合
が上端面よりもゆるやかになるように形成されて
いる。従つて、シリンダブロツクのスカート部１
０ａは、シリンダボアの上側の部分では長く、下
側では短かくなつている。シリンダブロツク１０
のシリンダボアの上部側には、スカート部１０ａ
のバランサシヤフト支持位置からブロツク部１０
ｂの上部に向う部分で凹部１０ｃが形成される。
そしてこの凹部１０ｃにはエンジンの補機の一つ
であるオールタネータ２４が配置される。オール
タネータ２４は、その取付リブを介して、一方で
は、シリンダブロツク１０のバランサ支持部の上
方に形成された突出部１０ｄに固定され、他方で
はシリンダブロツク１０のブロツク部１０ｂに取
付けられたブラケツト２６にボルトにより取付け
られている。オールタネータ２４を駆動するため
のプーリ２８は、該プーリ２８とシリンダヘツド
１２に支持されるアイドラ３０及びクランク軸２
０に支持される駆動プーリ２２を回してかけわた
されたベルト３２によつて駆動されるようになつ
ている。

本例においては、オイルパン１６は、スカート
分１０ａを延ばして形成したことにより、通常の
直立エンジンと同様に上下方向に短くなつてい
る。また、オールタネータ２４は、シリンダブロ
ツク１０の上部に形成される凹部に配置されるの
で張出しが小さくなり、エンジン周辺構造がコン
パクトになる。

（考案の効果） 本考案によれば、スラント型エンジンのスカー
ト部を長くして、エンジンの上方から下部にかけ
て覆うようにしたので、オイルパンの面積を大き
くする必要がなくオイルパン部分を通じての騒音
の外部への漏れを少くすることができる。また、
シリンダブロツクの長い方の部分すなわち、上部
側に補機を取付けるように構成したので、スカー
ト部を長くしたことによる剛性の低下を補機の剛
性によつて補うことができる。従つて、剛性低下
を補うための特別の構成が必要とならず、コスト
的にも有利である。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案の１実施例に係るエンジンの全体
図である。 Ｅ……エンジン、１０……シリンダブロツク、
１２……シリンダヘツド、１４……シリンダヘツ
ドカバー、１６……オイルパン、１７……吸気
管、１８……排気管、２３……バランサシヤフ
ト、２４……オールタネータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 設置状態でシリンダボアが傾斜状態になるシリ
   ンダブロツクは、シリンダヘツドが取り付けられ
   るブロツク部上端からオイルパンが取り付けられ
   るスカート部下端までの長さが前記シリンダボア
   の上部側の方が下部側より長くなるようにし、前
   記シリンダブロツクの下部であつてシリンダボア
   に対して上部側に位置する部分に、上側に張り出
   したバランサ支持部を形成し、前記バランサ支持
   部からさらに上方に突出する突出部により下部補
   機取付部を形成し、前記シリンダブロツクのシリ
   ンダボアに対する上部側には前記突出部の上方に
   凹部を形成し、前記凹部の上方に上部補機取付部
   を形成し、補機は前記凹部に配置して前記上部補
   機取付部と前記下部補機取付部とにより支持した
   ことを特徴とするエンジンの補機取付装置。