JPH0238342Y2 - - Google Patents
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- JPH0238342Y2 JPH0238342Y2 JP1983068503U JP6850383U JPH0238342Y2 JP H0238342 Y2 JPH0238342 Y2 JP H0238342Y2 JP 1983068503 U JP1983068503 U JP 1983068503U JP 6850383 U JP6850383 U JP 6850383U JP H0238342 Y2 JPH0238342 Y2 JP H0238342Y2
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Landscapes
- Insulated Conductors (AREA)
Description
本考案は、撚線導体間に水密コンパウンドを充
填させてなる架空配線用絶縁電線に関するもので
ある。 この種、架空配線用絶縁電線は、一般に複数の
硬銅素線からなる撚線導体上に、ゴムまたはプラ
スチツクの絶縁体層を設けた基本構成を有してな
り、前記撚線導体には伸線時あるいは撚線加工
時、さらには巻回時などに於て各種の歪みが付与
され、これらが残留応力となつて残存している。 ところが、この架空配線用絶縁電線は、多くの
場合、風雨にさらされた苛酷な条件下で使用さ
れ、特に電線引留部や分岐部などにおいて、導体
内に水分が侵するなどの恐れが高い。この侵入水
分が仮に導体素線間に長期に亘つて存在すると、
酸素濃淡電池作用による所謂腐蝕電池を生じ、し
かもその作用が前記導体の残留応力の存在により
加速されるため、応力腐蝕による素線切れ、さら
には断線に至るという重大な問題があつた。 そこで、一般には導体素線間に水密コンパウン
ドを充填して水分の侵入を阻止し、前記応力腐蝕
を発生させない対策がとられている。 近年、この水密コンパウンドとして、作業性な
どのよいことから、ゴムやプラスチツク系の所謂
ドライタイプのものが増えてきている。その具体
的なコンパウンドとしては、導体素線間への充填
が容易なことから、エチレンプロピレンゴム、ブ
チルゴムなどのゴムや、エチレン・酢酸ビル共重
合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重
合体(EEA)、軟質塩化ビニルなどの軟質プラス
チツクなどが用いられている。 一方、架空配線用絶縁電線には、かなりの頻度
で落雷による断線事故の発生が避けられず、かゝ
る事故の際、速やかに断線位置を検出して、これ
に対処することが必要である。この断線位置の検
出は、例えば断線検出リレーの設置により行なわ
れている。このリレーは雷害による高圧線の溶断
事故で、短絡と地絡が同時発生(異相地絡短絡)
する電気的現象を変電所でとらえる保護継電器で
あり、過電流要素、地絡過電圧要素、地絡過電流
要素の組合せ条件により落雷断線か否かの判別を
行なう回路構成である。 ところが、前述したように撚線導体間に水密コ
ンパウンドを充填した水密構造の電線にあつて
は、落雷時の溶断事故に際して、完全に断線する
までの所謂溶断時間が、水密コンパウンドを用い
ない電線に比べて著しく長くなることが知られて
いる。したがつて、前述の断線検出リレーを使用
する電線路では、このリレーの動作をその分遅ら
せ、その働きを妨げ、前述した溶断事故時点の判
別を困難にするという問題があつた。 この溶断時間が長くなる原因としては、その詳
細は不明であるが、おゝよそのところとしては次
のことが考えられる。すなわち、溶断事故は、被
雷時、電線に大電流が流れ、これがアーク電流と
なつて、導体を溶融断線する現象と思われ、この
とき、撚線導体間に水密コンパウンドが充填され
ていると、このコンパウンドは一般に絶縁性であ
るため、導体の素線間を絶縁する格好となり、溶
断時の素線間でのアーク電流が消弧されるからと
考えられる。 そこで、本考案者等は、水密性を維持しつゝ、
雷落時の溶断時間について、その短縮化を図るた
め、種々検討したところ、溶断時間が撚線導体間
に充填される水密コンパウンドの充填量に略比例
的に変化することを見い出した。換言すれば、コ
ンパウンドの実質的な充填量を減らせば、溶断時
間の短縮化が図られることを見い出した。そし
て、このように水密コンパウンドの充填量を実質
的に減す為の一つの方法として、前記水密コンパ
ウンドを発泡タイプとすることが考えられるが、
前記コンパウンドを単に発泡物とすると、撚線導
体の最外層に到るまで均一な発泡層を形成するこ
とが難しく、その結果、その外方に被覆された絶
縁体層の表面に凹凸ができることが多く、外観が
損われたり、さらにまた、電線の口出作業時に絶
縁体層を皮剥ぎするに際して、導体最外層に水密
コンパウンドの発泡クズが付着するなどして、作
業性がよくないなどの恐れもあつた。 このため、本考案者等は、同日付け提出の別考
案により、発泡水密コンパウンドを用いるも
のゝ、この発泡水密コンパウンドを撚線導体の内
層側素線間にのみ充填させ、撚線導体の最外層に
は通常の非発泡水密コンパウンドを充填させたも
のを提案してあるが、しかし、このものによる
と、良好な外観や皮剥ぎ性が得られるものゝ、落
雷時の溶断時間の短縮化の点について、稍々不十
分な点が見られた。 これは通常の非発泡水密コンパウンドとの併用
により、電線全体のコンパウンドの見掛け上の充
填量が大巾に減少されないためと思われる。した
がつて、充填量の大巾な減少を達成するために
は、発泡水密コンパウンドの発泡倍率を10倍以上
の高発泡体とする必要があり発泡水密コンパウン
ドとして、上述のようなEVA、EEA、軟質塩化
ビニルなどの軟質プラスチツクを使用する場合に
は、発泡剤を分解させる高温度に保つと、樹脂粘
度が低下して、発泡剤による気泡が樹脂中から抜
け、泡が潰れて、その結果、高倍率の発泡体を得
ることが困難であつた。 本考案は、このような観点に立つてなされたも
のである。そして、本考案は従来の水密コンパウ
ンドに換えて、発泡タイプの水密コンパウンドを
用いるが、前記発泡水密コンパウンドとして、発
泡倍率が10倍以上となる架橋・発泡したゴムまた
はプラスチツク系のコンパウンドを用い、この高
発泡水密コンパウンドを撚線導体の内層側素線間
にのみ充填させ、撚線導体の素線最外層には通常
の非発泡コンパウンドを充填させたことを特徴と
するものである。 このような架橋発泡コンパウンドにおいて、発
泡倍率を10倍以上とすることができるのは、架橋
させた場合の三次元構造により、通常のプラスチ
ツクに比べ分子構造が強化されるため、発泡の際
の高温時にあつても、コンパウンドの粘度が高く
保たれ、発泡剤による気泡がコンパウンド中から
抜け出たり、コンパウンドが溶融流動したりし
て、泡が潰れないからであると、思われる。 以下、かゝる本考案の電線を図面により、さら
に詳説すると、第1図の如くである。 図中、1は撚線導体で、内層側の硬銅素線1a
…および最外層側の硬銅素線1b…からなつてい
る。2はゴムまたはプラスチツクからなる絶縁体
層、3は架橋・発泡(発泡倍率は10倍以上)させ
た水密コンパウンドで、前記導体1の内層側素線
1a…間に均一に充填してある。4は通常の非発
泡の水密コンパウンドで、前記導体1の最外層側
の銅素線1b…の外側に均一に充填してある。 こゝで、使用される架橋・発泡水密コンパウン
ドのベースレジンまたはゴムとしては、例えば、
EVA、EEA、軟質塩化ビニルまたはこれらのブ
レンド物を主成物とするもの、さらには天然ゴム
または、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、
シリコーンゴムなどの合成ゴム、さらにはこれら
のブレンド物を主成分とするものなどが有効であ
るが、特に、未架橋では溶融粘度の低下の大きい
EVA、EEA、軟質塩化ビニルなどの軟質プラス
チツクにおいて効果的である。 さらに、これらの材料には、ペトロラタムジエ
リー、ポリブテン、ポリイソブチレン、マイクロ
クリスタリンワツクスなどを添加してもよい。 次に、まず発泡について述べると、この発泡剤
としては、特に限定されないが、水密性を良好に
保つためには、独立気泡を生じ易い有機系のもの
が好ましく、例えばニトロソ系、アゾ系、スルホ
ニルヒドラジド系などの有機発泡剤を挙げること
ができる。また、これらと適当な発泡助剤とを併
用することも可能である。そして、この際の発泡
倍率は上述のように溶断時間短縮のより一層の効
果を得るために、10倍以上となるように調整され
る。 次で架橋について述べれば、架橋方法として
は、特に限定されないが、各種過酸化物やイオウ
系化合物などによる化学架橋、電子線などによる
照射架橋、シラン架橋などの方法によつて行なえ
る。 尚、非発泡の水密コンパウンドとしては、従来
と同様のものを使用すればよい。 そして、また発泡および非発泡の水密コンパウ
ンドのベースレジンまたはゴムには、必要によ
り、種々の添加剤、例えば酸化防止剤、銅害防止
剤、カーボンブラツク、無機充填剤、可塑剤など
を配合することが可能である。 次に、これらの架橋・発泡水密コンパウンドお
よび非発泡の水密コンパウンドを撚線導体間等に
充填する方法は、特に限定されないが、架橋処理
工程を考慮して行なえばよく、例えば発泡剤を含
有させかつ電子線などにより照射架橋させたコン
パウンドからなるテープを縦添えまたは横巻き
し、その後、発泡剤の分解温度以上に加熱する方
法、あるいは発泡剤および架橋剤を含有させたコ
ンパウンドを圧入充填した後、加熱して架橋と同
時に発泡させる方法などをとればよい。 このようにして導体の内層側素線間には架橋・
発泡水密コンパウンド層が形成され、かつ同時に
導体の最外層に通常の水密コンパウンド層が形成
されると、先ず、発泡時の膨張による昇圧、また
は導体素線の撚り合せによる押圧密着により、導
体内層側の素線間の空隙は隅々まで十分にコンパ
ウンドが充填される。また、導体の最外層側への
充填は比較的容易であるため、非発泡の水密コン
パウンドも導体最外層の空隙にスムーズに密に充
填される。これにより、十分な水密性が得られる
と同時に、導体の内層側においては、高倍率の架
橋・発泡体の速度のクツシヨン性により、導体金
属との密着性が良好に保たれ、また最外層におい
ては充実体のコンパウンドにより、絶縁体層側に
凹凸を生じさせることもなく、皮剥ぎ作業などの
際の口出し性も極めてよい。 さらにまた、架橋・発泡水密コンパウンドは前
述のようにその発泡倍率が10倍以上としてあるた
め、導体全体としてのコンパウンドの実質的な充
填量が大巾に減少されるので、溶断時間の短縮が
大巾に達成される。勿論、発泡による他の長所と
して、材料費の実質的な節減にもなる。 尚、前記説明においては、架橋・発泡水密コン
パウンドを撚線導体内層の全層について充填する
場合について説明してきたが、中心線とその外側
素線間の空隙は導体全体に対して充填量が極めて
僅かであるため、仮に通常の非発泡水密コンパウ
ンドを使用しても、溶断時間への遅延効果が小さ
いので、中心線にあつては特に非発性の水密コン
パウンドを予め付着させる方法をとることもでき
る。 次に、本考案の実施例について述べる。 〈実施例〉 19本撚り導体(導体断面積60mm2)の撚り線工程
中において、6本の素線上に、発泡剤を含有し、
かつ電子線により照射架橋させた厚さ150μmの
EVAベースの水密コンパウンドテープを縦添え
させ、その上に12本の素線を撚り合わせた。こゝ
で、EVAはVA%=30%のものを用い、発泡剤は
分解温度110℃のN,N′−ジニトロソペンタメチ
レンテトラミン(DPT)系のものを、EVA100
重量部に対して、8重量部含有させた。照射後の
水密コンパウンドテープのゲル分率は約40%であ
つた。また中心線には予め0.1mm厚さに水密コン
パウンドを被覆しておいた。次で撚り合せ後、導
体を誘導加熱により130℃で、コンパウンドを発
泡させ、引き続きその外側に2層同時押出機によ
り非発泡のEVAベースのコンパウンドを、さら
にその外側にポリエチレン絶縁体層を夫々被覆
し、架空配線用絶縁電線を得た。このとき、架
橋・発泡水密コンパウンドの発泡倍率は約14倍で
あつた。 〈比較例 〉 19本撚り導体(導体断面積60mm2)上に押出機に
より、EVA(VA%=30%)ベースの水密コンパ
ウンドを120℃の温度で撚線間に圧入充填させた。
次にこの導体の外側にポリエチレン絶縁体層を押
出被覆し、絶縁電線を作つた。 〈比較例 〉 同様にして水密コンパウンドの全く充填されて
いない同構造の絶縁電線を作つた。 このようにして得られた各架空配線用絶縁電線
について、水密性および溶断時間の試験を行なつ
たところ、第1表の通りであつた。尚、水密性試
験は電線2mを切り出し、その片端から0.5Kg/cm2
の水圧で24時間保持した後、導体中への水の侵入
距離を測定した。また溶断時間試験は電線路の一
部を地絡させておき、導体に6.6kV、3000Aの電
流を流したときのアーク電流による電線の溶断時
間を測定した。
填させてなる架空配線用絶縁電線に関するもので
ある。 この種、架空配線用絶縁電線は、一般に複数の
硬銅素線からなる撚線導体上に、ゴムまたはプラ
スチツクの絶縁体層を設けた基本構成を有してな
り、前記撚線導体には伸線時あるいは撚線加工
時、さらには巻回時などに於て各種の歪みが付与
され、これらが残留応力となつて残存している。 ところが、この架空配線用絶縁電線は、多くの
場合、風雨にさらされた苛酷な条件下で使用さ
れ、特に電線引留部や分岐部などにおいて、導体
内に水分が侵するなどの恐れが高い。この侵入水
分が仮に導体素線間に長期に亘つて存在すると、
酸素濃淡電池作用による所謂腐蝕電池を生じ、し
かもその作用が前記導体の残留応力の存在により
加速されるため、応力腐蝕による素線切れ、さら
には断線に至るという重大な問題があつた。 そこで、一般には導体素線間に水密コンパウン
ドを充填して水分の侵入を阻止し、前記応力腐蝕
を発生させない対策がとられている。 近年、この水密コンパウンドとして、作業性な
どのよいことから、ゴムやプラスチツク系の所謂
ドライタイプのものが増えてきている。その具体
的なコンパウンドとしては、導体素線間への充填
が容易なことから、エチレンプロピレンゴム、ブ
チルゴムなどのゴムや、エチレン・酢酸ビル共重
合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重
合体(EEA)、軟質塩化ビニルなどの軟質プラス
チツクなどが用いられている。 一方、架空配線用絶縁電線には、かなりの頻度
で落雷による断線事故の発生が避けられず、かゝ
る事故の際、速やかに断線位置を検出して、これ
に対処することが必要である。この断線位置の検
出は、例えば断線検出リレーの設置により行なわ
れている。このリレーは雷害による高圧線の溶断
事故で、短絡と地絡が同時発生(異相地絡短絡)
する電気的現象を変電所でとらえる保護継電器で
あり、過電流要素、地絡過電圧要素、地絡過電流
要素の組合せ条件により落雷断線か否かの判別を
行なう回路構成である。 ところが、前述したように撚線導体間に水密コ
ンパウンドを充填した水密構造の電線にあつて
は、落雷時の溶断事故に際して、完全に断線する
までの所謂溶断時間が、水密コンパウンドを用い
ない電線に比べて著しく長くなることが知られて
いる。したがつて、前述の断線検出リレーを使用
する電線路では、このリレーの動作をその分遅ら
せ、その働きを妨げ、前述した溶断事故時点の判
別を困難にするという問題があつた。 この溶断時間が長くなる原因としては、その詳
細は不明であるが、おゝよそのところとしては次
のことが考えられる。すなわち、溶断事故は、被
雷時、電線に大電流が流れ、これがアーク電流と
なつて、導体を溶融断線する現象と思われ、この
とき、撚線導体間に水密コンパウンドが充填され
ていると、このコンパウンドは一般に絶縁性であ
るため、導体の素線間を絶縁する格好となり、溶
断時の素線間でのアーク電流が消弧されるからと
考えられる。 そこで、本考案者等は、水密性を維持しつゝ、
雷落時の溶断時間について、その短縮化を図るた
め、種々検討したところ、溶断時間が撚線導体間
に充填される水密コンパウンドの充填量に略比例
的に変化することを見い出した。換言すれば、コ
ンパウンドの実質的な充填量を減らせば、溶断時
間の短縮化が図られることを見い出した。そし
て、このように水密コンパウンドの充填量を実質
的に減す為の一つの方法として、前記水密コンパ
ウンドを発泡タイプとすることが考えられるが、
前記コンパウンドを単に発泡物とすると、撚線導
体の最外層に到るまで均一な発泡層を形成するこ
とが難しく、その結果、その外方に被覆された絶
縁体層の表面に凹凸ができることが多く、外観が
損われたり、さらにまた、電線の口出作業時に絶
縁体層を皮剥ぎするに際して、導体最外層に水密
コンパウンドの発泡クズが付着するなどして、作
業性がよくないなどの恐れもあつた。 このため、本考案者等は、同日付け提出の別考
案により、発泡水密コンパウンドを用いるも
のゝ、この発泡水密コンパウンドを撚線導体の内
層側素線間にのみ充填させ、撚線導体の最外層に
は通常の非発泡水密コンパウンドを充填させたも
のを提案してあるが、しかし、このものによる
と、良好な外観や皮剥ぎ性が得られるものゝ、落
雷時の溶断時間の短縮化の点について、稍々不十
分な点が見られた。 これは通常の非発泡水密コンパウンドとの併用
により、電線全体のコンパウンドの見掛け上の充
填量が大巾に減少されないためと思われる。した
がつて、充填量の大巾な減少を達成するために
は、発泡水密コンパウンドの発泡倍率を10倍以上
の高発泡体とする必要があり発泡水密コンパウン
ドとして、上述のようなEVA、EEA、軟質塩化
ビニルなどの軟質プラスチツクを使用する場合に
は、発泡剤を分解させる高温度に保つと、樹脂粘
度が低下して、発泡剤による気泡が樹脂中から抜
け、泡が潰れて、その結果、高倍率の発泡体を得
ることが困難であつた。 本考案は、このような観点に立つてなされたも
のである。そして、本考案は従来の水密コンパウ
ンドに換えて、発泡タイプの水密コンパウンドを
用いるが、前記発泡水密コンパウンドとして、発
泡倍率が10倍以上となる架橋・発泡したゴムまた
はプラスチツク系のコンパウンドを用い、この高
発泡水密コンパウンドを撚線導体の内層側素線間
にのみ充填させ、撚線導体の素線最外層には通常
の非発泡コンパウンドを充填させたことを特徴と
するものである。 このような架橋発泡コンパウンドにおいて、発
泡倍率を10倍以上とすることができるのは、架橋
させた場合の三次元構造により、通常のプラスチ
ツクに比べ分子構造が強化されるため、発泡の際
の高温時にあつても、コンパウンドの粘度が高く
保たれ、発泡剤による気泡がコンパウンド中から
抜け出たり、コンパウンドが溶融流動したりし
て、泡が潰れないからであると、思われる。 以下、かゝる本考案の電線を図面により、さら
に詳説すると、第1図の如くである。 図中、1は撚線導体で、内層側の硬銅素線1a
…および最外層側の硬銅素線1b…からなつてい
る。2はゴムまたはプラスチツクからなる絶縁体
層、3は架橋・発泡(発泡倍率は10倍以上)させ
た水密コンパウンドで、前記導体1の内層側素線
1a…間に均一に充填してある。4は通常の非発
泡の水密コンパウンドで、前記導体1の最外層側
の銅素線1b…の外側に均一に充填してある。 こゝで、使用される架橋・発泡水密コンパウン
ドのベースレジンまたはゴムとしては、例えば、
EVA、EEA、軟質塩化ビニルまたはこれらのブ
レンド物を主成物とするもの、さらには天然ゴム
または、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、
シリコーンゴムなどの合成ゴム、さらにはこれら
のブレンド物を主成分とするものなどが有効であ
るが、特に、未架橋では溶融粘度の低下の大きい
EVA、EEA、軟質塩化ビニルなどの軟質プラス
チツクにおいて効果的である。 さらに、これらの材料には、ペトロラタムジエ
リー、ポリブテン、ポリイソブチレン、マイクロ
クリスタリンワツクスなどを添加してもよい。 次に、まず発泡について述べると、この発泡剤
としては、特に限定されないが、水密性を良好に
保つためには、独立気泡を生じ易い有機系のもの
が好ましく、例えばニトロソ系、アゾ系、スルホ
ニルヒドラジド系などの有機発泡剤を挙げること
ができる。また、これらと適当な発泡助剤とを併
用することも可能である。そして、この際の発泡
倍率は上述のように溶断時間短縮のより一層の効
果を得るために、10倍以上となるように調整され
る。 次で架橋について述べれば、架橋方法として
は、特に限定されないが、各種過酸化物やイオウ
系化合物などによる化学架橋、電子線などによる
照射架橋、シラン架橋などの方法によつて行なえ
る。 尚、非発泡の水密コンパウンドとしては、従来
と同様のものを使用すればよい。 そして、また発泡および非発泡の水密コンパウ
ンドのベースレジンまたはゴムには、必要によ
り、種々の添加剤、例えば酸化防止剤、銅害防止
剤、カーボンブラツク、無機充填剤、可塑剤など
を配合することが可能である。 次に、これらの架橋・発泡水密コンパウンドお
よび非発泡の水密コンパウンドを撚線導体間等に
充填する方法は、特に限定されないが、架橋処理
工程を考慮して行なえばよく、例えば発泡剤を含
有させかつ電子線などにより照射架橋させたコン
パウンドからなるテープを縦添えまたは横巻き
し、その後、発泡剤の分解温度以上に加熱する方
法、あるいは発泡剤および架橋剤を含有させたコ
ンパウンドを圧入充填した後、加熱して架橋と同
時に発泡させる方法などをとればよい。 このようにして導体の内層側素線間には架橋・
発泡水密コンパウンド層が形成され、かつ同時に
導体の最外層に通常の水密コンパウンド層が形成
されると、先ず、発泡時の膨張による昇圧、また
は導体素線の撚り合せによる押圧密着により、導
体内層側の素線間の空隙は隅々まで十分にコンパ
ウンドが充填される。また、導体の最外層側への
充填は比較的容易であるため、非発泡の水密コン
パウンドも導体最外層の空隙にスムーズに密に充
填される。これにより、十分な水密性が得られる
と同時に、導体の内層側においては、高倍率の架
橋・発泡体の速度のクツシヨン性により、導体金
属との密着性が良好に保たれ、また最外層におい
ては充実体のコンパウンドにより、絶縁体層側に
凹凸を生じさせることもなく、皮剥ぎ作業などの
際の口出し性も極めてよい。 さらにまた、架橋・発泡水密コンパウンドは前
述のようにその発泡倍率が10倍以上としてあるた
め、導体全体としてのコンパウンドの実質的な充
填量が大巾に減少されるので、溶断時間の短縮が
大巾に達成される。勿論、発泡による他の長所と
して、材料費の実質的な節減にもなる。 尚、前記説明においては、架橋・発泡水密コン
パウンドを撚線導体内層の全層について充填する
場合について説明してきたが、中心線とその外側
素線間の空隙は導体全体に対して充填量が極めて
僅かであるため、仮に通常の非発泡水密コンパウ
ンドを使用しても、溶断時間への遅延効果が小さ
いので、中心線にあつては特に非発性の水密コン
パウンドを予め付着させる方法をとることもでき
る。 次に、本考案の実施例について述べる。 〈実施例〉 19本撚り導体(導体断面積60mm2)の撚り線工程
中において、6本の素線上に、発泡剤を含有し、
かつ電子線により照射架橋させた厚さ150μmの
EVAベースの水密コンパウンドテープを縦添え
させ、その上に12本の素線を撚り合わせた。こゝ
で、EVAはVA%=30%のものを用い、発泡剤は
分解温度110℃のN,N′−ジニトロソペンタメチ
レンテトラミン(DPT)系のものを、EVA100
重量部に対して、8重量部含有させた。照射後の
水密コンパウンドテープのゲル分率は約40%であ
つた。また中心線には予め0.1mm厚さに水密コン
パウンドを被覆しておいた。次で撚り合せ後、導
体を誘導加熱により130℃で、コンパウンドを発
泡させ、引き続きその外側に2層同時押出機によ
り非発泡のEVAベースのコンパウンドを、さら
にその外側にポリエチレン絶縁体層を夫々被覆
し、架空配線用絶縁電線を得た。このとき、架
橋・発泡水密コンパウンドの発泡倍率は約14倍で
あつた。 〈比較例 〉 19本撚り導体(導体断面積60mm2)上に押出機に
より、EVA(VA%=30%)ベースの水密コンパ
ウンドを120℃の温度で撚線間に圧入充填させた。
次にこの導体の外側にポリエチレン絶縁体層を押
出被覆し、絶縁電線を作つた。 〈比較例 〉 同様にして水密コンパウンドの全く充填されて
いない同構造の絶縁電線を作つた。 このようにして得られた各架空配線用絶縁電線
について、水密性および溶断時間の試験を行なつ
たところ、第1表の通りであつた。尚、水密性試
験は電線2mを切り出し、その片端から0.5Kg/cm2
の水圧で24時間保持した後、導体中への水の侵入
距離を測定した。また溶断時間試験は電線路の一
部を地絡させておき、導体に6.6kV、3000Aの電
流を流したときのアーク電流による電線の溶断時
間を測定した。
【表】
この表から、比較例は水密性が悪いと同時に
溶断時間もかなり遅延され、比較例に至つては
溶断時間の遅延はないものゝ、水密性が殆んどな
いのに対し、本考案実施例においては、水密性が
極めて良好である上に、溶断時間の大巾な短縮が
図られていることが分かる。また、比較例と同
様、本考案実施例において、導体最外層の水密コ
ンパウンドを非発泡としてあるため、皮剥ぎ性は
極めて良好であつた。 以上の説明から明らかなように本考案によれ
ば、架橋および発泡により発泡剤倍率を10倍以上
とした架橋・発泡水密コンパウンドを撚線導体の
内層側素線間に充填させ、撚線導体の素線最外層
には通常の非発泡水密コンパウンドを充填させて
あるため、十分な水密性を有すると同時に、導体
内層側のコンパウンドの実質的な充填量の大巾な
減少により、落雷時の溶断時間の著しい短縮を図
ることができ、また外観上も問題なく、絶縁性の
皮剥ぎ作業時の口出し性の極めて良好な架空配線
用絶縁電線を提供することができる。
溶断時間もかなり遅延され、比較例に至つては
溶断時間の遅延はないものゝ、水密性が殆んどな
いのに対し、本考案実施例においては、水密性が
極めて良好である上に、溶断時間の大巾な短縮が
図られていることが分かる。また、比較例と同
様、本考案実施例において、導体最外層の水密コ
ンパウンドを非発泡としてあるため、皮剥ぎ性は
極めて良好であつた。 以上の説明から明らかなように本考案によれ
ば、架橋および発泡により発泡剤倍率を10倍以上
とした架橋・発泡水密コンパウンドを撚線導体の
内層側素線間に充填させ、撚線導体の素線最外層
には通常の非発泡水密コンパウンドを充填させて
あるため、十分な水密性を有すると同時に、導体
内層側のコンパウンドの実質的な充填量の大巾な
減少により、落雷時の溶断時間の著しい短縮を図
ることができ、また外観上も問題なく、絶縁性の
皮剥ぎ作業時の口出し性の極めて良好な架空配線
用絶縁電線を提供することができる。
第1図は本考案に係る架空配線用絶縁電線の一
例を示す縦断端面図である。 1……撚線導体、2……絶縁体層、3……架
橋・発泡水密コンパウンド、4……非発泡水密コ
ンパウンド。
例を示す縦断端面図である。 1……撚線導体、2……絶縁体層、3……架
橋・発泡水密コンパウンド、4……非発泡水密コ
ンパウンド。
Claims (1)
- 撚線導体上にゴムまたはプラスチツク絶縁体層
を設けてなる架空配線用絶縁電線において、前記
導体の内層側素線間に、EVA、EEA、軟質塩化
ビニルまたはこれらのブレンド物を主成分とする
もの、天然ゴムまたは合成ゴム、さらにはこれら
のブレンド物に、発泡剤、架橋剤、ペトロラタム
ジエリー、ポリブテン、ポリイソブチレン、マイ
クロクリスタリンワツクスから選ばれる少なくと
も一つを添加してなり、発泡時、発泡倍率が10倍
以上となる架橋・高発泡水密コンパウンドを充填
させると共に、前記導体の最外層には非発泡水密
コンパウンドを充填させたことを特徴とする架空
配線用絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6850383U JPS59173937U (ja) | 1983-05-10 | 1983-05-10 | 架空配線用絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6850383U JPS59173937U (ja) | 1983-05-10 | 1983-05-10 | 架空配線用絶縁電線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59173937U JPS59173937U (ja) | 1984-11-20 |
JPH0238342Y2 true JPH0238342Y2 (ja) | 1990-10-16 |
Family
ID=30198673
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6850383U Granted JPS59173937U (ja) | 1983-05-10 | 1983-05-10 | 架空配線用絶縁電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59173937U (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59159818U (ja) * | 1983-04-13 | 1984-10-26 | 古河電気工業株式会社 | 架空配電用絶縁電線 |
-
1983
- 1983-05-10 JP JP6850383U patent/JPS59173937U/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59173937U (ja) | 1984-11-20 |
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