JPH0239796Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は建築物の外壁、屋根下等に使用して防
水性および湿気透過性を有するパネルに関するも
のである。 （従来技術と考案が解決しようとする問題点） 最近の住宅などの建築物においては、居住性の
向上から冬期は暖房の普及が一般化しており、こ
のため外部との温度および湿度の差がが大きく外
壁体の内部や屋根裏に結露し、このためこれらの
部位に使用されている木材、金属等を早期に腐朽
させたり、断熱材の吸水による断熱性能の低下を
招いたりしているる。特に東北、北海道地方など
の寒冷地では、この結露が大きな問題となつてい
る。 従来、このような現象を防ぐために室内側の面
への防湿シートの効果的な使用および壁体内部に
通気層を設けて通風換気を行なつている。屋根裏
においても換気口を設けて通風よくする方法が採
られている。外壁内での通気層を設ける方法とし
ては壁の柱と間柱との間に断熱材を挿入して、そ
の表面あるいは更に断熱材の上に合板を張りつけ
た表面に防水性ないしは透湿性シートを釘止め
し、その上から縦方向に所定の間隔で胴縁材を取
付け外部仕上材を設ける。かくして、外部仕上材
と断熱材または合板との間に胴縁材の厚さに相当
する空隙を生じさせ、該空隙を通じて湿気を通気
させようとするものである。しかしながら、この
方法では施工が煩雑であり、またコスト的にも高
価になり、さらに防水シートと断熱材の間にも空
隙ができ易く、空気の上昇移動が生じ外部の冷気
が断熱材周囲から内部に侵入しやすいという問題
点がある。 本考案は、かゝる問題点を解決し、耐久性があ
り防水性を高めた建築用防水性透湿パネルを提供
することを目的としてなされたものである。 （問題点を解決するための手段） 本考案に係る建築用防水性透湿パネルは、木質
パルプ繊維と、ビニロン、ポリエステル、ポリプ
ロピレン等の合成繊維とを50：50乃至85：15の比
率で混合したもの100重量部に対して、オレフイ
ン系親水性パルプ状多分岐繊維を80乃至120重量
部の割合で混合し、この繊維をランダムに積層集
積してなる透湿性が大きく且つ通気性、透水性の
小さい平板状シートの片面に、木質パルプ繊維ま
たは合成繊維、更にはこれらの混合繊維からなる
シートに、アスフアルトを含浸させてなるアスフ
アルトフエルトまたはその表裏面にアスフアルト
を塗覆してなるアスフアルトルーフイングを波型
状に成型して貼りり合せ、更にこの波型形成層の
上に前記アスフアルトフエルトまたはアスフアル
トルーフイングの平板状シートを貼り合せて三層
構造となしたことを特徴とするものである。 （実施例および作用） 本考案の実施例について、作用とともに詳しく
説明する。 第１図は本考案に係る建築用防水性透湿パネル
の一部を示す斜視図である。本考案のパネルは、
所定の長さ、幅、厚さをもつた板状のものであり
平板状シート１は、木質パルプ繊維とビニロン、
ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維とを
50：50乃至85：15の比率で混合したものを100重
量部に対してオレフイン系親水性パルプ状多分岐
繊維を80乃至120重量部の割合で混合し、この繊
維をランダムに積層集積してなるもので、防水性
が高く且つ透湿性が大きいものである。因みに、
これの性能の一部を示すと第１表の如くなる。

【表】

【表】 波型状シート２および平板状シート３は木質パ
ルプ繊維または合成繊維、更にはこれらの混合繊
維からなるシートに、アスフアルトを含浸させて
なるアスフアルトフエルトあるいはその表裏面に
アスフアルトを塗覆してその上に鉱物粉を付着さ
せたアスフアルトルーフイングであり、その性能
の一部を第２表に示す。

【表】 Ａ：アスフアルトフエルト17Kg品 Ｂ：アスフアルトルーフイング22Kg品 試験方法は第１表の場合に同じ 次に第２図は、本考案の使用状態を示す斜視図
である。本考案のパネルを外壁体に使用する場合
には、先ず柱および間柱４の間に所定の厚さのグ
ラスウール、スチロール発泡板等の断熱材５を挿
入し、内部側の面にポリエチレンシートなどの防
湿シート６を貼りつけ、さらにその上に石膏ボー
ドなどの内装材７をとりつける。一方断熱材５の
外部側の面には本考案のパネルを貼りつけ、さら
にその外側に外装材８をとりつけるものである。 本考案パネルを断熱材に貼りつける場合、該パ
ネルの平板状シート１の面が内部側に、アスフア
ルトで処理した平板状シート３の面が外部側に向
けられるようにし、且つ波型状シート２によつて
つくられる空間が垂直方向に連通するようにする
必要がある。パネルとパネルはたがいに突きつけ
て施工するが、そのジヨイント部分は、防水性が
あり接着性の高いシールテープで密封するのが好
適である。またパネルを製造する際に、アスフア
ルトで処理した平板状シート３の一方の端を60乃
至100mm程度長くすることができるので、第３図
に示す如く、上下のパネルどうしのジヨイントの
処理では、上側のパネルのラツプジヨイント９を
下側のパネルの表面に重ね合せることにより外壁
側からの水の流入をきわめて効果的に防止し得る
ものである。 本考案のパネルの外側には前述した如く直接外
装材８をとりつけるか、またはメタルラスを貼り
つけその上からセメントモルタルを塗着しても差
支えない。 本考案のパネルを外壁体に用いると、内部側の
建物等の隙間から浸入する湿気は、透湿度の高い
平板状シート１の面を通過して波型状シート２の
空間へ導かれるが、該空間が垂直方向に連通して
いるので、これらの湿気は屋根裏の通気口などか
ら外部へ排出される壁体内部の結露を防止するこ
とができる。また壁体の下端部分から冷たい空気
が入り込み建物の隙間を通して部屋の内部へ流入
する場合が多く見られる。本考案のパネルを使用
すると、冷気は波型状シート２の空間を自由に移
動するが、平板状シート１の通気度は第１表に見
られる通り1.9m³／ｈ・m²ときわめて小さい値で
あるので内部へ流入することは殆どない。 さらに外壁から浸入する雨水などはアスフアル
トを処理した平板状シート３がきわめて防水性の
大きい理由によつて完全に防ぐことができるもの
である。 （考案の効果） 本考案は、従来見られない建築用防水性透湿性
パネルを提供するものであり、アスフアルトフエ
ルトまたはアスフアルトルーフイングを波型シー
トと平板状シートの二層に使用しているので特に
防水性が大きく且つ耐久性も高い。さらに透湿性
の平板状シートを貼り合せてあるので、使用の際
には壁体内の結露をきわめて有効に防止すること
ができる。 三層構造であるが、中間の波型状シートの耐圧
強度が大きく取扱い時に変形することもなく、ま
た波型によつて生ずる連通空間が広くできるので
湿気などが滞留しにくい利点がある。 更に本考案のパネルの外側に設ける外壁仕上材
として直接外装材を取りつけるかセメントモルタ
ル仕上げをするか何れの場合でも問題なく使用で
きる。 以上の如く、本考案は、防水性がきわめて大き
く、また透湿性も大きく且つ耐久性があり、広範
囲に使用することができる優れた建築用防水性透
湿性パネルである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一部を示す斜視図、第２図は
本考案の使用状態を示す斜視図、第３図は本考案
の他の実施例の使用状態を示す断面図である。 １……平板状シート、２……波型状シート、３
……アスフアルトを処理した平板状シート、４…
…柱および間柱、５……断熱材、６……防湿シー
ト、７……内装材、８……外装材、９……ラツプ
ジヨイント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 木質パルプ繊維と、ビニロン、ポリエステル、
   ポリプロピレン等の合成繊維とを50：50乃至85：
   15の比率で混合したもの100重量部に対して、オ
   レフイン系親水性パルプ状多分岐繊維を80乃至
   120重量部の割合で混合し、この繊維をランダム
   に積層集積してなる透湿性が大きく且つ通気性、
   透水性の小さい平板状シートの片面に、木質パル
   プ繊維または合成繊維、更にはこれらの混合繊維
   からなるシートに、アスフアルトを含浸させてな
   るアスフアルトフエルトまたはその表裏面にアス
   フアルトを塗覆してなるアスフアルトルーフイン
   グを波型状に成型して貼り合せ、更にこの波型形
   成層の上に、前記アスフアルトフエルトまたはア
   スフアルトルーフイングの平板状シートを貼り合
   せて三層構造となしたことを特徴とする建築用防
   水性透湿パネル。